幼馴染でマジカルなアレが固くなる

余るガム

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第二部 高校生編

調べたらあの銃のスペック全部デタラメじゃねえか

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 今はデートコースの選定中なので、日程の方はしばらく待って欲しい。
 なじみからダブルデートの了承を貰った後で信照から聞いた話である。

 奴からすれば今回の企画は一世一代の大勝負。
 準備を念入りにしておきたいのは人情だろうから、いつまでも待つと返答した。

 そもそもこっち側としてはそこまで急くような話でもないのだ。デートなら屋内で間に合ってしまうのだから、別に楽しみにしているわけでもない。中断すると言われれば『はいそうですか』で終わりとなるだけの事。

 そういえば信照の方は圭希に話を通せているのだろうか。
 ここが未定というなら、今回の企画はそもそも論的な頓挫の仕方をしてしまうのだが。
 サプライズなんてやめておけと俺としては切に言いたい。一般人は綺麗なリアクションなんてできないから、グダグダになるだけで終わる。小さな悪戯ぐらいに留めておくのが良いだろう。

 だからこういうタイプのイベントはもう少し事前に告知して欲しかったな、と思うのだ。

「じゃあ行きますよ」
「はい、島崎=サン・・・」

 いやまあ、元々日曜朝は定例的に外出するので総合的に見れば影響はないのかもしれないが、にしたってどうにかならんのか。

「だってあなた、木彫り狐使ってないじゃないですか。そりゃいきなりにもなりますよ」
「あの木彫りの狐って連絡端末だったのか・・・」
「これに懲りたらちゃんと開通しといてくださいね」

 まずその『開通』とか言う概念がよくわからんのだが。

 そんなことを内心でぶつくさ言いながら島崎さんの瞬間移動に身を任せる。
 ヴイン、と空間が捻じれる音がして、気が付けばやっぱり地下空間だった。島崎さんは帰ったが、そこにはちゃんと夜狐さんがいた。

「どうも。今回は何か用で?」
「いやに、別に用ってわけでもないのだけどね。実の所、君に超能力を教導するというのは私の仕事としてスケジュールに組まれていてね。当初の予定ではしばらく日曜朝に会って、超能力を鍛えるつもりだったんだが、君は一日で目標の領域まで行ってしまった。これだけならまあ早くて助かるってだけなんだが、これを馬鹿正直に報告しては私の仕事が増える。なので君を鍛えているという体裁を整えたくてね」
「じゃあもう帰っても?」
「ダメ~。というか君、ここがどこかも知らないだろう? 君の念力なら地上に出るまで天井をぶち抜くなんてわけないだろうが、そうして出た後でどうやって帰るんだい? しばらく私とのおしゃべりに付き合って、島崎君に帰して貰うのが賢明ってもんだろう」

 この自分勝手というかなんというか・・・。
 狐らしいといえばらしいのか?

「私は最近仕事仕事の毎日でね。こうやってのんべんだらりと出来るなんて久しぶりなのさ。特に君みたいな美丈夫を侍らせての休日なんて何世紀ぶりだろうね」
「侍ったつもりは無いんですがね」
「わかっているさ。しかし魅力的な異性と一緒に居るだけで楽しいというのはある。ヴィンテージものだが、私も女だからね」

 確かに尻尾が嬉し気にわっさわっさと蠢いているが、そういう事だったのか。

「・・・そういえば結局何年生きてるんですかね」
「女性に年齢を聞くのはマナー違反だけど、君は全部わかったうえで聞いているね? 私を遠ざけようとして敢えてデリカシーのない事を言ったんじゃないかな? なじみちゃんに操を立てるために」
「・・・」
「だから私はそっくりそのまま、何の不快感も抱かずに返答しよう。卑弥呼ちゃんは結構不細工だったよ。神職だからって顔も肌も隠してたから、勝手に妄想が膨らんだだけなんだろうね」

 卑弥呼ってーと・・・縄文時代よりは未来ってぐらいだっけ?
 となると少なくとも1500年はいってるよな。ここまでくるともう年増がどうこうとか言う次元じゃなくなっている。

 結局具体的な数字は言ってないが・・・まあ、狐妖怪の神様、みたいな認識で良いか。
 もうなんか色々めんどくせえ。考えるだけ無駄だ。

「じゃあ今度は私から質問しよう。そうだなぁ・・・なじみちゃん、についてはいいか。どうせ上手くいってるんだろうしね」

 どうせってなんだ。

「だからそれ以外の女の子について聞こうかな。手だしてるんだろう?」
「何を根拠に・・・ああ、監視してたっけ」
「はは、別に監視してなくても分かるよ。超能力者が自分の超能力を使わないわけがない。便利だからね」

 それに。と続ける夜狐。

「君みたいな美男子、ほっとくわけが無いだろう? 何とかしてモノにしたくなるさ。彼女が居るとくれば尚更ね」
「・・・時々言われはするので気になってたんですけど」
「何を?」
「俺の顔って客観的に見てどれくらいのもんなんです?」
「んー、顔面偏差値という奴を適用するなら、ちゃんとなじみちゃんに釣り合うよ。なじみちゃんがどれくらい美人であるかは理解してるだろうから、それで大体わかるんじゃないかな」

 そんなに高かったのか。
 なじみには一歩劣るぐらいかと思っていたが、つり合いは取れていたと。

「でだ。なじみちゃんに群がる男連中を見知った君なら、同程度の量の女連中が君に群がるというのもおおよそ理解できると思う。そんな女の子たちの中にはどんな娘が居たのかなって話をしたいわけさ」
「はあ・・・」
「例えばお隣さんのあの子とかさ」

 いきなり核心を突かれて流石に面食らう。

「いやあ、あの子凄いよね。顔にしたってなじみちゃんに負けず劣らずの美貌だっていうのに、あの胸だよ。私の見立てではMからPカップって所だと思うんだけど」
「知りませんな」
「ははあ、図星を突かれたって顔に書いてるよ」

 んぐ。
 変な声を出してしまう。

「君は実に素直だ。率直に意見や好意を伝えられるそれは美徳だけど、それだけにポーカーフェイスってのが苦手らしい。知らなかったろう?」
「まあ、まだ高校生なんでね・・・その辺の駆け引きを熟すには若輩ってことで」
「んふふ、普通の高校生はそう言う事言わないんだけどねえ」

 で、と夜狐は話を戻す。

「あの子とはどこまで行ったんだい? 少なくとも君となじみちゃんの嬌声で眠れない夜は過ごしてそうだけど」
「あー・・・なんというか・・・」
「なんだい?」
「凄くこう、他人の恋愛を茶化す近所のおばちゃん感が凄いなって」

 夜狐がぴしりと固まる。

「・・・安心院君」
「はい」

 これは流石の俺でもわかる。なんか地雷ふんだっぽい。
 なんで年齢弄りが良くておばちゃん扱いがダメなんだ。

「一応、名目的には訓練だから、ちょっとスパーリングの一つでもしておこうか」



 死ぬかと思った。

 念力による遠距離攻撃と固有能力は無しで、迫撃限定の肉弾戦という設定のスパーリング。
 お互いが肉体強化出来るのだから、そりゃあ大規模なものになるだろうとは予想が付く。

 しかしなんだあの動き。
 瞬歩と縮地と月歩を併用したみたいな感じだったぞ。あんなのもう瞬間移動だろ。
 一歩目から音速超えていくんじゃねーよ。ソニックブームは念力で防げたけど、本人の迫撃は動体視力が全く追いつかなかった。

 おかげで相手の念力から次の攻撃を読む力が養われてしまったが、こんな技能を活かす機会など来て欲しくない。

「ふう・・・ここまで運動できたのは久しぶりだよ」
「俺は殺し合いを運動にカテゴライズする生物ではないので二度とお誘いしないで頂きたい旨を表明します・・・」

 高沢淳介のポーズの楽な事楽な事。

「うーん、でもやっぱりこれはこれでフラストレーションだなぁ」
「死の恐怖を味わったのは主に俺なのに?」
「やっぱり『こっち』の方も発散しないとねえ・・・」

 夜狐は艶っぽい仕草と赤らんだ表情でこちらに寄りかかってくる。
 着物の上からでもわかる大きな胸を包み隠す胸元に手を差し込んで、谷間を覗かせながらもより奥をまさぐる。

 めくれ上がった着物の合わせ部分から覗く真っ白な足が何とも扇情的だ。
 まさぐる度に揺れる胸からするに、下着の類は着けていないらしい。

「黒くて固いのが、私を満足させてくれると良いんだけどなぁ・・・?」

 情欲に潤んだ瞳が倒れ込む俺の視線と絡み合い、そして。

 ジャギン。

 冗談の様にデカい拳銃が、俺の目の前に突き出された。
 何のためらいもなく引かれるトリガーに、俺は最後の活力を振り絞って跳躍。

 明らかに拳銃から出る音ではない巨大な銃声を鳴り響かせ、床材を木っ端みじんに打ち砕いた。

「あっぶな! なんだアンタ怖いわ!」
「あーん、避けないでおくれよぉ」

 夜狐は本当に楽しそうだった。
 恋焦がれる想い人に求愛する、真性の乙女がそこにいた。

 ただし握るのは拳銃である。

「なんなんだよ! もうどっから突っ込んだらいいのかわからねえぞオイ! 拳銃デカいし、脈絡ぐちゃぐちゃだし!」
「ふふん、これは私の最高傑作だよ」

 夜狐は誇らしげに拳銃を掲げて語る。

「全長27センチ、重量11㎏、13㎜劣化ウラン製徹甲弾。対化け物用ESD製大型拳銃、『ジョーカー』だ!」

 確かに冗談みたいなカタログスペックの拳銃である。
 というかそれ胸の谷間にしまってたんだろうか。ならいくら何でも深すぎないだろうか。

「覚悟しろよ? 安心院君。こいつを握ったら私はエクスタシーが来るまで止まらないから!」

 お前が勝手に握ったのに俺が付き合わされるのか・・・。
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