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第二部 高校生編
後付けホイホイは脊髄反射系物語の平常運転
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肩に置かれる掌から感じる謎の緊迫感は一体何なんだろうか。
『またボマーが出たらしいぞ』とか言われたら絶望感があるのもまあ納得なのだが、特にそう言う事がなくとも感じる緊迫感がある。
普通に話しかけてこないという事は、何やら尋常ならざる用件があるのだろうという事はなんとなく察せられるが。
「ちょっと助けてくれるかい安心院く~ん」
妙に優し気で・・・そして疲れた風に信照はそう話しかけてきた。
個人的には友達だと思ってる奴からこの圧力を感じると借金の保証人にでもなってくれと言われるのかと身構えてしまうが、どうもそういう訳でもないようで。
「まあ、話ぐらいは聞くさ。後少しで休みだというのにいきなり呼び止められた俺の苛立ちなど些細な事だからな」
「そう言う事言うんじゃないよ。なんか相談事しに来ただけの俺が最高に悪い奴みたいになるだろうが」
「はいはいそれで? 大方見当は付くけど一体なんだ?」
「ちなみにその見当っていうのは?」
「デ・・・じゃなくて、花開院と何かあったんだろ?」
「よくわかったな」
「わからいでか」
こいつが俺にわざわざ相談を持ち掛ける様なことなんてそれぐらいのものだ。
疎遠だった幼馴染との仲を繋ぎなおして付き合い始めたというのに、こいつは一体何が不安なのだろうか。
「で、最近の仲はどんな感じだ? 告白の時は結構よかったんだろ?」
「ああ・・・そうなんだが、そうだからこそ色々としんどい」
「というと?」
「どうも最近ギクシャクしがちなんだよ」
そりゃそうだろう、と思う。
何せコイツ、再会してすぐの頃はなんかよくわからないキャラにクラスチェンジしてしまったせいで圭希にドン引きされていたのだから。ついでに俺は大変笑わせてもらったが。
仮にあの時のキャラのまま付き合いを続けているというのなら、そりゃあギクシャクもするだろうさ。例えるなら傲慢な徴税官の一粒種が拗らせた結果、みたいな感じだった。
「大方告白するときのテンションをずっと維持しようとでもしてたんじゃないのか? 自然体が長続きのコツだぞ」
「お前が言うのか?」
「俺はいつも自然体だぞ?」
「アレが自然体なのか・・・」
何か妙な事を言っただろうか。
好きな人のためなら5,6人殺せるなんて男としては当然の甲斐性だろうに。
「それで、実際のところは?」
「別にいつまでもハイテンションなわけじゃないさ。当初は自分でもちょっとどうかと思うぐらい舞い上がっていたからな」
「じゃあなんでギクシャクなんか?」
「なんつーか他人行儀が抜けないっていうか、どっか余所余所しいっていうか・・・」
「ふーん?」
俺から見た圭希そんな質の人間じゃないように思うが・・・これは単純に積み重ねた時間の所為か?
内弁慶な奴だったのだろうか。
「原因は何だと思う?」
「まあ多分だけど・・・」
信照はそこで少し溜めて。
「資本、じゃないかなぁ」
予想外過ぎる言葉を吐いた。
「は? 資本?」
「そう。なんかアイツって超成り上がり一家の傍系らしくてさ。相続権とかは無いんだけど、成り上がった本人が可愛がってる孫娘って感じらしい。つっても会話の端々からの推測だけど・・・」
信照の言う諸々が耳を素通りしていく。
だって圭希だぞ? あのデブだぞ? それが成り上がりとはいえお嬢様だ?
似合わないにもほどがある。
意外過ぎて笑いすら起きない。
いや待てよ、そういえば。
『携帯持ってない』、『持っていいかおじい様に聞いてみる』、『門限がある』。このあたりの発言はそう考えてみると非常にそれっぽい。
出会った当初のかまってちゃん具合も、その成り上がった本人に可愛がられてたから、ってことで。
性別不詳なほどに太っていたのもその所為?
言われて見れば・・・存外、端々にそれっぽい言動はあった、のか?
しかしあったとしても俺の中で『デブ=お嬢様』が連結しない。
「え、ああ・・・マジか?」
「大マジだ。だからなんていうか、デート一回当たりの出費も相当だし、それでも満足いってるか分からんし、というかいつも若干つまらない感じだしで、もうどうしていいやら・・・」
「別れる、てのは・・・」
「ありえない。俺がそうしたくないんだから、言われない限りそうしたくない」
「だろうな。ま、愛想を尽かされん限りは別れようなんて言われまい。だから逆に、言われたら潔く身を引けよ?」
「ああ、それはわかってる」
とりあえずこの衝撃を一旦整理しないと相談されても何もできない。
ゆっくりと立て直しながら信照へ言葉を放つ。
「えー・・・で、だ。お前は助けて欲しいと言ったな? 何をして欲しい? 正直借金の申し入れなら俺もカツカツだから、力にはなれんぞ」
「ん、ああ、借金なんてつもりは最初からないさ・・・頼みたいのはカンフル剤というか、停滞した現状に一石を投じる一助というか」
「回りくどい、早く言え」
「お前らカップルと俺と圭希で、ダブルデートをして欲しい」
ははあ、そうきたか。
正直自分一人で相手を楽しませられないなら、どうせ長続きしないのでさっさと別れろと言いたいところだが、二人の経過観察もしてみたいところだ。
そういえば内海さん・・・だっけ? あの人にも近況報告をたまにせっつかれているし。
問題は付き合わされるなじみだが・・・まあ、なじみは俺が居れば割とどこでもいい感じだし、大丈夫だろう。何せ俺が同じような感じだからな。
「わかった、とりあえずなじみに聞いてみて、OKだったら良いぞ。その時は連絡するから」
「ありがとう。これで万事解決・・・とはいかないだろうが、それでも何かのきっかけぐらいにはなってくれると良いんだが・・・」
「さてな。そこはお前が頑張るところだろう」
「ああ、そうだな」
「ところで、その時のデートプランはお前に任せていいのかな?」
「それは勿論だ。言い出しっぺの法則ってな」
「ああ、そりゃ助かるね」
俺となじみは何というか、そういうのがクッソ下手だからな。
なじみがインドアだからデートの内容も必然的にインドアで、おまけに同棲状態なのだからもはや日常すべてがデートと言わんばかりだ。ベッドがすぐ傍にあるのでR18まで最短距離というのも、インドアデートを加速させる要因だ。
その所為で一緒にデートとしてお出かけ、という事への経験値が極端に低い。
「それじゃあ俺はひとまずなじみに聞いてみるから、また後日な」
「ん? ここで電話すればいいだろう?」
「・・・ああ、その選択肢があったか。しかし俺としてはなじみとのコミュニケーションは最大限直接やりたくてな」
「俺としては結果が気になるから早くして欲しいんだが・・・」
「そりゃそうだろうが・・・いや待てよ? 別に良いのか、今聞いても」
俺は立ち上がると、歩み始めた。
なじみのいる場所・・・漫画研究部の部室に。
*
ドアに漫画研究部と書かれたプラカードを確認した。
「ここだな」
二度ノックすると、直ぐに『どうぞ~』と声が聞こえる。
それを聞いてガラガラとドアを開けると、一人の男子生徒が応対してくれた。
「えーと・・・?」
「一年五組の安心院ですけど、蝶ヶ崎さんいますか?」
「え、ああ・・・蝶ヶ崎さーん」
ネクタイの色的には同学年だろうか。
部屋の隅の方へ呼びかけると、声が返ってきた。
「はい?」
「なんか人来たよ」
「そうですか」
その声に感情はなかった。
ただ淡々と事実だけを確認する事務的な声。しかし声色は間違いなくなじみのものだ。
声と共に持ち上げられた顔は、ゾクリとするほどの無表情。
しかし微に劣らぬ無表情が俺を認識した時、一瞬で崩れた。
「ケーくん!」
ぱあッと擬音が聞こえてきそうなほど明るくなる表情。
さっきまでの落差で耳がキーンとなりそうだ。
素早い身のこなしでこちらに駆け寄ってくるなじみ。
「どうしたの? こんなところに来て」
「ちょっと聞きたいことがあってな。今良いか?」
「うん。あ、でもちょっと廊下出よ?」
「ああ」
なじみは廊下に出てきてドアを閉め、『こっち』と言わんばかりに歩いて行った。
部屋の中のぎょっとした様な視線など、微塵も気にしてはいなかった。
『またボマーが出たらしいぞ』とか言われたら絶望感があるのもまあ納得なのだが、特にそう言う事がなくとも感じる緊迫感がある。
普通に話しかけてこないという事は、何やら尋常ならざる用件があるのだろうという事はなんとなく察せられるが。
「ちょっと助けてくれるかい安心院く~ん」
妙に優し気で・・・そして疲れた風に信照はそう話しかけてきた。
個人的には友達だと思ってる奴からこの圧力を感じると借金の保証人にでもなってくれと言われるのかと身構えてしまうが、どうもそういう訳でもないようで。
「まあ、話ぐらいは聞くさ。後少しで休みだというのにいきなり呼び止められた俺の苛立ちなど些細な事だからな」
「そう言う事言うんじゃないよ。なんか相談事しに来ただけの俺が最高に悪い奴みたいになるだろうが」
「はいはいそれで? 大方見当は付くけど一体なんだ?」
「ちなみにその見当っていうのは?」
「デ・・・じゃなくて、花開院と何かあったんだろ?」
「よくわかったな」
「わからいでか」
こいつが俺にわざわざ相談を持ち掛ける様なことなんてそれぐらいのものだ。
疎遠だった幼馴染との仲を繋ぎなおして付き合い始めたというのに、こいつは一体何が不安なのだろうか。
「で、最近の仲はどんな感じだ? 告白の時は結構よかったんだろ?」
「ああ・・・そうなんだが、そうだからこそ色々としんどい」
「というと?」
「どうも最近ギクシャクしがちなんだよ」
そりゃそうだろう、と思う。
何せコイツ、再会してすぐの頃はなんかよくわからないキャラにクラスチェンジしてしまったせいで圭希にドン引きされていたのだから。ついでに俺は大変笑わせてもらったが。
仮にあの時のキャラのまま付き合いを続けているというのなら、そりゃあギクシャクもするだろうさ。例えるなら傲慢な徴税官の一粒種が拗らせた結果、みたいな感じだった。
「大方告白するときのテンションをずっと維持しようとでもしてたんじゃないのか? 自然体が長続きのコツだぞ」
「お前が言うのか?」
「俺はいつも自然体だぞ?」
「アレが自然体なのか・・・」
何か妙な事を言っただろうか。
好きな人のためなら5,6人殺せるなんて男としては当然の甲斐性だろうに。
「それで、実際のところは?」
「別にいつまでもハイテンションなわけじゃないさ。当初は自分でもちょっとどうかと思うぐらい舞い上がっていたからな」
「じゃあなんでギクシャクなんか?」
「なんつーか他人行儀が抜けないっていうか、どっか余所余所しいっていうか・・・」
「ふーん?」
俺から見た圭希そんな質の人間じゃないように思うが・・・これは単純に積み重ねた時間の所為か?
内弁慶な奴だったのだろうか。
「原因は何だと思う?」
「まあ多分だけど・・・」
信照はそこで少し溜めて。
「資本、じゃないかなぁ」
予想外過ぎる言葉を吐いた。
「は? 資本?」
「そう。なんかアイツって超成り上がり一家の傍系らしくてさ。相続権とかは無いんだけど、成り上がった本人が可愛がってる孫娘って感じらしい。つっても会話の端々からの推測だけど・・・」
信照の言う諸々が耳を素通りしていく。
だって圭希だぞ? あのデブだぞ? それが成り上がりとはいえお嬢様だ?
似合わないにもほどがある。
意外過ぎて笑いすら起きない。
いや待てよ、そういえば。
『携帯持ってない』、『持っていいかおじい様に聞いてみる』、『門限がある』。このあたりの発言はそう考えてみると非常にそれっぽい。
出会った当初のかまってちゃん具合も、その成り上がった本人に可愛がられてたから、ってことで。
性別不詳なほどに太っていたのもその所為?
言われて見れば・・・存外、端々にそれっぽい言動はあった、のか?
しかしあったとしても俺の中で『デブ=お嬢様』が連結しない。
「え、ああ・・・マジか?」
「大マジだ。だからなんていうか、デート一回当たりの出費も相当だし、それでも満足いってるか分からんし、というかいつも若干つまらない感じだしで、もうどうしていいやら・・・」
「別れる、てのは・・・」
「ありえない。俺がそうしたくないんだから、言われない限りそうしたくない」
「だろうな。ま、愛想を尽かされん限りは別れようなんて言われまい。だから逆に、言われたら潔く身を引けよ?」
「ああ、それはわかってる」
とりあえずこの衝撃を一旦整理しないと相談されても何もできない。
ゆっくりと立て直しながら信照へ言葉を放つ。
「えー・・・で、だ。お前は助けて欲しいと言ったな? 何をして欲しい? 正直借金の申し入れなら俺もカツカツだから、力にはなれんぞ」
「ん、ああ、借金なんてつもりは最初からないさ・・・頼みたいのはカンフル剤というか、停滞した現状に一石を投じる一助というか」
「回りくどい、早く言え」
「お前らカップルと俺と圭希で、ダブルデートをして欲しい」
ははあ、そうきたか。
正直自分一人で相手を楽しませられないなら、どうせ長続きしないのでさっさと別れろと言いたいところだが、二人の経過観察もしてみたいところだ。
そういえば内海さん・・・だっけ? あの人にも近況報告をたまにせっつかれているし。
問題は付き合わされるなじみだが・・・まあ、なじみは俺が居れば割とどこでもいい感じだし、大丈夫だろう。何せ俺が同じような感じだからな。
「わかった、とりあえずなじみに聞いてみて、OKだったら良いぞ。その時は連絡するから」
「ありがとう。これで万事解決・・・とはいかないだろうが、それでも何かのきっかけぐらいにはなってくれると良いんだが・・・」
「さてな。そこはお前が頑張るところだろう」
「ああ、そうだな」
「ところで、その時のデートプランはお前に任せていいのかな?」
「それは勿論だ。言い出しっぺの法則ってな」
「ああ、そりゃ助かるね」
俺となじみは何というか、そういうのがクッソ下手だからな。
なじみがインドアだからデートの内容も必然的にインドアで、おまけに同棲状態なのだからもはや日常すべてがデートと言わんばかりだ。ベッドがすぐ傍にあるのでR18まで最短距離というのも、インドアデートを加速させる要因だ。
その所為で一緒にデートとしてお出かけ、という事への経験値が極端に低い。
「それじゃあ俺はひとまずなじみに聞いてみるから、また後日な」
「ん? ここで電話すればいいだろう?」
「・・・ああ、その選択肢があったか。しかし俺としてはなじみとのコミュニケーションは最大限直接やりたくてな」
「俺としては結果が気になるから早くして欲しいんだが・・・」
「そりゃそうだろうが・・・いや待てよ? 別に良いのか、今聞いても」
俺は立ち上がると、歩み始めた。
なじみのいる場所・・・漫画研究部の部室に。
*
ドアに漫画研究部と書かれたプラカードを確認した。
「ここだな」
二度ノックすると、直ぐに『どうぞ~』と声が聞こえる。
それを聞いてガラガラとドアを開けると、一人の男子生徒が応対してくれた。
「えーと・・・?」
「一年五組の安心院ですけど、蝶ヶ崎さんいますか?」
「え、ああ・・・蝶ヶ崎さーん」
ネクタイの色的には同学年だろうか。
部屋の隅の方へ呼びかけると、声が返ってきた。
「はい?」
「なんか人来たよ」
「そうですか」
その声に感情はなかった。
ただ淡々と事実だけを確認する事務的な声。しかし声色は間違いなくなじみのものだ。
声と共に持ち上げられた顔は、ゾクリとするほどの無表情。
しかし微に劣らぬ無表情が俺を認識した時、一瞬で崩れた。
「ケーくん!」
ぱあッと擬音が聞こえてきそうなほど明るくなる表情。
さっきまでの落差で耳がキーンとなりそうだ。
素早い身のこなしでこちらに駆け寄ってくるなじみ。
「どうしたの? こんなところに来て」
「ちょっと聞きたいことがあってな。今良いか?」
「うん。あ、でもちょっと廊下出よ?」
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