わたくしの息子がバカ王子だなんて…どうしましょう

yuーー

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小さなことからコツコツと

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ルイスが飛び出るように家をでてから、わたくしは陛下の元へと向かった。

「陛下、ルイスは行きましたよ。」

「……そうか。」

窓の外を眺めたまま陛下は一言そう答えた。

(陛下はいま何を思っているのかしら…。)

なにも知らない書類上の夫。いままでそれだけの関係だったけれど、最近は陛下がどう思っているのだろうか…と考えるようになった。

シリウス、ルイス、アレンそれぞれの変化をみていると、夫とこのままの関係でいいのだろうか、そう思うようになった。

 あの子たちの親としての陛下は、わたくしの以前の両親のように…子供が一番で、溺愛するような人ではないけれど、ちゃんとあの子達を愛しているのだといまは分かる。
不器用なその思いがちゃんとあの子達に届くようにしてあげたい。

それはドキドキするような恋ではないけれど、家族愛のような…ちゃんと愛があるのだと思う。

前世のわたくしは両親のようにみんなで食卓を囲んで、幾つになっても仲睦まじい夫婦になるのが夢だった。けれど…いまは程遠い夢のような話だ。

(ちゃんと向き合おう。)

「あの子達は立派な大人になってくれそうですね。わたくしたちが関わらない間にも、すくすくと育ってくれました。近い将来…あの子達は私たちの手から巣立ってゆくのかもしれませんね…。」

「あぁ…。早いものだな。」

窓の外を眺めたままの陛下の表情は伺えない。けれど、とても穏やかな声だった。

「陛下…わたくし、夢があるんですの。」

それ以上言葉を発しないわたくしにようやく陛下は振り返った。

「……夢?」

「えぇ…。お笑いになるかもしれませんが、夫と子供たちに囲まれみんなで食事をとる、そんな温かな関係になりたかった。
いつまでも…支えあい、想い合える夫婦でありたかった。

もう、子供たちと一緒にというのは難しいかもしれませんが、1人で食事を摂るのは味気なくて……。たまにでいいのです。陛下、わたくしと食事をご一緒していただけませんか?」

沈黙が部屋を支配して…陛下は眉を寄せ、何かを耐えるように口を結んだ。

「…あぁ。分かった。」

陛下がそう返すまで、その数十秒が何十分にも感じた。

ふっとわたくしは体の力が抜けた。けれど……
(安堵している場合ではないわ。まだこれは第一歩なのだから…。小さなことからコツコツと。これから頑張らなくてはね。)

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