幼馴染でマジカルなアレが固くなる

余るガム

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第二部 高校生編

そこそこ重めの責任があると思う

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 クーラーは今日明日の内に掃除しておくことが決定した。

 元々そう汗をかかない季節であっても俺となじみが交わるとベッドはドロドロ、部屋中ムシムシという惨状染みた事態になるというのに、クーラーの有無を論じる様な時期では輪をかけた惨状になる。
 二人で汗だくになるのも乙なものであったが、やりすぎてなじみが少しふらついたあたりで適当に切り上げ、先の決定がなされたのである。

 まあ、それでも合計3ラウンドまではやったのだが。

 ちなみにふらついた事実についてなじみは。

「意識が朦朧とした中でするのは無意識領域にまでケーくんを刷り込まれてるみたいで興奮した」

 などと言っているので、結果論的には悪くなかったのかもしれない。

 それはそれとして、シンプルに命の危機があるので致すとき限定でクーラーはつける。
 あとペットボトルか何かに水入れて冷やしとくか。微からもらったやつがあったはずだし、ちゃんと洗っておけば元々入っていた代物の残滓も感じられまい。

 いや、もういっそより多くを頼んでしまうか・・・?
 何とはなしに奇妙な気分になりながらも貰っているので、頼めばまあ受け入れてはくれると思う。

 うん。やめておこう。なじみとの行為の最中に飲むものとしては最高に倒錯的だ。頭がおかしくなる。

 定期的に貰っている時点で倒錯的であることに間違いはないのだが。何がタチ悪いって、諸々の事情を省いて味だけ見たら凄く美味いという点である。
 しかし体質にしても本当に大丈夫なんだろうか? 水分も相当量失っているのは間違いないし、聞きかじりだが血液と同じ成分と聞いたこともある。

 本人が意図的に出しているわけでもないので、多分害のない範囲で出てきているのだろうが、それでも心配なものは心配だ。

 時々様子を見に行ったほうがいいだろう。どうせ隣だからすぐだし。
 いやもうむしろ今の時点で様子を見に行くか。思い立ったが吉日というし、帰省してからは当分会う機会もなさそうだしな。

 なんなら委員の仕事がなくなった時点で会う機会自体は随分と減ったし。



 熱中症気味になってぐったりしているなじみに冷えピタを処方し、ペットボトルに入れた麦茶を凍らせたうえで麦茶を注ぎなおしたものを保冷バッグに入れて枕元に置いておいた。
 今はぐっすり眠っているが、数時間もすれば起きるだろう。

 しかしこの氷麦茶入り麦茶ペットボトル、なにかこう、スパッと表現する語彙はないだろうか。それとも食パンの袋を閉じるあれみたいな感じで、周知されていないだけで正式名称があるとかだろうか。

 キンコーン。

 チャイムを鳴らしてしばらく待つ。
 劣情とかではない善意の行動であるはずだが、余人から見れば完全に恋人が眠っている間に別の女に会いに行く結構なクズ野郎である。
 なじみとの関係についてはオープンにしているが、微との関係は完全に秘匿事項だしな・・・微に懸想する雄大あたりにバレれば奴はきっと殺意の波動に目覚めるだろう。

 ガチャン!

 チェーンによって固定されたドアから微の無表情がのぞき込む。
 屋内は相応に暗いので、彼女の美麗な容姿がかえって不気味だ。いやまあ醜女しこめ面が出てきたらそれはそれで怖いけど。

 しかしチェーンの音が鳴り響くほど力強くドアを開こうとするとは普段落ち着いた微にしては珍しい。

 一度閉まったドアからチェーンが外され、また改めて開かれる。

「・・・どうぞ」
「お、おう」

 なんだろう、妙な圧を感じる。
 十中八九『騒音被害』がひどいのだろう。諸悪の根源を目の前に見据えては殺気立つのもむべなるかな。

 リビングでもカーテンは閉め切られていて薄暗く、脇に鎮座するベッドは少し荒れている。

 部屋全体からほのかに感じる彼女の性臭を認識したとき、数発の打撃が俺の体を襲う。
 腰、太もも、肘へそれぞれ一発ずつの蹴りは、やはり微から放たれた攻撃。認識の隙間を縫ったそれに対して防御すら出来ず、不自然なまでに四肢から脱力した結果、荒れたベッドの上に倒れ込む。

 そしてその上に乗ってくる微。

 相も変わらず表情は微動だにしないが、長年親交のある俺からすれば彼女の思いは察するに余りある。

「あー・・・悪かったとは思う」
「なら責任」
「平等に、とはいかないがそれなりの配慮というものを」
「違う」
「まあ確かにそれなりにすらできない甲斐性のない男で申し訳ないと」
「違う」
「えー、じゃあ何を?」
「私、あなたたちので自慰した」
「お、おう」

 まあ能力で分かっていたことではあるものの、こう無表情で簡単に言われてしまうと動揺を抑えきれない。

「でも声の大部分はなじみちゃん」
「うん?」

 確かに基本的に声を上げるのはなじみの方だ。
 慣れてきたとはいえ、それでも乱れ狂っている。そりゃあアレだけ絶叫していれば意識が朦朧とするだろう。そのうち喉が枯れるかもしれない。

 しかしなんだろうか。話の流れが不穏な方向に行っているような。

「なじみちゃんの嬌声聞くとほぼ反射で濡れる」
「そうはならんやろ」
「なっとるやろがい」

 いやそうはならんやろ。
 パブロフの犬現象がこんな形で起きるなんて誰が予想できただろうか。

「あっと、つまり責任とは」
「私をノーマルに戻せ」
「なんというかもう全力でサポートするとしか言えん」

 微の部屋という空間で俺と彼女しかいないというのになぜ言葉を発しているのかと思ったら、大方これの告白のために緊張していたのだろう。
 いや、この端的でぶっきらぼうな感じは中間ってとこか。

 しかしこれ、どうしたらいいのだろう。
 SMでいうところの調教については色々調べたとはいえ、性癖の矯正なんぞ流石に初めてだ。

 これまでエロ方面についてはほぼ万能といえる働きをする我が超能力であれば、恐らく不可能ではないのだろうが、問題はそのやり方を俺が知らないという点であろう。

 というか微って俺となじみのをネタにしてソロプレイに勤しんでいたのか。なんか最近倒錯的な事柄との出会いが多くないか?
 性癖なんて全部倒錯してるようなもんだけどさ。

「ん」

 微の方は口約束でも納得してくれたようなので、彼女の期待に応えるぐらいはしたいところだが・・・。

 とりあえず微の体を自分の上に倒れ込ませ、両腕でしっかりと抱きしめる。
 これからどういうやり方で行くにせよ、まずハグでお互いの体温を共有することから始めるのは共通だろう。

 あ。

 ピシリと固まった俺の強張りを見て取り、微がわずかに意識を向ける。
 それに何でもないと誤魔化しのセリフを放ち、目視した光景をもう一度見直す。

 うむ、まあ目の錯覚でも何でもないようで何よりだ。ひとまず眼科に行く必要はないだろう。

 物凄くキラキラした表情で『仁科さんに目隠し』と書いたスケッチブックを持っているなじみは、多分精神科に行った方がいいとは思うが。
 そういえば俺が入ってから施錠とかはしてなかったな。侵入は可能だろうが、起きて速攻で侵入するとかどういう判断力なんだ。というか回復早すぎないか?

 いや、まあ、そこはこの際どうでもいいか。壮健なようで何よりだ。あのふらつきも一過性のモノだったのだろう。

 しかし、浮気現場のど真ん中にやってきて怒るでもなく止めるでもなく沈黙したまま次の行動を指示するとは如何な了見なのかと。
 ふわりとパスしてきたタオルを受け取り、それらしいことを微に言って目隠しにする。声が原因で歪んだのなら別の声で歪めなおせば良い、みたいなことを言って。

 とりあえず手捌きだけで微をベッドの上に誘導し、仰向けになった彼女を少しずつ脱がしていく。
 部屋着なだけにゆったりした服だったが、相変わらず胸元はパンパンに張りつめていて手間取る。胸に合わせたサイズをしているのでウエスト周りは俺の頭を突っ込めるレベルでスカスカだったが。

 多少手間取りつつも微を下着姿まで脱がし、改めて彼女の全身を見る。

 はっきり言って、いびつだ。
 顔は小さく、腕は細く、ウエストは引き締まり、尻は小ぶりで、足もすらりとしている。
 しかし、ただ胸だけが大きい。顔と比べても三回り程大きいといったところか。おまけに仰向けとなっている現在でも形状を大きく崩さないほど張りがある。ブラジャーを押し上げるほど充血した乳首はもはや『勃起している』と表現して差し支えないだろう。先端付近の布が黒く染まっているのは既に染み出しつつある母乳が原因か。

 だが全てのセックスアピールを胸だけに集中させたプロポーションはいさぎよく、ある種の美を内包しているようにも見える。

 一方でそれを眺めるなじみは全身が満遍まんべんなくエロく、比較的被服率の高い普段着でも目撃者を全員前かがみにできるだろう。
 なにせなじみときたら『肌が隠れていれば良い』と考えている節があるので、ボディラインの防御については若干緩いのだ。とはいえ彼女はゆったりとした服を好むので、あまり表面化しない話でもあるのだが。
 しかし今日の服装は割とラインが出そうな割に普段と比べて胸囲が明らかに・・・いや、ヒップが大きいだけにちょっと不自然なくらい小さい。

 つつ、と指を滑らせて確認してみれば、恐らくサラシの様なもので胸を潰しているらしい。
 なじみの巨乳を並程度にまで圧縮していると見えるが、ちょっと肉の所在がどうなっているのか知りたいところだ。

 だがこれで彼女の意図するところが俺にはおおよそ察せられた。

 敢えて微のホールドを解かず、先の発言と矛盾せぬ言葉を彼女の耳に囁く。

「ちょっと、道具を探してくるから、しばらく待っててくれ」

 震えるように頷いたことを確認したのち、優しくベッドに寝かせる。
 そして微の耳周辺の空気を念力で固定しながら、俺はなじみを連れ出して自分の部屋へと戻った。
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