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序章
セントラル・ニホニアへのスカイダイビング
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おねえさんは、グロリアに向けて、にっこりと微笑んだ。「お久しぶり」
「うん」グロリアは、この人にしては珍しいことにそっけない様子で返事をすると、スタンドテーブルに近づき、書類に記入をした。「変わらないなー」
おねえさんは、ふふふっ、と笑った。
ぼくは、おねえさんを見上げた。
ぼくは156cm。
グロリアは180cmと、背が高い方だが、おねえさんの方はさらに背が高い。多分、2m近くある。
おねえさんはにっこりと微笑んだ。
ぼくも笑顔を返した。
グロリアはぼくを見た。
ぼくは、魔法で自分の体を宙に浮かべて、スタンドテーブルの上の書類に記入をした。
【出入国記録 2010 #144】
書類には、いくつもの名前が並んでいた。記入に使われている文字や、記入されている名前を見るに、グロリアと同じ国出身の人たちのようだ。
記入を終えたぼくは、箒を手に生み出した。
「ニホニアね」と、グロリアは言った。
「はいはい」と、おねえさんは言って、ドアを開けた。
先日見たような大空が、ドアの向こうに広がっていた。
この場所はかなりの高度にあるが、部屋の中が気圧の変化による強風によって掻き乱される、などといったことはなかった。
グロリアは、箒も持たずに大空に飛び出した。
ぼくは、箒に乗って大空に出た。宙に滞空しながらおねえさんを振り返ると、彼女は優しく微笑んで、ぼくに向かって手を振った。ぼくも、彼女に手を振り返し、グロリアを追った。
ーーー
箒がなくても空を飛ぶことは出来る。ただ、それにはある程度以上の慣れが必要だ。
グロリアは、鳥のように両手を広げて、大空の中をものすごい速さで滑空していった。
ぼくも負けじと、箒に乗って彼女を追う。
追いかけっこをしているからか、いつもよりも速度が出ている気がする。
グロリアの横に追いついたと思ったら、グロリアは楽しそうな様子でぼくを一瞥して、再び速度を上げていく。
腕の差を見せつけられているようで、なんか悔しくて、ムカついた。
そこからはレースだった。
おかげで、先日よりも早く地表に降り立つことが出来た。
ーーー
石畳に足を着けたグロリアは、ジャケットを脱ぐと、それを振って、パッ、と、手品のように消した。瞬きをした次の瞬間には、グロリアの服装が変わっていた。白のTシャツに、七部丈の黒のパンツに、歩き易そうな水色のスニーカー。
魔法で生み出した物だ。
彼女の服はいつもハンドメイドで、その時々でシルエットやデザインが違う。
気に入った物が出来た時は、先程のジャケットのように消したりはせずに、小さく丸めてポケットにしまったりするようなので、先程のジャケットはそのラインには達していないようだった。
グロリアはタバコを咥えて火をつけた。「変わんないねーっ」その楽しそうな声から察するに、なんだかんだで、グロリアもこの世界が好きな様だ。「カフェ行こ。ドーナツドーナツ」と、グロリアはぼくの左腕を抱き寄せた。
グロリアの新しい服装も納得なほど、今日は暖かかった。
暖かいを通り越して、暑いくらいだ。
Tシャツの生地が分厚いから気が付かなかったけれど、グロリアはブラをしていなかった。
「うん」グロリアは、この人にしては珍しいことにそっけない様子で返事をすると、スタンドテーブルに近づき、書類に記入をした。「変わらないなー」
おねえさんは、ふふふっ、と笑った。
ぼくは、おねえさんを見上げた。
ぼくは156cm。
グロリアは180cmと、背が高い方だが、おねえさんの方はさらに背が高い。多分、2m近くある。
おねえさんはにっこりと微笑んだ。
ぼくも笑顔を返した。
グロリアはぼくを見た。
ぼくは、魔法で自分の体を宙に浮かべて、スタンドテーブルの上の書類に記入をした。
【出入国記録 2010 #144】
書類には、いくつもの名前が並んでいた。記入に使われている文字や、記入されている名前を見るに、グロリアと同じ国出身の人たちのようだ。
記入を終えたぼくは、箒を手に生み出した。
「ニホニアね」と、グロリアは言った。
「はいはい」と、おねえさんは言って、ドアを開けた。
先日見たような大空が、ドアの向こうに広がっていた。
この場所はかなりの高度にあるが、部屋の中が気圧の変化による強風によって掻き乱される、などといったことはなかった。
グロリアは、箒も持たずに大空に飛び出した。
ぼくは、箒に乗って大空に出た。宙に滞空しながらおねえさんを振り返ると、彼女は優しく微笑んで、ぼくに向かって手を振った。ぼくも、彼女に手を振り返し、グロリアを追った。
ーーー
箒がなくても空を飛ぶことは出来る。ただ、それにはある程度以上の慣れが必要だ。
グロリアは、鳥のように両手を広げて、大空の中をものすごい速さで滑空していった。
ぼくも負けじと、箒に乗って彼女を追う。
追いかけっこをしているからか、いつもよりも速度が出ている気がする。
グロリアの横に追いついたと思ったら、グロリアは楽しそうな様子でぼくを一瞥して、再び速度を上げていく。
腕の差を見せつけられているようで、なんか悔しくて、ムカついた。
そこからはレースだった。
おかげで、先日よりも早く地表に降り立つことが出来た。
ーーー
石畳に足を着けたグロリアは、ジャケットを脱ぐと、それを振って、パッ、と、手品のように消した。瞬きをした次の瞬間には、グロリアの服装が変わっていた。白のTシャツに、七部丈の黒のパンツに、歩き易そうな水色のスニーカー。
魔法で生み出した物だ。
彼女の服はいつもハンドメイドで、その時々でシルエットやデザインが違う。
気に入った物が出来た時は、先程のジャケットのように消したりはせずに、小さく丸めてポケットにしまったりするようなので、先程のジャケットはそのラインには達していないようだった。
グロリアはタバコを咥えて火をつけた。「変わんないねーっ」その楽しそうな声から察するに、なんだかんだで、グロリアもこの世界が好きな様だ。「カフェ行こ。ドーナツドーナツ」と、グロリアはぼくの左腕を抱き寄せた。
グロリアの新しい服装も納得なほど、今日は暖かかった。
暖かいを通り越して、暑いくらいだ。
Tシャツの生地が分厚いから気が付かなかったけれど、グロリアはブラをしていなかった。
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