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第4章 飄々
4 ローカス・クエント・ケイシロン公爵の怒り
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近衛騎士について、散々好き勝手なことを言っていた3人の耳に、
「取り消せ」
静かだが、有無を言わせない気迫のある声が響く。
「あ?」
3人がローカス卿の顔を見た瞬間、今までの余裕が即座に消えた。
「な…なんだよ…」
威勢こそ保とうとしているようだが、ローカス卿の表情に、完全に
気圧されている。
「貴族だろうが、平民だろうが、罪を犯したなら、一律に罰せられる
べきだ!!」
「な…なんだ、てめぇ…。
何様だよ…」
今や3人の威勢は、完全にそがれている。
無理もない。
それだけローカス卿の顔は…憤怒に満ちており、また全身から漂う
気迫は、常人のそれではない。
「オレが何様だなんて、お前らに関係ねぇだろ。
くだんの近衛騎士2人がオルフィリア嬢に対してしたことは…、許される
ことではない。
処罰は正当なものだ!!」
「だ…だから、てめぇは一体誰に向かって…」
気圧されつつも、何とか威厳を保とうとしていたようだが、
「お、おい…」
3人のうちの1人が、
「オレら今、剣持ってきてねぇんだぞ」
などと言い出したものだから、残り2人も途端に青い顔になった。
そしてそそくさと、その場を立ち去ってしまった。
3人の姿が見えなくなると、ローカス卿は改めて、
「大丈夫か?」
突き飛ばされた子供の様子を見る。
「大丈夫だよー」
と笑うが、所々擦り剝けていた。
「結構すりむいてんな…ここって、医務室みたいなのはあるのか?」
「うん!!」
「こっち!!」
双子ちゃんに誘われ、他の子も一緒にローカス卿は医務室にやってきた。
医務室はきれいに整頓されており、とても清潔感が漂っていた。
(へえ…こんな所にしちゃ、えらいいい感じだな…。
いや。
フィリアム商会の運営している施設なんだから、当たり前なのかもな)
施設によって差はあるだろうが、孤児院や難民の施設は往々にして、
不潔だったり、色々足りていないのが、当たり前だ。
ただ医務室の中には先生らしき人はおらず、戸棚を整理している女性が
一人だけだった。
その人を見るや、双子ちゃんが、
「あ!!
刺繡のおねーちゃんだ!!」
「ししゅーのおねーちゃーん!!」
と言って、一目散に駆けていき、女性に飛びついた。
「きゃっ!!
アナタたち…危ないから離れて!!」
刺繡のおねーちゃんと呼ばれたのは、年のころは20ぐらい。
整ったストレートを、首のあたりで一つに結わえており、化粧っ気のない
美人と言った顔立ちだ。
女性は棚の物をしっかりと押し込むと、改めて双子ちゃんズの方を向き、
「どうしたの?
ケガしたの?」
と聞く。
「わたしたちじゃないよ~」
「けがはあっち~」
男の子の方を指さす。
女性はローカス卿に気付くと、
「あ…作業の方ですか?
どこかケガを?」
「あ…いえ、オレは子供の付き添いで」
「そ…そうなんですね。
あ…ありがとうございます」
女性は何となくぎこちない。
まずローカス卿の顔を見ようとせず、ずっと顔をそむけたまま。
ただそれは、ローカス卿うんぬんより、大人の男性に慣れていない…
そんな雰囲気だ。
「いつもの先生は~」
男の子が聞けば、
「今、お出かけ中なの、ごめんね…。
でも、擦り傷くらいなら、私が手当てできるから」
そう言って女性は男の子を椅子に座らせる。
少し離れたローカス卿に、双子ちゃんズが寄ってくる。
そして、聞いてもいないのに、
「あの人はねー、刺繍の先生なの~。
すっごく綺麗な刺繍ができるんだよ~」
「今、教えてもらってるの~、
出来たらそれも、発表会に出すんだよ~」
と、わざわざ教えてくれた。
そうこうしているうちに、男の子の手当ては終わった。
「痛くない?
大丈夫?」
「うん!!
へーき」
男の子はぴょんぴょん跳ねている。
それを見たローカス卿は安堵して、
「ありがとうございました。
刺繡の先生だけあって、手先が器用なんですね。
助かりました」
「いっ、いいい、いえ…、そっ、そそそ、そんな…」
女性は真っ赤になって俯いてしまった。
本当に男性がダメなようだ。
そこでまた双子ちゃんズが、
「先生~!
大丈夫だよ、この人優し~の!!」
「私たちが無くした髪留め、一緒に探してくれたんだよ~」
と言って抱き着いたことにより、石化が解けたようだ。
「そ、そうなのね。
よかったわね。
す、すみません、えっと、えっと」
何とかローカス卿の方を向き、話をしようとしているが、言葉が
出ない。
「あ~、無理しないでください。
あなたに悪気が無いことは、わかります。
子供たちがなついているんだから、あなたは良い人なんですね」
そういって、ローカス卿が微笑んだもんだから、またもや石化して
しまった。
「ねぇ、先生!!
午後の発表、見ていくでしょ~」
「でしょ~」
また良いタイミングで、双子ちゃんズがゆく。
すると彼女は…石化が解けたが、少し悲し気に、
「ゴメンね…。
今日は先生、すぐ帰らなきゃいけないの」
「え~」
双子ちゃんズは明らかに悲しそう。
「ごめんね」
女性は双子ちゃんズの頭をなでつつ、
「今度また、作品見せてね」
「は~い」
双子ちゃんズは本当に残念そうだ。
「あ…えと!!
それじゃ、私…失礼します!!」
ローカス卿にそう言うと、彼女は足早に医務室を出てしまった。
何だかバツが悪そうなローカス卿に、子供たちが
「気にすることないぞ、兄ちゃん」
「刺繍の先生…マギー先生って言うんだけど、男の人にはだいたい
あんな感じだから」
「兄ちゃんが何かしたわけじゃねーぞ」
さすがに空気を察したのか、以前にも同じことがあったのか、子供たちは
口々にそう言った。
「そっか…、ありがとな。
じゃあオレは、そろそろ作業に戻るよ」
ローカス卿は子供たちの気遣いで、明るさを取り戻した。
「あ、もうすぐ昼休みだから、みんなそろそろ作業やめてると思うよ。
だから一緒に食堂行こーぜ、兄ちゃん。
ここの飯はうまいんだ!!」
「よね!!」
「今日は何かな~」
子供たちはとても楽しそうだ。
「んじゃ、一緒に行くか」
「うん!!」
ローカス卿はここに来た目的を忘れたわけではないけれど、さりとて何を
すればよいのかわからない以上、流れに身を任せると決めている。
目の前の子供たちの笑顔を曇らせない事…。
今はそれだけ考えることにした。
「取り消せ」
静かだが、有無を言わせない気迫のある声が響く。
「あ?」
3人がローカス卿の顔を見た瞬間、今までの余裕が即座に消えた。
「な…なんだよ…」
威勢こそ保とうとしているようだが、ローカス卿の表情に、完全に
気圧されている。
「貴族だろうが、平民だろうが、罪を犯したなら、一律に罰せられる
べきだ!!」
「な…なんだ、てめぇ…。
何様だよ…」
今や3人の威勢は、完全にそがれている。
無理もない。
それだけローカス卿の顔は…憤怒に満ちており、また全身から漂う
気迫は、常人のそれではない。
「オレが何様だなんて、お前らに関係ねぇだろ。
くだんの近衛騎士2人がオルフィリア嬢に対してしたことは…、許される
ことではない。
処罰は正当なものだ!!」
「だ…だから、てめぇは一体誰に向かって…」
気圧されつつも、何とか威厳を保とうとしていたようだが、
「お、おい…」
3人のうちの1人が、
「オレら今、剣持ってきてねぇんだぞ」
などと言い出したものだから、残り2人も途端に青い顔になった。
そしてそそくさと、その場を立ち去ってしまった。
3人の姿が見えなくなると、ローカス卿は改めて、
「大丈夫か?」
突き飛ばされた子供の様子を見る。
「大丈夫だよー」
と笑うが、所々擦り剝けていた。
「結構すりむいてんな…ここって、医務室みたいなのはあるのか?」
「うん!!」
「こっち!!」
双子ちゃんに誘われ、他の子も一緒にローカス卿は医務室にやってきた。
医務室はきれいに整頓されており、とても清潔感が漂っていた。
(へえ…こんな所にしちゃ、えらいいい感じだな…。
いや。
フィリアム商会の運営している施設なんだから、当たり前なのかもな)
施設によって差はあるだろうが、孤児院や難民の施設は往々にして、
不潔だったり、色々足りていないのが、当たり前だ。
ただ医務室の中には先生らしき人はおらず、戸棚を整理している女性が
一人だけだった。
その人を見るや、双子ちゃんが、
「あ!!
刺繡のおねーちゃんだ!!」
「ししゅーのおねーちゃーん!!」
と言って、一目散に駆けていき、女性に飛びついた。
「きゃっ!!
アナタたち…危ないから離れて!!」
刺繡のおねーちゃんと呼ばれたのは、年のころは20ぐらい。
整ったストレートを、首のあたりで一つに結わえており、化粧っ気のない
美人と言った顔立ちだ。
女性は棚の物をしっかりと押し込むと、改めて双子ちゃんズの方を向き、
「どうしたの?
ケガしたの?」
と聞く。
「わたしたちじゃないよ~」
「けがはあっち~」
男の子の方を指さす。
女性はローカス卿に気付くと、
「あ…作業の方ですか?
どこかケガを?」
「あ…いえ、オレは子供の付き添いで」
「そ…そうなんですね。
あ…ありがとうございます」
女性は何となくぎこちない。
まずローカス卿の顔を見ようとせず、ずっと顔をそむけたまま。
ただそれは、ローカス卿うんぬんより、大人の男性に慣れていない…
そんな雰囲気だ。
「いつもの先生は~」
男の子が聞けば、
「今、お出かけ中なの、ごめんね…。
でも、擦り傷くらいなら、私が手当てできるから」
そう言って女性は男の子を椅子に座らせる。
少し離れたローカス卿に、双子ちゃんズが寄ってくる。
そして、聞いてもいないのに、
「あの人はねー、刺繍の先生なの~。
すっごく綺麗な刺繍ができるんだよ~」
「今、教えてもらってるの~、
出来たらそれも、発表会に出すんだよ~」
と、わざわざ教えてくれた。
そうこうしているうちに、男の子の手当ては終わった。
「痛くない?
大丈夫?」
「うん!!
へーき」
男の子はぴょんぴょん跳ねている。
それを見たローカス卿は安堵して、
「ありがとうございました。
刺繡の先生だけあって、手先が器用なんですね。
助かりました」
「いっ、いいい、いえ…、そっ、そそそ、そんな…」
女性は真っ赤になって俯いてしまった。
本当に男性がダメなようだ。
そこでまた双子ちゃんズが、
「先生~!
大丈夫だよ、この人優し~の!!」
「私たちが無くした髪留め、一緒に探してくれたんだよ~」
と言って抱き着いたことにより、石化が解けたようだ。
「そ、そうなのね。
よかったわね。
す、すみません、えっと、えっと」
何とかローカス卿の方を向き、話をしようとしているが、言葉が
出ない。
「あ~、無理しないでください。
あなたに悪気が無いことは、わかります。
子供たちがなついているんだから、あなたは良い人なんですね」
そういって、ローカス卿が微笑んだもんだから、またもや石化して
しまった。
「ねぇ、先生!!
午後の発表、見ていくでしょ~」
「でしょ~」
また良いタイミングで、双子ちゃんズがゆく。
すると彼女は…石化が解けたが、少し悲し気に、
「ゴメンね…。
今日は先生、すぐ帰らなきゃいけないの」
「え~」
双子ちゃんズは明らかに悲しそう。
「ごめんね」
女性は双子ちゃんズの頭をなでつつ、
「今度また、作品見せてね」
「は~い」
双子ちゃんズは本当に残念そうだ。
「あ…えと!!
それじゃ、私…失礼します!!」
ローカス卿にそう言うと、彼女は足早に医務室を出てしまった。
何だかバツが悪そうなローカス卿に、子供たちが
「気にすることないぞ、兄ちゃん」
「刺繍の先生…マギー先生って言うんだけど、男の人にはだいたい
あんな感じだから」
「兄ちゃんが何かしたわけじゃねーぞ」
さすがに空気を察したのか、以前にも同じことがあったのか、子供たちは
口々にそう言った。
「そっか…、ありがとな。
じゃあオレは、そろそろ作業に戻るよ」
ローカス卿は子供たちの気遣いで、明るさを取り戻した。
「あ、もうすぐ昼休みだから、みんなそろそろ作業やめてると思うよ。
だから一緒に食堂行こーぜ、兄ちゃん。
ここの飯はうまいんだ!!」
「よね!!」
「今日は何かな~」
子供たちはとても楽しそうだ。
「んじゃ、一緒に行くか」
「うん!!」
ローカス卿はここに来た目的を忘れたわけではないけれど、さりとて何を
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