笑顔の絶えない世界~道楽の道化師の軌跡~

マーキ・ヘイト

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第九章 冒険編 雲の木の待ち人

真緒パーティー VS アーメイデ(前編)

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 「真剣勝負って……つまり……」



 「あんた達の全てを、私にぶつけるんだよ」



 修行から一ヶ月。アーメイデは真緒達に最終試験として、真剣勝負を申し出た。



 「別に殺し合う訳じゃ無い。私、もしくはそっちが戦闘不能になれば試験は終了だからね」



 「そうだとしても……どうして真剣勝負を?」



 「…………弟子って者は、師匠を越えてなんぼでしょ?それに……自分の鍛えた弟子が自分を越える事は、師匠として嬉しい物なのよ」



 アーメイデは、かつての弟子達を思い出していたのか染々と語った。



 「し、師匠も私に越えて欲しいと思っているんですか?」



 「う~ん、どうでしょうか?そう言う価値観は人それぞれですからね~。強いて言うなら私は、自分が理想とする姿を見せて欲しいですかね~?」



 「そうですか…………」



 師匠と弟子。エジタスの弟子である真緒はアーメイデと同じ事を思っているのか聞くが、エジタスにはエジタスが抱く想いがあった。



 「で、でもさすがに四対一って言うのは…………ねぇ?」



 「アーメイデさんでも、厳しいと思いますよ?」



 「俺達もかなり成長したからな」



 「もじがじだら、一方的な戦いになっでじまうがもじれないだぁ……」



 「……ぷっ、あはははは!!」



 真緒達の心配を他所に、アーメイデは突然笑い始めた。



 「な、何を笑っているんですか!?私達はアーメイデさんを想って……」



 「私の事を想って?……あはははは!!!」



 真緒の言葉に、更に大きな笑い声をあげるアーメイデ。



 「ははは!!……はぁー、笑った笑った……あんた達さ……ちょっと調子に乗っているんじゃない?」



 「「「「!!!!」」」」



 この瞬間、アーメイデの体から背筋が凍る程の冷たい殺気が漏れ出始めた。



 「あんた達は確かに強くなったよ……だけどね。それで私に一方的に勝てると思っているんだったら、思い上がりも甚だしいよ……」



 「「「「…………」」」」



 真緒達とアーメイデの間で、緊張が走った。下手な言葉を出せば確実に殺される。そう思わせる程に、アーメイデから漏れ出る殺気は恐ろしいものだった。



 「改めて聞くよ……最終試験を受けるの?それとも受けないのかい?それによってこれからの行動が決まる……」



 「私達は…………」



 真緒は仲間達に目配せをする。仲間達のその目には、同じ想いが宿っていた。



 「私達は先に進まなければいけません。その為にも、アーメイデさんに勝って見せます!」



 「それはつまり……最終試験を受ける……って事でいいのかい?」



 「「「「はい!!」」」」



 「言質は取ったからね!!早速開始するよ!!」



 そう言うとアーメイデは、真緒達と一瞬で距離を取って魔法を唱え始めた。



 「“ファイアランス”!!」



 「「「「!!!!」」」」



 アーメイデは、真緒達に目掛けて炎の槍を投げ込んだ。



 「皆、避けて!!」



 咄嗟に発した真緒の言葉に全員が、投げ込まれた炎の槍を回避した。



 「もう既に戦いは始まっているんだよ!!油断してたら、あっという間に殺られちまうよ?」



 「!!……皆、行くよ!!」



 「「「おぉ!!」」」



 真緒の合図と同時にフォルスは勢い良く空へと舞い上がり、真緒とハナコとリーマの三人はアーメイデに対して、戦闘体制を取った。



 「アーメイデさんでも、容赦しませんからね!!“炎の槍”!!」



 リーマが魔導書を開いて唱えると、リーマの右手に赤々と燃え上がる炎の槍が形成された。



 「まだ終わりじゃありませんよ!!“水の盾”!!」



 続けて魔法を唱えると、今度は左手に潤いを持った青く丸い盾が形成された。



 「そして更に!!“風の足”!!」



 すると今度は、リーマの両足に蠢く風の塊が形成された。



 「さぁ、そろそろ行きますよ……覚悟はいいですか?」



 「あぁ、全力でぶつかって来な」



 アーメイデの言葉と同時に、リーマは勢い良く駆け出した。



 「は、早い!!」



 真緒は、リーマの異常な早さに驚きの声をあげた。



 「“風の足”は使用者の移動速度を、格段に上げてくれるんです!アーメイデさん、後悔したって遅いですからね!」



 そう言いながらリーマは、アーメイデの背後へと回り込んで持っていた炎の槍を突き刺した。



 「…………えっ?」



 しかし、その槍はアーメイデに届く前に消滅してしまった。何故なら、アーメイデの背後に巨大な水の柱が形成されていたからだ。



 「“ウォーターピラー”……後悔するのはどっちかしら?」



 「!!」



 アーメイデは素早く振り返ると、リーマに向かって魔法を唱える。



 「“ストーム”」



 その瞬間、リーマの目の前に巨大な竜巻が形成された。



 「“トルネード”!!」



 リーマは咄嗟の判断で、巨大な竜巻を形成した。二つの巨大な竜巻がぶつかり合い、消滅した。



 「あ、危なかっ………!? 」



 「油断してたら駄目よ?」



 二つの竜巻が消滅したのを見計らい、アーメイデがリーマの目の前に姿を現した。その片手には、赤々と燃え上がる炎の剣が握られている。



 「そ、そんなどうして!?」



 「あんたに出来て、私に出来ない事は無いのよ…………それじゃあね……!?」



 アーメイデが炎の剣で斬り掛かろうとすると、何かの危険を感じ取って一瞬でその場から離れる。そうするとアーメイデがいた場所に数本の矢が降り、地面へと突き刺さった。



 「くそっ!外したか!」



 「目障りな鳥ね……まずはあなたから片付けてあげ……!?」



 アーメイデがフォルスに標的を変更したその時、前にいた真緒とハナコの二人が一瞬で間合いを詰めて攻撃を仕掛けて来た。



 「スキル“ロストブレイク”!!」



 「スキル“インパクト・ベア”!!」



 二つの強力なスキルが、アーメイデに目掛けて放たれた。しかしまたしても当たる直前で水の幕を張られ、防がれてしまった。



 「“ウォーターカーテン”……中々良いコンビプレーだったと思うわよ?だけど、私には通用しない……“フレイムテイル”」



 するとアーメイデの手から、まるで生き物の尻尾の様にしなやかな炎の鞭が形成された。その鞭を勢い良く振り回して、真緒とハナコの二人を吹き飛ばした。



 「うっ…………!!」



 「ぐっ…………!!」



 「マオ、ハナコ!!大丈夫か!?」



 「な、何とか…………」



 真緒達の安否を心配したフォルスだったが、思った程の傷は負っておらず一安心した。すると、中々しぶとい真緒達にアーメイデが考え込む。



 「うーん……いまいち決め手に欠けるわね……それならちょっと本気出しちゃおうかしら?“無重力”」



 「えっ!!?うわぁああ!!」



 「こ、これは!?」



 「体が浮いでいるだぁ!?」



 「しまった!!まさかここで、使って来るとは!!」



 無重力。アーメイデの周りの重さが無くなり、真緒達も含めて全員が空高く浮遊する事になった。



 「さぁ……第二回戦と行きましょうか?」



 「これは……思ってた以上に厳しいかもしれないぞ……」



 真緒達は、身動きがまともに取れない無重力でアーメイデと戦う事を余儀無くされた。
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