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番外編 動き出す者達
勇者に必要な物
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「…………えっ?」
「どうしたんだいシーリャ?」
「いえ……誰かに呼ばれた気がして……」
聖一達は魔王討伐に向けて、魔王城へと旅を続けていた。そんな中、シーリャが突然振り返り誰かに呼ばれたと言い出した。
「えー、私達以外、誰も何処にもいないよ?」
「空耳じゃ無いの?」
「そう……なのでしょうか……?」
シーリャは胸に手を置きながら、思い詰めた表情を浮かべた。
「きっと、長旅のせいで疲れが溜まっているんだよ。この先に村がある筈だから、そこでしばらく体を休めてから行くとしよう」
「賛成ー!!」
「私、もう足がパンパンだったよー!」
次の村で体を休める事に、愛子と舞子の二人は喜んで賛成した。
「ありがとうございます。聖一様…………」
「気にしなくていいさ。困った時はお互い様だろ?」
「はい……」
聖一達は足早に、次の村へと向かうのであった。
***
「着いたーー!!」
それから数時間後、聖一達は目的の村へと到着した。
「はぁー、疲れたー!早く体を休めたいー!」
「そうだね、でもその前にこの村の村長に挨拶を済ませないと「旅のお方……」……はい?」
聖一達が、村の村長に挨拶しに行こうとすると、入口の近くにいた老婆に声を掛けられた。
「何でしょうか?」
「あんた達、この村は初めてかい?」
「え、ええ……まぁ……」
「それなら、ワシが案内してやろう。ついて来なさい」
「えっ、お、おばあさん!?」
老婆は完全に腰が曲がっており、杖をついていた。そんな老婆に声を掛けられたかと思うと、突然村を案内してやると言い出し、さっさか歩いて行ってしまう。腰が曲がっているとは思えない速度だった。
「ほら、早くついて来なさい」
「ど、どうしようか?」
あまりの突然な出来事に、さすがの聖一も動揺を隠せなかった。
「あんな人放っておこうよ!」
「そうだよ、私達には関係無いよ」
「私達には魔王討伐という使命がありますし、ここで無駄な時間を費やす事は出来ません」
おばあさんについて行くかどうかを問い掛けると、愛子、舞子、シーリャの三人はついて行かないと言った。
「関係無いかもしれないけど、勇者として放っておく事は出来ないよ」
そう言うと聖一は、老婆の後を追い掛けて行く。
「せ、聖一さん!ちょっと待って下さいよ!」
「ちょっ、愛子!置いてかないで!」
「お二人とも!私も行きます!」
先に行ってしまった聖一を、急いで追い掛ける三人。
***
「さて、ここがこの村で一番の有名場所だよ」
聖一達は老婆の案内の下、村の中央にそびえ立つ巨大な木の前に来ていた。
「ひゃー、おっきいー!」
「こんな大きい木、初めて見た!」
「おばあさん、この木はいったい何なのですか?」
「これは“クラウドツリー”と言って、世界で一番高い木だと言われているんだよ」
“クラウドツリー”そのあまりに大きな木は雲を突き抜け、肉眼では頂上を確認出来ない。
「クラウドツリーが突き抜けている雲はその頂上を常に隠し、薄くなった事は無いらしいです」
「「へぇー」」
「お嬢さん、詳しいですね」
愛子と舞子が、シーリャの話を聞いていると老婆が、声を掛けて来た。
「はい、これでも私カルド王国の第一王女ですから、世界の事を知るのは当然です」
「成る程……カルド王の娘さんだったか……」
「父上を知っているのですか?」
「当たり前だろ。世界一の大国と呼ばれるカルド王国の王様を、知らない訳無いじゃないか」
「さすが父上です!こんな辺境の村にまで、その名が知られているだなんて!!」
自分の父親の名前が、知られている事に誇らしく感じるシーリャ。
「という事は……他の三人は異世界から来た“勇者”さんかい?」
「はい!そぉーでーす!!」
「びっくりした?」
「自己紹介が遅れて申し訳ありません。僕は“如月聖一”と言います」
聖一は老婆に対して、胸に手を置きお辞儀をした。
「“笹沼愛子”でーす!」
「“石田舞子”でーす!」
「カルド王国第一王女“シーリャ・アストラス・カルド”と申します」
聖一に続く様に、愛子、舞子、そしてシーリャがそれぞれ自己紹介を済ませた。
「それなら、勇者のあんた達に聞きたい事があったんだ」
「何でしょうか?」
「…………あんた達、“勇者に必要な物”って何だと思う?」
「「「「“勇者に必要な物”?」」」」
聖一達が勇者一行だと分かると、老婆は突然質問をして来た。
「そうさ、あんた達はこの村に来るまで様々な事を見て、感じて来た筈だ。それを踏まえて聞きたい……あんた達が思う“勇者に必要な物”は何だい?」
老婆の問い掛けに、しばらく考え込む聖一達。最初に答えを出したのは……。
「はぁーい!やっぱり“力”だと思うんだよねー!」
愛子だった。愛子は手を大きく上げて答えた。
「ほぅ……力か、それは何故だ?」
「だって、勇者は魔族や魔物を倒すのが役目でしょ?それだったら力は絶対必要だと思うんだよね」
「成る程…………他は、誰かいるか?」
「はい!私は“知性”だと思います!」
次に答えたのは舞子だった。愛子同様、大きく手を上げて答えるのであった。
「何故?」
「やっぱり勇者には、仲間をまとめあげる為にある程度の知性が無いと、致命的かなって……」
「成る程…………他は、誰かいるか?」
「“勇気”ではないでしょうか?」
次に答えたのはシーリャだった。前の二人とは違い、落ち着いた雰囲気で答えるのであった。
「ほぅ……何故だ?」
「勇者は多くの敵と戦う事となります。困難にも立ち向かわなくてはいけません。そしてそれらに立ち向かう為には、勇気が無くてはいけないと思いました。それに、“勇気ある者”で勇者とも言いますので……」
「成る程…………さて、残るはお前さんだけだが……お前さんは何だと思う?“勇者に必要な物”は?」
最後に残ったのは、聖一だけだった。聖一は他の三人とは違って、ゆっくりと時間を掛けて考えていた。
「…………“完璧”だと思います」
「ほぅ……何故そう思った?」
時間を掛けて出した聖一の答え。老婆は、鋭い眼差しで理由を聞いた。
「勇者とは……言わば“象徴”です。勇者という存在があるから、人々は安心して暮らせる。伝説でも物語でも、信じる事で人は希望を持って生きていける。それが形ある物なら尚更です。だからこそ、勇者は完璧である必要があるのです」
「さすが聖一さん!」
「カッコいい!」
「聖一様素晴らしいです!私達とは、考え方が違いますね!」
聖一の回答に、歓喜する三人。すると老婆はゆっくりと目を閉じた。
「成る程ね……あんた達の考えはよく分かったよ。これはそのお礼だ」
そう言うと老婆は、聖一達に小さな袋を手渡した。中には白銀が十枚入っていた。
「い、いいんですか!?こんな貴重な物を頂いてしまって!」
「ああ、ワシには必要の無い物だからね…………それじゃあ、ワシはそろそろ行くとするよ。腰が痛くてね……」
そう言うと老婆は、何処かへと去ってしまった。
「あっ、おばあさん!」
「やりましたね聖一さん!!」
「質問に答えただけで、こんな大金を貰えるだなんて聖一さんは凄いです!!」
「これも、聖一様が答えを導き出したお陰です」
「いや、あれが正解かどうかも分からないし……」
聖一が老婆を呼び止め様とするが、愛子、舞子、シーリャの三人が近づいて来た為、見失ってしまった。
「…………まぁ、受け取った物は仕方ない。大事に使わせて貰うとしよう……えっと取り敢えず気を取り直して、この村の村長に挨拶しに行こうか?」
「「「はーい!!」」」
こうして聖一達は、村の村長に挨拶しに向かうのであった。
「はぁー…………」
聖一達と別れた老婆は、深い溜め息をついていた。
「勇者達でも駄目だったか……いつになったら現れるのだろうか……ワシの求める“答え”を持つ者は……」
そう呟きながら、老婆はふわりと浮かび上がりクラウドツリーへと登って行くのであった。
「どうしたんだいシーリャ?」
「いえ……誰かに呼ばれた気がして……」
聖一達は魔王討伐に向けて、魔王城へと旅を続けていた。そんな中、シーリャが突然振り返り誰かに呼ばれたと言い出した。
「えー、私達以外、誰も何処にもいないよ?」
「空耳じゃ無いの?」
「そう……なのでしょうか……?」
シーリャは胸に手を置きながら、思い詰めた表情を浮かべた。
「きっと、長旅のせいで疲れが溜まっているんだよ。この先に村がある筈だから、そこでしばらく体を休めてから行くとしよう」
「賛成ー!!」
「私、もう足がパンパンだったよー!」
次の村で体を休める事に、愛子と舞子の二人は喜んで賛成した。
「ありがとうございます。聖一様…………」
「気にしなくていいさ。困った時はお互い様だろ?」
「はい……」
聖一達は足早に、次の村へと向かうのであった。
***
「着いたーー!!」
それから数時間後、聖一達は目的の村へと到着した。
「はぁー、疲れたー!早く体を休めたいー!」
「そうだね、でもその前にこの村の村長に挨拶を済ませないと「旅のお方……」……はい?」
聖一達が、村の村長に挨拶しに行こうとすると、入口の近くにいた老婆に声を掛けられた。
「何でしょうか?」
「あんた達、この村は初めてかい?」
「え、ええ……まぁ……」
「それなら、ワシが案内してやろう。ついて来なさい」
「えっ、お、おばあさん!?」
老婆は完全に腰が曲がっており、杖をついていた。そんな老婆に声を掛けられたかと思うと、突然村を案内してやると言い出し、さっさか歩いて行ってしまう。腰が曲がっているとは思えない速度だった。
「ほら、早くついて来なさい」
「ど、どうしようか?」
あまりの突然な出来事に、さすがの聖一も動揺を隠せなかった。
「あんな人放っておこうよ!」
「そうだよ、私達には関係無いよ」
「私達には魔王討伐という使命がありますし、ここで無駄な時間を費やす事は出来ません」
おばあさんについて行くかどうかを問い掛けると、愛子、舞子、シーリャの三人はついて行かないと言った。
「関係無いかもしれないけど、勇者として放っておく事は出来ないよ」
そう言うと聖一は、老婆の後を追い掛けて行く。
「せ、聖一さん!ちょっと待って下さいよ!」
「ちょっ、愛子!置いてかないで!」
「お二人とも!私も行きます!」
先に行ってしまった聖一を、急いで追い掛ける三人。
***
「さて、ここがこの村で一番の有名場所だよ」
聖一達は老婆の案内の下、村の中央にそびえ立つ巨大な木の前に来ていた。
「ひゃー、おっきいー!」
「こんな大きい木、初めて見た!」
「おばあさん、この木はいったい何なのですか?」
「これは“クラウドツリー”と言って、世界で一番高い木だと言われているんだよ」
“クラウドツリー”そのあまりに大きな木は雲を突き抜け、肉眼では頂上を確認出来ない。
「クラウドツリーが突き抜けている雲はその頂上を常に隠し、薄くなった事は無いらしいです」
「「へぇー」」
「お嬢さん、詳しいですね」
愛子と舞子が、シーリャの話を聞いていると老婆が、声を掛けて来た。
「はい、これでも私カルド王国の第一王女ですから、世界の事を知るのは当然です」
「成る程……カルド王の娘さんだったか……」
「父上を知っているのですか?」
「当たり前だろ。世界一の大国と呼ばれるカルド王国の王様を、知らない訳無いじゃないか」
「さすが父上です!こんな辺境の村にまで、その名が知られているだなんて!!」
自分の父親の名前が、知られている事に誇らしく感じるシーリャ。
「という事は……他の三人は異世界から来た“勇者”さんかい?」
「はい!そぉーでーす!!」
「びっくりした?」
「自己紹介が遅れて申し訳ありません。僕は“如月聖一”と言います」
聖一は老婆に対して、胸に手を置きお辞儀をした。
「“笹沼愛子”でーす!」
「“石田舞子”でーす!」
「カルド王国第一王女“シーリャ・アストラス・カルド”と申します」
聖一に続く様に、愛子、舞子、そしてシーリャがそれぞれ自己紹介を済ませた。
「それなら、勇者のあんた達に聞きたい事があったんだ」
「何でしょうか?」
「…………あんた達、“勇者に必要な物”って何だと思う?」
「「「「“勇者に必要な物”?」」」」
聖一達が勇者一行だと分かると、老婆は突然質問をして来た。
「そうさ、あんた達はこの村に来るまで様々な事を見て、感じて来た筈だ。それを踏まえて聞きたい……あんた達が思う“勇者に必要な物”は何だい?」
老婆の問い掛けに、しばらく考え込む聖一達。最初に答えを出したのは……。
「はぁーい!やっぱり“力”だと思うんだよねー!」
愛子だった。愛子は手を大きく上げて答えた。
「ほぅ……力か、それは何故だ?」
「だって、勇者は魔族や魔物を倒すのが役目でしょ?それだったら力は絶対必要だと思うんだよね」
「成る程…………他は、誰かいるか?」
「はい!私は“知性”だと思います!」
次に答えたのは舞子だった。愛子同様、大きく手を上げて答えるのであった。
「何故?」
「やっぱり勇者には、仲間をまとめあげる為にある程度の知性が無いと、致命的かなって……」
「成る程…………他は、誰かいるか?」
「“勇気”ではないでしょうか?」
次に答えたのはシーリャだった。前の二人とは違い、落ち着いた雰囲気で答えるのであった。
「ほぅ……何故だ?」
「勇者は多くの敵と戦う事となります。困難にも立ち向かわなくてはいけません。そしてそれらに立ち向かう為には、勇気が無くてはいけないと思いました。それに、“勇気ある者”で勇者とも言いますので……」
「成る程…………さて、残るはお前さんだけだが……お前さんは何だと思う?“勇者に必要な物”は?」
最後に残ったのは、聖一だけだった。聖一は他の三人とは違って、ゆっくりと時間を掛けて考えていた。
「…………“完璧”だと思います」
「ほぅ……何故そう思った?」
時間を掛けて出した聖一の答え。老婆は、鋭い眼差しで理由を聞いた。
「勇者とは……言わば“象徴”です。勇者という存在があるから、人々は安心して暮らせる。伝説でも物語でも、信じる事で人は希望を持って生きていける。それが形ある物なら尚更です。だからこそ、勇者は完璧である必要があるのです」
「さすが聖一さん!」
「カッコいい!」
「聖一様素晴らしいです!私達とは、考え方が違いますね!」
聖一の回答に、歓喜する三人。すると老婆はゆっくりと目を閉じた。
「成る程ね……あんた達の考えはよく分かったよ。これはそのお礼だ」
そう言うと老婆は、聖一達に小さな袋を手渡した。中には白銀が十枚入っていた。
「い、いいんですか!?こんな貴重な物を頂いてしまって!」
「ああ、ワシには必要の無い物だからね…………それじゃあ、ワシはそろそろ行くとするよ。腰が痛くてね……」
そう言うと老婆は、何処かへと去ってしまった。
「あっ、おばあさん!」
「やりましたね聖一さん!!」
「質問に答えただけで、こんな大金を貰えるだなんて聖一さんは凄いです!!」
「これも、聖一様が答えを導き出したお陰です」
「いや、あれが正解かどうかも分からないし……」
聖一が老婆を呼び止め様とするが、愛子、舞子、シーリャの三人が近づいて来た為、見失ってしまった。
「…………まぁ、受け取った物は仕方ない。大事に使わせて貰うとしよう……えっと取り敢えず気を取り直して、この村の村長に挨拶しに行こうか?」
「「「はーい!!」」」
こうして聖一達は、村の村長に挨拶しに向かうのであった。
「はぁー…………」
聖一達と別れた老婆は、深い溜め息をついていた。
「勇者達でも駄目だったか……いつになったら現れるのだろうか……ワシの求める“答え”を持つ者は……」
そう呟きながら、老婆はふわりと浮かび上がりクラウドツリーへと登って行くのであった。
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