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6.二人が結ばれしまった夜

突撃の時間は?

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 そんなドキドキハプニングをエドヴィン王子が迎えていると確信している、エドヴィン王子が言う鬼畜で色欲まみれの煩悩令嬢アレクサンドラと、お金至上主義のメイドのニーナは、ダンスホールでダンスもせずに、ワインで乾杯していた。
 ちなみにアレクサンドラのダーリンは、ちゃんとアレクサンドラにひっついたので

「体だけは大層立派なひっつき虫め」

 などと、ニーナはむしゃくしゃしながら心の中だけで言葉をぶつけた。
 ちゃんとワインを飲むためにグラスに口つけている時だったので、決して声になど漏れることはなかった。
 もちろん、これはしっかりちゃんと、ニーナの計算によるもの。

「今頃、もうヤッちゃってるかしら」

 アレクサンドラは、エドヴィン王子の格好をした筋肉ゴリライケメンの頬にキスを何度も繰り返しながら呟いた。
 頼むから、お前らここでおっぱじめてくれんなよ、とニーナは目だけで圧をかけながらも

「あの仕掛けをしたら、まあそろそろリーゼ様が丸裸にされてても不思議じゃないですけどね」
「あのチンアナゴが、バルコニーで触りそうになった時は、さすがに焦ったわ」
「それにしても、触れただけでドレスがはだける仕掛けなんて、よく思いつきましたね」

 そうなのだ。
 リーゼに着せた特注のドレスというのは、まさにベッドインしやすくするための仕掛けが施されていたのだ。

「だって、この人ドレス脱がせるの苦手なんだもの」

 アレクサンドラがあっけらかんというので、ニーナは無意識に「は?」と言ってしまっていた。

「早く挿れて欲しいのに、もたもたされたら、せっかくのバナナが台無しになっちゃうでしょう」

 へえそうか。そこの筋肉ゴリライケメンのあれは、バナナ並みの長さと曲がりなのかと、ニーナは想像したくないことを想像してしまった。

「まさかと思いますが、ご自身のドレスにも?」
「もちろん」
「……今も?」
「もちろ」
「申し訳ございませんがお二人、もうちょっと距離を取っていただけませんか?」

 ニーナは、アレクサンドラと筋肉ゴリライケメンの間に座り直しながらそう言った。

「あら、何故ですの」
「公衆猥褻罪で逮捕される令嬢なんて見たくないですから」

 ニーナは、はぁあ……と大きなため息をつきながら頭を抱えた。
 そして、ふと思い出した。

「そういえば、リーゼ様のメガネ、殿下にお渡しするのを忘れてた……」

 そのメガネとは、リーゼの視力を完全に取り戻し、エドヴィン王子をそれと認識させてしまうもののこと。
 元々の作戦では、ちょめちょめを致して、リーゼを身も心も虜にさせた後でエドヴィン王子がリーゼにメガネをかけさせ種明かしをするという流れになっていた。
 このままではまずい。
 ニーナは提案したこの作戦は、表向きはエドヴィン王子のためと言いつつ、リーゼの本当の姿を知っているからこそ「まあそうはことはうまくいくまい」と思っていたし、少しくらい苦労しろよというニーナのちょっとした(?)意地悪でもあった。

「あら、じゃあ今から届けに行く?」
「いや、さすがに今は……」

 普段は着替え等々でリーゼの裸はどこもかしこも見ていたが、ナマコによって喘がされてるリーゼの声を聞くのは、まだニーナは心の準備はできていなかった。

「……じゃあ……3時間後くらいに覗きに行く?」
「3時間で足ります?」
「……朝食の時間?」
「それは長すぎじゃあ……」

 などなど、アレクサンドラとニーナは議論した結果、メガネを届けるのは朝日が登った直後にした。
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