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第八章 冒険編 狂乱の王子ヴァルベルト
消えた仲間達
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「おはようー」
迎えた朝。昨夜の出来事を知らない真緒達が各々の部屋から出て来た。
「おはよう」
「おはようございます。マオさん、フォルスさん」
「あれ、ハナちゃんと師匠は?」
まだ二人、部屋から出て来ていない事に気が付いた真緒。
「まだ寝ているのかもしれませんね」
「仕方ない。起こしにいくか……」
「そうですね、まずはハナちゃんから起こしに行きましょう」
何も知らない真緒達は、ハナコの部屋へと足を運ぶ。
「ハナちゃん起きて、もう朝だよ!」
真緒が勢いよく扉を開け、ハナコを起こそうとするがそこにハナコの姿は無かった。
「あれ、ハナちゃんがいない?」
「おかしいですね。いつもだらしない格好で寝ている筈なのに…………」
「もしかして、朝食の匂いに誘われて自分から起きて食堂に向かったのかもしれないな」
「「それだ!!」」
フォルスの一言が全てを物語っていた。あのハナコならあり得る話だと、真緒達は納得した。
「もぉー、ハナちゃんったら食い意地が半端無いんだから……」
「まぁ、ハナコさんらしいと言えばハナコさんらしいですけどね」
「それじゃあ次は、師匠の方を起こしに行こうか」
ハナコが食堂にいると思った真緒達は、次はエジタスを起こしに行こうと部屋へと足を運ぶ。
「師匠、起きて下さい。朝ですよ!」
しかし、当然の如くエジタスの姿は無かった。
「あれ…………師匠までいない?」
「ハナコさんと同じで食堂に行ったのでしょうか?」
「分からない……取り敢えず、食堂に行って見るしか無いな」
真緒達はエジタスの部屋を後にし、二人がいるであろう食堂へと急ぐ。
「おや、君達起きるのが早いな。すまないがまだ朝食の用意は済んでいないのだよ」
「ヴァルベルトさん、朝食が出来ていない!?…………あの、ハナちゃんと師匠を見ませんでしたか!?」
廊下でヴァルベルトに会った真緒達は、まだ朝食が出来ていない事を知る。段々と不安になっていき、ヴァルベルトにハナコ達を見ていないかと尋ねる。
「いや、見ていないが……何かあったのか?」
「実は今朝起きたら、二人が部屋からいなくなっていたんです!」
「それは大変だ。この城は広く迷いやすい、手分けして捜索しよう」
そう言うとヴァルベルトと真緒達は、手分けして城中を探し始める。
「ハナちゃん!!師匠!!何処にいるんですか!?」
「ハナコさん!エジタスさん!何処ですか!?」
「ハナコ、エジタスさん、いたら返事をしてくれ!!」
「…………」
皆がハナコ達を懸命に探している中、ヴァルベルトは自室へと戻っていた。
「…………“ラミー”“トサリ”」
「お呼びですか?」
「はいはい呼んだー?」
ヴァルベルトが二人の名前を呼ぶと、側に置いてあった大きな姿見から二人の男性が出て来た。一人は無精髭を生やした人間っぽい見た目の男、そしてもう一人は肌が青色で矢印型の尻尾が生えた悪魔であった。
「お前達に一つ確認しておきたい。昨夜捉えたのは熊人であったな?」
「そうだよー、いやラミーの演技と来たら爆笑でさー」
「その話はするな!!」
ラミーは、トサリの頭を殴った。
「痛ー!!テメー何しやがる!?」
「貴様が余計な事を話すからだ!」
「だからって殴る事は無いだろう!?」
「こうでもしないと喋り続けるだろう?お喋りな貴様には良い薬だ」
「テメー、俺をバカにするのもいい加減にしろよ……」
「殺るか…………?」
「止めろ!!!」
一触即発の雰囲気を出していた二人だったが、ヴァルベルトの怒鳴り声に体が固まる。
「我の目の前で情けない姿を見せるな、この愚か者が!!!」
「「申し訳ありません!!」」
ヴァルベルトの威圧にすっかり萎縮してしまった二人。
「もう一度聞く…………お前達が捉えたのは熊人だけなんだな?」
「はい、二人以上捉えると他の者達に警戒される恐れがありましたので……」
「だが、今現在いなくなったのは熊人だけじゃ無く、あの仮面の男も消えてしまっているのだぞ!」
「「!!?」」
ハナコだけで無く、エジタスまで姿を消してしまった事に驚きを隠せない二人。
「外には出ていません。出たのであれば外にいる者から報告が入る筈です」
「…………となると潜伏の可能性が高いか……」
まさか空間魔法を使って転移したとは、誰も気づける訳が無い。
「これは計画を早める必要があるな…………お前達二人に命じる!現在、例の者達は消えた二人を捜す為バラバラになっている。そこを突いて誰か一人を捉えて来るのだ」
「「かしこまりました!!」」
そう言うとラミー、トサリの二人は再び鏡の中へと入って行った。
「急げ…………もう時間が無い」
ヴァルベルトは、4時を指している大きな古時計を見ながら呟いた。すると古時計の短い針は左へと動いた。
***
「おーい、ハナコ!エジタスさん!!」
フォルスは二人を捜すべく、丁度ハナコのいた部屋を捜索していた。
「二人とも何処に行ってしまったんだ…………」
「教えてやろうか?」
「誰だ!!?」
突然、部屋の中から声が聞こえて来た。
「こっちだこっち……」
「か、鏡だと…………?」
声のする方向に顔を向けると、大きな姿見がありそこには勿論、フォルスが写っていた。
「エジタスさんの居場所は分からないが、ハナコが何処に行ったのかは知っている」
「か、鏡が喋った…………」
「そう驚くな。俺は“真実の鏡”写った相手の内なる心を写し出す鏡だ」
鏡の中のフォルスは、ハナコの時と同じ説明をした。
「内なる心か…………それで、何で鏡の中の俺がハナコの居場所を知っているんだ?」
「それは勿論、この鏡にハナコが写っていたからさ。その時にある程度話をしたのさ」
「そうか…………で、ハナコは何処にいるんだ?」
「もうここにはいない。あいつは自分だけ成長していない事に焦りを感じていた。弱い自分では皆の役に立てないと思って、パーティーを抜けて出て行ってしまったんだ……」
「ハナコがそんな事を……」
分かりやすく落ち込むフォルスに、鏡の中のフォルスは不適な笑みを浮かべる。
「だが、今なら間に合う。ハナコが何処に行ったのか教えるからもっと近くへ寄ってくれ…………」
「…………悪いがその必要は無い」
鏡の中のフォルスの言葉を拒絶すると、フォルスは持っていた弓矢を取り出し鏡の中のフォルスに向かって放った。
「な、何!!?」
矢は見事に鏡へと命中し、ヒビが入った。
「どういうつもりだ!?」
「確かに、ハナコはうちのパーティーでは一番成長が遅れていたかもしれない。俺と同じ様に悩んでいたかもしれない。でもな、それが理由だからと言って俺達に何も言わず出て行く程、あいつは身勝手じゃない!!」
フォルスだからこそ分かる。ハナコと同じ成長の遅れに悩み、その辛さと不安がどれ程の物なのかを……そして、同じ悩みを持っているからこそ、真緒達に何も言わずに出て行くなど死んでも出来ない。
「内なる心とか言ってるが、全然理解していない様だな」
「ち、ちくしょー!!」
鏡はそのまま鏡の中のフォルスと共に割れてしまった。
「何が“真実の鏡”だ。この嘘つきめ…………」
割れた鏡を見ながら、そう吐き捨てるフォルス。
「さて、きな臭いと感じてはいたが……いよいよ怪しくなってきたな……急いで真緒達と合流しないといけないな!!」
フォルスは真緒達と合流する為、足早に部屋を後にした。
「あーあ、失敗しちゃったね」
「黙れ!!いちいち言わなくても分かっている!…………こうなっては仕方がない、プランBで行くぞ」
「了解」
割れた鏡の破片からそんな声が聞こえた気がした。
***
魔王城玉座の間。今現在、エジタスとサタニアがお互いに向き合っていた。
「…………」
「さぁ、お聞かせ下さい。四天王だった頃のヴァルベルトさんのお話を!!」
迎えた朝。昨夜の出来事を知らない真緒達が各々の部屋から出て来た。
「おはよう」
「おはようございます。マオさん、フォルスさん」
「あれ、ハナちゃんと師匠は?」
まだ二人、部屋から出て来ていない事に気が付いた真緒。
「まだ寝ているのかもしれませんね」
「仕方ない。起こしにいくか……」
「そうですね、まずはハナちゃんから起こしに行きましょう」
何も知らない真緒達は、ハナコの部屋へと足を運ぶ。
「ハナちゃん起きて、もう朝だよ!」
真緒が勢いよく扉を開け、ハナコを起こそうとするがそこにハナコの姿は無かった。
「あれ、ハナちゃんがいない?」
「おかしいですね。いつもだらしない格好で寝ている筈なのに…………」
「もしかして、朝食の匂いに誘われて自分から起きて食堂に向かったのかもしれないな」
「「それだ!!」」
フォルスの一言が全てを物語っていた。あのハナコならあり得る話だと、真緒達は納得した。
「もぉー、ハナちゃんったら食い意地が半端無いんだから……」
「まぁ、ハナコさんらしいと言えばハナコさんらしいですけどね」
「それじゃあ次は、師匠の方を起こしに行こうか」
ハナコが食堂にいると思った真緒達は、次はエジタスを起こしに行こうと部屋へと足を運ぶ。
「師匠、起きて下さい。朝ですよ!」
しかし、当然の如くエジタスの姿は無かった。
「あれ…………師匠までいない?」
「ハナコさんと同じで食堂に行ったのでしょうか?」
「分からない……取り敢えず、食堂に行って見るしか無いな」
真緒達はエジタスの部屋を後にし、二人がいるであろう食堂へと急ぐ。
「おや、君達起きるのが早いな。すまないがまだ朝食の用意は済んでいないのだよ」
「ヴァルベルトさん、朝食が出来ていない!?…………あの、ハナちゃんと師匠を見ませんでしたか!?」
廊下でヴァルベルトに会った真緒達は、まだ朝食が出来ていない事を知る。段々と不安になっていき、ヴァルベルトにハナコ達を見ていないかと尋ねる。
「いや、見ていないが……何かあったのか?」
「実は今朝起きたら、二人が部屋からいなくなっていたんです!」
「それは大変だ。この城は広く迷いやすい、手分けして捜索しよう」
そう言うとヴァルベルトと真緒達は、手分けして城中を探し始める。
「ハナちゃん!!師匠!!何処にいるんですか!?」
「ハナコさん!エジタスさん!何処ですか!?」
「ハナコ、エジタスさん、いたら返事をしてくれ!!」
「…………」
皆がハナコ達を懸命に探している中、ヴァルベルトは自室へと戻っていた。
「…………“ラミー”“トサリ”」
「お呼びですか?」
「はいはい呼んだー?」
ヴァルベルトが二人の名前を呼ぶと、側に置いてあった大きな姿見から二人の男性が出て来た。一人は無精髭を生やした人間っぽい見た目の男、そしてもう一人は肌が青色で矢印型の尻尾が生えた悪魔であった。
「お前達に一つ確認しておきたい。昨夜捉えたのは熊人であったな?」
「そうだよー、いやラミーの演技と来たら爆笑でさー」
「その話はするな!!」
ラミーは、トサリの頭を殴った。
「痛ー!!テメー何しやがる!?」
「貴様が余計な事を話すからだ!」
「だからって殴る事は無いだろう!?」
「こうでもしないと喋り続けるだろう?お喋りな貴様には良い薬だ」
「テメー、俺をバカにするのもいい加減にしろよ……」
「殺るか…………?」
「止めろ!!!」
一触即発の雰囲気を出していた二人だったが、ヴァルベルトの怒鳴り声に体が固まる。
「我の目の前で情けない姿を見せるな、この愚か者が!!!」
「「申し訳ありません!!」」
ヴァルベルトの威圧にすっかり萎縮してしまった二人。
「もう一度聞く…………お前達が捉えたのは熊人だけなんだな?」
「はい、二人以上捉えると他の者達に警戒される恐れがありましたので……」
「だが、今現在いなくなったのは熊人だけじゃ無く、あの仮面の男も消えてしまっているのだぞ!」
「「!!?」」
ハナコだけで無く、エジタスまで姿を消してしまった事に驚きを隠せない二人。
「外には出ていません。出たのであれば外にいる者から報告が入る筈です」
「…………となると潜伏の可能性が高いか……」
まさか空間魔法を使って転移したとは、誰も気づける訳が無い。
「これは計画を早める必要があるな…………お前達二人に命じる!現在、例の者達は消えた二人を捜す為バラバラになっている。そこを突いて誰か一人を捉えて来るのだ」
「「かしこまりました!!」」
そう言うとラミー、トサリの二人は再び鏡の中へと入って行った。
「急げ…………もう時間が無い」
ヴァルベルトは、4時を指している大きな古時計を見ながら呟いた。すると古時計の短い針は左へと動いた。
***
「おーい、ハナコ!エジタスさん!!」
フォルスは二人を捜すべく、丁度ハナコのいた部屋を捜索していた。
「二人とも何処に行ってしまったんだ…………」
「教えてやろうか?」
「誰だ!!?」
突然、部屋の中から声が聞こえて来た。
「こっちだこっち……」
「か、鏡だと…………?」
声のする方向に顔を向けると、大きな姿見がありそこには勿論、フォルスが写っていた。
「エジタスさんの居場所は分からないが、ハナコが何処に行ったのかは知っている」
「か、鏡が喋った…………」
「そう驚くな。俺は“真実の鏡”写った相手の内なる心を写し出す鏡だ」
鏡の中のフォルスは、ハナコの時と同じ説明をした。
「内なる心か…………それで、何で鏡の中の俺がハナコの居場所を知っているんだ?」
「それは勿論、この鏡にハナコが写っていたからさ。その時にある程度話をしたのさ」
「そうか…………で、ハナコは何処にいるんだ?」
「もうここにはいない。あいつは自分だけ成長していない事に焦りを感じていた。弱い自分では皆の役に立てないと思って、パーティーを抜けて出て行ってしまったんだ……」
「ハナコがそんな事を……」
分かりやすく落ち込むフォルスに、鏡の中のフォルスは不適な笑みを浮かべる。
「だが、今なら間に合う。ハナコが何処に行ったのか教えるからもっと近くへ寄ってくれ…………」
「…………悪いがその必要は無い」
鏡の中のフォルスの言葉を拒絶すると、フォルスは持っていた弓矢を取り出し鏡の中のフォルスに向かって放った。
「な、何!!?」
矢は見事に鏡へと命中し、ヒビが入った。
「どういうつもりだ!?」
「確かに、ハナコはうちのパーティーでは一番成長が遅れていたかもしれない。俺と同じ様に悩んでいたかもしれない。でもな、それが理由だからと言って俺達に何も言わず出て行く程、あいつは身勝手じゃない!!」
フォルスだからこそ分かる。ハナコと同じ成長の遅れに悩み、その辛さと不安がどれ程の物なのかを……そして、同じ悩みを持っているからこそ、真緒達に何も言わずに出て行くなど死んでも出来ない。
「内なる心とか言ってるが、全然理解していない様だな」
「ち、ちくしょー!!」
鏡はそのまま鏡の中のフォルスと共に割れてしまった。
「何が“真実の鏡”だ。この嘘つきめ…………」
割れた鏡を見ながら、そう吐き捨てるフォルス。
「さて、きな臭いと感じてはいたが……いよいよ怪しくなってきたな……急いで真緒達と合流しないといけないな!!」
フォルスは真緒達と合流する為、足早に部屋を後にした。
「あーあ、失敗しちゃったね」
「黙れ!!いちいち言わなくても分かっている!…………こうなっては仕方がない、プランBで行くぞ」
「了解」
割れた鏡の破片からそんな声が聞こえた気がした。
***
魔王城玉座の間。今現在、エジタスとサタニアがお互いに向き合っていた。
「…………」
「さぁ、お聞かせ下さい。四天王だった頃のヴァルベルトさんのお話を!!」
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