幼馴染でマジカルなアレが固くなる

余るガム

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第二部 高校生編

場所が変わっただけで割といつも通り

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 まあ、自らの神秘性については良い。
 最悪『凄いね、人体 (はぁと)』で片づければいいのだから。

「じゃあ塗ってくぞ」
「は~い」

 ひとまず自分の掌の中にクリームを流し込んでいく。

 少し冷たいな・・・あ、これ冷感って書いてある。
 じゃあ冷たいまま塗るのが良いのだろうか? いや変に体を冷やすこともあるまい。手の中で少々弄んで人肌程度に温める。

 これくらいでいいか。

 そう判断した俺はなじみの白くハリのある太ももに手を這わす。

「んっ・・・」

 悩まし気な声を上げるなじみに対し、ドンドン塗っていく。

 こうして明るい所で太ももをマジマジと見るのは中々ないが、なんとなく奇妙にすら感じる。
 物質というのは基本的に時間経過で劣化するものだ。生物とて例外ではなく、またその中には人間も含まれる。まあ高校生というのはまだまだ発展途上なのだから、劣化もそう多くは無いだろうが・・・にしたって異様ではないだろうか。

 処理しているわけでもないのにムダ毛の一本もなく、保湿しているわけでもないのに瑞々しく、鍛えているわけでもないのにハリがある。

 普通、手入れをしないと醜くなるものだが・・・その手入れなくとも、こうして最上の状態を保ち続けている。
 勿論俺としては嬉しい限りとはいえ、人間味が無いというのもまた事実。

「どうしたの?」
「いや・・・なじみって美人だなって」
「何それ」

 ちょっと笑われてしまった。

「そりゃ恋する乙女は綺麗になるよ」
「凄いね、人体」

 なんか排卵止めてたし、なじみの精神構造どうなってんだ。精神が肉体を凌駕するってそう言う事じゃないだろ。

「やっぱり内側から綺麗にならないとね」
「まあ・・・そういうもんか?」
「そうだよ」

 そうらしい。

 そんな会話をしている内に太腿が終わり、膝の裏・・・ひかがみだったか? その辺りまで終わる。
 とくれば、今度は脛だ。太ももと比べると肉付きは悪いが、その分引き締まっていて、手に返ってくる感触はより強い。こちらも何一つ欠点のない美しさだった。
 足首は指を足枷のように纏わりつかせ、足の指は間に指を差し込んで塗りこんでいく。

 正直、もう日焼け止めクリームは実質的な潤滑剤の扱いである。

 お互いの手をクリームでぬるぬるにして、一連の行動は終わった。

「ふう、もう帰って良くない?」
「流石に早いだろ。まだ昼前だぞ」
「なんかもう満足しちゃったし・・・」
「まあまあ。今日は実質的には向こうのカップルの再燃が目的だから、俺たちがどうこうってのは・・・」
「恋心は燃え上がるものだけど、その後に残るのは灰か炭。見た感じ灰だから諦めた方が良いと思うけど」

 正直同感だ。
 刺激が無いと成立しないカップルなど、それは既に成立していない。延々と刺激的な人間はこの世に存在しないのだから。

 まあ、刺激があるうちは最高に楽しいのだろうが。

「詩的だな」

 少し揶揄うかのように言う。

「どうだった?」
「結構よかったんじゃないか?」

 クリームの代わりにコーラを渡され、爽快な破裂音と共に広がるシロップの香りを吸い込む。
 コカ・コーラのコカはコカインのコカ、と聞いたことがあるが、本当なんだろうか。ペプシのプロパガンダじゃなかろうか。

 一瞬だけひょいっと呷る。
 炭酸は嫌いじゃないしコーラも好きなのだが、炭酸飲料を一気に飲むことが出来ないのだ。

 なじみに渡すとなじみはちびちびと数口だけ飲んで、蓋を締める。
 微妙に苦手なのはなじみも同じだ。でもなんとなく飲んでしまう不思議。

 まさか本当にコカインが? 無いか。
 砂糖に中毒性があるのは間違いないので、あながちそうとも言い切れないかもしれないが。

「ふう・・・」

 なんとなく一息ついてみれば、それはなじみと同時の一息で。
 すぐに目が合ってなんとなく笑ってしまう。

 どちらからともなく寄り添って、パラソルの下でくっつく。
 キスもしない。手もつながない。共有しているのはコーラの冷気とお互いの体温だけ。

 これだけで奇妙なほど幸せそうな顔をしてくれるのだから、やはり良い嫁である。
 余所がどうこうなど関係なく弛緩した空間を共有できるのが理想的なパートナーであり、故にこそなじみは俺の理想の体現者だ。

 この後に盛り上がる所まで含めて。



 やはりビーチというのは燦燦と日差しの降り注ぐ時間帯こそが全盛期であり、日が傾き始めたぐらいでも案外閑散としている。
 そうして人のいなくなったタイミングに、俺となじみは信照と圭希と入れ替わる様に海へ行った。

「冷たい」
「ひゃっこい」

 とはいえ昼前の時点でなんかもう色々満足してしまった俺たちははしゃぐような気分にもなれず、波打ち際でくるぶしを洗う海水の冷たさを感じるだけに留まっていた。
 大して離れたわけでもない上、人も少なくなってきたので、ここからでも信照たちが見える。あれは・・・ご歓談中、ってとこか? 四人用のシートを目一杯使ったソーシャルディスタンスだが、大丈夫なんだろうか。あの空いてる所に俺となじみが入れてしまいそうだが。

 まあ、俺の関知する所ではない。

「こういうのってケーくんに水掛けたりした方が良いのかな?」
「そんなに楽しいと思うか?」
「まあ・・・物は試しってことで」

 こんなにローテンションで水の掛け合いが起こる事ってある?

「てゐっ!」

 手で掬った海水を俺の方に投げかける。
 申し訳程度に腕で防いで。

「やったなー」

 自分でもどうかと思うレベルの棒読みを披露しつつ、同程度の量を海水をなじみに掛ける。

「・・・」
「・・・」

 一往復で終わった。

「・・・なにが間違いだったと思う?」
「多分ワンクッション置いたところだと思う」

 完全に不意打ちならもう少し楽しかったかもしれないのだが、一度質問を挟んだことで行動に意外性が無くなり、テンションを上げづらくなった。そんなところじゃないだろうか。

「なるほど・・・なんだかんだ、サプライズが大事な時もあると」
「そう言う事だな。あまり頻繁にやられても疲れるから、程々にな」
「ほどほどにね、ほどほどに・・・」

 なにやらなじみが噛みしめているが、何かあったのだろうか。
 最近サプライズなんてやった覚えはないが。

「あーんもう、私達落ち着きすぎじゃない? 花の高校生が熟年夫婦みたいに・・・」
「十年付き合いがあれば熟年にもなるだろ。俺はこういう時間も結構好きだしな」
「私だって好きだけど・・・もっとこう、ねえ?」
「俺とお前の格好見てみろよ。ペアルックなんてはしゃぎ切ったカップルじゃないとやらないぞ」

 色合いや模様、形状だけ同じというならまああるかもしれないが、サイズまで同じというのは中々無い。

「あ、そっか。ナンパよけの意味合いが強くて忘れてた」
「どの程度意味があったかは疑問だがな」

 なじみの首から下を見る。
 確かに、単純な被服率で言えば海水浴場に似つかわしくない程の高さだ。露出の多い下半身にしても、股下までパーカーに覆われている上、そもそもこんな場所ではその露出自体前提の様なものだ。

 TPOを考えると、恐ろしくガードの固い女性であることは想像するに難くない。

 しかしその理由をかなぐり捨てるだけの魅力がなじみにはあった。

 まず特に隠れていない顔。もうこれだけで声を掛けるには十分すぎる。首から下が砂の中に埋まっていてもナンパされそうだ。
 次点に、大きめのサイズのパーカーで尚隠し切れないスタイル。太ももの健康的な肉付きとパーカーの盛り上がりから大体察せられるだろう。

 結局そういうナンパが来ないのは、俺という筋肉バキバキの男が明らかに恋人の距離感で一緒に居るからでしかない。
 そういう意味ではもっと筋肉を誇示できるようにパーカーは脱ぎたいのだが、そうするとなじみが怒ってしまう。

「やはりナンパよけにも筋肉・・・筋肉はすべてを解決する・・・」
「その筋肉がナンパよせになるから隠してって言ってるの。本末転倒もいいとこだよ。パーカー着てても他の女はずっとケーくん見てるし・・・脱いだら凄いよ?」
「他の男も大体そうだぞ」

 あと、『脱いだら凄い』ってそういう意味じゃない。

「そういうことじゃないんだけどなぁ・・・」
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