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第三章 前哨
7 一体何をやらかしたぁ~?
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こうして…集められた関係者。
デラズヴェル男爵家…エドガー、イボンヌ、アンナマリー。
ガルドベンダ公爵家…ツァリオ、アイリン、バドセット、ドルグスト。
ちなみにフィリーはいない。
フィリーは出たいと言ったのだが、ギリアムが…明日の為に、休めと言ったからだ。
明日の裁判は…王家も来る以上、フィリーとしても従わざるを得なかった。
ヒマシンスの毒は抜けたとはいえ…まだ、療養は必要だったから…。
「まず…こちらの資料が揃うまでに、少し時間がある…。
アンナマリー嬢とドロテア嬢が…いた場所で何があったのか、聞かせてもらおうか?」
ギリアムの声が…いつにもまして、沈んでいる。
「ギリアム公爵閣下…。それについては、オレから…」
アルフレッドがしゃしゃり出てきて、今しがたあった話をする。
「そう言うわけですので、ドロテアはガルドベンダにお返」
「ドロテア嬢は何か言う事は?」
アルフレッドの言葉が終わらぬうちに、ギリアムがドロテアに問う。
ドロテアは…当然、自分が見たままの事を言った。
「フム…。双方の言う事が、だいぶ違っているな…。バーフェ!!」
「はい」
バーフェが進み出る。
「キミが駆けつけた時…すでに花瓶は割れていたのか?」
「はい…。アルフレッド様もいらして…3人で何やら、話している最中でした」
「つまり…割れるところは見ていない…と…」
ギリアムが顎に手を当てて…考え出す。
「ギリアム公爵閣下」
それに対して言を発したのは、やはりアルフレッドだった。
「考えるまでもありません。ドロテアは…留学先で、散々アンナマリーを虐めたんです。
アンナマリーの姿を見かけて…、また同じようにしただけと思われます。
ですので…」
「まず!!」
ギリアムはやっぱり、アルフレッドの言葉を切る。
「犯罪が起きた時…前科持ちがいたからと言って、直ぐにその人間の犯行だと決めるのは、
安易すぎる。少し頭の回る奴なら…その状況を利用して、自分の犯罪を隠そうとするからだ」
「だから…現時点で、花瓶が割れた時の状況に…ドロテア嬢とアンナマリー嬢しかいなかった…と
言うのならば、双方の意見が食い違った時点で、よくよく検証をすること。
それでもハッキリとしないなら…それに関しては、不明のまま、次に持ち越しとするべきだ」
「つ、次…」
「そうだ…。疑わしきは罰せずにするしかないと、言う事さ。
あんな花瓶1つ…ファルメニウス公爵家にとっては、はした金だしな」
この話は以上…とでも言いたげに、フォルトが持ってきた書類を受け取っているが、
「ギ、ギリアム公爵閣下は!!オルフィリア公爵夫人がそのような状況になっても、そんな事が
言えるのですか!!いじめをするような人間と、同じ空間に置いて平気なんですか!!」
通常の人間であれば、答えに窮する所だろうが…。
「もちろん、平気ではないぞ」
サラッと答える。
「だったら!!どうするかは、決まっているでしょう!!」
「もちろんだ…。フィリーをすぐに連れ出して、自分の家で…自分のそばに置いて、ずっと守るな。
以上だ」
ギリアムという男の脳みそを…通常人と同じに考えてはいけない。
アルフレッドにとって、ファルメニウス公爵家は他人の家。
だから…アルフレッドが言った事を、正確にとらえ、他人の家にご厄介になっているフィリーが
危険にさらされたら…と言う体で、話を完結させた。
「そ、そう言う事ではなく!!」
「じゃあ、なんだ?」
アルフレッドの叫びに対する、ギリアムの応答。
「そもそも!!いじめの加害者と被害者が…顔を合わせてしまうような状況が、間違っているとは
思わないのですか!!ファルメニウス公爵家は確かに広いかもしれませんが…。
実際にこうして…顔を合わせてしまったでしょう!!
そうなった以上…どちらかを出すべきじゃないですか!!」
ギリアムは…そんなアルフレッドの言葉に、少し…眉をひそめたが、
「……その事について、これから検証するつもりだったんだ」
フォルトから受け取った書類を、一瞥しつつ、
「エドガー卿…」
ギリアムは…かなり静かに呼んだのだが、それでも…スゴイ重圧を感じたのか、エドガーは
肩を震わせている。
「私は…アンナマリー嬢を助けて…その後、どうするか…を、選択してもらったな…。
ファルメニウス公爵家で一時的に保護するか、王立騎士団の保護施設に行くか…。
そしてあなたは、ファルメニウス公爵家を選んだ…」
補足するが、王立騎士団の保護施設とは。
貴族平民問わず…犯罪者に狙われた人間を、保護する施設。
ただ…王立騎士団は圧倒的に平民を保護しているうえ、その施設は…良くも悪くも平民と貴族を
区別しない。
だから…使用人と一緒に入ったとしても、お隣さんが平民…などという状況は、当たり前。
それが嫌なら、金を払って、貴族専用の所に入ればよい。
病院の差額ベッド代のようなものと言えば、少し…わかりやすいと思う。
ただ…デラズヴェル男爵家の財政は厳しく、短期ならまだしも、中長期的に支払い続けるのは
難しい。ので…ファルメニウス公爵家を選んだ…と。
ファルメニウス公爵家は金をとらないから…ね。
普段だったら、よほどの理由が無ければ保護しないのだが、今回はジョノァドがらみの為、
保護するに至った。
「その際に…ハッキリと言ったはずだ。
現在この家には…留学先でアンナマリー嬢と確執を起こした、ドロテア嬢が勤めている。
だから…離宮から家族も使用人も、絶対に出さないように…と。
逆にドロテア嬢は…本宅から絶対に出さないと、約束もした。
その旨、証文もとったから、知らぬ存ぜぬは言わせんぞ!!!」
ここでギリアムの声が…また一段階低くなる。
「なのになぜ…アンナマリー嬢が離宮ではなく、本宅にいるんだ!!答えろ!!」
「も、申し訳ございません―――――――――っ!!!ギリアム公爵閣下っ!!」
これは…エドガーだけでなく、イボンヌも床に頭をこすりつけた。
「攫われたばかりゆえ…体を直すことを優先して欲しく…。
落ち着いたら話す予定でした!!使用人には…万が一外に出たいと言ったら、その旨言うように
申しつけてあったのですが…。
たった1人で、外に出てしまうとは…完全に私の落ち度です―――――――――っ!!」
両親のその様を見て、自分が禁止されていたことを初めて知り、
「も、申し訳ございません!!禁止されているとは、知らず…失礼いたしました!!」
一緒に頭を下げる。
アルフレッドは…知らなかったとはいえ、悪いのはアンナマリーの方だという事態に…
どうしようか、必死に考えているようだ。
「まあ…今回は両親の監督不行き届きのようだから、それは大目に見るが…」
「あ、ありがとうございます」
頭を上げて、にっこりとしたが…。
「だが、キミもいい大人なのだがから、自分が台無しにしたものは、しっかりと弁償する
ことだ。それはわかっているな…」
「え?」
何のこと…と、顔に書いてある。
「まず…キミが勝手に入ってカーテンと窓を全開にした部屋だが…。
あそこにある植物は…太陽の光が非常に苦手でな。
その上、洞窟のような…湿っぽい空気を好む。
だからわざと…暗室・密室になる環境を、作っていたんだ」
「それなのに…キミが太陽の光と風を入れてしまったから…物陰にあったもの以外は、全て
ダメになった。その弁償はキッチリとしてもらうぞ。ちなみに9割ダメになった」
ギリアムの声は…かなりどんよりと、暗い。
「わ…わかりました…」
しゅんとして、返事をする。
「あと…キミは家で、掃除など全くしてないだろう?」
「え?」
「その証拠に…その部屋の調度品…。ご丁寧に全部拭いたようだが…」
「は、はい!!頑張りました!!」
元気よく答えるも…。
「高級家具ほど…拭く時の力加減は大切だし、掃除用具も厳選せねばならんのだ。
布1つとっても…な。
おかげで…調度品の全てが傷だらけだ。その修繕費も…当然払ってもらう」
これには…アンナマリーの後ろにいた、イボンヌが卒倒した。
「お、オイ!!大丈夫か!!」
そう言って支えるエドガーも、顔が青い。
そうだろう…。
ファルメニウス公爵家の調度品など…1つだけで億ションが買える値段だ。
完全弁償ではないとしても、修繕費だけで…。
「ままま、待ってください!!
そんな大事な部屋なのに、なぜカギをかけておかなかったんですか!!」
アルフレッドが…何とか攻められるところを、見つけたようだが、
「……3日前から鍵が故障していたんだ。修理人は今日来ることになっていて…。
バーフェが修理人を案内して行ったら…扉が全快だったんだよ」
ギリアムはめっちゃ苛ついて言った。
「だ、だったら注意書き…」
「本宅の人間には…そもそもあの部屋の事は、よーく言い聞かせてあったんだ!!
だから…あの部屋には許可なく絶対に、誰も近づかなかったんだ!!
だいたい離宮から出ないと約束しておいて、それを破った上に、こちらに損害を与えて、
こちらの落ち度にしたいとは、何事だ!!恥を知れ!!」
ギリアムの言は…当然、有無を言わせなかった。
「……でしたら、1つ…お願いがあります」
しおらしくなったアルフレッドに、
「なんだ?」
厳しい口調を向けるギリアム。
「オレは…アンナマリーが外に出る事を禁止されていないと、本人から聞いて…。
確認することを、怠りました…。
だから…アンナマリーが弁償しなければならないモノは、オレの方で払います…」
「アルフレッド様…」
アンナマリーはジーンとして、アルフレッドを見つめている。
「わかった…。ならば、キミら2人の連帯責任としよう。
キミら2人に請求する形にするから、どちらがどれだけの額払うかは、2人で相談したまえ」
ギリアムは…見つめ合う2人を全く気にせず、サクサクとすすめる。
「では…条件を決めよう」
そう言って…紙にさらさらと書き出す。
デラズヴェル男爵家…エドガー、イボンヌ、アンナマリー。
ガルドベンダ公爵家…ツァリオ、アイリン、バドセット、ドルグスト。
ちなみにフィリーはいない。
フィリーは出たいと言ったのだが、ギリアムが…明日の為に、休めと言ったからだ。
明日の裁判は…王家も来る以上、フィリーとしても従わざるを得なかった。
ヒマシンスの毒は抜けたとはいえ…まだ、療養は必要だったから…。
「まず…こちらの資料が揃うまでに、少し時間がある…。
アンナマリー嬢とドロテア嬢が…いた場所で何があったのか、聞かせてもらおうか?」
ギリアムの声が…いつにもまして、沈んでいる。
「ギリアム公爵閣下…。それについては、オレから…」
アルフレッドがしゃしゃり出てきて、今しがたあった話をする。
「そう言うわけですので、ドロテアはガルドベンダにお返」
「ドロテア嬢は何か言う事は?」
アルフレッドの言葉が終わらぬうちに、ギリアムがドロテアに問う。
ドロテアは…当然、自分が見たままの事を言った。
「フム…。双方の言う事が、だいぶ違っているな…。バーフェ!!」
「はい」
バーフェが進み出る。
「キミが駆けつけた時…すでに花瓶は割れていたのか?」
「はい…。アルフレッド様もいらして…3人で何やら、話している最中でした」
「つまり…割れるところは見ていない…と…」
ギリアムが顎に手を当てて…考え出す。
「ギリアム公爵閣下」
それに対して言を発したのは、やはりアルフレッドだった。
「考えるまでもありません。ドロテアは…留学先で、散々アンナマリーを虐めたんです。
アンナマリーの姿を見かけて…、また同じようにしただけと思われます。
ですので…」
「まず!!」
ギリアムはやっぱり、アルフレッドの言葉を切る。
「犯罪が起きた時…前科持ちがいたからと言って、直ぐにその人間の犯行だと決めるのは、
安易すぎる。少し頭の回る奴なら…その状況を利用して、自分の犯罪を隠そうとするからだ」
「だから…現時点で、花瓶が割れた時の状況に…ドロテア嬢とアンナマリー嬢しかいなかった…と
言うのならば、双方の意見が食い違った時点で、よくよく検証をすること。
それでもハッキリとしないなら…それに関しては、不明のまま、次に持ち越しとするべきだ」
「つ、次…」
「そうだ…。疑わしきは罰せずにするしかないと、言う事さ。
あんな花瓶1つ…ファルメニウス公爵家にとっては、はした金だしな」
この話は以上…とでも言いたげに、フォルトが持ってきた書類を受け取っているが、
「ギ、ギリアム公爵閣下は!!オルフィリア公爵夫人がそのような状況になっても、そんな事が
言えるのですか!!いじめをするような人間と、同じ空間に置いて平気なんですか!!」
通常の人間であれば、答えに窮する所だろうが…。
「もちろん、平気ではないぞ」
サラッと答える。
「だったら!!どうするかは、決まっているでしょう!!」
「もちろんだ…。フィリーをすぐに連れ出して、自分の家で…自分のそばに置いて、ずっと守るな。
以上だ」
ギリアムという男の脳みそを…通常人と同じに考えてはいけない。
アルフレッドにとって、ファルメニウス公爵家は他人の家。
だから…アルフレッドが言った事を、正確にとらえ、他人の家にご厄介になっているフィリーが
危険にさらされたら…と言う体で、話を完結させた。
「そ、そう言う事ではなく!!」
「じゃあ、なんだ?」
アルフレッドの叫びに対する、ギリアムの応答。
「そもそも!!いじめの加害者と被害者が…顔を合わせてしまうような状況が、間違っているとは
思わないのですか!!ファルメニウス公爵家は確かに広いかもしれませんが…。
実際にこうして…顔を合わせてしまったでしょう!!
そうなった以上…どちらかを出すべきじゃないですか!!」
ギリアムは…そんなアルフレッドの言葉に、少し…眉をひそめたが、
「……その事について、これから検証するつもりだったんだ」
フォルトから受け取った書類を、一瞥しつつ、
「エドガー卿…」
ギリアムは…かなり静かに呼んだのだが、それでも…スゴイ重圧を感じたのか、エドガーは
肩を震わせている。
「私は…アンナマリー嬢を助けて…その後、どうするか…を、選択してもらったな…。
ファルメニウス公爵家で一時的に保護するか、王立騎士団の保護施設に行くか…。
そしてあなたは、ファルメニウス公爵家を選んだ…」
補足するが、王立騎士団の保護施設とは。
貴族平民問わず…犯罪者に狙われた人間を、保護する施設。
ただ…王立騎士団は圧倒的に平民を保護しているうえ、その施設は…良くも悪くも平民と貴族を
区別しない。
だから…使用人と一緒に入ったとしても、お隣さんが平民…などという状況は、当たり前。
それが嫌なら、金を払って、貴族専用の所に入ればよい。
病院の差額ベッド代のようなものと言えば、少し…わかりやすいと思う。
ただ…デラズヴェル男爵家の財政は厳しく、短期ならまだしも、中長期的に支払い続けるのは
難しい。ので…ファルメニウス公爵家を選んだ…と。
ファルメニウス公爵家は金をとらないから…ね。
普段だったら、よほどの理由が無ければ保護しないのだが、今回はジョノァドがらみの為、
保護するに至った。
「その際に…ハッキリと言ったはずだ。
現在この家には…留学先でアンナマリー嬢と確執を起こした、ドロテア嬢が勤めている。
だから…離宮から家族も使用人も、絶対に出さないように…と。
逆にドロテア嬢は…本宅から絶対に出さないと、約束もした。
その旨、証文もとったから、知らぬ存ぜぬは言わせんぞ!!!」
ここでギリアムの声が…また一段階低くなる。
「なのになぜ…アンナマリー嬢が離宮ではなく、本宅にいるんだ!!答えろ!!」
「も、申し訳ございません―――――――――っ!!!ギリアム公爵閣下っ!!」
これは…エドガーだけでなく、イボンヌも床に頭をこすりつけた。
「攫われたばかりゆえ…体を直すことを優先して欲しく…。
落ち着いたら話す予定でした!!使用人には…万が一外に出たいと言ったら、その旨言うように
申しつけてあったのですが…。
たった1人で、外に出てしまうとは…完全に私の落ち度です―――――――――っ!!」
両親のその様を見て、自分が禁止されていたことを初めて知り、
「も、申し訳ございません!!禁止されているとは、知らず…失礼いたしました!!」
一緒に頭を下げる。
アルフレッドは…知らなかったとはいえ、悪いのはアンナマリーの方だという事態に…
どうしようか、必死に考えているようだ。
「まあ…今回は両親の監督不行き届きのようだから、それは大目に見るが…」
「あ、ありがとうございます」
頭を上げて、にっこりとしたが…。
「だが、キミもいい大人なのだがから、自分が台無しにしたものは、しっかりと弁償する
ことだ。それはわかっているな…」
「え?」
何のこと…と、顔に書いてある。
「まず…キミが勝手に入ってカーテンと窓を全開にした部屋だが…。
あそこにある植物は…太陽の光が非常に苦手でな。
その上、洞窟のような…湿っぽい空気を好む。
だからわざと…暗室・密室になる環境を、作っていたんだ」
「それなのに…キミが太陽の光と風を入れてしまったから…物陰にあったもの以外は、全て
ダメになった。その弁償はキッチリとしてもらうぞ。ちなみに9割ダメになった」
ギリアムの声は…かなりどんよりと、暗い。
「わ…わかりました…」
しゅんとして、返事をする。
「あと…キミは家で、掃除など全くしてないだろう?」
「え?」
「その証拠に…その部屋の調度品…。ご丁寧に全部拭いたようだが…」
「は、はい!!頑張りました!!」
元気よく答えるも…。
「高級家具ほど…拭く時の力加減は大切だし、掃除用具も厳選せねばならんのだ。
布1つとっても…な。
おかげで…調度品の全てが傷だらけだ。その修繕費も…当然払ってもらう」
これには…アンナマリーの後ろにいた、イボンヌが卒倒した。
「お、オイ!!大丈夫か!!」
そう言って支えるエドガーも、顔が青い。
そうだろう…。
ファルメニウス公爵家の調度品など…1つだけで億ションが買える値段だ。
完全弁償ではないとしても、修繕費だけで…。
「ままま、待ってください!!
そんな大事な部屋なのに、なぜカギをかけておかなかったんですか!!」
アルフレッドが…何とか攻められるところを、見つけたようだが、
「……3日前から鍵が故障していたんだ。修理人は今日来ることになっていて…。
バーフェが修理人を案内して行ったら…扉が全快だったんだよ」
ギリアムはめっちゃ苛ついて言った。
「だ、だったら注意書き…」
「本宅の人間には…そもそもあの部屋の事は、よーく言い聞かせてあったんだ!!
だから…あの部屋には許可なく絶対に、誰も近づかなかったんだ!!
だいたい離宮から出ないと約束しておいて、それを破った上に、こちらに損害を与えて、
こちらの落ち度にしたいとは、何事だ!!恥を知れ!!」
ギリアムの言は…当然、有無を言わせなかった。
「……でしたら、1つ…お願いがあります」
しおらしくなったアルフレッドに、
「なんだ?」
厳しい口調を向けるギリアム。
「オレは…アンナマリーが外に出る事を禁止されていないと、本人から聞いて…。
確認することを、怠りました…。
だから…アンナマリーが弁償しなければならないモノは、オレの方で払います…」
「アルフレッド様…」
アンナマリーはジーンとして、アルフレッドを見つめている。
「わかった…。ならば、キミら2人の連帯責任としよう。
キミら2人に請求する形にするから、どちらがどれだけの額払うかは、2人で相談したまえ」
ギリアムは…見つめ合う2人を全く気にせず、サクサクとすすめる。
「では…条件を決めよう」
そう言って…紙にさらさらと書き出す。
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