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息子と仲直りをしましょう。

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部屋へと戻りすっかり体力の落ちた身体を休ませているとあっという間に夕食の時刻となった。ミラに促され今日からは食堂で食事を摂ることにした。パーティー会場のようなその食堂には長いテーブルと椅子のみが置かれ、しん、と静まりかえっていた。

ミラに促され席に座るとすぐに侍女たちによって食事が運ばれてきた。まるで高級レストランで出るような美しく盛られた食事には感嘆のため息が溢れる。
ミラに視線を向けると肯定するように頷かれたため、スプーンへと手を伸ばした。

どれも素晴らしい味だった。それなのに一人で食べる食事はこんなに味気ないものなのね。
最後に家族3人で囲めなかった食事を思い出し、笑い合いながら囲んでいた前世の食事へと思いを馳せていた。

トントンッ

「……母上。……ご一緒してもよろしいでしょうか?」

視線をそらしながら、不安そうに小さな声でそうアレンは尋ねてきた。

「……勿論よアレン。嬉しいわ。」

安心させるように、微笑みながらアレンの瞳をみつめて答えた。
ちらりとこちらを見つめ、私が微笑んでいることを確認するとほっとしたように息を吐くアレンに申し訳ない気持ちで一杯になった。
そして、離れた席へと着こうとするアレンに、前にいらっしゃいと伝えると顔が強ばり緊張しているかのようにギクシャクと前の席へ腰を下ろした。
侍女によってすぐに並べられた食事を黙々と食べるアレンに、困ったようにミラへと視線を向けると、ガッツポーズを送られた。

そうよ!何を戸惑っているの。せっかくアレンが勇気を出して来てくれたのですもの。母親の私がビビっていてどうするのです!

「アレン。」

そう呼び掛けると、食べるのをやめアレンはカチンと固まった。次の言葉を恐る恐る待っているようだ。

「先程はお見舞いに来てくれてありがとう。嬉しかったわ。」

そして、ゆっくりと顔をあげたアレンの瞳は動揺を現すように揺れていた。

アレン。落ち着かせるように穏やかにもう一度名前を呼ぶとアレンの瞳はやっと私の瞳を捉えた。

「謝って許されることではないわ。私は貴方たちをずっと遠ざけて来た。愛を知らないわたくしには貴方たちとどう関わればよいか分からなかったの。ずっと寂しい思いをさせて本当にごめんなさい。
記憶がないけれど、それでも、いまのわたくしには貴方を愛しいと思う気持ちだけは確かにあるわ。すぐには受け入れられないかと思うけれど、息子である貴方たちのことちゃんと思い出したいの。だから、少しずつでいい。貴方のことを知っていきたいの。」

気持ちが伝わって欲しいと、その瞳に訴えながら、語りかけた。聞き終わると、アレンはまた耐えるように瞼を閉じ、ナイフとフォークを強く握りしめていた。

「わたしも……」

ゆっくりと開いたアレンの瞳は涙を纏いながらも、暖かい色を宿していた。

「わたしも…母上に知って欲しいです。」

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