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第二部 高校生編
自覚を有したうえでへし折っていけ
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獣の様な声が聞こえる。
否、声ではない。これは声にもならぬ、激しい吐息だ。
突如意識に入ってきた無粋で凄絶な息遣いは、傍らで俺たちの情事をかぶりつきで見ていた圭希だった。
徐々に荒くなっていく息とそれに比例する顔の上気。
なじみでは見慣れた、しかし圭希では見慣れぬ発情の気配だ。
うむ、存在を完全に忘れていた。
まあ忘れていたという点については予想通りなので別に良い。
発情しているのも、なじみの建前上の目論見通りである。
つまり万事順調である。世はなべてこともなし、という奴だ。
異論は受け付けない。
いや、一つ順調でないこともある。
なじみが気絶した。
致した際の快楽で失神するというのは、頻繁とは言わずともそこそこの頻度で起こる事ではあるが、今は時間的余裕があるか微妙な所なのだ。
掛かった時間も予想の通り割と短いが、気絶していられるほど呑気できるわけでもない。
お互いの衣服を整えてからなじみの頬をペチペチ叩いてみるが、起きる気配はない。
そういうプレイの最中ならばともかく、普段の状態でなじみを強く叩くなんてことは出来ないので、今できることは精々祈ることぐらいだった。
否、祈ってる場合ではない。祈るな手が塞がる。
まだまだできることは多数あるはずだ。なじみが起きていないとしてもできる事をやっておけば外出までの時間を短縮できる。
さしあたって、まずは圭希の縄を解くところから始める。
手間はかかるだろうが、だからこそさっさと片づけてしまうべきだ。
ふぅふぅと五月蠅い圭希の後ろに回って縄目を見れば、途中で抜けたりしないように固く結ばれていた。
引き千切ってしまえば一番早いのだが、レンタル品なのでそういう訳にもいかない。しかしこれを手で解くのは至難だろう。
つまり念力の出番である。祈って尚塞がらぬ手のなんと有り難い事か。なじみは寝ていて圭希からは死角。何の問題もない。
普段はそんなに使うわけでもないのだが、今日は随分と出番が多い。これ、思ったより細かい事出来るんだよな・・・。
通常の数十倍の手早さで解かれた縄をひとまず綺麗に畳んで、テーブルの上へ。
「あ、安心院さん・・・」
ふら、と力無くこちらに歩み寄ってくる圭希。
足取りは少々おぼつないようで、見てて不安なのでとりあえず支えた。
「私、私・・・」
「圭希・・・」
そうだ、そうだよな。
俺は一体何を勘違いしていたのやら。
「わかってます。私、安心院さんなら、その」
「わかっているなら話は早い」
俺としたことが、完全に失念していた。
圭希の方に両手を置き、告げる。
「じゃあお前は早急に手首と足首に着いた縄目を何とかしてくれ」
「はい・・・え?」
こいつがあると余計な勘繰りをされてしまうからな。あの縄自体、いかがわしい事に使うための代物であるし。
「都合が付いたらタブレットでチェックアウトの手続きを決済直前までやって、料金を控えといてくれ。荷物もちゃんと纏めとくように。俺はなじみを風呂場で洗って服を変えさせるから、水場には来ないでくれよ」
「えっ?」
「裸を見られたくないって意思を尊重したいからな」
それにここを引き払う準備だって、何も俺一人でやらないといけないわけではない。
猫の手よりははるかに頼り甲斐もあろうというものだ。
ひょいっとなじみを横抱きにして、風呂場へ連れていく。
肉付きの割に軽いのはどういう絡繰りなのだろうか。俺の筋力が高いだけだろうか。
「えー・・・」
*
いやまあ、一応断っておくと。
勿論全部わかった上で誤魔化しましたよ。
そりゃあそうさ。俺だって馬鹿じゃあないし、まして鈍感系主人公になった覚えもない。
表情、声色、状況等々加味すれば、まあ『そういうこと』なのだろうとは見当がつくさ。
だが、だからといって応えていちゃあ全方位に不誠実ってもんだろう。
信照やなじみは勿論の事、超能力なんて異常な方法で発情させられた圭希にも。
まあそう言った諸々を抜きにしても流しただろうがね。友人知人のレベルならばともかく、恋人愛人のレベルで付き合うには俺の好みから外れ過ぎだ。
あくまでも外見が、という話ではあるが、やはり見てくれは大切なのである。面食いだなんだと非難されようが、それは俺の価値観であり変えられない部分だ。
それに内面的にも俺の好みから外れているように思う。
なにせこいつは今しがた『交際中の相手が居るのに別の相手に抱かれようとした』のだ。
超能力によるものなので同情できる部分も多々あるのは分かるが、貞操観念が緩くないだろうか。葛藤の末に、とかならまだしも、割と即決であったし。
俺の貞操観念がガチガチなのは自覚があるが、その辺りの反りが合わない時点で知人止めの理由には十分だろう。
これが外見的には色んな意味でアウトでも、内面的好感度高めの部長とかならペッティングでお茶を濁すぐらいはするつもりだが。必要なさそうだし、そこまでやりたいとも思わないとはいえ。
ともかく、恨めし気に見られても困る、という事を圭希には言いたいわけである。
いや言わないけど。ここまで色々貶しといてなんだが、その程度の分別はあるつもりなのだ。
「ケーくん、違う女の事考えてる・・・?」
「ああ。お前と比べて魅力に欠ける様な女の事をな」
むふー、と満足気に強く腕を抱いてくるなじみ。
現在は月隠への道中を歩いている最中だ。
なじみが割と早々に起きてくれて助かった。おかげで怪しまれはしないだろうという範疇で収まったのだから。
圭希にはマジで手を出してないので、そこまで怒られる筋合いも・・・いや、縄は打ったか。充分怒られる筋合いあるな。
ちなみに縄目はファンデか何かで誤魔化しているらしい。化粧品は詳しくないので正確には知らん。
「そういえばなじみって化粧しないよな」
「あーね。昔お母さんにやってもらった時に、三時間ぐらいかけてもすっぴんより良くならなかったから、諦めちゃった。今は保湿ぐらいしかしてないかな」
「良くならないってことは無いと思うが」
「目が大きく強調されすぎて火星人かと思った」
大袈裟な。
個人的には化粧品独特の香りは気分が悪くなるので、しないと言うならそっちの方が良いのだが。
おっと、俺の用件があるところに着いたな。
「ちょっとコンビニ寄っていいか?」
「え? 私は良いけど・・・」
「私も良いです」
圭希の声にトゲを感じるが、生憎お前から刺されてもそこまで痛くは無いぞ。
「ではちょっと失礼して・・・」
*
コンビニで目的の物を買ってから数分。
とりあえず信照の部屋に着いた。
「え、なんでこっち来てんの?」
「厳重なる聞き込みの結果、双方の言い分に矛盾が無いことが確認されたんで合流するのは良いだろうという事になったんだが、この夜道を女性に一人歩きさせるわけにもいかんだろうが」
「ああ、そういう・・・」
「だが」
「まだなんかあんの?」
「むしろこっちが本題だ」
一息ついて。
「お前ら合流させると部屋の中が気まずすぎていよいよ致命傷になると思うので、この部屋に俺となじみが合流する事によってその空気を和らげるためにきた」
「この状況で手出すわけないだろ?」
「出すにせよ出さないにせよ絶対酷い空気になるぞ。多分どっちも寝れないぞ」
それぞれ違う意味で。
「ああ、まあ、そりゃそうだわな」
「4人も居ればまあ大丈夫だろう。これから卑猥は一切ない、良いな?」
「はーい」
なじみが良い返事をしたところで、コンビニで買ったそれを取り出す。
「よーし、トランプするぞ。座れ座れ」
この4人は顔見知りですらない、という関係の相手もいる。そのためただ居るだけでは確実に場が持たない。そこで汎用性の高い遊び道具を持ち込むことで共通の話題を作り、この事態をうやむやにしてしまおうと考えたのだ。
ついでにどこかで睡魔に負けて眠ってしまえばいくらかマシな雰囲気にも戻せるだろう。
ちょっと割高だったんで、良く活用されて欲しい。
「ったくダブルデートのくせにごちゃごちゃしやがってよー」
「悪い・・・」
「まあ別に良いけどさ。まずはババ抜きからだな」
全員に均等に投げつけて、ひとまず耐久戦が始まった。
否、声ではない。これは声にもならぬ、激しい吐息だ。
突如意識に入ってきた無粋で凄絶な息遣いは、傍らで俺たちの情事をかぶりつきで見ていた圭希だった。
徐々に荒くなっていく息とそれに比例する顔の上気。
なじみでは見慣れた、しかし圭希では見慣れぬ発情の気配だ。
うむ、存在を完全に忘れていた。
まあ忘れていたという点については予想通りなので別に良い。
発情しているのも、なじみの建前上の目論見通りである。
つまり万事順調である。世はなべてこともなし、という奴だ。
異論は受け付けない。
いや、一つ順調でないこともある。
なじみが気絶した。
致した際の快楽で失神するというのは、頻繁とは言わずともそこそこの頻度で起こる事ではあるが、今は時間的余裕があるか微妙な所なのだ。
掛かった時間も予想の通り割と短いが、気絶していられるほど呑気できるわけでもない。
お互いの衣服を整えてからなじみの頬をペチペチ叩いてみるが、起きる気配はない。
そういうプレイの最中ならばともかく、普段の状態でなじみを強く叩くなんてことは出来ないので、今できることは精々祈ることぐらいだった。
否、祈ってる場合ではない。祈るな手が塞がる。
まだまだできることは多数あるはずだ。なじみが起きていないとしてもできる事をやっておけば外出までの時間を短縮できる。
さしあたって、まずは圭希の縄を解くところから始める。
手間はかかるだろうが、だからこそさっさと片づけてしまうべきだ。
ふぅふぅと五月蠅い圭希の後ろに回って縄目を見れば、途中で抜けたりしないように固く結ばれていた。
引き千切ってしまえば一番早いのだが、レンタル品なのでそういう訳にもいかない。しかしこれを手で解くのは至難だろう。
つまり念力の出番である。祈って尚塞がらぬ手のなんと有り難い事か。なじみは寝ていて圭希からは死角。何の問題もない。
普段はそんなに使うわけでもないのだが、今日は随分と出番が多い。これ、思ったより細かい事出来るんだよな・・・。
通常の数十倍の手早さで解かれた縄をひとまず綺麗に畳んで、テーブルの上へ。
「あ、安心院さん・・・」
ふら、と力無くこちらに歩み寄ってくる圭希。
足取りは少々おぼつないようで、見てて不安なのでとりあえず支えた。
「私、私・・・」
「圭希・・・」
そうだ、そうだよな。
俺は一体何を勘違いしていたのやら。
「わかってます。私、安心院さんなら、その」
「わかっているなら話は早い」
俺としたことが、完全に失念していた。
圭希の方に両手を置き、告げる。
「じゃあお前は早急に手首と足首に着いた縄目を何とかしてくれ」
「はい・・・え?」
こいつがあると余計な勘繰りをされてしまうからな。あの縄自体、いかがわしい事に使うための代物であるし。
「都合が付いたらタブレットでチェックアウトの手続きを決済直前までやって、料金を控えといてくれ。荷物もちゃんと纏めとくように。俺はなじみを風呂場で洗って服を変えさせるから、水場には来ないでくれよ」
「えっ?」
「裸を見られたくないって意思を尊重したいからな」
それにここを引き払う準備だって、何も俺一人でやらないといけないわけではない。
猫の手よりははるかに頼り甲斐もあろうというものだ。
ひょいっとなじみを横抱きにして、風呂場へ連れていく。
肉付きの割に軽いのはどういう絡繰りなのだろうか。俺の筋力が高いだけだろうか。
「えー・・・」
*
いやまあ、一応断っておくと。
勿論全部わかった上で誤魔化しましたよ。
そりゃあそうさ。俺だって馬鹿じゃあないし、まして鈍感系主人公になった覚えもない。
表情、声色、状況等々加味すれば、まあ『そういうこと』なのだろうとは見当がつくさ。
だが、だからといって応えていちゃあ全方位に不誠実ってもんだろう。
信照やなじみは勿論の事、超能力なんて異常な方法で発情させられた圭希にも。
まあそう言った諸々を抜きにしても流しただろうがね。友人知人のレベルならばともかく、恋人愛人のレベルで付き合うには俺の好みから外れ過ぎだ。
あくまでも外見が、という話ではあるが、やはり見てくれは大切なのである。面食いだなんだと非難されようが、それは俺の価値観であり変えられない部分だ。
それに内面的にも俺の好みから外れているように思う。
なにせこいつは今しがた『交際中の相手が居るのに別の相手に抱かれようとした』のだ。
超能力によるものなので同情できる部分も多々あるのは分かるが、貞操観念が緩くないだろうか。葛藤の末に、とかならまだしも、割と即決であったし。
俺の貞操観念がガチガチなのは自覚があるが、その辺りの反りが合わない時点で知人止めの理由には十分だろう。
これが外見的には色んな意味でアウトでも、内面的好感度高めの部長とかならペッティングでお茶を濁すぐらいはするつもりだが。必要なさそうだし、そこまでやりたいとも思わないとはいえ。
ともかく、恨めし気に見られても困る、という事を圭希には言いたいわけである。
いや言わないけど。ここまで色々貶しといてなんだが、その程度の分別はあるつもりなのだ。
「ケーくん、違う女の事考えてる・・・?」
「ああ。お前と比べて魅力に欠ける様な女の事をな」
むふー、と満足気に強く腕を抱いてくるなじみ。
現在は月隠への道中を歩いている最中だ。
なじみが割と早々に起きてくれて助かった。おかげで怪しまれはしないだろうという範疇で収まったのだから。
圭希にはマジで手を出してないので、そこまで怒られる筋合いも・・・いや、縄は打ったか。充分怒られる筋合いあるな。
ちなみに縄目はファンデか何かで誤魔化しているらしい。化粧品は詳しくないので正確には知らん。
「そういえばなじみって化粧しないよな」
「あーね。昔お母さんにやってもらった時に、三時間ぐらいかけてもすっぴんより良くならなかったから、諦めちゃった。今は保湿ぐらいしかしてないかな」
「良くならないってことは無いと思うが」
「目が大きく強調されすぎて火星人かと思った」
大袈裟な。
個人的には化粧品独特の香りは気分が悪くなるので、しないと言うならそっちの方が良いのだが。
おっと、俺の用件があるところに着いたな。
「ちょっとコンビニ寄っていいか?」
「え? 私は良いけど・・・」
「私も良いです」
圭希の声にトゲを感じるが、生憎お前から刺されてもそこまで痛くは無いぞ。
「ではちょっと失礼して・・・」
*
コンビニで目的の物を買ってから数分。
とりあえず信照の部屋に着いた。
「え、なんでこっち来てんの?」
「厳重なる聞き込みの結果、双方の言い分に矛盾が無いことが確認されたんで合流するのは良いだろうという事になったんだが、この夜道を女性に一人歩きさせるわけにもいかんだろうが」
「ああ、そういう・・・」
「だが」
「まだなんかあんの?」
「むしろこっちが本題だ」
一息ついて。
「お前ら合流させると部屋の中が気まずすぎていよいよ致命傷になると思うので、この部屋に俺となじみが合流する事によってその空気を和らげるためにきた」
「この状況で手出すわけないだろ?」
「出すにせよ出さないにせよ絶対酷い空気になるぞ。多分どっちも寝れないぞ」
それぞれ違う意味で。
「ああ、まあ、そりゃそうだわな」
「4人も居ればまあ大丈夫だろう。これから卑猥は一切ない、良いな?」
「はーい」
なじみが良い返事をしたところで、コンビニで買ったそれを取り出す。
「よーし、トランプするぞ。座れ座れ」
この4人は顔見知りですらない、という関係の相手もいる。そのためただ居るだけでは確実に場が持たない。そこで汎用性の高い遊び道具を持ち込むことで共通の話題を作り、この事態をうやむやにしてしまおうと考えたのだ。
ついでにどこかで睡魔に負けて眠ってしまえばいくらかマシな雰囲気にも戻せるだろう。
ちょっと割高だったんで、良く活用されて欲しい。
「ったくダブルデートのくせにごちゃごちゃしやがってよー」
「悪い・・・」
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