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第5章 因縁
6 傍系との話し合い
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「さあみんな!!お支度整えたわね!!」
「はい!!奥様!!」
本日は…ラスタフォルス侯爵家と傍系との話し合いだ。
私とギリアムに同席して欲しい…と、言われたので、了承した。
ここまで…関わった以上、もうしょうがないと思っている。
「今日は…どうもありがとうございます。
私達の事で…ここまでご迷惑をおかけしたのに、対応して頂いて…」
ヒルダ夫人が頭を下げてくれた。
「構いません。それより…お体は大丈夫ですか?」
私が心配そうに言えば、
「色々ご配慮くださっているので、大事無いです…」
にっこりと笑ってくれた。
ヒルダ夫人にも…今日の話し合いに参加してもらう。
まあ…自分の直系血族だからね…。無視するわけにはいかんだろう。
イザベラ夫人は…引っ込んでてもらう。
ダイヤの事には一応ケリがついたし…。
もし必要なら、出てきてもらえばいいだけだ。
というわけで、話し合いの場所は…ファルメニウス公爵家としてもらった。
相手の陣地に行ってもいいんだけど…色々面倒くさいし。
「団長…。
全員滞りなく、配備完了しました」
ギリアムを呼び止めたのは、デイビス卿だった。
実は…護衛騎士だけじゃなく、王立騎士団第一師団にも、来てもらっている。
人数が人数だし…場合によっては、必要になるかもしれないから…。
「デイビス卿。ご苦労様です」
私が微笑みかけると、
「とんでもない。旅行は…妻共々楽しませていただきました。
あのようないい施設をお造りになるとは、さすがですね。
最後の…花火も素晴らしかったですし、お2人の考え方には、感銘を受けました」
素直に言ってくれるのが、嬉しいね。
「ギリアム様…。オルフィリア様…。皆さまお揃いでございます」
準備がユイリンが呼びに来てくれた。
「わかったわ。行きましょう、ギリアム…」
「ああ。これで…本当におしまいにしなければな…」
ギリアムも…私と同じ考えのようで、顔を…ぎゅっと引き締めた。
デイビス卿は持ち場に戻ったようで、いつの間にかいなくなっていた。
会場は…もちろん外。
大立ち回りを演じても、大丈夫なようにね。
ちょうど…季節もいいから、自然と外を会場に出来たし。
私達とヒルダ夫人が入ると…みな一斉に立ち上がり、ご挨拶してくれた。
やっぱり壮観だわ~。
直系血族だけじゃなく、その…連れ合いも含むから、かなりの人数…。
成人している人間には、全員来てもらうように言ったから…ね。
ラスタフォルス侯爵家の人間達はといえば、グレンフォ卿は中毒症状が抜けたから、退院した。
でも…どう見ても、やつれちまってるなぁ…。無理もないか…。
ダリアも…かなり痩せこけたな…。
それでも、眼が狂気的にぎらついているから、油断は禁物。
ダリナとグレリオは…やつれちゃいないが、顔が青い。
本来自分たちは…ここに来ていいのか、わからないのかも…。
でも、当事者だし何より…ラスタフォルス侯爵家の籍に入ってるわけだからな。
席についたギリアムが、開口一番、
「今回の話し合いに際し…。私からまずは、言っておくことがある」
相変わらず…通りのいい声ですこと…。
「ダイヤの気持ちについては…先日の裁判でしかと皆に伝えたから、この場でまたいう必要は
ないと思っている!!」
直訳:ダイヤの気持ちに変化はないから、蒸し返すなってことだな。
「そしてそののち…ダイヤはラスタフォルス侯爵家の相続権放棄者となった!!
これも…決定事項ゆえ、覆ることはない事を、ここに宣言させてもらう!!」
直訳:相続権放棄者になったのも、紛れもないダイヤの意思!!だな。
「そしてもう一つ!!
ファルメニウス公爵家で決定した事項があるゆえ、それを…話して終わりとする」
きたきたきたぁ~。
私は…扇子で目から下を隠しつつ、周りを一瞥する準備を整える。
「ダイヤを含めた、フィリーの私兵に関しては!!!
私…ギリアム・アウススト・ファルメニウスと、オルフィリア・ファルメニウスの一代養子とし、
法的な手続きは全て終了した!!その事も伝えさせていただく!!以上だ!!」
さすがに…静寂が破られ、ざわつきが大きいな。
へーぜんとしている奴もいるが、あきらかな動揺が見て取れる奴もいる…。
補足するが一代養子とは…。
通常養子をとった場合、その家を代々継いでいくのは、養子の子供たちになる。
だが…庶子にも一定の権利を与えるべき…と言う声は、昔も出た訳で…。
それで出来上がったのが、一代養子。
その子一代だけ…権利を与え、権利の世襲はしない…というもの。
もちろん権利の幅も、正式な嫡子よりずっと低いし、財産とて…年金程度の物が貰えるだけ。
とはいえ…養子は養子だ。
今回コイツを利用したのさ。
え?どうしてそんなことをしたかって?
それは…私が王家のパーティーで…傍系がダリアの説得に応じたと言って来たことを
ギリアムに話し…二人で考えて導き出した答えに由来する。
そもそも傍系たちは…ダイヤを疎ましく思っているものが、大半だろう。
今更…貴族教育など何も受けていない犯罪者が、自分達より爵位が上の本家に居座られては
たまったもんだじゃない。
ダイヤの性格うんぬんではなく、それが…ある程度の階級社会、貴族社会の考え方だ。
そこをやんややんや言った所で、意味などない。
それを無理やり了承させたのは、レファイラとゾフィーナくそばばぁの力だろうが…。
このままダイヤたちを宙ぶらりんにさせておいて、いい事はないと判断したのさ。
だから…一代養子の制度を利用しようという事になった。
養子となれば…子供である以上、こちらに何の知らせもなく、いきなり何かをしたりは
出来ないからね。
フィリー軍団が嫌がったら、一時的に…ダイヤだけと思ったんだが…。
みんな…めっちゃ喜んでくれた…うん。
さて…。
私は…傍系たちを見据えながら、思う。
この話し合い…上手くまとまって欲しいな…。
グレダル卿はいい人だから、これ以上苦しんで欲しくないし…。
「じゃあ…心行くまで、ラスタフォルス侯爵家と話をしてくれ」
ギリアムは…ざわつきなど全く気にせず、席につき、お茶を飲み飲み…。
私も…涼しい顔で、お菓子をカリカリ。
「あ…あの…ギリアム公爵閣下…」
出てきたのはジェルフの父親…名前は確か、ジェルグだったか…。
……やっぱり、テメェかよ。
私は…お菓子をカリカリしながら、静かにポーカーフェイスの下で睨みつけた。
「い、一代養子とは言え…彼らは犯罪者…」
「だから何かね?私は気にしないが?」
キッパリギリアム…。
私の方を向いたから、にっこりと、
「私も気にしませんわ」
答えてやったよ、へっ!!
「な、なぜこちらに…何の話も…」
「なぜキミに?キミは何様だ?
そもそもダイヤは正式に、ラスタフォルス侯爵家の相続権放棄者となったからね。
余計そちらに何か言う必要は無いだろう?
ファルメニウス公爵家内部の事など、なぜ言う必要が?」
こういう時…ギリアムの杓子定規さは助かる。
かな~り、有無を言わせないうえ、ぐさりとくるからね。
「それより…この話し合いは、あくまでラスタフォルス侯爵家と傍系との話し合いだろう?
私とフィリーは…どうしても立ち会って欲しいと、複数から言われたし、ダイヤの事があったから
無下に無視するわけにいかないと判断した。
ゆえにいるだけだ。
で、参加するからには、こちらの発表事項もついでに言わせてもらったに過ぎない。
話し合いをする気が無いなら、私とフィリーはお暇させてもらう。
キミたち全員、早々に出て行きたまえ」
ギリアムがこう言ったら、本当にそうする…と、誰もがわかるだろう。
「申し訳ございません、ギリアム公爵閣下…」
グレダル卿が出てきたよ。
こっちも兄に負けず劣らず、げっそり…。
まあ…ジェルフのバカがやったこと…けっこうでかでかと新聞に載ったからなぁ…。
「立ち合いに応じて頂いただけでなく、場所までお貸しくださったにも関わらず、出すぎた真似を
いたしました…」
「わかっているならいい。なら…この話は終わりにしてくれ。
別にキミの息子でなく、別の人間に言われたって、私の答えは変わらない」
この場では本当に…この杓子定規なキッパリ具合はありがたいし、頼もしい…。
ジェルグは…来た時は血色が良かったのに、今は真っ青だ…。
全く…。ファルメニウス公爵家相手に謀略なんて、できるタマだと思ってたなら、ジェルフの
馬鹿さ加減は、完全にコイツの遺伝だな。
「なら改めて…もういい加減、ラスタフォルス侯爵家の跡継ぎをどうするか、正式に決めて
頂けませんか?伯父様…」
そう言ってきたのは、グレダル卿の次男だった。
名前はもちろんあるが、この場ではわかりやすいように、この呼び方にしよう…うん。
私の頭はギリアムじゃないから、この場の全員の名前を把握するなんて、無理だ…うん。
「そうですよ…。
伯父様が決める事だと言う父の意向を、ずっと尊重して黙ってましたがね…。
一連のダイヤの件で、皆困惑しているし、迷惑しているんです。
ダイヤがラスタフォルス侯爵家に戻ることは、完全になくなったと、分かったのですから…」
グレダル三男も、次男に続き声を上げる。
この2人は…ジェルグの馬鹿よりマトモなようだ…。
「何を言っているんですか!!ラスタフォルス侯爵家を継ぐのはダイヤです!!
ダイヤは…唯一の正式な血を引く跡取りなんです!!
グレッドの…主人の血を引く唯一の…」
……やっぱり、まだ懲りてないのかよ、ダリアよぉ…。
匿名発表にしといて、正解だったなぁ…。
「血を引く血を引かないはさておき、本人があれほど徹底拒否をしているのに、無駄でしょう?
大体…相続権放棄者の書類にサインしたのは、お義伯母様じゃないですか。
ましてファルメニウス公爵家の一代養子となったなら、完全にファルメニウス公爵家の籍です。
それだって、本人の望みなんでしょう?」
ちらりとダイヤを見るから、私は目で合図を送る。
「ええ。もちろんです。
私は…ご当主様と奥様には、大変な恩義を感じていますし、お二人が大好きです。
この話が出た時…二つ返事で了承しました。今とても、幸せですよ」
とってもいい笑顔ですこと、ほほほ。
「嘘です!!ファルメニウス公爵家が脅して」
「もうやめないか!!ダリア!!」
さすがに…グレンフォ卿が止めたよ。
「ここまでハッキリと、ダイヤが拒否しているのに、なぜ認めないんだ!!
だからダイヤが…金輪際うちと関わりたくないと、思ってしまったんだ!!
お前のその態度が!!そうさせていると、いい加減認めろ!!」
「なぜですか!!アナタ!!ダイヤはラスタフォルス侯爵家の正当な血を引いているんですよ!!
私達の正当な血を!!そのダイヤがラスタフォルス侯爵家の跡を継がずに、誰が継ぐのですか!!
私はダイヤ以外の跡取りは、絶対に認めません!!」
……イライザが捕えられたことで、ちょっとはしおらしくなるかと思いきや。
ゾフィーナくそばばぁと同じで、死んでも治らんタイプや、これは…。
私は…ポーカーフェイスの下で、深ーいため息をついたよ…ホントにさ…。
しょーもなさすぎ!!
「はい!!奥様!!」
本日は…ラスタフォルス侯爵家と傍系との話し合いだ。
私とギリアムに同席して欲しい…と、言われたので、了承した。
ここまで…関わった以上、もうしょうがないと思っている。
「今日は…どうもありがとうございます。
私達の事で…ここまでご迷惑をおかけしたのに、対応して頂いて…」
ヒルダ夫人が頭を下げてくれた。
「構いません。それより…お体は大丈夫ですか?」
私が心配そうに言えば、
「色々ご配慮くださっているので、大事無いです…」
にっこりと笑ってくれた。
ヒルダ夫人にも…今日の話し合いに参加してもらう。
まあ…自分の直系血族だからね…。無視するわけにはいかんだろう。
イザベラ夫人は…引っ込んでてもらう。
ダイヤの事には一応ケリがついたし…。
もし必要なら、出てきてもらえばいいだけだ。
というわけで、話し合いの場所は…ファルメニウス公爵家としてもらった。
相手の陣地に行ってもいいんだけど…色々面倒くさいし。
「団長…。
全員滞りなく、配備完了しました」
ギリアムを呼び止めたのは、デイビス卿だった。
実は…護衛騎士だけじゃなく、王立騎士団第一師団にも、来てもらっている。
人数が人数だし…場合によっては、必要になるかもしれないから…。
「デイビス卿。ご苦労様です」
私が微笑みかけると、
「とんでもない。旅行は…妻共々楽しませていただきました。
あのようないい施設をお造りになるとは、さすがですね。
最後の…花火も素晴らしかったですし、お2人の考え方には、感銘を受けました」
素直に言ってくれるのが、嬉しいね。
「ギリアム様…。オルフィリア様…。皆さまお揃いでございます」
準備がユイリンが呼びに来てくれた。
「わかったわ。行きましょう、ギリアム…」
「ああ。これで…本当におしまいにしなければな…」
ギリアムも…私と同じ考えのようで、顔を…ぎゅっと引き締めた。
デイビス卿は持ち場に戻ったようで、いつの間にかいなくなっていた。
会場は…もちろん外。
大立ち回りを演じても、大丈夫なようにね。
ちょうど…季節もいいから、自然と外を会場に出来たし。
私達とヒルダ夫人が入ると…みな一斉に立ち上がり、ご挨拶してくれた。
やっぱり壮観だわ~。
直系血族だけじゃなく、その…連れ合いも含むから、かなりの人数…。
成人している人間には、全員来てもらうように言ったから…ね。
ラスタフォルス侯爵家の人間達はといえば、グレンフォ卿は中毒症状が抜けたから、退院した。
でも…どう見ても、やつれちまってるなぁ…。無理もないか…。
ダリアも…かなり痩せこけたな…。
それでも、眼が狂気的にぎらついているから、油断は禁物。
ダリナとグレリオは…やつれちゃいないが、顔が青い。
本来自分たちは…ここに来ていいのか、わからないのかも…。
でも、当事者だし何より…ラスタフォルス侯爵家の籍に入ってるわけだからな。
席についたギリアムが、開口一番、
「今回の話し合いに際し…。私からまずは、言っておくことがある」
相変わらず…通りのいい声ですこと…。
「ダイヤの気持ちについては…先日の裁判でしかと皆に伝えたから、この場でまたいう必要は
ないと思っている!!」
直訳:ダイヤの気持ちに変化はないから、蒸し返すなってことだな。
「そしてそののち…ダイヤはラスタフォルス侯爵家の相続権放棄者となった!!
これも…決定事項ゆえ、覆ることはない事を、ここに宣言させてもらう!!」
直訳:相続権放棄者になったのも、紛れもないダイヤの意思!!だな。
「そしてもう一つ!!
ファルメニウス公爵家で決定した事項があるゆえ、それを…話して終わりとする」
きたきたきたぁ~。
私は…扇子で目から下を隠しつつ、周りを一瞥する準備を整える。
「ダイヤを含めた、フィリーの私兵に関しては!!!
私…ギリアム・アウススト・ファルメニウスと、オルフィリア・ファルメニウスの一代養子とし、
法的な手続きは全て終了した!!その事も伝えさせていただく!!以上だ!!」
さすがに…静寂が破られ、ざわつきが大きいな。
へーぜんとしている奴もいるが、あきらかな動揺が見て取れる奴もいる…。
補足するが一代養子とは…。
通常養子をとった場合、その家を代々継いでいくのは、養子の子供たちになる。
だが…庶子にも一定の権利を与えるべき…と言う声は、昔も出た訳で…。
それで出来上がったのが、一代養子。
その子一代だけ…権利を与え、権利の世襲はしない…というもの。
もちろん権利の幅も、正式な嫡子よりずっと低いし、財産とて…年金程度の物が貰えるだけ。
とはいえ…養子は養子だ。
今回コイツを利用したのさ。
え?どうしてそんなことをしたかって?
それは…私が王家のパーティーで…傍系がダリアの説得に応じたと言って来たことを
ギリアムに話し…二人で考えて導き出した答えに由来する。
そもそも傍系たちは…ダイヤを疎ましく思っているものが、大半だろう。
今更…貴族教育など何も受けていない犯罪者が、自分達より爵位が上の本家に居座られては
たまったもんだじゃない。
ダイヤの性格うんぬんではなく、それが…ある程度の階級社会、貴族社会の考え方だ。
そこをやんややんや言った所で、意味などない。
それを無理やり了承させたのは、レファイラとゾフィーナくそばばぁの力だろうが…。
このままダイヤたちを宙ぶらりんにさせておいて、いい事はないと判断したのさ。
だから…一代養子の制度を利用しようという事になった。
養子となれば…子供である以上、こちらに何の知らせもなく、いきなり何かをしたりは
出来ないからね。
フィリー軍団が嫌がったら、一時的に…ダイヤだけと思ったんだが…。
みんな…めっちゃ喜んでくれた…うん。
さて…。
私は…傍系たちを見据えながら、思う。
この話し合い…上手くまとまって欲しいな…。
グレダル卿はいい人だから、これ以上苦しんで欲しくないし…。
「じゃあ…心行くまで、ラスタフォルス侯爵家と話をしてくれ」
ギリアムは…ざわつきなど全く気にせず、席につき、お茶を飲み飲み…。
私も…涼しい顔で、お菓子をカリカリ。
「あ…あの…ギリアム公爵閣下…」
出てきたのはジェルフの父親…名前は確か、ジェルグだったか…。
……やっぱり、テメェかよ。
私は…お菓子をカリカリしながら、静かにポーカーフェイスの下で睨みつけた。
「い、一代養子とは言え…彼らは犯罪者…」
「だから何かね?私は気にしないが?」
キッパリギリアム…。
私の方を向いたから、にっこりと、
「私も気にしませんわ」
答えてやったよ、へっ!!
「な、なぜこちらに…何の話も…」
「なぜキミに?キミは何様だ?
そもそもダイヤは正式に、ラスタフォルス侯爵家の相続権放棄者となったからね。
余計そちらに何か言う必要は無いだろう?
ファルメニウス公爵家内部の事など、なぜ言う必要が?」
こういう時…ギリアムの杓子定規さは助かる。
かな~り、有無を言わせないうえ、ぐさりとくるからね。
「それより…この話し合いは、あくまでラスタフォルス侯爵家と傍系との話し合いだろう?
私とフィリーは…どうしても立ち会って欲しいと、複数から言われたし、ダイヤの事があったから
無下に無視するわけにいかないと判断した。
ゆえにいるだけだ。
で、参加するからには、こちらの発表事項もついでに言わせてもらったに過ぎない。
話し合いをする気が無いなら、私とフィリーはお暇させてもらう。
キミたち全員、早々に出て行きたまえ」
ギリアムがこう言ったら、本当にそうする…と、誰もがわかるだろう。
「申し訳ございません、ギリアム公爵閣下…」
グレダル卿が出てきたよ。
こっちも兄に負けず劣らず、げっそり…。
まあ…ジェルフのバカがやったこと…けっこうでかでかと新聞に載ったからなぁ…。
「立ち合いに応じて頂いただけでなく、場所までお貸しくださったにも関わらず、出すぎた真似を
いたしました…」
「わかっているならいい。なら…この話は終わりにしてくれ。
別にキミの息子でなく、別の人間に言われたって、私の答えは変わらない」
この場では本当に…この杓子定規なキッパリ具合はありがたいし、頼もしい…。
ジェルグは…来た時は血色が良かったのに、今は真っ青だ…。
全く…。ファルメニウス公爵家相手に謀略なんて、できるタマだと思ってたなら、ジェルフの
馬鹿さ加減は、完全にコイツの遺伝だな。
「なら改めて…もういい加減、ラスタフォルス侯爵家の跡継ぎをどうするか、正式に決めて
頂けませんか?伯父様…」
そう言ってきたのは、グレダル卿の次男だった。
名前はもちろんあるが、この場ではわかりやすいように、この呼び方にしよう…うん。
私の頭はギリアムじゃないから、この場の全員の名前を把握するなんて、無理だ…うん。
「そうですよ…。
伯父様が決める事だと言う父の意向を、ずっと尊重して黙ってましたがね…。
一連のダイヤの件で、皆困惑しているし、迷惑しているんです。
ダイヤがラスタフォルス侯爵家に戻ることは、完全になくなったと、分かったのですから…」
グレダル三男も、次男に続き声を上げる。
この2人は…ジェルグの馬鹿よりマトモなようだ…。
「何を言っているんですか!!ラスタフォルス侯爵家を継ぐのはダイヤです!!
ダイヤは…唯一の正式な血を引く跡取りなんです!!
グレッドの…主人の血を引く唯一の…」
……やっぱり、まだ懲りてないのかよ、ダリアよぉ…。
匿名発表にしといて、正解だったなぁ…。
「血を引く血を引かないはさておき、本人があれほど徹底拒否をしているのに、無駄でしょう?
大体…相続権放棄者の書類にサインしたのは、お義伯母様じゃないですか。
ましてファルメニウス公爵家の一代養子となったなら、完全にファルメニウス公爵家の籍です。
それだって、本人の望みなんでしょう?」
ちらりとダイヤを見るから、私は目で合図を送る。
「ええ。もちろんです。
私は…ご当主様と奥様には、大変な恩義を感じていますし、お二人が大好きです。
この話が出た時…二つ返事で了承しました。今とても、幸せですよ」
とってもいい笑顔ですこと、ほほほ。
「嘘です!!ファルメニウス公爵家が脅して」
「もうやめないか!!ダリア!!」
さすがに…グレンフォ卿が止めたよ。
「ここまでハッキリと、ダイヤが拒否しているのに、なぜ認めないんだ!!
だからダイヤが…金輪際うちと関わりたくないと、思ってしまったんだ!!
お前のその態度が!!そうさせていると、いい加減認めろ!!」
「なぜですか!!アナタ!!ダイヤはラスタフォルス侯爵家の正当な血を引いているんですよ!!
私達の正当な血を!!そのダイヤがラスタフォルス侯爵家の跡を継がずに、誰が継ぐのですか!!
私はダイヤ以外の跡取りは、絶対に認めません!!」
……イライザが捕えられたことで、ちょっとはしおらしくなるかと思いきや。
ゾフィーナくそばばぁと同じで、死んでも治らんタイプや、これは…。
私は…ポーカーフェイスの下で、深ーいため息をついたよ…ホントにさ…。
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