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第八章 冒険編 狂乱の王子ヴァルベルト
歓迎の食事
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「久し振りの客人の為、我は歓喜に触れている」
「どうしてこんな事に…………」
現在、真緒達は歓迎の食事を受ける為にヴァルベルトを先頭に食堂へと向かっていた。
「おいマオ、本当にいいのか?」
「何がですか?」
前を歩いているヴァルベルトに聞こえない様、小声で会話をする真緒達。
「相手はあの、魔王軍四天王の一人なんだぞ!?それなのに何故、一緒に食事をしようとしているんだ!?」
「だ、だって、歓迎の印と言っていましたから無下にも出来ないかなって…………」
自分達の為にわざわざ食事を用意してくれたのかと考えると、断るのは失礼だと思った真緒。
「だからって、素直に受け止めなくてもいいじゃないですか!?」
「マオぢゃん、今がらでも遅ぐない。断ろうよぉ……」
「そんな、一度受けた誘いを断るだなんてそれこそ失礼だよ!」
真緒の体に刻み込まれた日本人のDNAが、キッパリと断る事を拒絶してしまった。
「でもこのままだと……「さぁ、着いたぞ」」
真緒達が戻るか戻らないかで言い合っていると、いつの間にか食堂に辿り着いてしまっていた。玄関並みの大きな両扉があった。
「ここが、我が城自慢の食堂だ」
「こ、これは…………!!?」
扉を開けるとそこには、縦長のテーブルに様々な料理の数々が置かれており、しっかりと人数分の席も用意されていた。そして、その一番奥の席の側に一人の女性が立っていた。
「皆様、ようこそお越し下さいました。本日は心行くまでお楽しみ下さい」
女性は真緒達に歩み寄ると、律儀にお辞儀をした。お世辞にも美しいとは言えず、かと言って不細工とも言えないとても素朴な顔立ちであった。そんな女性は黄色と白の色鮮やかなドレスに身を包んでいた。
「あなたは…………」
「紹介が遅れたな、彼女は“エル”我の婚約者だ」
「「「「えっ!?」」」」
今日一番の驚きだった。あの王国の兵士五百人あまりを全滅させた四天王が、婚約していたのだ。
「どうかしたのかな?」
「あ、いえ……ちょっと驚いてしまって…………」
「ああ、エルのあまりの美しさに驚いてしまったのだな!」
「ふふふ、もう……ヴァルベルト様ったら…………」
ヴァルベルトの言葉に、片手で口を抑えながら上品に笑うエル。
「さて、立ち話もなんだ……早速食事をしようではないか」
「えっ、あ、その……はい……」
「「「(マオ!!!)」」」
淡々と進む歓迎の食事に、断るタイミングを逃した真緒。そのせいでエジタス以外の全員から睨まれる事となった。
***
「ほぉ…………では君達は、世界を巡る旅をしているのかね?」
「はい、今は“クラウドツリー”を目的地にして旅をしています」
四天王ヴァルベルトとの奇妙な食事をしている中、何を目的に旅しているのかで会話を弾ませていた。
「“クラウドツリー”か……あそこはそう簡単には登る事が出来ない場所だ」
「はい、それでも私達は行きます!」
「そうか……君達の旅は一筋縄では行かないだろうが、きっと成し遂げられる……頑張ってくれ」
「はい、ありがとうございます!!」
ヴァルベルトの声援に感謝する真緒。二人が楽しく食事をする中で、二人を疑惑の眼差しで見つめる三人がいた。
「(マオの奴……どうしてあんなに楽しそうに会話していられるんだ!?)」
「(相手は魔王軍四天王……いつ襲い掛かって来るか分からないのに…………気が緩み過ぎですよ!!)」
「(マオぢゃん、楽じぞうに会話じでいるだなぁ……あれが強者の余裕って言うのがなぁ…………)」
二人の会話に、ある者は疑問を抱き、ある者は怒りを覚え、ある者は自身の弱さに嘆いていた。
「どうかなさいましたか?もしかして、苦手な物がございましたでしょうか?」
真緒とヴァルベルトの事を見つめるあまり、料理に手をつけていなかった三人。その為、エルに心配されてしまった。
「い、いや……少しボーッとしていただけなので心配しないで下さい。頂きます…………美味しい」
「本当……凄く美味しい」
「美味じいだぁ!!」
これ以上怪しまれない様に食事をする三人は、料理の美味しさに驚いた。
「美味しいであろう。この料理は全てエルが一人で作ったのだ」
「一人でこの数の料理を作ったんですか!?」
「それは凄いな…………」
「素晴らしい腕前の持ち主ですね~」
「そんなに褒められると照れてしまいます……」
エルは、真緒達の言葉に優しく微笑み返した。
「…………ヴァルベルトさん、一つお聞きしても宜しいですか?」
「ん、何かね?」
「ヴァルベルトさんは魔王軍四天王の一人なんですか?」
「「「「!!!」」」」
聞いた。全員が疑問に感じていた事、この男は本当に四天王のヴァルベルトなのか…………。
「…………ああ我は、確かに魔王軍四天王…………だった」
「だった?」
「脱退したのだ。諸事情でな…………」
遂に知られる事となった。ヴァルベルトの四天王脱退、そしてある一人の男に不安が過る。
「それじゃあ今、魔王軍は四天王が三人しかいないという事ですか?」
「いや、新しく四天王が追加されたと聞いた」
「!!!」
「確か名前は…………「四天王を脱退したのならば、何故こんな沼地に住んでいるのですか~!?」」
新しく追加された四天王が、エジタスだとバレるのを防ぐ為に、慌てて話題を反らした。
「ん……ああ、四天王に身を置きながら魔王軍を脱退してしまったからな……今でも命を狙われているのだ」
「いったい何故四天王をお辞めになったのですか~?その辺の話を詳しく聞かせて下さい!」
「すまない……その時の話はあまりしたくないのだ」
「師匠!!話したく無い事だってあるんですから、しつこく聞くのは失礼ですよ!」
「いや~、すみません。ついつい気になってしまって~」
しつこく聞く事によって、場の空気を悪くさせたエジタスは、これ以上この話題が続かないだろうと、ホッと胸を撫で下ろした。
「少し……疲れてしまったな。悪いが部屋で休ませて貰うよ……今日はもう遅い、君達も泊まって行くといい。部屋は沢山あるからな……エル、すまないがこの人達を部屋までお連れしてくれ」
「分かりました」
そう言うとヴァルベルトは、思い詰めた表情をしながら食堂を後にした。
「ヴァルベルトさん…………もう、師匠のせいですからね!」
「本当に申し訳ありません…………」
「それでは皆様、僭越ながら私がお部屋までご案内します。私の後について来て下さい」
「は、はい……」
こうして、真緒達の歓迎の食事は終わりエルの案内の下、各部屋へとついて行くのであった。
長い廊下。途中で席を立ち、食堂を後にしたヴァルベルトは自室へと向かっていた。
「…………」
するとピタリと立ち止まり、独り言を呟く様に口を開いた。
「後は計画通りに頼んだぞ……」
「「お任せ下さい……」」
いつの間にか現れた二人の人影は、ヴァルベルトの言葉を聞いた瞬間、その場から姿を消した。
「…………」
そしてヴァルベルトは、何事も無かったかの様に自室へと歩き始めるのであった。
「どうしてこんな事に…………」
現在、真緒達は歓迎の食事を受ける為にヴァルベルトを先頭に食堂へと向かっていた。
「おいマオ、本当にいいのか?」
「何がですか?」
前を歩いているヴァルベルトに聞こえない様、小声で会話をする真緒達。
「相手はあの、魔王軍四天王の一人なんだぞ!?それなのに何故、一緒に食事をしようとしているんだ!?」
「だ、だって、歓迎の印と言っていましたから無下にも出来ないかなって…………」
自分達の為にわざわざ食事を用意してくれたのかと考えると、断るのは失礼だと思った真緒。
「だからって、素直に受け止めなくてもいいじゃないですか!?」
「マオぢゃん、今がらでも遅ぐない。断ろうよぉ……」
「そんな、一度受けた誘いを断るだなんてそれこそ失礼だよ!」
真緒の体に刻み込まれた日本人のDNAが、キッパリと断る事を拒絶してしまった。
「でもこのままだと……「さぁ、着いたぞ」」
真緒達が戻るか戻らないかで言い合っていると、いつの間にか食堂に辿り着いてしまっていた。玄関並みの大きな両扉があった。
「ここが、我が城自慢の食堂だ」
「こ、これは…………!!?」
扉を開けるとそこには、縦長のテーブルに様々な料理の数々が置かれており、しっかりと人数分の席も用意されていた。そして、その一番奥の席の側に一人の女性が立っていた。
「皆様、ようこそお越し下さいました。本日は心行くまでお楽しみ下さい」
女性は真緒達に歩み寄ると、律儀にお辞儀をした。お世辞にも美しいとは言えず、かと言って不細工とも言えないとても素朴な顔立ちであった。そんな女性は黄色と白の色鮮やかなドレスに身を包んでいた。
「あなたは…………」
「紹介が遅れたな、彼女は“エル”我の婚約者だ」
「「「「えっ!?」」」」
今日一番の驚きだった。あの王国の兵士五百人あまりを全滅させた四天王が、婚約していたのだ。
「どうかしたのかな?」
「あ、いえ……ちょっと驚いてしまって…………」
「ああ、エルのあまりの美しさに驚いてしまったのだな!」
「ふふふ、もう……ヴァルベルト様ったら…………」
ヴァルベルトの言葉に、片手で口を抑えながら上品に笑うエル。
「さて、立ち話もなんだ……早速食事をしようではないか」
「えっ、あ、その……はい……」
「「「(マオ!!!)」」」
淡々と進む歓迎の食事に、断るタイミングを逃した真緒。そのせいでエジタス以外の全員から睨まれる事となった。
***
「ほぉ…………では君達は、世界を巡る旅をしているのかね?」
「はい、今は“クラウドツリー”を目的地にして旅をしています」
四天王ヴァルベルトとの奇妙な食事をしている中、何を目的に旅しているのかで会話を弾ませていた。
「“クラウドツリー”か……あそこはそう簡単には登る事が出来ない場所だ」
「はい、それでも私達は行きます!」
「そうか……君達の旅は一筋縄では行かないだろうが、きっと成し遂げられる……頑張ってくれ」
「はい、ありがとうございます!!」
ヴァルベルトの声援に感謝する真緒。二人が楽しく食事をする中で、二人を疑惑の眼差しで見つめる三人がいた。
「(マオの奴……どうしてあんなに楽しそうに会話していられるんだ!?)」
「(相手は魔王軍四天王……いつ襲い掛かって来るか分からないのに…………気が緩み過ぎですよ!!)」
「(マオぢゃん、楽じぞうに会話じでいるだなぁ……あれが強者の余裕って言うのがなぁ…………)」
二人の会話に、ある者は疑問を抱き、ある者は怒りを覚え、ある者は自身の弱さに嘆いていた。
「どうかなさいましたか?もしかして、苦手な物がございましたでしょうか?」
真緒とヴァルベルトの事を見つめるあまり、料理に手をつけていなかった三人。その為、エルに心配されてしまった。
「い、いや……少しボーッとしていただけなので心配しないで下さい。頂きます…………美味しい」
「本当……凄く美味しい」
「美味じいだぁ!!」
これ以上怪しまれない様に食事をする三人は、料理の美味しさに驚いた。
「美味しいであろう。この料理は全てエルが一人で作ったのだ」
「一人でこの数の料理を作ったんですか!?」
「それは凄いな…………」
「素晴らしい腕前の持ち主ですね~」
「そんなに褒められると照れてしまいます……」
エルは、真緒達の言葉に優しく微笑み返した。
「…………ヴァルベルトさん、一つお聞きしても宜しいですか?」
「ん、何かね?」
「ヴァルベルトさんは魔王軍四天王の一人なんですか?」
「「「「!!!」」」」
聞いた。全員が疑問に感じていた事、この男は本当に四天王のヴァルベルトなのか…………。
「…………ああ我は、確かに魔王軍四天王…………だった」
「だった?」
「脱退したのだ。諸事情でな…………」
遂に知られる事となった。ヴァルベルトの四天王脱退、そしてある一人の男に不安が過る。
「それじゃあ今、魔王軍は四天王が三人しかいないという事ですか?」
「いや、新しく四天王が追加されたと聞いた」
「!!!」
「確か名前は…………「四天王を脱退したのならば、何故こんな沼地に住んでいるのですか~!?」」
新しく追加された四天王が、エジタスだとバレるのを防ぐ為に、慌てて話題を反らした。
「ん……ああ、四天王に身を置きながら魔王軍を脱退してしまったからな……今でも命を狙われているのだ」
「いったい何故四天王をお辞めになったのですか~?その辺の話を詳しく聞かせて下さい!」
「すまない……その時の話はあまりしたくないのだ」
「師匠!!話したく無い事だってあるんですから、しつこく聞くのは失礼ですよ!」
「いや~、すみません。ついつい気になってしまって~」
しつこく聞く事によって、場の空気を悪くさせたエジタスは、これ以上この話題が続かないだろうと、ホッと胸を撫で下ろした。
「少し……疲れてしまったな。悪いが部屋で休ませて貰うよ……今日はもう遅い、君達も泊まって行くといい。部屋は沢山あるからな……エル、すまないがこの人達を部屋までお連れしてくれ」
「分かりました」
そう言うとヴァルベルトは、思い詰めた表情をしながら食堂を後にした。
「ヴァルベルトさん…………もう、師匠のせいですからね!」
「本当に申し訳ありません…………」
「それでは皆様、僭越ながら私がお部屋までご案内します。私の後について来て下さい」
「は、はい……」
こうして、真緒達の歓迎の食事は終わりエルの案内の下、各部屋へとついて行くのであった。
長い廊下。途中で席を立ち、食堂を後にしたヴァルベルトは自室へと向かっていた。
「…………」
するとピタリと立ち止まり、独り言を呟く様に口を開いた。
「後は計画通りに頼んだぞ……」
「「お任せ下さい……」」
いつの間にか現れた二人の人影は、ヴァルベルトの言葉を聞いた瞬間、その場から姿を消した。
「…………」
そしてヴァルベルトは、何事も無かったかの様に自室へと歩き始めるのであった。
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