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第7章 決意
5 王立騎士団の師団長登場!!
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ところ変わって、王立騎士団団長室。
あ、説明が遅くなったが、王立騎士団は現代で例えるなら
“警察”
が一番近いだろう。
王都及び地方も含めた王国全体の治安を守るのが仕事だ。
もちろん軍隊の性質も含まれているが、平時は警察と例えた方が
あっている。
書類整理をしているギリアムの所に、テオルド・ルイザーク伯爵が
入ってきた。
「公爵閣下…。
ご指示通り、会議室に皆を集めました」
「ごくろう、テオルド卿。
では行くとしよう」
王立騎士団の詰所の長い廊下に、二つの靴音だけが響く。
やがて会議室が見えてきた。
扉をくぐると、中には5人の人間がいた。
この5人は、ギリアムのいわゆる側近として、裏に表に様々な活躍を
してくれている者たちだ。
ギリアムの信認がとても厚い。
第一師団長兼副団長 デイビス・ホッランバック伯爵
第二師団長 リグルド・ルイザーク小伯爵
第三師団長 レオニール
第四師団長 ヴァッヘン・ラドフォール男爵
第五師団長 ガイツ
テオルド卿を含め全部で6人になったその場の人間たちを見据え、
ギリアムは言葉を紡ぐ。
「聞き及んでいる者もいると思うが…。
君たちには私の口からじかに伝えておく」
一呼吸置き、
「この私、ギリアム・アウススト・ファルメニウスはこの度、
オルフィリア・ステンロイド男爵令嬢と婚約した」
「君たちには建国記念パーティーでのお披露目後、席を設け、
改めて紹介させてもらう。
以上だ!!
任務に戻ってくれ」
それだけ言うと、ギリアムは踵を返し、会議室を後にする。
会議室に残されたのは、これでもかというぐらいの静寂と
ギリアムの側近5人+1人だった。
「えっ…と…、本当にこれだけ…?
婚約者殿との馴れ初めとか、どんなところが気に入ったとか…」
長い金髪を、手でくしゃくしゃ掴みながら、レオニール卿は
何とも不思議そうな顔をしている。
「フツー婚約したら、もっと相手のこととかしゃべりたく
なるよね…。
恋愛結婚なら余計…う~ん」
ヴァッヘン卿も、短い小首をかしげて唸っている。
「まあ…そこはやはり団長だし…」
ガイツ卿がごつい両手を上にあげ、何とも諦めたような顔をする。
「副団長は何も聞いてないんですか?」
リグルド卿はなんだかちょっと縋るような眼を、デイビス卿に向け
ながら、何とか情報を得ようとしている。
「私が団長の口から聞いたのは、アナタたちと同じく
今です。
しかし…、リグルド卿がそう言うということは…、
テオルド卿も何も聞いていないのですね?」
振られたテオルド卿は、
「ああ、何も知らん」
ぶっきら棒に答えるだけだった。
「え~そこは聞いてくださいよ~。
オレ、団員からできるだけ詳しくって言われてるんすよ~」
レオニール卿もちょっと困ったように、テオルド卿に話かける。
「…騎士団の業務と直接かかわりがない以上、話すか話さない
かは団長次第!!
そもそも建国記念パーティー以降に席を設けるとおっしゃって
いるのだ。
何も問題はないと思うが?」
テオルド卿は喋りながら、少しイラついていた。
「そりゃそーっすけど~。
…は~あ、みんなになんて言おう…」
がっくりと肩を落とすレオニール卿。
「父上…確かにそうですが…、団員も皆気にして浮足立って
います。
父上は団長のいわば父親代わりをしてきたのですから、
父上からもう少し詳しく…」
するとリグルド卿の言葉に、テオルド卿の眉根が吊り上がり、
「バカを言うな!!
そもそも王都の治安を守る者たちが、こんなことで浮足立つ
とは何事か!!
それを叱り飛ばすのがお前の仕事だろうが!!」
一喝する。
「それに!!
私たちと公爵閣下は確かに家族ぐるみの付き合いをしているが、
家族だって話せないことや話したくないことはある!!
それを興味本位で詮索するなど、無礼にも程があるわ!!」
テオルド卿は話にならないと言いたげに、ドスドスと会議室を
出てしまった。
「はあ…」
もうため息しか出ないと言いたげに、リグルド卿は肩を落とす。
「も~、相談役(テオルド卿)の性格知ってるでしょ?
ああ言うに決まってんじゃん」
呆れつつも、一応慰めるヴァッヘン卿。
「結局何もわからずじまいかよ~」
さらに嘆くレオニール卿。
レオニール卿の率いる第3師団は、その任務内容も相まって、ぜひ
知っておきたいのである。
「まあ…仕方あるまい。下からの不満を受けるのも、隊をまとめる
者の宿命だ。
諦めろ!!」
ガイツ卿は6人中、一番ガタイがいい。
それに比例するのか、性格も豪快で、細かいことは気にしない。
「全くその通りですね。
しかしリグルド卿の気持ちはわかりますよ。
妹さんが騒いでいるのでは?」
デイビス卿は、眼鏡を直しつつ、リグルド卿の心情を言い当てる。
「わかってくれて嬉しいよ…デイビス卿…。
フェイラがおさまらなくて…」
何とも罰の悪そうな顔で答えるリグルド卿。
「あ~、フェイラ嬢って団長大好きって前面に出してたからなぁ…。
ひょっとして、もう何かやらかした?」
レオニール卿の言葉は図星だったようで、
「昨日知らせを聞いて、夜遅いのに公爵家に行くって騒いで…。
父上のカミナリが落ちた…」
リグルド卿はさらにうなだれる。
「なんか目に浮かぶわ~」
ヴァッヘン卿が苦笑いしながら、言った。
「外出自体を禁止されたでしょうね。
建国記念パーティーまで…おそらく」
「さすが副団長…。
ドレスだって用意できているし、買い物なんてそもそも使用人に
やらせればいいんだからさ…。
ちなみに手紙も、ファルメニウス公爵家には絶対送らないようにって
我が家の使用人に、周知させる徹底ぶり…」
リグルドは頭を抱えつつ、盛大なため息を吐く。
その後、師団長から何もわからなかったと聞かされた他の団員達も、
あの手この手でギリアムの口を開かせようとしたが、当然ギリアムという
鉄壁要塞を崩すことはできず、撃沈して行くのだった…。
そして三日後。
この日はギリアムが仕事休みのため、私はギリアムと社交ダンスの
練習をすることになっていた。
因みにギリアムは、だいぶ楽しみにしていた。
しかしその日の朝…パパンがなにやら落ち着かない様子…。
ママンと私はこの現象に慣れているので、すぐに3人そろって
ギリアムの所へ。
ちょーどよく、フォルトさんとエマさんもいる。
「ギリアム様~、私たちちょっと外に出ま…」
「だめです」
うむ。
予想通りだが、見事な速攻拒否。
「外の人だかりが絶えないのはご存じですよね?
ここにいれば安全ですから、おとなしくしていてください」
「ん~それが…。
安全じゃなくなるっぽいんですよ~」
「どういうことです?」
実はうちのパパンは特殊能力といっても過言でないものを
持っている。
一言で言うと、
〝捕食者から逃げる能力”
だ。
これのおかげで、私ら家族は3度の夜逃げで、一度も危険な業者に
捕まらなかった。
え?
じゃあなんで、騙されて借金背負ったかって?
実はね…そもそも3回とも最初の借金元が、まっとうで優良な所
だった上に、借金の額も頑張れば返せる程度だったのよ。
そういう場合って、反応しづらいみたい。
ただこの世界って、借金に関することが、けっこう無法地帯でね~。
優良業者から悪徳業者がそれとはわからないように買い付けて
しまうことも少なくない。
そんでもって、それを裁くような法律もあってないようなモノ。
特にうちって、名ばかりとはいえ一応貴族だからさ~。
まあ、そんな感じのことをギリアム様に説明したの。
「しかし…馬車で出ていけばバレますよ」
「そりゃー、貴族の馬車で行けば当たり前です。
だから出入りの業者の荷馬車に乗せてもらいます」
ぶっちゃけお貴族様の馬車より、そういった馬車に乗る方が多かったし
慣れてるんだよね。
「それこそ了承できません!!」
まあギリアムが納得するはずないけど。
「ギリアム様!!」
だからって、敗ける気も譲る気もないよ。
「この家に何があっても、私があなたを守ります」
その言葉とともに抱きしめてきたギリアムの手は…震えていた。
それで思い出した。
ギリアムは何より私が消えることを恐れているんだって。
……でも!!
「ギリアム様…言いましたよね?
あなたが私を守りたいと思っているのと同じくらい、私も
あなたの力になりたいんです!!」
まっすぐギリアムの目を見つめ、
「うちの父はこういうことだけはハズさない…。
どうかわたしを信じてくださいませんか?
ギリアム様…」
それからしばらく、ギリアムと私の押し問答は続いた。
そして…。
結局。
私らだけというのはギリアムがどうしても了承できず、
サイファスさんと一緒に行くことになった。
サイファスさんは離宮の執事を務めてくれている人で、
50代、フォルトさんの騎士団時代の部下だそうな。
私たちは手早く平民の変装をして、荷馬車に乗り込み、公爵邸を
出るのだった…。
―――――1時間後。
「お茶をお持ちいたしました、ギリアム様」
エマさんが入れたお茶に仏頂面で口をつけるギリアム。
「サイファスは機転が利きますし、有能ですから」
と、フォルトさん。
「当たり前だ!!
だからフィリーとご両親の、世話係に選んだんだ!!」
言い捨てる。
「この家以上に安全な場所などないのに…」
ぶつぶつ言っていると、使用人がものすごい剣幕で駆け込んで
きた。
「し、失礼いたします!!
お客様が…」
「すべて門前払いにしろと言ったはずだが?」
機嫌の悪いギリアム。
初日こそフォルトが門を開けずに、門の中で対応したが、あまりに
多いので、門の中からの対応すらやめて、勝手に来るものは
放っておいている状態だった。
ちなみにそんな貴族たちとファルメニウス公爵家のやりとりを野次馬しに、
平民もかなり来ているのだが、遠巻きに見ているだけで、害がないので
ほっとかれている。
「し…しかし…!いらしたのが王女殿下で…」
「!!!」
「なんだと…」
ギリアムは勢いよく、席を立つのだった。
---------------------------------------------------------------------------------
ギリアム側近組の自己紹介~
サイファスさんと一緒に、荷馬車で公爵邸を出る
あ、説明が遅くなったが、王立騎士団は現代で例えるなら
“警察”
が一番近いだろう。
王都及び地方も含めた王国全体の治安を守るのが仕事だ。
もちろん軍隊の性質も含まれているが、平時は警察と例えた方が
あっている。
書類整理をしているギリアムの所に、テオルド・ルイザーク伯爵が
入ってきた。
「公爵閣下…。
ご指示通り、会議室に皆を集めました」
「ごくろう、テオルド卿。
では行くとしよう」
王立騎士団の詰所の長い廊下に、二つの靴音だけが響く。
やがて会議室が見えてきた。
扉をくぐると、中には5人の人間がいた。
この5人は、ギリアムのいわゆる側近として、裏に表に様々な活躍を
してくれている者たちだ。
ギリアムの信認がとても厚い。
第一師団長兼副団長 デイビス・ホッランバック伯爵
第二師団長 リグルド・ルイザーク小伯爵
第三師団長 レオニール
第四師団長 ヴァッヘン・ラドフォール男爵
第五師団長 ガイツ
テオルド卿を含め全部で6人になったその場の人間たちを見据え、
ギリアムは言葉を紡ぐ。
「聞き及んでいる者もいると思うが…。
君たちには私の口からじかに伝えておく」
一呼吸置き、
「この私、ギリアム・アウススト・ファルメニウスはこの度、
オルフィリア・ステンロイド男爵令嬢と婚約した」
「君たちには建国記念パーティーでのお披露目後、席を設け、
改めて紹介させてもらう。
以上だ!!
任務に戻ってくれ」
それだけ言うと、ギリアムは踵を返し、会議室を後にする。
会議室に残されたのは、これでもかというぐらいの静寂と
ギリアムの側近5人+1人だった。
「えっ…と…、本当にこれだけ…?
婚約者殿との馴れ初めとか、どんなところが気に入ったとか…」
長い金髪を、手でくしゃくしゃ掴みながら、レオニール卿は
何とも不思議そうな顔をしている。
「フツー婚約したら、もっと相手のこととかしゃべりたく
なるよね…。
恋愛結婚なら余計…う~ん」
ヴァッヘン卿も、短い小首をかしげて唸っている。
「まあ…そこはやはり団長だし…」
ガイツ卿がごつい両手を上にあげ、何とも諦めたような顔をする。
「副団長は何も聞いてないんですか?」
リグルド卿はなんだかちょっと縋るような眼を、デイビス卿に向け
ながら、何とか情報を得ようとしている。
「私が団長の口から聞いたのは、アナタたちと同じく
今です。
しかし…、リグルド卿がそう言うということは…、
テオルド卿も何も聞いていないのですね?」
振られたテオルド卿は、
「ああ、何も知らん」
ぶっきら棒に答えるだけだった。
「え~そこは聞いてくださいよ~。
オレ、団員からできるだけ詳しくって言われてるんすよ~」
レオニール卿もちょっと困ったように、テオルド卿に話かける。
「…騎士団の業務と直接かかわりがない以上、話すか話さない
かは団長次第!!
そもそも建国記念パーティー以降に席を設けるとおっしゃって
いるのだ。
何も問題はないと思うが?」
テオルド卿は喋りながら、少しイラついていた。
「そりゃそーっすけど~。
…は~あ、みんなになんて言おう…」
がっくりと肩を落とすレオニール卿。
「父上…確かにそうですが…、団員も皆気にして浮足立って
います。
父上は団長のいわば父親代わりをしてきたのですから、
父上からもう少し詳しく…」
するとリグルド卿の言葉に、テオルド卿の眉根が吊り上がり、
「バカを言うな!!
そもそも王都の治安を守る者たちが、こんなことで浮足立つ
とは何事か!!
それを叱り飛ばすのがお前の仕事だろうが!!」
一喝する。
「それに!!
私たちと公爵閣下は確かに家族ぐるみの付き合いをしているが、
家族だって話せないことや話したくないことはある!!
それを興味本位で詮索するなど、無礼にも程があるわ!!」
テオルド卿は話にならないと言いたげに、ドスドスと会議室を
出てしまった。
「はあ…」
もうため息しか出ないと言いたげに、リグルド卿は肩を落とす。
「も~、相談役(テオルド卿)の性格知ってるでしょ?
ああ言うに決まってんじゃん」
呆れつつも、一応慰めるヴァッヘン卿。
「結局何もわからずじまいかよ~」
さらに嘆くレオニール卿。
レオニール卿の率いる第3師団は、その任務内容も相まって、ぜひ
知っておきたいのである。
「まあ…仕方あるまい。下からの不満を受けるのも、隊をまとめる
者の宿命だ。
諦めろ!!」
ガイツ卿は6人中、一番ガタイがいい。
それに比例するのか、性格も豪快で、細かいことは気にしない。
「全くその通りですね。
しかしリグルド卿の気持ちはわかりますよ。
妹さんが騒いでいるのでは?」
デイビス卿は、眼鏡を直しつつ、リグルド卿の心情を言い当てる。
「わかってくれて嬉しいよ…デイビス卿…。
フェイラがおさまらなくて…」
何とも罰の悪そうな顔で答えるリグルド卿。
「あ~、フェイラ嬢って団長大好きって前面に出してたからなぁ…。
ひょっとして、もう何かやらかした?」
レオニール卿の言葉は図星だったようで、
「昨日知らせを聞いて、夜遅いのに公爵家に行くって騒いで…。
父上のカミナリが落ちた…」
リグルド卿はさらにうなだれる。
「なんか目に浮かぶわ~」
ヴァッヘン卿が苦笑いしながら、言った。
「外出自体を禁止されたでしょうね。
建国記念パーティーまで…おそらく」
「さすが副団長…。
ドレスだって用意できているし、買い物なんてそもそも使用人に
やらせればいいんだからさ…。
ちなみに手紙も、ファルメニウス公爵家には絶対送らないようにって
我が家の使用人に、周知させる徹底ぶり…」
リグルドは頭を抱えつつ、盛大なため息を吐く。
その後、師団長から何もわからなかったと聞かされた他の団員達も、
あの手この手でギリアムの口を開かせようとしたが、当然ギリアムという
鉄壁要塞を崩すことはできず、撃沈して行くのだった…。
そして三日後。
この日はギリアムが仕事休みのため、私はギリアムと社交ダンスの
練習をすることになっていた。
因みにギリアムは、だいぶ楽しみにしていた。
しかしその日の朝…パパンがなにやら落ち着かない様子…。
ママンと私はこの現象に慣れているので、すぐに3人そろって
ギリアムの所へ。
ちょーどよく、フォルトさんとエマさんもいる。
「ギリアム様~、私たちちょっと外に出ま…」
「だめです」
うむ。
予想通りだが、見事な速攻拒否。
「外の人だかりが絶えないのはご存じですよね?
ここにいれば安全ですから、おとなしくしていてください」
「ん~それが…。
安全じゃなくなるっぽいんですよ~」
「どういうことです?」
実はうちのパパンは特殊能力といっても過言でないものを
持っている。
一言で言うと、
〝捕食者から逃げる能力”
だ。
これのおかげで、私ら家族は3度の夜逃げで、一度も危険な業者に
捕まらなかった。
え?
じゃあなんで、騙されて借金背負ったかって?
実はね…そもそも3回とも最初の借金元が、まっとうで優良な所
だった上に、借金の額も頑張れば返せる程度だったのよ。
そういう場合って、反応しづらいみたい。
ただこの世界って、借金に関することが、けっこう無法地帯でね~。
優良業者から悪徳業者がそれとはわからないように買い付けて
しまうことも少なくない。
そんでもって、それを裁くような法律もあってないようなモノ。
特にうちって、名ばかりとはいえ一応貴族だからさ~。
まあ、そんな感じのことをギリアム様に説明したの。
「しかし…馬車で出ていけばバレますよ」
「そりゃー、貴族の馬車で行けば当たり前です。
だから出入りの業者の荷馬車に乗せてもらいます」
ぶっちゃけお貴族様の馬車より、そういった馬車に乗る方が多かったし
慣れてるんだよね。
「それこそ了承できません!!」
まあギリアムが納得するはずないけど。
「ギリアム様!!」
だからって、敗ける気も譲る気もないよ。
「この家に何があっても、私があなたを守ります」
その言葉とともに抱きしめてきたギリアムの手は…震えていた。
それで思い出した。
ギリアムは何より私が消えることを恐れているんだって。
……でも!!
「ギリアム様…言いましたよね?
あなたが私を守りたいと思っているのと同じくらい、私も
あなたの力になりたいんです!!」
まっすぐギリアムの目を見つめ、
「うちの父はこういうことだけはハズさない…。
どうかわたしを信じてくださいませんか?
ギリアム様…」
それからしばらく、ギリアムと私の押し問答は続いた。
そして…。
結局。
私らだけというのはギリアムがどうしても了承できず、
サイファスさんと一緒に行くことになった。
サイファスさんは離宮の執事を務めてくれている人で、
50代、フォルトさんの騎士団時代の部下だそうな。
私たちは手早く平民の変装をして、荷馬車に乗り込み、公爵邸を
出るのだった…。
―――――1時間後。
「お茶をお持ちいたしました、ギリアム様」
エマさんが入れたお茶に仏頂面で口をつけるギリアム。
「サイファスは機転が利きますし、有能ですから」
と、フォルトさん。
「当たり前だ!!
だからフィリーとご両親の、世話係に選んだんだ!!」
言い捨てる。
「この家以上に安全な場所などないのに…」
ぶつぶつ言っていると、使用人がものすごい剣幕で駆け込んで
きた。
「し、失礼いたします!!
お客様が…」
「すべて門前払いにしろと言ったはずだが?」
機嫌の悪いギリアム。
初日こそフォルトが門を開けずに、門の中で対応したが、あまりに
多いので、門の中からの対応すらやめて、勝手に来るものは
放っておいている状態だった。
ちなみにそんな貴族たちとファルメニウス公爵家のやりとりを野次馬しに、
平民もかなり来ているのだが、遠巻きに見ているだけで、害がないので
ほっとかれている。
「し…しかし…!いらしたのが王女殿下で…」
「!!!」
「なんだと…」
ギリアムは勢いよく、席を立つのだった。
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ギリアム側近組の自己紹介~
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