ひとまず一回ヤりましょう、公爵様12

木野 キノ子

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第5章 因縁

12 傍系との話し合い7

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「子供の頃のことは、同情に値するし…私はダリア夫人の事もシェイリの事も、許す気はない。
だが同時に…キミがダイヤにしたことも、許す気はない。
いい大人が、自分の自己満足の為に、人を傷付けようとしたんだからな」

「団長!!」

ギリアムが、また何か言おうとした時、薬瓶をギリアムから受け取ったデイビス卿が、
戻ってきて…。

「出たか?」

「はい…。しっかりと」

「なら…連行しろ。罪状は…ダイヤの殺害未遂及び、特級禁止薬物の所持、使用だ」

「!!?」

これには…ここにいる一同が驚いたのは、言うまでもない。
特級禁止薬物って…。買うのはもちろん、使用せず持っているだけでも、首が飛ぶ代物。

「ま、待て!!私は確かに毒薬を買ったが…特級禁止薬物など…」

「闇の業者には、たまにいるのさ」

「え?」

「相手が貴族だと…ゆすりたかりの為に、ワザと…毒物にそういったモノを混ぜる奴がな。
まあ…騙されていたとはいえ、人を殺すために買った事が明白だから…。
終身刑は免れないと思えよ」

「そ…そんな、そんな、そんな…」

何だか…放心状態やな…。
無理もないけど…。
シェイリの事だけでもショックだったろうに、業者にも騙されて…。

でもさ!!

闇の…裏の人間て、そういうもんだって、思わなきゃダメなんだって。
いいカモって思われたら、骨の髄どころか、魂までしゃぶりつくすんだからさ。

「ギ、ギリアム公爵閣下!!」

なんか…最後っ屁みたいに、息を吹き返すジェルグ。

「ダリア夫人の罪は、問わないのですか!!!
わ、私は!!怪我さえ負わされなければ!!もっと真っ当に…」

「もちろん話は聞くさ。
ただ…キミの腕の事も、ダリア夫人との確執も、シェイリの事も…ダイヤには何の関係もない。
もっと言えば…キミがダイヤを狙った理由は、利己的で自分勝手すぎてお話にならない。
だから…私はキミをキッチリ裁いてやるから、覚悟しろ!!」

ギリアムの目が…冷たく…ぎらつく。

「一体どうして、ダイヤを…」

そう聞いて来たヒルダ夫人は真っ青。丹力のある人だが…さすがにお体が心配だ。

「それについては、わたくしから…」

私は…ヒルダ夫人の様子を見る意味もあって、私は近くに寄る。

「腕を怪我した後のジェルグ卿は…事あるごとに、グレッド卿に突っかかるようになったんです。
実際…その様を、グレッド卿と同世代の方は、一度は見たことがあると思います」

グレダル卿の子供たちが…頷いてるよ。

「そして…グレッド卿とイザベラ夫人が、とても親しかったのを目撃して…。
イザベラ夫人にちょっかいを出し始めましてね…」

「まあ…それは初耳ですね」

「ええ。その頃…グレッド卿は騎士として強くなっていましたし、イザベラ夫人はグレッド卿を
愛していたから、相手にしなかったんです。
ただ…どうも、最初はグレッド卿へのやっかみから、ちょっかいを出したようですが…。
イザベラ夫人が噂通りの悪女でなく、本当は…とても健気な女性だとわかって、惹かれるように
なったそうです」

ダイヤの前では言いたくないんだけど…、当時の状況を鑑みるに、そうなんだよな…。

「確かに…その頃、意中の人がいるから、嫁にしたい。
連れて来るから、見てくれ…と、言われたっけなぁ…」

「ええ。でも…結局、誰も連れて来なくて、見合いをさせたんでしたよね」

グレダル卿とエニシル夫人が…当時を思い出しているようだ。

「まあ…イザベラ夫人は、グレッド卿と駆け落ちしちゃいましたからね…」

連れてこれるわきゃない。
それに…イザベラ夫人が帰って来た時には…ジェルグはちょうど結婚したばかりで、
イザベラ夫人も面会できない状態だったから、どうしようもなかったのさ。

「ダイヤを殺そうとしたのは、イザベラ夫人とグレッド卿の子供だからです。
それだけ!!以上!!」

もう…面倒くさいから、これでいいや。
どんなドラマがあったとしても、殺人未遂者に違いないんだからさ。

「それじゃ、利己的で自分勝手って言われても、しょうがないですね…」

次男が代表で…締めてくれたよ。
他の皆も…一応に頷いてくれたから、もういいや~。あ~、すっきりした。

「ちょっと待て、コラぁ――――――――――っ!!」

ちっ!!やっぱりジェルグの大馬鹿が、文句たれおった。

「そもそもグレッドは、イライザと婚約してたんだ!!
それなのにイザベラとイチャイチャして…オレはそれを咎めたんだ!!
お前じゃイザベラを幸せにできないから、オレが幸せににするって言ったんだ!!
それなのに…2人とも聞く耳持たない!!
挙句に逃げやがった!!なのに何で、オレが咎められなきゃいけないんだ!!」

「婚約者がいる状態で、イザベラ夫人と仲良くしていたのは、確かにグレッド卿に
非があります。
ですが…だからと言って、アナタに添いたいかどうかは、イザベラ夫人の自由ですよ。
アナタは選ばれなかった…それだけです、終わり」

ジェルフの中二病っぷりは…思うにコイツの遺伝だと思うんだ。
だから…ちょっと相手にすんのヤなのよ…。
勘だけど。

「オレは…ダリア夫人とは別に、グレッドを探したんだ…」

やっぱり始まったぁ~、自分史語りがぁ~。メンド癖!!

「ダリナとグレリオを見て…アイツの子供じゃないって、オレもすぐにわかった。
どう見てもどっちにも似てないし…何より髪と眼の色が、ラスタフォルス侯爵家の血統に
ない色だったし…。
グレッドとイザベラは上手くいかなかった!!
アイツは…世間に恥ずかしくて顔を出せなくて、きっとどこかで、惨めに暮らしているんだと
思った。
そして思い立った。よくイザベラに、手作りのアクセサリーを作っていたから…もしかして…と
思って…。装飾品の工房を調べて回ったんだ…」

なるほど…。
認めずにやみくもに探したダリアより…的を得た探し方をしてたんだな。

「そして3年前…ようやっとグレッドとイザベラが住んでいた街を発見し…。
聞き込みをしたら…、やっぱりダリナとグレリオはグレッドの子供じゃなかった。
嘲笑ってやるつもりだったグレッドが…死んでいたのは残念だったが、教会の神父に
聞いたら…。
家族はいなかった。一人…さみしく死んだと聞いて、オレは勝ったんだと思った!!」

これ…実は協会の神父さんに、グレッド卿がお願いしてたんだよね。
自分の指定する人物以外には、家族がいたこと…絶対に話さないでほしいって。

「それにこれで…このネタで…ダリア夫人に仕返しが出来ると思った!!
ようやっと…オレにも運が向いてきた。
そう思って…着々と準備した。
ダリナとグレリオを叩き落としたら…傍系の中で一番血の近い、オレか息子を跡継ぎに
推薦してもらうよう…随分と根回ししたさ…。
そうやって…後はただ、グレンフォ伯父様が弱るのを待つだけ…。
そう考えて…ほくそ笑んでた…。上手くいく…ハズだったのに…」

ぎろりとダイヤを見上げ…。

「なのに…なのに!!お前が現れてから、全てが変っちまった!!
お前を見たのは、収穫祭の時…グレンフォ伯父様と揉み合っている所だった。
心底驚いた!!
その顔!!まさに…グレッドの血を引いていると、一目でわかるものだった!!
グレッドとイザベラが…共に生きた、確かな証!!それがお前だと!!」

唾を飛ばしながら、あらん限り叫ぶ。

「オレは…騎士になりたくても、腕を潰されて、騎士になれなかった!!
それなのにお前は…ファルメニウス公爵夫人の護衛騎士だと?
この国で…一番名誉のある護衛騎士だと?!ふざけるのも大概にしろ!!」

それ…ダイヤのせいじゃないよ?わかってねぇだろうが。

「おまけにあんな…大舞台で活躍して…。
ファルメニウス公爵家で大切に扱われ、家族だと言われ、庇われて…。
お前なんかに、そんな権利があるかぁ!!」

こっちの勝手じゃ!!私達がダイヤに権利を与えたいと思ったから、与えたまで。

「お前らだってお前らだ!!」

おいおーい、私とギリアムをオマエ呼ばわり?
まあ、命が要らないんだと思うから、いいけど。

「なんであれだけ、グレッドの子供だって証拠があるのに!!
ラスタフォルス侯爵家にとっとと返さないんだ!!」

「ん?そりゃぁ…返せば酷いことになる事、日記を読んでわかったし。
ダイヤは物じゃない。家族だ。
嫌だと言うのに、そもそも強要する気はない。
そして迎え入れる気があっても、準備の整っていない家に、行かせる気はない。
裁判で散々言っただろうが」

ギリアム…淡々としてる。

「だいたい…返したら、ダイヤを害せるように、キミはラスタフォルス侯爵家の使用人を
抱き込み済みだろう?証拠は握っているぞ。
こっちの調査でこれもハッキリしたんでな。
ラスタフォルス侯爵家…ダリア夫人は全く気付いていないから、余計返さんよ」

「ついでに…ウチの使用人にも声をかけたそうだな。
私はキミをウチのブラックリストに入れてあったから、直ぐに報告が入ったよ。
ダイヤが行きたがれば、泳がせることも考えたが、必要なさそうだから、すぐに切った」

ギリアムの仕事は…鉄壁なんだよ。

「ファルメニウス公爵家が鉄壁の要塞と言われるのは、伊達ではないぞ。
杜撰な仕事しかできないなら、相手にするだけ無駄だと、もう少し浸透していると思ったんだがな」

フィリアム商会とファルメニウス銀行…流通と金の流れは完璧に把握…ついでに爵位も一位だから、
こっちの権力と権威も使える…。
どうやって崩す気だったんだ?アンタは。

ギリアムの言葉を聞き、プルプルと震え出したジェルグは、

「そもそもそいつは犯罪者だろうが!!普通の人間と同じにしていいわけが無いだろう!!
薄汚い犯罪者のくせに!!権利なんて与えるのがおかしいんだ!!
牢屋につないで、満足に食事もとらせないで、使い捨てにするのが普通だろう!!」

……アンタも今は犯罪者じゃん。
私の心の中でのツッコミは、当然ギリアムもそう思ったらしく、

「それがキミの考えなんだな。
私は…犯罪者にも一定の権利を与えているが、キミはいらないんだな。
じゃあ…お望み通り、満足に食事もとらず、労役に従事してもらおうか?
自分で言ったんだから、文句を言うなよ。
私は言った事は実行するから、キッチリ手配させてもらう」

あ…プルプルが増した。
真っ赤な顔して焼き豚みたい…。
ギリアムに盾突くのは無駄と判断したのか、再びダイヤの方を睨み、

「お前だけは…お前だけは、殺さないと、気が済まない!!!
オレの全てを踏みにじったグレッドと…オレを捨てたイザベラの子!!
お前だけは…お前だけは…」

私は…スカートの中をゴソゴソ。
んで…。

「いー加減に黙れや!!この…」

「弱い者いじめの、エセ騎士野郎――――――――っ!!」

ハリセンパンチを浴びせるのだった。
もう本当にムカついたから、畳み掛ける事にした。
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