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第10章 信念
5 フィリーに対する懸念
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さて、ギリアムとフィリーが中庭でイチャイチャしているころ、
王立騎士団の食堂では…。
「邪魔するぞ――――!!」
ローカス卿が勢いよく扉を開けて入ると、その中では…
「すっげ――――!!マジうめ――――!!もっと食いて―!!
ザワークラウト大っ嫌いだったのに――――――!!」
「こっこのお茶!!癖強すぎて、泥水の方がマシだったのに…
すっごく飲みやすくなってる!!
苦い中にもほのかな甘みがあって…」
「こ…この干し肉!!味も香りも何種類もあるから、いくら
食べても飽きない!!前は塩食ってるみたいだったのに、それも
マイルドになって…」
皆が狂喜乱舞する中に、
「オ…オレにもくれ!!」
ローカス卿が加わる。
「うお――――!!うめ――――!!」
という皆の声が、しばらく食堂にこだましたのだった。
…………………………そして一息後。
「しっかし…どれもこれもすげーな。
これ全部、オルフィリア嬢が改良したのか?」
ローカス卿は本当に感心している。
「オルフィリア嬢は薬草学の知識がかなりあるらしく…効能
そのままに、癖の弱い者に変えたり…あと甘みを出すハーブを
使ったそうです(イルザク)」
「え?この甘味って砂糖じゃないの(ヴァッヘン)」
「それではコストがかかりすぎて、全般にはいきわたりません」
デイビス卿がため息交じりに眼鏡を直す。
「…ってことは、甘味出すハーブって安いの?(ヴァッヘン)」
「同様の甘味を出すのに使う単価は、砂糖の千分の一だそうです」
「タダみたいなものだな(ガイツ)」
「スゲーっ!!それじゃ平民でも飲めるじゃん(レオニール)」
砂糖はこの世界では高級品、貴族と一部の金持ちの物。
平民が取れる甘味は、もっぱら果物だ。
「こちらの干し肉も素晴らしい。
かなり味に深みが出て、味もそれぞれ違うから、飽きも来ない。
そして従来の物より、柔らかくて食べやすい」
テオルド卿も感動している…。
「燻製にするときの火加減や時間、使うスパイスの種類、
漬け込む液の濃度や調味料を少しずつ変えて、味や触感に
違いを出しているようです、しかも…」
デイビス卿がなにやら間を置く。
「一部の高価な材料を安価なものに変えたらしいのです」
「マジか!!じゃあ安くて美味いってことじゃないすか!!
最高じゃん!!(レオニール)」
改めて感嘆のため息を漏らした後、皆で残り物に手を付け、
しばしモグモグ…。
そして本当に、何もなくなったころ…。
他団員たちは皆持ち場に戻り、食堂にはローカス卿とテオルド卿
師団長5人のみとなった。
彼らは書類仕事が主なので、明確に何時にどこへと決まっていない
ことも多いのだ。
「正直…」
レオニール卿がポツリともらす。
「オルフィリア嬢には、団長と幸せになってもらいたいよなぁ…。
これだけ団員のことも考えてくれて、平民だとか貴族だとか
気にせず接してくれるし…」
「いったい何を言ってるんだ?」
ガイツが本当にわからないと言いたげな顔だ。
「レオニール卿はわりと女遊びしてるから、わかるのさ」
ローカス卿が答える。
「女の戦いに、男は口も手も出せないこと多いんだよ」
「そ…それってどういう…(リグルド)」
「そーいえば、うちの母もよく言ってるな~」
ヴァッヘン卿が突然言い出す。
「嫁にする女はかわいいより、したたかなのを選びなさいって。
じゃないと簡単に潰されるから…って」
「デイビス副団長、奥様のお知り合いでオルフィリア嬢のこと、
お願いできる方いませんか?(レオニール)」
「…残念ですが、妻は力になれません。
そもそも実家との仲も悪いですし、妻自身あまり交友関係が広い
わけではなく…最近は体調も崩していて…」
実はデイビス卿の妻の実家は侯爵家だ。
通常なら伯爵であるデイビス卿に嫁ぐことは無かったろうが、
デイビス卿と奥方が深く愛し合っていたことと、デイビス卿が
戦争でかなりの功績をあげたこと、さらにギリアムからの強い
押しもあって、許されたのだ。
だから妻実家は表立って何か言うことは無いのだが、内心はよく
思っておらず、現在は最低限の交流しかしていない。
「逆にヴァッヘン卿のお母様の方が適任では?
顔も広いですし…」
「え…あ…う…、うちの母は確かに交友関係広いけど…、ほとんど
男爵だから…ちょっと…力になれるかどうか…」
そこまで来てリグルド卿は、ようやく少しわかったようで、
「あの…でしたら…ベンズ卿に頼めばいいのでは?
奥様、確かかなり顔がお広いハズ…」
ここまで言って、テオルド卿の鉄拳が落ちた。
「このバカ息子!!ベンズ卿は一番頼んではいけない人間だ!!」
ここだけの話、ローカス卿とベンズ卿は、明確に役割分担している。
ローカス卿はギリアムと幼馴染というのもあり、王立騎士団と
割と仲良くする役を。
ベンズ卿はギリアムを嫌う近衛騎士団員のこともあり、王立騎士団
には、ほぼ必要な時以外近づかない。
「ベンズ卿自身は良い人間だが…組織の上としてはできんのだ!!」
皆が皆、口には出さないが、同じことを思っていた。
これは紛れもなく、ギリアムが王立騎士団をガチガチの実力本位
主義にした弊害だと。
上位貴族は平民が上に立つことなど、大抵認めない。
だからこそ、王立騎士団にいたほとんどの上位貴族は、領地に
引っ込むか、近衛騎士団の方に移ってしまった。
つまり、何の後ろ盾もないフィリーの味方になってくれる
上位貴族の夫人は、いないのだ。
「まあ…少しずつやっていくしかないでしょう…。
幸いオルフィリア嬢はだいぶ慈善事業に力を入れているようだから、
そのつながりで知り合いや味方を増やしていけば…」
デイビス卿が暗さを隠せぬ顔で言う。
「持ちますかねぇ…それまで…(レオニール)」
「縁起でもないこと言うな!!レオニール卿(ガイツ)」
「ま…まあ…うちの母のお茶会で、憩いの場を作ることは
できると思うから~」
ヴァッヘン卿が何とかフォロー?しようと必死だ。
「でも…だったら大丈夫なのでしょうか?父上…」
リグルド卿がポツリと呟く。
「なにがだ?」
「オルフィリア嬢が最初に行くお茶会…クレアの主催だって…」
「ふ~む…」
テオルド卿は難しい顔になる。
「まあ不安はあるが、それはどのお茶会に参加しても同じだろうし。
だいたい3年前の一件で懲りているだろうから、下手なことは
せんだろう」
「あ~、あの件ね。
一時期国中で話題になったから、よく知ってる。
ギリアム公爵閣下も、正しいと思うと止まらないからな~」
ローカス卿は少し呆れるように言った。
「しかしあれはクレア嬢とオペロント侯爵家が悪いですから」
デイビス卿が言えば、
「ん~、でもさすがにやりすぎだったとオレは思いますよ」
レオニール卿はローカス卿と同意見のようだ。
「なんだ、レオニール。
団長の味方じゃないのか?(ガイツ)」
「いや、もちろん間違ってるのは確実にオペロント侯爵家の面々
だったと、オレだって思ってますよ?
ただ、追い詰め方がね~」
「まあ、難しい所だな~。
正しいからと言って、割り切れないのが人間だから」
ローカス卿がため息交じりに言う。
「まあ…それに関しては私も手紙を送っておく。
丁重にもてなすようにと、気遣うようにとな。
うちの娘たちも参加するから、同じことを言い聞かせておこう」
「え…?」
レオニール卿の顔が、一瞬ひきつる。
「だ…大丈夫なんすか?それ…」
「ん?二人とももう成人しとるし、立派な大人だ。
何も心配いらんよ」
いや、そういうことじゃなくて…と言いたげなレオニール卿の
表情は、もちろんテオルド卿には伝わらない。
さらに何か言おうとしたが、
「失礼いたします。
団長が師団長とテオルド卿をお呼びです。
団長室にお集まりくださいとのことです」
と入って来た団員に言われてしまったので、皆席を立つ。
「じゃ、オレは帰るわ」
「お見送りもできませんで…」
「何言ってんだよ。
いつも勝手に来て、楽しい思いさせてもらってんだから、
そんなかしこまらなくっていいってばよ」
これはローカス卿の本当の気持ちなのだろう。
「ああ、あと」
ギリアムの元に向かおうとする皆に向かって言葉を紡ぐ。
「オルフィリア嬢のことは、様子を見るしかねぇけど…、
案外大丈夫かもよ」
皆の視線が、ローカス卿に集中する。
「お前ら大事なこと忘れてるよ。
オルフィリア嬢は仮にも…ギリアム・アウススト・ファルメニウス
公爵閣下を虜にした女だ…。
案外スゴイ力を隠しているかもしれないぜ」
「それ…根拠ないっしょ…」
レオニール卿が力なくつぶやいた。
一行と別れたローカス卿は、家に帰る道すがら、
「根拠…ねぇ…確かに根拠というにはかなり不確かだ…」
まだまだ青く輝く空を眺める。
「だが…」
「あの時…ケイルクス王太子殿下に放った言葉…あれが天然では
なく、計算されつくしたものだったとしたら…」
ローカス卿の口から、自然と笑いがこぼれる。
「間違いなくナメてちょっかい出したやつの方が…
頭っから喰われるだろーなぁ」
この日のローカス卿は、随分と愉快そうだった。
公爵邸を荒らした近衛騎士達のことも、ひと段落つきつつある
からでもあったのだが。
ただローカス卿は知らない。
この先自身の身に降りかかる、さらなる過酷な状況を…。
王立騎士団の食堂では…。
「邪魔するぞ――――!!」
ローカス卿が勢いよく扉を開けて入ると、その中では…
「すっげ――――!!マジうめ――――!!もっと食いて―!!
ザワークラウト大っ嫌いだったのに――――――!!」
「こっこのお茶!!癖強すぎて、泥水の方がマシだったのに…
すっごく飲みやすくなってる!!
苦い中にもほのかな甘みがあって…」
「こ…この干し肉!!味も香りも何種類もあるから、いくら
食べても飽きない!!前は塩食ってるみたいだったのに、それも
マイルドになって…」
皆が狂喜乱舞する中に、
「オ…オレにもくれ!!」
ローカス卿が加わる。
「うお――――!!うめ――――!!」
という皆の声が、しばらく食堂にこだましたのだった。
…………………………そして一息後。
「しっかし…どれもこれもすげーな。
これ全部、オルフィリア嬢が改良したのか?」
ローカス卿は本当に感心している。
「オルフィリア嬢は薬草学の知識がかなりあるらしく…効能
そのままに、癖の弱い者に変えたり…あと甘みを出すハーブを
使ったそうです(イルザク)」
「え?この甘味って砂糖じゃないの(ヴァッヘン)」
「それではコストがかかりすぎて、全般にはいきわたりません」
デイビス卿がため息交じりに眼鏡を直す。
「…ってことは、甘味出すハーブって安いの?(ヴァッヘン)」
「同様の甘味を出すのに使う単価は、砂糖の千分の一だそうです」
「タダみたいなものだな(ガイツ)」
「スゲーっ!!それじゃ平民でも飲めるじゃん(レオニール)」
砂糖はこの世界では高級品、貴族と一部の金持ちの物。
平民が取れる甘味は、もっぱら果物だ。
「こちらの干し肉も素晴らしい。
かなり味に深みが出て、味もそれぞれ違うから、飽きも来ない。
そして従来の物より、柔らかくて食べやすい」
テオルド卿も感動している…。
「燻製にするときの火加減や時間、使うスパイスの種類、
漬け込む液の濃度や調味料を少しずつ変えて、味や触感に
違いを出しているようです、しかも…」
デイビス卿がなにやら間を置く。
「一部の高価な材料を安価なものに変えたらしいのです」
「マジか!!じゃあ安くて美味いってことじゃないすか!!
最高じゃん!!(レオニール)」
改めて感嘆のため息を漏らした後、皆で残り物に手を付け、
しばしモグモグ…。
そして本当に、何もなくなったころ…。
他団員たちは皆持ち場に戻り、食堂にはローカス卿とテオルド卿
師団長5人のみとなった。
彼らは書類仕事が主なので、明確に何時にどこへと決まっていない
ことも多いのだ。
「正直…」
レオニール卿がポツリともらす。
「オルフィリア嬢には、団長と幸せになってもらいたいよなぁ…。
これだけ団員のことも考えてくれて、平民だとか貴族だとか
気にせず接してくれるし…」
「いったい何を言ってるんだ?」
ガイツが本当にわからないと言いたげな顔だ。
「レオニール卿はわりと女遊びしてるから、わかるのさ」
ローカス卿が答える。
「女の戦いに、男は口も手も出せないこと多いんだよ」
「そ…それってどういう…(リグルド)」
「そーいえば、うちの母もよく言ってるな~」
ヴァッヘン卿が突然言い出す。
「嫁にする女はかわいいより、したたかなのを選びなさいって。
じゃないと簡単に潰されるから…って」
「デイビス副団長、奥様のお知り合いでオルフィリア嬢のこと、
お願いできる方いませんか?(レオニール)」
「…残念ですが、妻は力になれません。
そもそも実家との仲も悪いですし、妻自身あまり交友関係が広い
わけではなく…最近は体調も崩していて…」
実はデイビス卿の妻の実家は侯爵家だ。
通常なら伯爵であるデイビス卿に嫁ぐことは無かったろうが、
デイビス卿と奥方が深く愛し合っていたことと、デイビス卿が
戦争でかなりの功績をあげたこと、さらにギリアムからの強い
押しもあって、許されたのだ。
だから妻実家は表立って何か言うことは無いのだが、内心はよく
思っておらず、現在は最低限の交流しかしていない。
「逆にヴァッヘン卿のお母様の方が適任では?
顔も広いですし…」
「え…あ…う…、うちの母は確かに交友関係広いけど…、ほとんど
男爵だから…ちょっと…力になれるかどうか…」
そこまで来てリグルド卿は、ようやく少しわかったようで、
「あの…でしたら…ベンズ卿に頼めばいいのでは?
奥様、確かかなり顔がお広いハズ…」
ここまで言って、テオルド卿の鉄拳が落ちた。
「このバカ息子!!ベンズ卿は一番頼んではいけない人間だ!!」
ここだけの話、ローカス卿とベンズ卿は、明確に役割分担している。
ローカス卿はギリアムと幼馴染というのもあり、王立騎士団と
割と仲良くする役を。
ベンズ卿はギリアムを嫌う近衛騎士団員のこともあり、王立騎士団
には、ほぼ必要な時以外近づかない。
「ベンズ卿自身は良い人間だが…組織の上としてはできんのだ!!」
皆が皆、口には出さないが、同じことを思っていた。
これは紛れもなく、ギリアムが王立騎士団をガチガチの実力本位
主義にした弊害だと。
上位貴族は平民が上に立つことなど、大抵認めない。
だからこそ、王立騎士団にいたほとんどの上位貴族は、領地に
引っ込むか、近衛騎士団の方に移ってしまった。
つまり、何の後ろ盾もないフィリーの味方になってくれる
上位貴族の夫人は、いないのだ。
「まあ…少しずつやっていくしかないでしょう…。
幸いオルフィリア嬢はだいぶ慈善事業に力を入れているようだから、
そのつながりで知り合いや味方を増やしていけば…」
デイビス卿が暗さを隠せぬ顔で言う。
「持ちますかねぇ…それまで…(レオニール)」
「縁起でもないこと言うな!!レオニール卿(ガイツ)」
「ま…まあ…うちの母のお茶会で、憩いの場を作ることは
できると思うから~」
ヴァッヘン卿が何とかフォロー?しようと必死だ。
「でも…だったら大丈夫なのでしょうか?父上…」
リグルド卿がポツリと呟く。
「なにがだ?」
「オルフィリア嬢が最初に行くお茶会…クレアの主催だって…」
「ふ~む…」
テオルド卿は難しい顔になる。
「まあ不安はあるが、それはどのお茶会に参加しても同じだろうし。
だいたい3年前の一件で懲りているだろうから、下手なことは
せんだろう」
「あ~、あの件ね。
一時期国中で話題になったから、よく知ってる。
ギリアム公爵閣下も、正しいと思うと止まらないからな~」
ローカス卿は少し呆れるように言った。
「しかしあれはクレア嬢とオペロント侯爵家が悪いですから」
デイビス卿が言えば、
「ん~、でもさすがにやりすぎだったとオレは思いますよ」
レオニール卿はローカス卿と同意見のようだ。
「なんだ、レオニール。
団長の味方じゃないのか?(ガイツ)」
「いや、もちろん間違ってるのは確実にオペロント侯爵家の面々
だったと、オレだって思ってますよ?
ただ、追い詰め方がね~」
「まあ、難しい所だな~。
正しいからと言って、割り切れないのが人間だから」
ローカス卿がため息交じりに言う。
「まあ…それに関しては私も手紙を送っておく。
丁重にもてなすようにと、気遣うようにとな。
うちの娘たちも参加するから、同じことを言い聞かせておこう」
「え…?」
レオニール卿の顔が、一瞬ひきつる。
「だ…大丈夫なんすか?それ…」
「ん?二人とももう成人しとるし、立派な大人だ。
何も心配いらんよ」
いや、そういうことじゃなくて…と言いたげなレオニール卿の
表情は、もちろんテオルド卿には伝わらない。
さらに何か言おうとしたが、
「失礼いたします。
団長が師団長とテオルド卿をお呼びです。
団長室にお集まりくださいとのことです」
と入って来た団員に言われてしまったので、皆席を立つ。
「じゃ、オレは帰るわ」
「お見送りもできませんで…」
「何言ってんだよ。
いつも勝手に来て、楽しい思いさせてもらってんだから、
そんなかしこまらなくっていいってばよ」
これはローカス卿の本当の気持ちなのだろう。
「ああ、あと」
ギリアムの元に向かおうとする皆に向かって言葉を紡ぐ。
「オルフィリア嬢のことは、様子を見るしかねぇけど…、
案外大丈夫かもよ」
皆の視線が、ローカス卿に集中する。
「お前ら大事なこと忘れてるよ。
オルフィリア嬢は仮にも…ギリアム・アウススト・ファルメニウス
公爵閣下を虜にした女だ…。
案外スゴイ力を隠しているかもしれないぜ」
「それ…根拠ないっしょ…」
レオニール卿が力なくつぶやいた。
一行と別れたローカス卿は、家に帰る道すがら、
「根拠…ねぇ…確かに根拠というにはかなり不確かだ…」
まだまだ青く輝く空を眺める。
「だが…」
「あの時…ケイルクス王太子殿下に放った言葉…あれが天然では
なく、計算されつくしたものだったとしたら…」
ローカス卿の口から、自然と笑いがこぼれる。
「間違いなくナメてちょっかい出したやつの方が…
頭っから喰われるだろーなぁ」
この日のローカス卿は、随分と愉快そうだった。
公爵邸を荒らした近衛騎士達のことも、ひと段落つきつつある
からでもあったのだが。
ただローカス卿は知らない。
この先自身の身に降りかかる、さらなる過酷な状況を…。
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