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第三十一話 招かざる客
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翌朝、ドアを叩く音で目を覚まし、伊吹が自室を出ると、ワニックが隣の部屋の前に立っていた。隣はチガヤの両親がいる部屋で、いつもチガヤはそこで寝ていた。
「どうしたの?」
「怪しい奴が近づいている」
再度、ワニックが隣の部屋をノックしようとしたところで、中からチガヤが出てくる。
「おはよう……」
チガヤは眠そうに目を擦っていた。
「チガヤ、怪しい奴が家に近づいている。打って出るか?」
ワニックの声にかぶさるように、誰かが玄関のドアを叩く音がする。
「お客さんだ……」
誰か来たと思ったチガヤは、条件反射的に玄関へと走って行き、何ら警戒せずにドアを開けた。
ドアを開けた先にいたのは、大きなマスクを被った人だった。
そのマスクは顔全体を覆う不気味なもので、形状としては鳥の顔を彷彿とさせる。何かの資料で見たペストマスクに似ていると、伊吹が浮遊島で思ったそれだった。羽織っている茶色のマントにも見覚えがあった。
「自分はユニット地位向上協会、俗にユニット革命軍などと呼ばれている組織の者です」
マスクのお陰で声がこもってはいたが、その声は浮遊島で聴いた革命軍メンバーのものだった。
「革命軍? 訪ねる家は、うちで当ってます?」
相手は身なりからして怪しいうえに、数々の問題を起こしている革命軍こと、ユニット地位向上協会だったが、チガヤは特に警戒する様子もなかった。
「はい、イブキ氏に話があって来ました」
「イブキ、お客さんだよ」
革命軍メンバーに背を向け、チガヤは伊吹を呼んだ。後ろから拘束されでもしたらと心配したが、革命軍メンバーは伊吹に顔を向けたまま黙っていた。
よくない噂ばかりの相手と話すのは気が引けたが、突き放すような態度を取って、チガヤたちに危害を加えられることを恐れ、伊吹はゆっくりと彼の元へと近づいていった。
「話って?」
「ここでは……」
革命軍メンバーが親指で外を指す。表に出ろということらしい。
家から離れていく彼の後を、攻撃されない程度の間合いを取ってついていく。
チガヤたちに声が届かないほど家から離れると、革命軍メンバーは振り返って両手を広げた。その手に武器は持っていなかった。
「まずは、昨日の勝利を称賛させて頂こう。アンフィテアトルムでの戦いは、同志イェルケルの耳にも入り、感銘を受けておられる。あの強化された『万物拒絶』の使い手を倒したことは、同じ能力を使うユニット兵部隊の者にも勝てる可能性を見出したとして、興味深いと仰られた」
褒められたところで、嬉しくはなかった。理由が“同じ能力を使うユニット兵部隊の者にも勝てる可能性を見出した”ということなら、彼らが自分に何を期待しているのか、何となく想像できるからだ。
活動の邪魔となるユニット兵部隊に対抗するため、革命軍メンバーとして勧誘しに来た、といったところなのだろう。無論、関わらない方がいいとされる彼らに加担する気はないが、無下にすることで仲間たちに危害が及ぶのは避けたかった。
なので、自分は価値のない人間だと、勧誘するほどの人物ではないことをアピールすることにした。
「褒められるような戦いなんかしてないですよ。たまたま、うまくいっただけで、あの人がインポだったら終わってたし、女性に興味が無くても終わってたし、アソコが小さくても終わってました。というか、うまくいったのは僕の力じゃなく、喘いでくれた女性たちあってこそです」
「いや、しかし……」
「僕の力なんかなくても、彼女が服を脱いだ時点で、勝負は決していたかもしれません。僕だったら、喘ぎ声が無くても下着姿だけでビンビンですよ」
自分を下に見せようと思って喋り始めたが、いざ話してみると予想外に的を射ていて悲しくなった。ちょっとは活躍したつもりでいたが、運がよかっただけだった気がしてくる。
「それが本心だとは思えない。あのとき、多くの力を使った君は、違うことを感じたのではないのか?」
『無限進化』によって、協力する意思のあるユニットの能力を借り、場合によっては強化し、それを使ったときのことを振り返ってみた。『好意防壁』で壁を築いたり、『瞬間加速』で速く走ったり、『可逆治癒』で傷を治したりした。
そこに万能感のようなものはあったが、より鮮烈なイメージで甦るのは、様々な女性を喘がせたことだった。
普通に暮らしていたら、自分とは縁がなさそうな女性が目の前で喘ぐ。お高くとまってそうな女性も、派手な女性も、クールな女性も、大人っぽい女性も、一様に気持ちよさそうな声を上げていた。好きな相手にしか見せそうにない表情を見せてくれた。
そのことを噛みしめると、大きな希望を抱かずにはいられない。
「あのときというか、振り返って思うのは、世界は素晴らしいってことかな」
「は?」
革命軍メンバーが素っ頓狂な声を上げる。
「だって、そうでしょ? 世の中には素敵な女性がたくさんいる。自分には縁がなさそうに思えても、同じ世界に生きているなら仲良くなれるチャンスがある。彼女たちと結ばれる可能性がゼロじゃないんだ。高嶺の花に思える美女とでも、イチャイチャできるかもしれない……。そう思えば、世界は素晴らしいって思えてくるんだ。いろんな人に『快感誘導』を使って思ったのは、そこかな」
「……」
同意を求めてはいなかったが、黙られると静かさが辛かった。革命軍メンバーとしては、予想外過ぎる答えに、開いた口も塞がらない状況だった。
「あれだけの力を使って、君は自分に可能性を感じなかったというのか? もっと大きな存在になれると、特別な何かになれると」
「特別な何かって?」
「例えば、そう……英雄だよ。死後も人々に忘れられることなき特別な存在。存在していたことも忘れられるような人生とは違う、偉業に彩られた輝かしき歴史的な生涯。そこに憧れはないのか?」
自分を“特別だ”と思いたい頃は伊吹にもあったが、今は彼の考えが理解できそうにもなかった。
「いや、別に……」
率直な感想を述べると、革命軍メンバーはフゥーッと息を吐いて腕組みをした。
「価値観が違うようだ。だが、君が大きな力を持っていることは自覚してほしい。そして、それをユニット地位向上協会が欲していることも」
できれば避けたかった本題を切り出され、伊吹は下唇を軽めに噛んだ。
「単刀直入に言うと、我々と行動を共にして頂きたい。我らがリーダー、同志イェルケルの悲願成就のため、ユニット地位向上協会に加わってほしい」
伊吹を歓迎するかのように、革命軍メンバーは胸を開けた。
「悲願って?」
「無論、この国におけるユニットの地位を向上させることだ。現在、この国におけるユニットは奴隷と言って差し支えない。いつ強化素材にされるかもわからない不安を抱えたまま、労働力としてのみ存在を許されている。これが人として、あるべき姿と言えるのか? 否、断じて違う!」
革命軍メンバーは拳を握り締め、それを上げたり、振り下ろしたりしながら、熱弁を振るう。
「我々は彼らの都合で召喚され、彼らの都合で所有物となった。働くと病に罹るという彼らの都合で、選択権の無い労働者となった。これを横暴と言わず、何と言う? 理不尽ではないと誰が言い切れる?」
よろしくない連中だと聞かされてはいたが、彼らの主張を耳にすると道理にかなっているような気がする。ただ、正しさなんてものは何処にでもあるものだし、召喚に関しては気になる点があった。
「召喚されるのは、何かに入った状態で、今いる世界を離れたいって思った人だから、この国の人たちの都合ってだけの話でもない気がするけど……」
実際、チガヤのユニットには離れたい理由があった。
「だとしてもだ! 労働力欲しさに召喚している事実に変わりはない。労働を悪だというのではない。病に罹るから働けないという理由があったとしても、そのすべてを我々に押し付けていいはずがない! 自国の維持の為、他の世界の人間を犠牲にすることを許してはいけない」
チガヤに関して言えば、自分も働いているので当てはまらないが、指摘したところでイレギュラー扱いされるだろう。なので、違う質問をすることにした。
「だから、どうしようと?」
「まずは、強化素材にされることを防ぐため、1人1ユニットまでしか所有できない制限を設けてもらう」
1人1ユニットと聴き、チガヤのユニットが自分だけになった場合を想定してみる。シオリンがいないので毒検知の仕事は来ないし、サーヤがいないので加湿業務もなければ、ワニックもいないので除湿業務もない。収入は減るだろうし、彼らの力を必要としていた人たちも困るだろう。自分一人ではこなせない作業もある。それは、ほかの家にも言えることだ。
「確かに強化素材になる心配はなくなるけど、労働力が足りなくなるんじゃ……」
「足りない分は、工夫でカバーすればいい」
スマートな響きはあったが、彼が使うと根性論に思えた。工夫に関する具体例を挙げていないからかもしれない。
「たくさんユニットを持ってる人にとっては、強制的にユニットが減らされるから、ガチャへの投資が無駄になる気がするんですけど……何か補償とかは?」
「そんなものは必要ない。彼らが費やした金など、我々が知るところではない。次に、ユニットに対する禁止事項を定めたユニット保護法の強化だ。これに関しては、条文作成を進めているところで、本部に行けば見ることが出来る。最後に『次元転移』所有者の拘束を禁止することになる」
ユニット保護法の強化に関しては中身がわからないので置いておくとしても、『次元転移』所有者の拘束を解くことは人道的に思える。ただ、『次元転移』所有者が街に溢れたときのことを考えると、新たな問題が発生することが予測できた。
もし自分が『次元転移』所有者だったら、ケイモと同じ商売を始める。ケイモが金貨100枚で行っているそれを、少しでも安く行えば客が流れてくるハズ。客を取られまいとケイモが対抗すれば、そこに価格競争が生じる。
いずれ価格は落ち着くかもしれないが、安くなれば元の世界に戻る人の数は飛躍的に増えるだろう。勿論、ケイモという一個人が、市場を独占していることで発生している問題もあるので、もっと良い形を模索すべきなのは間違いない。そういった諸々の点を考慮に入れた対策込みでないと、これも労働力の減少に繋がる。
最終的に、マ国は現状を維持できなくなり、様々なものの崩壊に繋がるように思えた。この国の人間なんて知ったこっちゃねぇ……と言えないほど、チガヤは身近な存在になっているし、国自体が傾けばユニットにも悪影響が出るのは自明の理。仲間のことを考えても、やはり乗れない話だという結論に至る。
同時に、伊吹は苦手な類の話にも関わらず、比較的ロジカルに判断できたことに驚いた。それは、この国に来てから、色んな人の理屈を目の当たりにしてきたお蔭なのかもしれない。まだ、見方としては甘いのだろうけど、という思いもあるが……。
「我々の理想が実現すれば、マ国の人間とユニットが、真の意味で共存している世界となるだろう」
「真の意味、ですか……」
“真の意味”や“世間は”という言葉を使う場合、その人の主観が入りまくりなことが多くて嫌だった。
「そう、真の意味での共存だ。ユニットは強化素材になる不安から解消され、マ国の住人に隷属することがなくなる。そのための我々であり、そのための活動をしているのだ」
「活動って、具体的には?」
「多くのユニットを使役し、暴利を貪る者に鉄槌を下す。ユニットが稼いだものを、ユニットの手で取り戻すのだ」
端的に言えば、活動資金の調達だった。
「そして、彼らは知るのだ。ユニットを奴隷のように扱う者には、ユニットによる裁きが下るのだと。我々はユニットを奴隷のように扱う者たちに対する抑止力でもある」
抑止力と聴いて、能力を持たないマ国の人間が、ユニットを強化できるというのも、ひとつの抑止力に思えてくる。中には殺傷能力の高い能力を持ったユニットもいるわけで、そういった者に危害を加えられないよう牽制する力としての価値が、強化にあると言えなくもない。
それは、相手が銃を持っているから、こっちも持っていないと危ないみたいな話で、状態としては健全ではないかもしれないが、クリアな世界よりグレーな方が不思議と均衡を保つ気さえした。
逆に、ユニットを持たないマ国の人間にしたら、そういった力を有していない上に、何らかの能力を持ったユニットが職場に押し寄せていることになる。もし自分が同じ立場だったとして、能力を持つ者に仕事を奪われ、役立たずと見なされていくのだとしたら、考えただけでも鬱になりそうだった。ふと、ブリオはそんな気持ちなのだろうかという想いに駆られる。
「今、明かせる活動内容は先のようなものになるが、この世界を大きく変える計画は動いている。残念だが、その内容は君が我々の同志となった後でなければ、話すことはできない」
「まぁ、そうでしょうね……。あれ? そう言えば、基地局を占拠したことって、なかったでしたっけ?」
ワイバーン乗り場のイゴルから、そんな話を聴かされていた。『脳内変換』を発動させなくして、言葉が通じない不自由さを痛感させた後で、要求を突き付けるつもりだったが、自分たちの言葉も変換されなくなって、要求どころではなくなったという事件になる。
革命軍メンバーは痛いところでも突かれたのか、何か言おうとしてはやめ、その手足は落ち着きをなくしていた。
「あれは、我がイェルケル派のしたことではない……」
「えっ? 派閥があるの?」
「恥ずかしい話だが、我々は一枚岩ではないのだ。メンバーが個々に活動しているところがある。特に、イグナツィオ派などは、力の誇示に重きを置いている節があって……」
「イグ……な、何て?」
「イグナツィオ派。進化によって最強集団を作ろうとした廃課金者イグナツィオのユニットたちだ。困った連中だが、戦力として失う訳にはいかないのが悩みどころだ」
派閥がある上に問題児集団もあるとか、どんだけ面倒な連中なんだと引いてしまう。
「君は奴らのことを気にする必要はない。彼らとて志は同じはず。いずれ、同志イェルケルが正しき道へと導いてくれることだろう。君は我がイェルケル派のメンバーとして、共に歩んでくれればいい」
「いや、それは、ちょっと……」
さすがに、この辺で断りを入れておかないと、切り出しにくくなりそうな気がした。
「同志には、なれないと?」
「はい……」
断ったことで、強硬手段に打って出るかも……と身構える。
「そうか……。残念だが仕方あるまい。今日、話を持ちかけられて、すぐに了承するのは難しい。また日を改めるとしよう」
「また、来るんですか……」
「来るとも、君の心が変わるまで。我々には、君が持つ最強の力が必要なのだ」
また、この人も“最強”を口にするのかと思うと、嫌な流行だな辟易した。
所詮、大きな力というのは、手にしたら誰かが利用しに来る“厄介事への片道切符”なんだということを知る。
「今日は挨拶といったところだ。明日は、他の同志もつれて来る。もしも、誰かに我々が来ることを伝えた場合は、それ相応の覚悟はしてもらいたい。では」
勝手に来て口止めを要求して去っていく姿に、彼らが疎まれている理由が嫌というほどわかった。
伊吹はしつこい訪問販売に会ったような顔をし、トボトボと歩いてチガヤの家に戻った。みんなは起きて様子を見守っていたのか、玄関前まで行くと家から一斉に出て来た。
何か言われるのかと思って黙っていたが、みんなは伊吹の言葉を待っているようだった。
「僕のこと、何処で知ったんだろうね。革命軍に入らないか……だってさ」
「入るわけ?」
「まさか……」
割と真剣に訊いてきたサーヤの言葉を即座に否定する。
「危ないことしちゃダメだよ」
「うん」
チガヤが心配そうに言うので頷く。次に訊いてきたのはウサウサだった。
「あの人は、浮遊島の……?」
「たぶん、同じ人だと思う。浮遊島の話はしてないけど、そんな感じがする。名前も何も知らないけどね」
「能力なら、マユタンが知っているのだ。えへんっ!」
『能力解析』が使えるマユタンが胸を張る。マスクをしていようと、ユニットであれば能力は判別できるようだ。
「どんな能力を持ってるの?」
「自分の指紋が残ってる物を呼び寄せるスキル『物質転送』と、自分の周りに炎の壁を出現させるアビリティ『爆炎障壁』なのです」
「どっかで聴いたような……」
「昨日、見たな」
ワニックに言われて、マントを羽織った青年のことを思い出した。確か、誰かの護衛役として来ていた。
「それじゃ昨日、目を付けられたってワケか……。でも、なんでイブキなんだ?」
「“君が持つ最強の力が必要なのだ”とか言ってたけど……。おかしいよね、最強だってさ。あの人、ことあるごとに、それを口にしてるんだよね」
「表現力が無いんだろ」
一蹴するサーヤの横で、チガヤは“最強”という単語を繰り返したかと思うと、井戸の方へと走っていき、地面に生えていた細い葉を1枚取ってきた。
「じゃーん! マ国の代表的な最強さんだよ」
「この雑草が?」
「ザッソウ? マ国にはザッソウって名前の植物はないよ」
雑草は固有名詞ではないと説明しようとしたが、雑草という区分け自体が無い気がしてやめる。雑草という名の草はない、どの草にも名前はある……と、元いた世界でも誰かが言っていた。
「何処にでも生える植物で、すごく生命力が強いんだよ。茎が這って伸びるから、取るのも大変なんだ。だからね、マ国では世界最強の植物って言われてるの」
「へぇ~。で、名前は?」
「私と同じだよ。このくらい元気に育ってほしいと思って、つけたんだって」
名前の由来が雑草かと思うと、キラキラネーム以上に気の毒に思えたが、自分がいた世界とは価値基準が違うからかもしれないと思い直す。
その葉を受け取ってよく見てみると、元いた世界にも生えていたように思えた。見れば見るほど、何処にでも生えていそうな気がして、それでいて何度となく雑草として抜き捨てた気がして、確かに厄介な強さを持っているなと納得する。
「あの人が最強を求めてるなら、この草を渡してあげればいいと思うんだ。そろそろ時間だし、会社に行こう」
ズンズンと歩き出したチガヤの後を追い、ユニットたちは会社へと向かった。
「どうしたの?」
「怪しい奴が近づいている」
再度、ワニックが隣の部屋をノックしようとしたところで、中からチガヤが出てくる。
「おはよう……」
チガヤは眠そうに目を擦っていた。
「チガヤ、怪しい奴が家に近づいている。打って出るか?」
ワニックの声にかぶさるように、誰かが玄関のドアを叩く音がする。
「お客さんだ……」
誰か来たと思ったチガヤは、条件反射的に玄関へと走って行き、何ら警戒せずにドアを開けた。
ドアを開けた先にいたのは、大きなマスクを被った人だった。
そのマスクは顔全体を覆う不気味なもので、形状としては鳥の顔を彷彿とさせる。何かの資料で見たペストマスクに似ていると、伊吹が浮遊島で思ったそれだった。羽織っている茶色のマントにも見覚えがあった。
「自分はユニット地位向上協会、俗にユニット革命軍などと呼ばれている組織の者です」
マスクのお陰で声がこもってはいたが、その声は浮遊島で聴いた革命軍メンバーのものだった。
「革命軍? 訪ねる家は、うちで当ってます?」
相手は身なりからして怪しいうえに、数々の問題を起こしている革命軍こと、ユニット地位向上協会だったが、チガヤは特に警戒する様子もなかった。
「はい、イブキ氏に話があって来ました」
「イブキ、お客さんだよ」
革命軍メンバーに背を向け、チガヤは伊吹を呼んだ。後ろから拘束されでもしたらと心配したが、革命軍メンバーは伊吹に顔を向けたまま黙っていた。
よくない噂ばかりの相手と話すのは気が引けたが、突き放すような態度を取って、チガヤたちに危害を加えられることを恐れ、伊吹はゆっくりと彼の元へと近づいていった。
「話って?」
「ここでは……」
革命軍メンバーが親指で外を指す。表に出ろということらしい。
家から離れていく彼の後を、攻撃されない程度の間合いを取ってついていく。
チガヤたちに声が届かないほど家から離れると、革命軍メンバーは振り返って両手を広げた。その手に武器は持っていなかった。
「まずは、昨日の勝利を称賛させて頂こう。アンフィテアトルムでの戦いは、同志イェルケルの耳にも入り、感銘を受けておられる。あの強化された『万物拒絶』の使い手を倒したことは、同じ能力を使うユニット兵部隊の者にも勝てる可能性を見出したとして、興味深いと仰られた」
褒められたところで、嬉しくはなかった。理由が“同じ能力を使うユニット兵部隊の者にも勝てる可能性を見出した”ということなら、彼らが自分に何を期待しているのか、何となく想像できるからだ。
活動の邪魔となるユニット兵部隊に対抗するため、革命軍メンバーとして勧誘しに来た、といったところなのだろう。無論、関わらない方がいいとされる彼らに加担する気はないが、無下にすることで仲間たちに危害が及ぶのは避けたかった。
なので、自分は価値のない人間だと、勧誘するほどの人物ではないことをアピールすることにした。
「褒められるような戦いなんかしてないですよ。たまたま、うまくいっただけで、あの人がインポだったら終わってたし、女性に興味が無くても終わってたし、アソコが小さくても終わってました。というか、うまくいったのは僕の力じゃなく、喘いでくれた女性たちあってこそです」
「いや、しかし……」
「僕の力なんかなくても、彼女が服を脱いだ時点で、勝負は決していたかもしれません。僕だったら、喘ぎ声が無くても下着姿だけでビンビンですよ」
自分を下に見せようと思って喋り始めたが、いざ話してみると予想外に的を射ていて悲しくなった。ちょっとは活躍したつもりでいたが、運がよかっただけだった気がしてくる。
「それが本心だとは思えない。あのとき、多くの力を使った君は、違うことを感じたのではないのか?」
『無限進化』によって、協力する意思のあるユニットの能力を借り、場合によっては強化し、それを使ったときのことを振り返ってみた。『好意防壁』で壁を築いたり、『瞬間加速』で速く走ったり、『可逆治癒』で傷を治したりした。
そこに万能感のようなものはあったが、より鮮烈なイメージで甦るのは、様々な女性を喘がせたことだった。
普通に暮らしていたら、自分とは縁がなさそうな女性が目の前で喘ぐ。お高くとまってそうな女性も、派手な女性も、クールな女性も、大人っぽい女性も、一様に気持ちよさそうな声を上げていた。好きな相手にしか見せそうにない表情を見せてくれた。
そのことを噛みしめると、大きな希望を抱かずにはいられない。
「あのときというか、振り返って思うのは、世界は素晴らしいってことかな」
「は?」
革命軍メンバーが素っ頓狂な声を上げる。
「だって、そうでしょ? 世の中には素敵な女性がたくさんいる。自分には縁がなさそうに思えても、同じ世界に生きているなら仲良くなれるチャンスがある。彼女たちと結ばれる可能性がゼロじゃないんだ。高嶺の花に思える美女とでも、イチャイチャできるかもしれない……。そう思えば、世界は素晴らしいって思えてくるんだ。いろんな人に『快感誘導』を使って思ったのは、そこかな」
「……」
同意を求めてはいなかったが、黙られると静かさが辛かった。革命軍メンバーとしては、予想外過ぎる答えに、開いた口も塞がらない状況だった。
「あれだけの力を使って、君は自分に可能性を感じなかったというのか? もっと大きな存在になれると、特別な何かになれると」
「特別な何かって?」
「例えば、そう……英雄だよ。死後も人々に忘れられることなき特別な存在。存在していたことも忘れられるような人生とは違う、偉業に彩られた輝かしき歴史的な生涯。そこに憧れはないのか?」
自分を“特別だ”と思いたい頃は伊吹にもあったが、今は彼の考えが理解できそうにもなかった。
「いや、別に……」
率直な感想を述べると、革命軍メンバーはフゥーッと息を吐いて腕組みをした。
「価値観が違うようだ。だが、君が大きな力を持っていることは自覚してほしい。そして、それをユニット地位向上協会が欲していることも」
できれば避けたかった本題を切り出され、伊吹は下唇を軽めに噛んだ。
「単刀直入に言うと、我々と行動を共にして頂きたい。我らがリーダー、同志イェルケルの悲願成就のため、ユニット地位向上協会に加わってほしい」
伊吹を歓迎するかのように、革命軍メンバーは胸を開けた。
「悲願って?」
「無論、この国におけるユニットの地位を向上させることだ。現在、この国におけるユニットは奴隷と言って差し支えない。いつ強化素材にされるかもわからない不安を抱えたまま、労働力としてのみ存在を許されている。これが人として、あるべき姿と言えるのか? 否、断じて違う!」
革命軍メンバーは拳を握り締め、それを上げたり、振り下ろしたりしながら、熱弁を振るう。
「我々は彼らの都合で召喚され、彼らの都合で所有物となった。働くと病に罹るという彼らの都合で、選択権の無い労働者となった。これを横暴と言わず、何と言う? 理不尽ではないと誰が言い切れる?」
よろしくない連中だと聞かされてはいたが、彼らの主張を耳にすると道理にかなっているような気がする。ただ、正しさなんてものは何処にでもあるものだし、召喚に関しては気になる点があった。
「召喚されるのは、何かに入った状態で、今いる世界を離れたいって思った人だから、この国の人たちの都合ってだけの話でもない気がするけど……」
実際、チガヤのユニットには離れたい理由があった。
「だとしてもだ! 労働力欲しさに召喚している事実に変わりはない。労働を悪だというのではない。病に罹るから働けないという理由があったとしても、そのすべてを我々に押し付けていいはずがない! 自国の維持の為、他の世界の人間を犠牲にすることを許してはいけない」
チガヤに関して言えば、自分も働いているので当てはまらないが、指摘したところでイレギュラー扱いされるだろう。なので、違う質問をすることにした。
「だから、どうしようと?」
「まずは、強化素材にされることを防ぐため、1人1ユニットまでしか所有できない制限を設けてもらう」
1人1ユニットと聴き、チガヤのユニットが自分だけになった場合を想定してみる。シオリンがいないので毒検知の仕事は来ないし、サーヤがいないので加湿業務もなければ、ワニックもいないので除湿業務もない。収入は減るだろうし、彼らの力を必要としていた人たちも困るだろう。自分一人ではこなせない作業もある。それは、ほかの家にも言えることだ。
「確かに強化素材になる心配はなくなるけど、労働力が足りなくなるんじゃ……」
「足りない分は、工夫でカバーすればいい」
スマートな響きはあったが、彼が使うと根性論に思えた。工夫に関する具体例を挙げていないからかもしれない。
「たくさんユニットを持ってる人にとっては、強制的にユニットが減らされるから、ガチャへの投資が無駄になる気がするんですけど……何か補償とかは?」
「そんなものは必要ない。彼らが費やした金など、我々が知るところではない。次に、ユニットに対する禁止事項を定めたユニット保護法の強化だ。これに関しては、条文作成を進めているところで、本部に行けば見ることが出来る。最後に『次元転移』所有者の拘束を禁止することになる」
ユニット保護法の強化に関しては中身がわからないので置いておくとしても、『次元転移』所有者の拘束を解くことは人道的に思える。ただ、『次元転移』所有者が街に溢れたときのことを考えると、新たな問題が発生することが予測できた。
もし自分が『次元転移』所有者だったら、ケイモと同じ商売を始める。ケイモが金貨100枚で行っているそれを、少しでも安く行えば客が流れてくるハズ。客を取られまいとケイモが対抗すれば、そこに価格競争が生じる。
いずれ価格は落ち着くかもしれないが、安くなれば元の世界に戻る人の数は飛躍的に増えるだろう。勿論、ケイモという一個人が、市場を独占していることで発生している問題もあるので、もっと良い形を模索すべきなのは間違いない。そういった諸々の点を考慮に入れた対策込みでないと、これも労働力の減少に繋がる。
最終的に、マ国は現状を維持できなくなり、様々なものの崩壊に繋がるように思えた。この国の人間なんて知ったこっちゃねぇ……と言えないほど、チガヤは身近な存在になっているし、国自体が傾けばユニットにも悪影響が出るのは自明の理。仲間のことを考えても、やはり乗れない話だという結論に至る。
同時に、伊吹は苦手な類の話にも関わらず、比較的ロジカルに判断できたことに驚いた。それは、この国に来てから、色んな人の理屈を目の当たりにしてきたお蔭なのかもしれない。まだ、見方としては甘いのだろうけど、という思いもあるが……。
「我々の理想が実現すれば、マ国の人間とユニットが、真の意味で共存している世界となるだろう」
「真の意味、ですか……」
“真の意味”や“世間は”という言葉を使う場合、その人の主観が入りまくりなことが多くて嫌だった。
「そう、真の意味での共存だ。ユニットは強化素材になる不安から解消され、マ国の住人に隷属することがなくなる。そのための我々であり、そのための活動をしているのだ」
「活動って、具体的には?」
「多くのユニットを使役し、暴利を貪る者に鉄槌を下す。ユニットが稼いだものを、ユニットの手で取り戻すのだ」
端的に言えば、活動資金の調達だった。
「そして、彼らは知るのだ。ユニットを奴隷のように扱う者には、ユニットによる裁きが下るのだと。我々はユニットを奴隷のように扱う者たちに対する抑止力でもある」
抑止力と聴いて、能力を持たないマ国の人間が、ユニットを強化できるというのも、ひとつの抑止力に思えてくる。中には殺傷能力の高い能力を持ったユニットもいるわけで、そういった者に危害を加えられないよう牽制する力としての価値が、強化にあると言えなくもない。
それは、相手が銃を持っているから、こっちも持っていないと危ないみたいな話で、状態としては健全ではないかもしれないが、クリアな世界よりグレーな方が不思議と均衡を保つ気さえした。
逆に、ユニットを持たないマ国の人間にしたら、そういった力を有していない上に、何らかの能力を持ったユニットが職場に押し寄せていることになる。もし自分が同じ立場だったとして、能力を持つ者に仕事を奪われ、役立たずと見なされていくのだとしたら、考えただけでも鬱になりそうだった。ふと、ブリオはそんな気持ちなのだろうかという想いに駆られる。
「今、明かせる活動内容は先のようなものになるが、この世界を大きく変える計画は動いている。残念だが、その内容は君が我々の同志となった後でなければ、話すことはできない」
「まぁ、そうでしょうね……。あれ? そう言えば、基地局を占拠したことって、なかったでしたっけ?」
ワイバーン乗り場のイゴルから、そんな話を聴かされていた。『脳内変換』を発動させなくして、言葉が通じない不自由さを痛感させた後で、要求を突き付けるつもりだったが、自分たちの言葉も変換されなくなって、要求どころではなくなったという事件になる。
革命軍メンバーは痛いところでも突かれたのか、何か言おうとしてはやめ、その手足は落ち着きをなくしていた。
「あれは、我がイェルケル派のしたことではない……」
「えっ? 派閥があるの?」
「恥ずかしい話だが、我々は一枚岩ではないのだ。メンバーが個々に活動しているところがある。特に、イグナツィオ派などは、力の誇示に重きを置いている節があって……」
「イグ……な、何て?」
「イグナツィオ派。進化によって最強集団を作ろうとした廃課金者イグナツィオのユニットたちだ。困った連中だが、戦力として失う訳にはいかないのが悩みどころだ」
派閥がある上に問題児集団もあるとか、どんだけ面倒な連中なんだと引いてしまう。
「君は奴らのことを気にする必要はない。彼らとて志は同じはず。いずれ、同志イェルケルが正しき道へと導いてくれることだろう。君は我がイェルケル派のメンバーとして、共に歩んでくれればいい」
「いや、それは、ちょっと……」
さすがに、この辺で断りを入れておかないと、切り出しにくくなりそうな気がした。
「同志には、なれないと?」
「はい……」
断ったことで、強硬手段に打って出るかも……と身構える。
「そうか……。残念だが仕方あるまい。今日、話を持ちかけられて、すぐに了承するのは難しい。また日を改めるとしよう」
「また、来るんですか……」
「来るとも、君の心が変わるまで。我々には、君が持つ最強の力が必要なのだ」
また、この人も“最強”を口にするのかと思うと、嫌な流行だな辟易した。
所詮、大きな力というのは、手にしたら誰かが利用しに来る“厄介事への片道切符”なんだということを知る。
「今日は挨拶といったところだ。明日は、他の同志もつれて来る。もしも、誰かに我々が来ることを伝えた場合は、それ相応の覚悟はしてもらいたい。では」
勝手に来て口止めを要求して去っていく姿に、彼らが疎まれている理由が嫌というほどわかった。
伊吹はしつこい訪問販売に会ったような顔をし、トボトボと歩いてチガヤの家に戻った。みんなは起きて様子を見守っていたのか、玄関前まで行くと家から一斉に出て来た。
何か言われるのかと思って黙っていたが、みんなは伊吹の言葉を待っているようだった。
「僕のこと、何処で知ったんだろうね。革命軍に入らないか……だってさ」
「入るわけ?」
「まさか……」
割と真剣に訊いてきたサーヤの言葉を即座に否定する。
「危ないことしちゃダメだよ」
「うん」
チガヤが心配そうに言うので頷く。次に訊いてきたのはウサウサだった。
「あの人は、浮遊島の……?」
「たぶん、同じ人だと思う。浮遊島の話はしてないけど、そんな感じがする。名前も何も知らないけどね」
「能力なら、マユタンが知っているのだ。えへんっ!」
『能力解析』が使えるマユタンが胸を張る。マスクをしていようと、ユニットであれば能力は判別できるようだ。
「どんな能力を持ってるの?」
「自分の指紋が残ってる物を呼び寄せるスキル『物質転送』と、自分の周りに炎の壁を出現させるアビリティ『爆炎障壁』なのです」
「どっかで聴いたような……」
「昨日、見たな」
ワニックに言われて、マントを羽織った青年のことを思い出した。確か、誰かの護衛役として来ていた。
「それじゃ昨日、目を付けられたってワケか……。でも、なんでイブキなんだ?」
「“君が持つ最強の力が必要なのだ”とか言ってたけど……。おかしいよね、最強だってさ。あの人、ことあるごとに、それを口にしてるんだよね」
「表現力が無いんだろ」
一蹴するサーヤの横で、チガヤは“最強”という単語を繰り返したかと思うと、井戸の方へと走っていき、地面に生えていた細い葉を1枚取ってきた。
「じゃーん! マ国の代表的な最強さんだよ」
「この雑草が?」
「ザッソウ? マ国にはザッソウって名前の植物はないよ」
雑草は固有名詞ではないと説明しようとしたが、雑草という区分け自体が無い気がしてやめる。雑草という名の草はない、どの草にも名前はある……と、元いた世界でも誰かが言っていた。
「何処にでも生える植物で、すごく生命力が強いんだよ。茎が這って伸びるから、取るのも大変なんだ。だからね、マ国では世界最強の植物って言われてるの」
「へぇ~。で、名前は?」
「私と同じだよ。このくらい元気に育ってほしいと思って、つけたんだって」
名前の由来が雑草かと思うと、キラキラネーム以上に気の毒に思えたが、自分がいた世界とは価値基準が違うからかもしれないと思い直す。
その葉を受け取ってよく見てみると、元いた世界にも生えていたように思えた。見れば見るほど、何処にでも生えていそうな気がして、それでいて何度となく雑草として抜き捨てた気がして、確かに厄介な強さを持っているなと納得する。
「あの人が最強を求めてるなら、この草を渡してあげればいいと思うんだ。そろそろ時間だし、会社に行こう」
ズンズンと歩き出したチガヤの後を追い、ユニットたちは会社へと向かった。
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