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第六章 冒険編 出来損ないの小鳥
真緒 VS 聖一
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「正直、ホッとしているんだ」
「えっ?」
真緒と聖一が互いに武器を構える中、聖一が言葉を漏らした。
「集団戦闘になった場合、真緒さんの師匠も参戦してしまう。そうなった場合、僕達に勝ち目はなかったよ」
「師匠が…………?」
真緒はエジタスがいる方向に顔を向けると、エジタスは目が合った真緒に手を振って、意志疎通を図った。
「君が思っている以上にエジタスさんは強いよ。…………真緒さん、僕はね生き物全てに“色”があると考えているんだ」
「“色”、ですか?」
戦闘の前に突然、自分の考えを喋り始める聖一。
「魚や鳥や虫には、それぞれの目立った特徴が存在する。僕はその特徴を色として認識するんだ。特に人間は色濃く浮き出る…………性格が悪い人間、金に貪欲な人間、色恋が激しい人間、色々とね。だけど、エジタスさんは違う…………あの人は複数の色を持っているんだ!!」
「複数!?」
エジタスの話とあって、真緒はどんどん話を聞き入ってしまう。聖一の額から汗が流れ落ちる。
「そう、人間はどんなに性格を変えようと頑張っても、本質は変わらない。しかし、エジタスさんは少なくとも二つの色を持っている!!…………恐怖すら感じた、鳥肌が立ったよ」
「師匠が二つの色を…………」
人間は色を持っている。そう例えた考えを持つ聖一が今まで会って来た人物は皆、色が一つしか無かったのだ。あの歴戦を潜り抜けて来たカルド王でさえも一つだけ、赤色に見えていた。
「やっぱり師匠は凄いです!!」
「…………えっ?」
聖一の話を聞き終えた真緒は、エジタスに対する尊敬の言葉を述べた。
「戦闘の指南や技術だけじゃなく、そもそもが常人と違う。流石、私の師匠です!」
「…………あっ、あはははは!!」
真緒の意外な言葉に聖一は、思わず笑ってしまう。
「いやー、やっぱり真緒さん、君は素晴らしいよ!」
「そ、そんな事ありませんよ……」
「謙遜しなくてもいいよ…………真緒さん、今からでも遅く無い。僕達の仲間にならないか?」
「聖一さん…………前にも言いましたけど私は…………」
二度目の勧誘に戸惑いを見せる真緒。
「ならこうしよう、この勝負そちらが勝ったら、僕達は大人しく手を引こう。だけど、こちらが勝ったら真緒さん、君には僕達の仲間になって貰うよ」
「そんな条件、呑める筈がありません!!」
明らかに無理のある条件に、真緒は当然の如く断りを入れる。
「確かにそうかもしれない。だけど、本当にそれでいいのかい?」
「どういう意味ですか……?」
「この先君は、行く先々で理不尽な条件を突き付けられる事だと思う。そんな時に今みたいに、逃げる選択ばかりしていては重要な選択が迫られた時、逃げる姿勢を取ってしまうだろう。それでも良いのかい?」
「………………」
真緒は考える。聖一の意見にも一理ある。ずっと逃げ腰の姿勢を取っていたら、大事な時にも逃げる事しか考えなくなってしまう。数十秒後、真緒が選択した答えは…………。
「……分かりました。その勝負受けましょう」
「そうか、そう言って貰えて嬉しい……よ!!」
「!!!」
言質は取ったと言わんばかりに、聖一は一瞬で間合いを詰めて、真緒に斬り掛かった。しかし、持ち前の反射神経で何とか回避する真緒。
「余所見は禁物だよ!!」
「くっ、ううう!!」
聖一の猛攻は続く。何度も、何度も、何度も、何度も真緒に斬り掛かって来た。
「はぁ、はぁ、はぁ…………」
「ははは、まさか全て防がれるなんて、君が初めてだよ」
聖一は、この世界に来て初めて自身の連続攻撃を防いだ真緒という強者に、喜びと興奮を覚えていた。
「今度はこちらの番です!!」
真緒は聖一に向かって斬り掛かった。しかし、聖一も持ち前の反射神経で回避する。真緒とは違い、余裕の表情を見せる。
「悪いが、負ける気は毛頭無い」
「それなら…………“ライト”!!」
「ま、眩しい!」
目が眩む程の強い閃光が真緒の手から放たれ、聖一は思わず目を瞑ってしまった。
「……い、いない!」
目が慣れてくると、真緒の姿は目の前から消えていた。
「うーん、まぁ普通に考えて…………後ろかな?」
聖一は持っていた剣を背中に回し、後ろにいた真緒の斬激を防いだ。
「そんな!?」
「中々良い攻撃だったけど、完璧な僕には効かないよ」
「くっ……仕方ない、痛いと思うけど……ごめん!スキル“ロストブレイク”!!」
真緒は人間相手に気が引けていたが、形振り構っていられないと判断し、スキルを発動する。
「大丈夫だよ。当たらなければ、痛くは無いから」
しかし、スキル“ロストブレイク”でさえも聖一は、軽く回避した。
「嘘…………至近距離のロストブレイクをかわすだなんて……」
「中々、強力な技みたいだけど使う人の動きが単調すぎるね。けど折角スキルを見せてくれたんだ、お礼に僕も少し見せようかな…………スキル“パーフェクト”」
その瞬間、聖一の全身が黄金色に輝き始めた。
「…………パーフェクト?」
「このスキルは、自身のステータスを十倍にしてくれるんだ。完璧な僕にピッタリなスキルだろ?」
「ステータス上昇!?それだったら…………」
上昇という効果に真緒は、徐に剣を縦に構える。
「“純白の剣”!!」
すると真緒の剣が真っ白に光輝き始め、聖一の全身を包んでいた黄金色が徐々にその光を失った。
「な、何、パーフェクトの力が消された!?」
「この純白の剣には、相手のステータス補正効果を無効化する能力があります!!」
「補正効果を無効にするだって…………?」
真緒の持つ純白の剣の能力によって、聖一のパーフェクトの効果は無効化された。
「あはははは、そんな能力を持っているだなんて。だから僕の剣、フォアリーフの能力が発動しなかったのか!」
聖一の持つ真っ黒な剣が妖しく、黒光りしていた。
「つまり真緒さん、君は世界で唯一僕と対等に戦える存在な訳だ!!ますます欲しくなったよ。君の様な人材は、完璧である僕にこそ相応しい女性だ!」
「相応しいかどうかなんて、勝手に決めないで下さい!!」
お互いに言葉を交わしながらも、休み無く剣を交わらせる。
「それならどうだろう?真緒さんだけじゃ無い。君の仲間達全員が僕の仲間にならないか?」
「それじゃあ、意味が無いんです!!私は、ハナちゃん、リーマ、フォルスさん、そして師匠の五人で旅を続けたいんです!」
真緒が素直に仲間に加わらないのは、残されてしまう仲間達の事を考えての物だと思った聖一が、他の四人も一緒に加わっても良いと提案するが、そもそもの意図を履き違えている。
「最終的には魔王に挑むんだ。人数は多い方が良いと思うけどな?」
「私達は、魔王に挑む気なんてありません!」
「でもそれだと、元の世界に帰れないよ?」
「私は元の世界に帰るつもりはありません!!この世界で生きて行くつもりです!その為にも、この世界の事をもっと知りたい。そんな思いで私達は旅をしているんです!!」
「!!!」
聖一はこの時初めて知った。真緒の目的に魔王討伐が無い事、元の世界に戻るつもりは無い事、すると聖一は途中で攻撃を止め俯いた。
「…………そうだったのか、それはすまない事をしてしまったね。君達の事情も考えずに無理に誘ってしまって…………」
「聖一さん……分かってくれたん「だけど」…………えっ?」
「寧ろ、より一層君達が欲しくなったよ!!」
聖一が急に顔を上げると、突然攻撃を再開した。
「!!…………さ、さっきの攻撃よりも早い!!」
そう、聖一の攻撃スピードは先程よりも格段に上がっていた。力を隠していたのか、真緒が対処仕切れない程の早さで斬り掛かる。
「はあ!」
「きゃあ!!」
真緒はその攻撃スピードのまま、吹き飛ばされてしまった。
「このままじゃ負けちゃう。どうすれば…………」
真緒の脳裏には、ハナコ、リーマ、フォルス、エジタス、仲間達の顔が浮かんでいた。
「(嫌だ……こんな所で負けたくない。もっと皆と一緒に色んな場所を巡りたい……)」
真緒の剣を握る力が強くなっていく。
「(最後まで希望を捨てちゃ駄目だ…………諦めない、諦めない、絶対に……諦めない!!)」
真緒が決意を固めたその瞬間、全身が赤いオーラに包まれる。
「な、何だこれは!?」
「新スキル“フィーリングストライク”」
フィーリングストライク、感情の一撃の意味を持つこのスキルは、真緒がその時抱いている感情の強さに応じて、威力も変わっていく物である。
「まさか…………戦いの中で成長したのか?」
「いっけーーー!!!」
「真緒さん、君は本当に…………」
真緒の渾身の一撃が、聖一目掛けて放たれる。聖一はニッコリと笑い、そして…………。
「素晴らしい女性だ…………」
「!!?」
真緒の背後に立ち、首筋に剣を当てていた。
「そんな、どうして…………確かに当たった筈なのに……」
「答え合わせと行こうか、スキル“ミストボディ”」
そう言うと聖一の体は霧状に分裂し、消えて無くなってしまった。
「これは僕が、成長した時に手に入れた新しいスキルでね。自身の体を霧状に分裂させて、回避する能力なんだ」
言い終わると真緒の背後に霧状の粒子が集まり、再び首筋に剣を当てて来た。
「そしてこうやって、任意の場所や時間で元に戻る事が出来るのさ。まぁ、弱点があるとすれば、スキルの発動中は攻撃が全く当たらない代わりにこちらも攻撃が出来ない事や、空中の水分を抜かれると逆にこっちがダメージを負ってしまう事かな」
「そんな…………そんなのって……」
理不尽な結果。現実はテレビやゲームの様に上手く行かない。例え戦いの最中に新しいスキルに目覚めようが、絶対に勝てるとは限らない。
「それじゃあこの勝負…………」
「…………!!」
「僕達の…………」
「(皆…………ごめん……!!)」
弱い自分を悔やみながら、真緒は勝負の結果を聞く事しか出来なかった。
「負けだね!」
「…………へっ?」
「えっ?」
真緒と聖一が互いに武器を構える中、聖一が言葉を漏らした。
「集団戦闘になった場合、真緒さんの師匠も参戦してしまう。そうなった場合、僕達に勝ち目はなかったよ」
「師匠が…………?」
真緒はエジタスがいる方向に顔を向けると、エジタスは目が合った真緒に手を振って、意志疎通を図った。
「君が思っている以上にエジタスさんは強いよ。…………真緒さん、僕はね生き物全てに“色”があると考えているんだ」
「“色”、ですか?」
戦闘の前に突然、自分の考えを喋り始める聖一。
「魚や鳥や虫には、それぞれの目立った特徴が存在する。僕はその特徴を色として認識するんだ。特に人間は色濃く浮き出る…………性格が悪い人間、金に貪欲な人間、色恋が激しい人間、色々とね。だけど、エジタスさんは違う…………あの人は複数の色を持っているんだ!!」
「複数!?」
エジタスの話とあって、真緒はどんどん話を聞き入ってしまう。聖一の額から汗が流れ落ちる。
「そう、人間はどんなに性格を変えようと頑張っても、本質は変わらない。しかし、エジタスさんは少なくとも二つの色を持っている!!…………恐怖すら感じた、鳥肌が立ったよ」
「師匠が二つの色を…………」
人間は色を持っている。そう例えた考えを持つ聖一が今まで会って来た人物は皆、色が一つしか無かったのだ。あの歴戦を潜り抜けて来たカルド王でさえも一つだけ、赤色に見えていた。
「やっぱり師匠は凄いです!!」
「…………えっ?」
聖一の話を聞き終えた真緒は、エジタスに対する尊敬の言葉を述べた。
「戦闘の指南や技術だけじゃなく、そもそもが常人と違う。流石、私の師匠です!」
「…………あっ、あはははは!!」
真緒の意外な言葉に聖一は、思わず笑ってしまう。
「いやー、やっぱり真緒さん、君は素晴らしいよ!」
「そ、そんな事ありませんよ……」
「謙遜しなくてもいいよ…………真緒さん、今からでも遅く無い。僕達の仲間にならないか?」
「聖一さん…………前にも言いましたけど私は…………」
二度目の勧誘に戸惑いを見せる真緒。
「ならこうしよう、この勝負そちらが勝ったら、僕達は大人しく手を引こう。だけど、こちらが勝ったら真緒さん、君には僕達の仲間になって貰うよ」
「そんな条件、呑める筈がありません!!」
明らかに無理のある条件に、真緒は当然の如く断りを入れる。
「確かにそうかもしれない。だけど、本当にそれでいいのかい?」
「どういう意味ですか……?」
「この先君は、行く先々で理不尽な条件を突き付けられる事だと思う。そんな時に今みたいに、逃げる選択ばかりしていては重要な選択が迫られた時、逃げる姿勢を取ってしまうだろう。それでも良いのかい?」
「………………」
真緒は考える。聖一の意見にも一理ある。ずっと逃げ腰の姿勢を取っていたら、大事な時にも逃げる事しか考えなくなってしまう。数十秒後、真緒が選択した答えは…………。
「……分かりました。その勝負受けましょう」
「そうか、そう言って貰えて嬉しい……よ!!」
「!!!」
言質は取ったと言わんばかりに、聖一は一瞬で間合いを詰めて、真緒に斬り掛かった。しかし、持ち前の反射神経で何とか回避する真緒。
「余所見は禁物だよ!!」
「くっ、ううう!!」
聖一の猛攻は続く。何度も、何度も、何度も、何度も真緒に斬り掛かって来た。
「はぁ、はぁ、はぁ…………」
「ははは、まさか全て防がれるなんて、君が初めてだよ」
聖一は、この世界に来て初めて自身の連続攻撃を防いだ真緒という強者に、喜びと興奮を覚えていた。
「今度はこちらの番です!!」
真緒は聖一に向かって斬り掛かった。しかし、聖一も持ち前の反射神経で回避する。真緒とは違い、余裕の表情を見せる。
「悪いが、負ける気は毛頭無い」
「それなら…………“ライト”!!」
「ま、眩しい!」
目が眩む程の強い閃光が真緒の手から放たれ、聖一は思わず目を瞑ってしまった。
「……い、いない!」
目が慣れてくると、真緒の姿は目の前から消えていた。
「うーん、まぁ普通に考えて…………後ろかな?」
聖一は持っていた剣を背中に回し、後ろにいた真緒の斬激を防いだ。
「そんな!?」
「中々良い攻撃だったけど、完璧な僕には効かないよ」
「くっ……仕方ない、痛いと思うけど……ごめん!スキル“ロストブレイク”!!」
真緒は人間相手に気が引けていたが、形振り構っていられないと判断し、スキルを発動する。
「大丈夫だよ。当たらなければ、痛くは無いから」
しかし、スキル“ロストブレイク”でさえも聖一は、軽く回避した。
「嘘…………至近距離のロストブレイクをかわすだなんて……」
「中々、強力な技みたいだけど使う人の動きが単調すぎるね。けど折角スキルを見せてくれたんだ、お礼に僕も少し見せようかな…………スキル“パーフェクト”」
その瞬間、聖一の全身が黄金色に輝き始めた。
「…………パーフェクト?」
「このスキルは、自身のステータスを十倍にしてくれるんだ。完璧な僕にピッタリなスキルだろ?」
「ステータス上昇!?それだったら…………」
上昇という効果に真緒は、徐に剣を縦に構える。
「“純白の剣”!!」
すると真緒の剣が真っ白に光輝き始め、聖一の全身を包んでいた黄金色が徐々にその光を失った。
「な、何、パーフェクトの力が消された!?」
「この純白の剣には、相手のステータス補正効果を無効化する能力があります!!」
「補正効果を無効にするだって…………?」
真緒の持つ純白の剣の能力によって、聖一のパーフェクトの効果は無効化された。
「あはははは、そんな能力を持っているだなんて。だから僕の剣、フォアリーフの能力が発動しなかったのか!」
聖一の持つ真っ黒な剣が妖しく、黒光りしていた。
「つまり真緒さん、君は世界で唯一僕と対等に戦える存在な訳だ!!ますます欲しくなったよ。君の様な人材は、完璧である僕にこそ相応しい女性だ!」
「相応しいかどうかなんて、勝手に決めないで下さい!!」
お互いに言葉を交わしながらも、休み無く剣を交わらせる。
「それならどうだろう?真緒さんだけじゃ無い。君の仲間達全員が僕の仲間にならないか?」
「それじゃあ、意味が無いんです!!私は、ハナちゃん、リーマ、フォルスさん、そして師匠の五人で旅を続けたいんです!」
真緒が素直に仲間に加わらないのは、残されてしまう仲間達の事を考えての物だと思った聖一が、他の四人も一緒に加わっても良いと提案するが、そもそもの意図を履き違えている。
「最終的には魔王に挑むんだ。人数は多い方が良いと思うけどな?」
「私達は、魔王に挑む気なんてありません!」
「でもそれだと、元の世界に帰れないよ?」
「私は元の世界に帰るつもりはありません!!この世界で生きて行くつもりです!その為にも、この世界の事をもっと知りたい。そんな思いで私達は旅をしているんです!!」
「!!!」
聖一はこの時初めて知った。真緒の目的に魔王討伐が無い事、元の世界に戻るつもりは無い事、すると聖一は途中で攻撃を止め俯いた。
「…………そうだったのか、それはすまない事をしてしまったね。君達の事情も考えずに無理に誘ってしまって…………」
「聖一さん……分かってくれたん「だけど」…………えっ?」
「寧ろ、より一層君達が欲しくなったよ!!」
聖一が急に顔を上げると、突然攻撃を再開した。
「!!…………さ、さっきの攻撃よりも早い!!」
そう、聖一の攻撃スピードは先程よりも格段に上がっていた。力を隠していたのか、真緒が対処仕切れない程の早さで斬り掛かる。
「はあ!」
「きゃあ!!」
真緒はその攻撃スピードのまま、吹き飛ばされてしまった。
「このままじゃ負けちゃう。どうすれば…………」
真緒の脳裏には、ハナコ、リーマ、フォルス、エジタス、仲間達の顔が浮かんでいた。
「(嫌だ……こんな所で負けたくない。もっと皆と一緒に色んな場所を巡りたい……)」
真緒の剣を握る力が強くなっていく。
「(最後まで希望を捨てちゃ駄目だ…………諦めない、諦めない、絶対に……諦めない!!)」
真緒が決意を固めたその瞬間、全身が赤いオーラに包まれる。
「な、何だこれは!?」
「新スキル“フィーリングストライク”」
フィーリングストライク、感情の一撃の意味を持つこのスキルは、真緒がその時抱いている感情の強さに応じて、威力も変わっていく物である。
「まさか…………戦いの中で成長したのか?」
「いっけーーー!!!」
「真緒さん、君は本当に…………」
真緒の渾身の一撃が、聖一目掛けて放たれる。聖一はニッコリと笑い、そして…………。
「素晴らしい女性だ…………」
「!!?」
真緒の背後に立ち、首筋に剣を当てていた。
「そんな、どうして…………確かに当たった筈なのに……」
「答え合わせと行こうか、スキル“ミストボディ”」
そう言うと聖一の体は霧状に分裂し、消えて無くなってしまった。
「これは僕が、成長した時に手に入れた新しいスキルでね。自身の体を霧状に分裂させて、回避する能力なんだ」
言い終わると真緒の背後に霧状の粒子が集まり、再び首筋に剣を当てて来た。
「そしてこうやって、任意の場所や時間で元に戻る事が出来るのさ。まぁ、弱点があるとすれば、スキルの発動中は攻撃が全く当たらない代わりにこちらも攻撃が出来ない事や、空中の水分を抜かれると逆にこっちがダメージを負ってしまう事かな」
「そんな…………そんなのって……」
理不尽な結果。現実はテレビやゲームの様に上手く行かない。例え戦いの最中に新しいスキルに目覚めようが、絶対に勝てるとは限らない。
「それじゃあこの勝負…………」
「…………!!」
「僕達の…………」
「(皆…………ごめん……!!)」
弱い自分を悔やみながら、真緒は勝負の結果を聞く事しか出来なかった。
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