幼馴染でマジカルなアレが固くなる

余るガム

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第二部 高校生編

人を救うためのウソはあるのかもしれないが、少なくともそいつが救われた以上、救われなかった人は必ずいる

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 結局十三回やった。

 三回目からぐったりして、七回目から喘ぎ声も上げなくなった。
 不意打ちの十一回目では絶望と歓喜に満ち満ちた複雑な顔だった。
 それでもエロステータスで悦んでいるのは分かったし、気持ちよさはエスカレートしていくばかりなので辞め時を見失ってしまったのだ。

 まあ何一つ後悔していない。

「うへへへ~」

 それになじみも嬉しそうにしているし、問題ないだろう。
 なじみが良いならそれで大体OKだ。

 今なじみはショーツの下にナプキンを装備し、ブラだけつけてにやけながら幸せそうに下腹部をさすっている。
 ナプキンで蓋をしているせいか、わずかにお腹が膨らんでいるようにも見えるのは気のせいだろうか。多少であればそうなっても仕方ないぐらいの量を注ぎ込んだが。

 一回当たりの射精量は当然三mlなんて生易しい量じゃない。
 二十か三十、そのレベルだ。

 なのでそもそも十回というのが少々ピンボケな話だったのだが。

 まあ、なじみも嬉しそうにしているし、問題ないだろう。
 なじみが良いならそれで大体OKだ。

「ケーくんの愛がこんなに・・・ああ、ナプキン使わないと入りきらないなんて」

 そう言ってからなじみは少し複雑な表情をする。

「どうした?」
「受け止めきれないくらいケーくんが愛してくれたのは嬉しいんだけど・・・ケーくんの愛を受け止めきれない私が、情けなくって」
「そうか・・・」

 なんと言ったらいいのかわからない。
 まさか『じゃあ受け止めきれない分は他の女に』なんて言えるはずもないのだ。まともな神経してたら。
 そもそも無限なので受け止めきれる存在が原理的にいないのだが、そんなことなじみに言っても仕方あるまい。

 『それってつまりケーくんの私への愛は無限ってこと?』なんて返答されて色々説明しようとするも暖簾で腕押しで『もうそれでいいや』となる未来が見える見える。

「うーん、ここ以外にも出してくれたらいいのかな・・・?」
「以外って、どこに?」
「お口とか・・・」
「顔に掛けたりとかは?」
「なんでケーくんの精液をわざわざ体外に?」
「そうか・・・」

 多分、ガリレオが地動説を唱えたときの周囲の反応は今のなじみとそっくりだったことだろう。

「いや、なじみにぶっかけるのは俺がやりたいかな」
「そう? ケーくんが言うなら別に良いけど・・・」

 果たしてそれで一体何があるというのだろう?
 なじみの表情からはその疑問がありありと浮かび上がっていた。

 この辺のロマンは女性たるなじみにはピンとこないだろう。
 しかし男性ならばある程度わかるはずだ。

「まあ、その辺はおいおいってことで。それより冷蔵庫に作り置きあったっけ? もう夕食時だけど」
「え、あっ!」

 そりゃまあ十三回もやれば過ぎ去る時間なんてまさしく光陰矢の如し。
 一回あたりに時間をそこそこかけていたというのもあって、窓の外はうっすらと夕日が沈んでいる。

 慌ただしい土曜の午後はそうして平和に過ぎていった。

 サボったバイトは・・・まあ、後日誠心誠意謝ろう、うん。



 そんな感じで開けて日曜。

 本日は圭希と信照を引き合わせる日である。
 信照は400m走が主題とのことだが、1500m以上走るこの付き合いにどういう名目でやってくるのか少々興味のあるところ。
 圭希の主題は知らん。興味もない。

 なじみを部屋に残して出ていき、多少走ったところで信照を待つ。
 10分ほど待ったところで来た。

「うし、来たな」
「おっおおおっおっおっ、おっおっおー」
「何言ってんだテメー」

 緊張故か人語を話さなくなってしまったようだ。
 まあ俺には関係ない。
 むしろここからどういう風に変遷するのか気になってしょうがないレベルだ。

「まあいい、行くぞ」
「勿論さぁ☆」

 情緒不安定かこいつ。



 到着した先で少し圭希を待てば、存外早く来た。
 今信照は俺の傍にいない。

「お待たせしました!」
「いや、さして待ったわけでもない」
「ありがとうございます」

 デブの肉体は相も変わらずぶるんぶるんだが、先週と比べて多少はシェイプアップしているのだろうか。
 正直見分けはつかん。

「じゃあ、早速行きましょうか」
「その前に」

 走り出す体勢を取った圭希を俺は呼び止める。

「なんです? あっ準備体操ですね!」
「違う。いやそれもあるけど、本題は別だ」
「本題?」
「ああ、先週お前に会いたいってやつが居るって言っただろ?」
「はあ、言ってましたけども」
「実はそいつが今近くにいてな、少し会ってくれないか?」

 圭希は露骨に嫌そうな顔をして。

「・・・まあ、安心院さんの頼みならしょうがないです」
「悪いな。今度なにかで埋め合わせするから」
「ん? 今なんでもするって言いましたよね?」
「言ってない。俺にも限度はある」
「そうですか・・・」

 何やら沈んでいる様だが、一体何を言うつもりだったのか。

「生憎今は金欠なんで、大したものは出せないが」
「いえ! 安心院さんから貰えるなら何でも嬉しいです!」
「そうかい」

 こいつに言われてもな感が凄い。
 まあなじみに言われたところで今更感が凄いのだが。

 電話一本で呼び出した所『すぐ行く』とだけ言い残して電話を切った。
 その後、鬼の様な速度で信照が走ってくる。

 何を勘違いしたのかシルバーアクセをギラギラさせながらグラサンを掛けた状態で走ってくる。

 流石に笑うわこんなん。

「ぶふっ・・・」
「えぇ・・・」

 その様子を見て圭希は言葉もないらしい。

 圭希の目前で『ズザァアッ!』って感じの音を立てて立ち止まり、ゆっくりとサングラスを外す。
 すべての仕草が徹底的に気障だ。

 信照自体は割とイケメンなので、一応絵面は良いのだが、俺からするとちょっと笑えてしまう。

 圭希の方は、どういう反応をすればいいのか困惑仕切りといった様子。

「久しぶり・・・覚えてるかな、俺の事」
「え? ああ、まあ、はい・・・」
「本当かい!? ああ、今日はなんていい日なんだ! 君みたいに美しい女性に俺の名前が覚えられているなんてッ!」
「は、はは、そうですね・・・」

 きっと、ここで俺が信照の為に出来ることは飛び蹴りの一つでも叩き込んで正気に戻すことなんだろう。
 しかし俺はそんなことしない。
 だって、暴力は何も生まないのだから!

 正直なところは面白いからもうちょっと見ていたい。

「SHIKASHI・・・俺は君に謝らなければならない・・・昔の君に、俺はとてもとても心無いことをした。あいやッ! その事実は決して拭えぬ俺の業・・・許してくれなどとは言わん。しかしもし謝ることが許されるなら、誠心誠意、謝らせてほしい。どうだろうか?」
「はい、どうぞ、お好きなだけ・・・」
「おおっ、その慈悲深い心、まさに女神さながら!」
「あ、あはは・・・」

 圭希がこちらを見るが俺にだって予想外なんだ。こんな面白ゲフンゲフン大変なことになるなんて。
 なので俺に責めるような視線を向けられても困る。

「DAKARA!! 本当に済まなかった。当時の私は本当に愚かだったんだ。すいませんでした」

 信照はしっかりと頭を下げ、変でもない言葉づかいできちんと謝罪した。
 が、そこに至るまでが面白すぎて何も感じられない俺である。

「は、はい。謝罪を受け入れます」
「OH! 流石顔が美しい人は心まで美しい・・・いやさ、これはあなただけの事でしょうね」
「ははは・・・」

 完全に引き攣った顔をしている圭希。
 軽くトリップしている信照。
 半笑いの俺。
 奇妙なものを見る周囲の人々。

 ふう、地獄だ。
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