ひとまず一回ヤりましょう、公爵様

木野 キノ子

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第10章 信念

13 人間の社会って、悲しいけどさ…

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正しいことをしたからって、褒められるとは限らない…悲しい
けどさー、人間ってそういう社会を作っちまったんだ。

私は改めてギリアムに向き直り、

「タニア侯爵夫人…クレア嬢もですけれど、プライドがすごーく
高いんです。
大抵つまらないプライドですけど」

「は…はあ…ですね」

「そういう人間を、ギリアム様は大勢の目の前で、これでもかって
くらい、貶めちゃったんです」

「下手にプライドの高い人間は、たとえ自分が間違ったことを
したとしても、他人に避難されるのは、屈辱以外の何物でもない」

「つまりギリアム様がどんなに正しくとも、しょーもないこと
しちゃう相手を貶めたら、結果はこうなるんです」

「だから私の考えは…ギリアム様自身が余興にしちゃうのが一番
と思ったんです」

皆様、静まり返ったねぇ…。

「で…ですが…」

おやギリアム、まだ反抗しますか。

「私が余興と言ったところで、結局バカにされてしまうのでは…」

「あの…」

お、レオニール卿行くか。

「団長が余興と言ったら、少なくとも周囲は表立ってバカにする
ことは出来なかったと思いますよ」

「なぜだ?」

「だって…あそこにいた人間達って、団長がオペロント侯爵家に
制裁を加えたら、ほぼ全員逃げたでしょ?
そんな長いものに巻かれる連中が、団長の言っていることを否定
するなんて、恐ろしくてできないと思います」

うーん。
レオニー君は、本当に優秀だ。

「まあ、私の意見もだいたい同じです。
だからギリアム様に、やっぱりやりすぎですよと申しました」

あ、ギリアム渋い顔しとる。
まあ、ギリアムに関しては、閨で調整すればいいからね。
団員の方のフォローに、今は集中しよう。

「まあ…ここまで色々言わせていただきましたが…大前提として
申し上げます」

息を大きく吸う。

「私はオペロント侯爵家の方々に…一切の同情は致しません」

「!!」

「彼らは自身の内にいる鬼に…自らを喰わせる選択をしただけ
だからです」

「それは…どういう…」

うん、順を追って説明するよ、リグルド卿。

「まずギリアム様もテオルド卿も…ここにいる皆さんも相手が
己の非を全面的に認め、素直に真摯に謝罪の意を示せば…罪を
許す許さないは置いておいて、バカにするようなことはなさら
ない方々です」

「でも彼らは平気でそういうことをする人間…おまけに狭い
世界で生きているせいで、自分とは大きく違う人間がいると
考えられない…いや、地位がなまじ高いからこそ、相手が自分に
合わせるのが当然と思っている人間です。
実際そういう人間しか、周りにいなかったのでしょう」

「だからこそ、自分たちはこんなに傷ついている、だからお前らは
自分たちをいたわって、協力するのが当たり前。
それをしないお前らが悪い!!
そんな心境になったんです。
あの誹謗中傷はまさにそんなカンジだったでしょう?」

皆さま、感嘆してくださりありがとうございます。

「人間には色々いる…そのことを考えられなかった人間の自業自得
に同情する必要はありませんよ。
ま、商会の仕事を何かして、色々な人間に触れていれば、少しは
…わかった…かもですが」

「はーい、オルフィリア嬢!しつもーん」

「なんでしょう?ヴァッヘン卿」

「オルフィリア嬢がタニア侯爵夫人だったら、騎士団に来た時
どう言ったのか、教えてくださ~い」

「あのな、ヴァッヘン卿!!
そもそもオルフィリア嬢は、パーティーでの一連の騒動なんて
起こさないぞ!!」

うん、レオニー君、そうだよね。
けど…。

「ありがとうございます、レオニール卿。
しかしその質問も面白いと思ったので、せっかくですから答え
させてください。
ただ補足が結構入るので、少々長くなりますよ」

「わかりやすい方が、助かりま~す(ヴァッヘン)」

「まず前提としてお聞きしますが、テオルド卿の邸宅での食事会
に、タニア侯爵夫人が参加することはなく、もっぱらクレア嬢だけ
だったのではないですか?」

「ええ、その通りです(テオルド)」

「そしてギリアム様、クレア嬢…そしてオペロント侯爵家から
再三…自分たちの邸宅にも来てほしいと誘われませんでしたか?」

「ええ、毎回ありましたね。
もちろんすべて断りました。
あちらのご一家と、仲良くする理由がないので」

ホント、ハッキリしとるわー。

「つまり…ギリアム様がクレア嬢をキッパリ拒絶しているという
ことが、オペロント侯爵家の人たちには、しっかり伝わっていな
かったんでしょうね」

「そしてそれが唯一わかっていたのは、フレイア伯爵夫人だけ
だったと思われます」

「母…ですか?(リグルド)」

「ええ。
ですのでくだんのパーティー、フレイア伯爵夫人はリグルド卿も
巻き込んでまで、ギリアム様を来させることにこだわったんです。
ギリアム様が、クレア嬢に全く興味がないことは、やはり見せて
しまったほうが、早いですからね」

「なるほど、そういうことでしたか…。
しかしだったら、何であんな馬鹿な真似を(テオルド)」

「あ、そのことについては、フレイア伯爵夫人は一切知らなかった
と思いますよ。
逆に知ってたら、絶対ギリアム様を来させないようにしたと思い
ます。
ギリアム様とテオルド卿は性格が大変似ていらっしゃいますから
あんなことしたらどうなるか、フレイア伯爵夫人は容易に想像が
ついたと思いますし。
フレイア伯爵夫人に何も言わずに、クレア嬢とタニア侯爵夫人が
独断でやってしまったんでしょう」

とても納得した顔をしとるね、ギリアム2号君。

「まあ、話が少しそれたので戻しますが…。
タニア侯爵夫人にしてみれば、自分の娘に散々思わせぶりな態度
を取っておいて、恥をかかせるとは何事か!!になっちゃったん
でしょーね」

「思わせぶりな態度など、一切取っていません!!(ギリアム)」

「だから!!
それがオペロント侯爵家には、伝わってなかったんですってば」

「ただここでタニア侯爵夫人のダメだった所は…自分の娘の独り
よがりだったのでは?という疑いを持たなかったことです。
事実、ギリアム様はクレア嬢のお誘いも、オペロント侯爵家から
のお誘いも、一切拒絶していましたから、その事実だけでも
十分独りよがりだった可能性は強いとわかります、普通は!」

「だから私は…まあ私だったらパーティーの前に、キッチリ裏を
取りますが…それが無理でことを起こしてしまったのなら…
改めて裏を取って、自分の娘の独りよがりだとわかった上で、
騎士団を訪ねるなら…」

「まず対応した人間の身分がどうであれ、平身低頭の構えをとり
ます。
そして自分の娘がギリアム様に大変な迷惑をかけてしまった。
心からお詫びしたいのですが、取り合っていただけず…困り
果てています…。
もうどうしたらいいのか、本当にわからず、不躾は重々承知で
予約もなくお尋ねしました。
どうかご助言だけでもいただけないでしょうか…かな、うん。
あ、もちろん助言すらもらえなかったとしても、
時間を取って頂き、ありがとうございました。
は、忘れずに言いますね。
相手の時間だって、ただじゃないんだから~」

「わ~、それなら相手への見方が180度変わるし、何かして
あげようかなって、思えますね~。
できるかどうかは別として(ヴァッヘン)」

「そもそもそれができる人間は、あんな馬鹿な事しませんけど
ね(デイビス)」

うん、まーね…。

「あの…オレからも一つ、いいですか?」

「なんでしょう?ガイツ卿」

「クレア嬢は…こんなことがあったにもかかわらず、未だに
団長にしつこく迫ってるって聞きましたが…どんな心理なんです
かねぇ…普通恥ずかしくて顔も出せないと思うんですが」

「まあ、普通の感覚から言うと、そうですね。
じゃあ、それも私なりの考えを言わせてもらいます」

「一言でいうと、それ以外に自分の虚栄心を満たす方法がなく
なっちゃったから…だと思います」

「えっと…もう少し詳しく…(リグルド)」

「わかりやすく~(ヴァッヘン)」

少しは自分で考えてくれんかのぉ…。
まあ、私も自分でやるっていっちゃったから、いいけどさぁ。

そして私は言葉を紡ぐ。
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