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第3章 追憶
4 ポチ、完治す
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蜂蜜の件の翌日…。
「もうすっかりよくなった、完治だポチ!!」
おっちゃんがポチの体を診察して、そう判断した。
ポチと出会ってから、10日後の話だ。
「やったぁ!!ポチ!!
良かったねぇ!!」
これで明日からまた、薬草採取に行ける。
「フィリー…今日は僕と一緒に、最初に出会った場所に行って
くれる?」
「え?うーん」
私は少し考えた、なぜなら、
「あそこはたぶん、結構山の中だから、大人が一緒じゃないと
ダメって言われるよ」
なんだかしゅんとしてしまったポチ。
「じゃあ、その代わり、私のお気に入りの場所に連れて行って
あげる」
そう言うと、途端に顔が明るくなった。
わかりやすくてよろし。
私のお気に入りの場所とは…おっちゃんおばちゃんの家の裏に
ある、とってもきれいな花畑。
特に手入れしていない、野生とは思えないぐらい綺麗なのだ。
「ここ?」
「そ、綺麗でしょ~」
「フィリーは花が好きなの?」
「うん、大好き!!」
私は笑顔いっぱいで答えると、ポチは赤くなり、もじもじしながら
ブローチを出してきた。
「ブローチ?」
「うん、フィリーにあげる」
何だか高価そうに見えるんやけど…でも、そんな高価なものを
ボロボロで捨てられていたポチが、持っているとは思えない。
「ありがとう」
まあ、世話したお礼ってことでもらっとくか。
これからずっと一緒にいるだろうし。
何かあれば、返せばいい。
「あのね、フィリー」
手を掴まれて、ぐぐいと迫られる。
ん?なんかやなヨカーン。
「僕と結婚して!!」
「……」
私の脳内にまず浮かんだことは、
どーしよか?
だった。
正直、ポチを育てるつもりではいた。
このぐらい大きい子なら、自分のことは基本自分でできるし、
うちの両親は、自分の子か他人の子かなんて、あまり気に
しない。
まあ、借金取りが心配ではあるが、逃げるのはうまいし…。
50の大人として、ポチのご飯代ぐらい、私が稼いだら~と
思ってたし…。
実際は5歳だけどさぁ。
この世界って労働基準法なんてものはないから、子供でも働こうと
思えば働ける。
それがいいか悪いかは別として。
ポチの驚異的記憶力を使えば、ポチだって働けるだろうし。
危険なことでなければ、働くのもいいと思う。
けどね~、結婚となるとさ~。
前の人生で失敗しているだけにね~。
そして二重で参ったなと思ったのは、せめて成人男子だったら
うまくかわす方法など、いくらでも知っている。
しかしポチは10歳。
このくらいの子供にショックを与えずに、やんわり断る方法なんざ
シラネー。
で、私が言った苦肉の策は…
「え…えっとね、ポチ…。
私、結婚する人には、叶えてほしいことがいくつかあるの」
「わかった!!なに?」
うっわー、めっちゃいい目しとるがな。
「まず私は弱い者いじめする人、大嫌い。
だからしないのはもちろん、苦しんでいる人がいたら、ちゃんと
助けてあげること!!」
「僕も弱い者いじめ嫌い!
フィリーと同じように、苦しんでいる人を助ける!!」
「あと、私はお花が好きだから、家の庭をお花でいっぱいにして
くれなきゃやーよ」
「わかった」
「あと、浮気する人も絶対いや。
私が好きなら、私のことだけ見て、私のことだけ相手にしてね」
「もちろん、僕にはフィリーしかいない!」
「じゃあ、それを叶えられるって、大人になるまでに証明してくれ
たら、ポチと結婚するか考えたげる」
「わかった!!
約束必ず守るよ!!」
う~ん、ま。
これで大人になるまでに、出会いがあれば、そっちに行くかも
しれんし…。
私の所にとどまるにせよ、選択肢はちゃんとあったほうがいい
からな。
大きくなれば、心の親の私から巣立っていくだろう…うん。
とりあえずブローチは、それまで預かっておこう。
そんなこんなで、その日もポチと一日中遊び、私らはおっちゃん
とおばちゃんの所に帰った。
夕飯を食べ、眠る。
そして次の日。
私は目が覚めた。
私の両親は、私が寝ている間に私をおっちゃんとおばちゃんの所に
連れて行く。
だから目覚めた後、私はおっちゃんとおばちゃんに挨拶して、
薬草採取の準備をするのだ。
さて今日も、いつも通りの日課を…と思ったら、私のそばに
両親がいる。
あれ?
今日の仕事は休みではなかったはずだ。
「あら起きた?」
ママンが私に話しかける。
「ここどこ?」
「馬車の中だよ」
パパンが答える。
確かにごとごと動いている。
私が状況をいまいち掴めずに、キョロキョロしていると、
「あの村は、昨日夜遅くに出たの」
「ええ!!」
驚いた。
「ごめんな。
フィリーが気に入っていたのは知っていたんだが…その…」
「ううん…いいよ…また、逃げなきゃいけなくなっちゃった
んだね」
「うん…」
両親はそれ以上、言葉を交わさなかった。
私もしばらく、ボケっとした。
ポチとは昨日、
「お休み、また明日ね」
と言って、一緒に寝た。
ポチは私が夜家に帰り、朝おっちゃんとおばちゃんの所に来て
いたことは知らない。
……きっと、驚くだろうな。
ポチのことは、おっちゃんとおばちゃんに任せておけば、悪い
ようにはしないだろう。
実際、うちの子にしようかなんて話をしていた。
私が育てると言っても、現実的ではないから、その方がいいかな
なんてことも、考えていた。
ただポチは…。
私にすごくなついていたから…悲しむかな…。
すまんな、ポチ。
けど、現在5歳の体では、どうしようもない。
大人になってお金が貯まったら、あの村に会いに行くから、どうか
待っていてくれい。
おっちゃんとおばちゃんにも、謝って…お礼も言いたいし。
その時に、恨み言があれば、ちゃんと聞くからさぁ。
ここで私のポチの回想は終わり。
そして残念ながら、私はこの後も色々あり…お金が貯まることは
なく(いまだに我が家は余裕なし)、この約束は保留にしたまま
時間が過ぎたのだった。
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馬車の中でポチを想ふ
「もうすっかりよくなった、完治だポチ!!」
おっちゃんがポチの体を診察して、そう判断した。
ポチと出会ってから、10日後の話だ。
「やったぁ!!ポチ!!
良かったねぇ!!」
これで明日からまた、薬草採取に行ける。
「フィリー…今日は僕と一緒に、最初に出会った場所に行って
くれる?」
「え?うーん」
私は少し考えた、なぜなら、
「あそこはたぶん、結構山の中だから、大人が一緒じゃないと
ダメって言われるよ」
なんだかしゅんとしてしまったポチ。
「じゃあ、その代わり、私のお気に入りの場所に連れて行って
あげる」
そう言うと、途端に顔が明るくなった。
わかりやすくてよろし。
私のお気に入りの場所とは…おっちゃんおばちゃんの家の裏に
ある、とってもきれいな花畑。
特に手入れしていない、野生とは思えないぐらい綺麗なのだ。
「ここ?」
「そ、綺麗でしょ~」
「フィリーは花が好きなの?」
「うん、大好き!!」
私は笑顔いっぱいで答えると、ポチは赤くなり、もじもじしながら
ブローチを出してきた。
「ブローチ?」
「うん、フィリーにあげる」
何だか高価そうに見えるんやけど…でも、そんな高価なものを
ボロボロで捨てられていたポチが、持っているとは思えない。
「ありがとう」
まあ、世話したお礼ってことでもらっとくか。
これからずっと一緒にいるだろうし。
何かあれば、返せばいい。
「あのね、フィリー」
手を掴まれて、ぐぐいと迫られる。
ん?なんかやなヨカーン。
「僕と結婚して!!」
「……」
私の脳内にまず浮かんだことは、
どーしよか?
だった。
正直、ポチを育てるつもりではいた。
このぐらい大きい子なら、自分のことは基本自分でできるし、
うちの両親は、自分の子か他人の子かなんて、あまり気に
しない。
まあ、借金取りが心配ではあるが、逃げるのはうまいし…。
50の大人として、ポチのご飯代ぐらい、私が稼いだら~と
思ってたし…。
実際は5歳だけどさぁ。
この世界って労働基準法なんてものはないから、子供でも働こうと
思えば働ける。
それがいいか悪いかは別として。
ポチの驚異的記憶力を使えば、ポチだって働けるだろうし。
危険なことでなければ、働くのもいいと思う。
けどね~、結婚となるとさ~。
前の人生で失敗しているだけにね~。
そして二重で参ったなと思ったのは、せめて成人男子だったら
うまくかわす方法など、いくらでも知っている。
しかしポチは10歳。
このくらいの子供にショックを与えずに、やんわり断る方法なんざ
シラネー。
で、私が言った苦肉の策は…
「え…えっとね、ポチ…。
私、結婚する人には、叶えてほしいことがいくつかあるの」
「わかった!!なに?」
うっわー、めっちゃいい目しとるがな。
「まず私は弱い者いじめする人、大嫌い。
だからしないのはもちろん、苦しんでいる人がいたら、ちゃんと
助けてあげること!!」
「僕も弱い者いじめ嫌い!
フィリーと同じように、苦しんでいる人を助ける!!」
「あと、私はお花が好きだから、家の庭をお花でいっぱいにして
くれなきゃやーよ」
「わかった」
「あと、浮気する人も絶対いや。
私が好きなら、私のことだけ見て、私のことだけ相手にしてね」
「もちろん、僕にはフィリーしかいない!」
「じゃあ、それを叶えられるって、大人になるまでに証明してくれ
たら、ポチと結婚するか考えたげる」
「わかった!!
約束必ず守るよ!!」
う~ん、ま。
これで大人になるまでに、出会いがあれば、そっちに行くかも
しれんし…。
私の所にとどまるにせよ、選択肢はちゃんとあったほうがいい
からな。
大きくなれば、心の親の私から巣立っていくだろう…うん。
とりあえずブローチは、それまで預かっておこう。
そんなこんなで、その日もポチと一日中遊び、私らはおっちゃん
とおばちゃんの所に帰った。
夕飯を食べ、眠る。
そして次の日。
私は目が覚めた。
私の両親は、私が寝ている間に私をおっちゃんとおばちゃんの所に
連れて行く。
だから目覚めた後、私はおっちゃんとおばちゃんに挨拶して、
薬草採取の準備をするのだ。
さて今日も、いつも通りの日課を…と思ったら、私のそばに
両親がいる。
あれ?
今日の仕事は休みではなかったはずだ。
「あら起きた?」
ママンが私に話しかける。
「ここどこ?」
「馬車の中だよ」
パパンが答える。
確かにごとごと動いている。
私が状況をいまいち掴めずに、キョロキョロしていると、
「あの村は、昨日夜遅くに出たの」
「ええ!!」
驚いた。
「ごめんな。
フィリーが気に入っていたのは知っていたんだが…その…」
「ううん…いいよ…また、逃げなきゃいけなくなっちゃった
んだね」
「うん…」
両親はそれ以上、言葉を交わさなかった。
私もしばらく、ボケっとした。
ポチとは昨日、
「お休み、また明日ね」
と言って、一緒に寝た。
ポチは私が夜家に帰り、朝おっちゃんとおばちゃんの所に来て
いたことは知らない。
……きっと、驚くだろうな。
ポチのことは、おっちゃんとおばちゃんに任せておけば、悪い
ようにはしないだろう。
実際、うちの子にしようかなんて話をしていた。
私が育てると言っても、現実的ではないから、その方がいいかな
なんてことも、考えていた。
ただポチは…。
私にすごくなついていたから…悲しむかな…。
すまんな、ポチ。
けど、現在5歳の体では、どうしようもない。
大人になってお金が貯まったら、あの村に会いに行くから、どうか
待っていてくれい。
おっちゃんとおばちゃんにも、謝って…お礼も言いたいし。
その時に、恨み言があれば、ちゃんと聞くからさぁ。
ここで私のポチの回想は終わり。
そして残念ながら、私はこの後も色々あり…お金が貯まることは
なく(いまだに我が家は余裕なし)、この約束は保留にしたまま
時間が過ぎたのだった。
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馬車の中でポチを想ふ
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