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最終章 笑顔の絶えない世界
フォルス&シーラ VS ラクウン(後編)
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「はぁ……はぁ……とにかくまずは、私の槍を取り返すわよ!!」
「あぁ、勿論だ!!」
フォルスとシーラは、取られたシーラの槍を取り返す為、ラクウンへと攻撃を仕掛ける。
「スキル“龍の雄叫び”!!」
シーラは鼻から大きく息を吸い込み、一度溜め込むとラクウン目掛けて、雄叫びを上げた。シーラの口から発せられた強い衝撃波が、ラクウンへと襲い掛かる。
「…………」
するとラクウンは、それを予想していたかの様にシーラの槍を摘まみながら、横へと避け衝撃波を回避した。
「避けるか……さすがだな……だが、私達が只避けさせるだけだと、思っているのか?」
「!!!」
ラクウンが横へと回避したその時、雄叫びを上げたシーラの背後から、フォルスがラクウンに向けて弓を構えていた。
「頼んだぞ、フォルス!!」
「任せろ!!“ウインド”」
フォルスの矢に風がまとわりつく……。強い力に、カタカタと震える弓矢をしっかりと指で押さえる。
「貫け!!“ブースト”!!」
フォルスの弓から放たれた矢は、真っ直ぐとラクウン目掛けて飛んで行った。
「いくらお前でも、避けた先での攻撃は対処出来ないだろう!!さぁ、私の槍を返して貰おうか!!」
「…………そうですね、こちらの槍はあなた方にお返しします」
「「!!?」」
そう言うとラクウンは、手首のスナップを効かせ、摘まんでいた槍を肉眼では捉えきれない程の速さで、飛んで来る矢に目掛けて投げ返して来た。そのあまりの速さから、フォルスの放った矢を打ち破り、フォルスとシーラの元まで飛んで来た。
「ぐっ…………!!」
「シーラ!!」
するとシーラは咄嗟に前へと飛び出し、返された槍の先端部分を掴んだ。しかし、ラクウンの様に上手く掴む事が出来ずに、右手を負傷してしまった。
「あ……はは……と、取り返したぞ……」
「シーラ……手は、大丈夫か?」
「大丈夫に決まってるだろう。この程度の傷は無いも同然だよ」
怪我の心配をするフォルスに対して、何とも無い様に振る舞うシーラだが、傷付いた右手からは血が滲み出ていた。そんな負傷した右手で、戻って来た槍を握り締めていた。痩せ我慢をしているのは明らかであった。
「さて、槍も取り返せた事だし……反撃開始と行きますか!!」
「あ、あぁ…………」
あくまでシーラは、自身の怪我を正当化させずに、ラクウンとの戦いだけに意識を向けた。
「私が先行する。フォルスには援護をお願いするよ」
「分かった」
「頼んだよ。私は、あんたの事を信頼しているんだからな」
シーラは自身の槍を握り締め、ラクウンに攻撃を仕掛けた。
「はぁあああ!!!」
相手に予測されない様に、不規則な攻撃を繰り出すシーラ。突くだけでは無く、縦や横などの薙ぎ払いも繰り出す。
「成る程、只デタラメに振り回しているのではない。相手の避けられにくい箇所に攻撃を繰り出している。我が王の仰られていた通りどうやらあなたは、戦闘においてのスペシャリストの様ですね」
しかし、そんなシーラの思考もラクウンに読み取られ、悉く避けられてしまう。
「この!!この!!この!!」
攻撃が全く当たらない。次第にシーラの攻撃はヤケクソになり始めた。
「ふーん、戦闘のスペシャリストではある様ですが、心が狭くとても短気なのですね。それでは、実力の半分も出せませんよ?」
「黙れ!!私の事は、私が一番よく知っている!!」
ラクウンに煽られ、シーラの攻撃は更に雑さが目立ち始めた。
「シーラ!!しゃがめ!!」
「!!!」
その時、後方からフォルスの声が聞こえて来る。それに従い、シーラはその場でしゃがんだ。
「食らえ!!“三連弓”!!」
フォルスの弓から、三連続で矢が放たれ、一直線にラクウン目掛けて飛んで行った。
「面倒ですね……」
するとラクウンは、鼻から大きく息を吸い込み溜め込んだ。
「ま、まさか……!?」
「うぉおおおお!!!」
「「!!!」」
そしてラクウンは、飛んで来る三連続の矢に向けて大声を発した。するとラクウンの口から凄まじい衝撃波が生まれ、三連続の矢を吹き飛ばした。
「嘘だろ……今のは間違いなく、“龍の雄叫び”……こいつ何者だ……?」
「シーラ!!余所見するんじゃない!!」
「!!!」
ラクウンの突然の雄叫びに、気を取られてしまったシーラ。フォルスの警告と同時にラクウンの蹴りが、しゃがんでいたシーラに襲い掛かる。
「くそっ!!」
シーラは、持ち前の反射神経を生かして、ラクウンの蹴りを両腕で防いだ。
「良い反射神経をお持ちですね」
「いい気になってんじゃねぇぞ!!」
持っていた槍を、ラクウン目掛けて薙ぎ払うシーラ。しかし、その薙ぎ払いもラクウンに避けられてしまった。
「怒りで心が満たされていますね。頭に血が上れば、正常な判断が出来なくなってしまいますよ?」
「上から物事を言うな!!」
再びラクウンに煽られ、シーラは怒鳴り声を上げながら、ラクウンへの攻撃を再開する。
「くそ!!くそ!!くそ!!」
そしてまた、シーラの背後からフォルスが援護射撃をする。
「当たれ!!」
シーラの槍の攻撃と、フォルスの援護射撃がラクウン目掛けて襲い掛かる。
「…………」
しかしラクウンは、そんな二人の攻撃を意図も簡単に避けてしまう。
「何で……何で当たらねぇんだ!?」
「何か、秘密があるのかもしれない!!」
「残念ですが、秘密などありません。あなた方の攻撃が当たらないのは、単純な実力の差なのです」
全く攻撃が当たらない事を、不自然に思い始める二人だったが、それは自分達の実力不足に目を背ける為の、見苦しい言い訳にしか過ぎなかった。
「……ち、地上が駄目なら空からだ!!飛ぶぞフォルス!!」
「分かった!!」
するとフォルスとシーラはお互いに翼を広げ、天井に向かって空へと舞い上がった。
「やはり飛べますか…………」
「ここから、私達の本領発揮だ!!スキル“スコールスピア”!!」
フォルスと供に、空へと舞い上がったシーラは手を掲げた。すると二人の足元に無数の槍が出現した。その無数の槍は部屋の天井中を埋め尽くした。
「これは何とも、高度なスキルですな」
「そんな強がりを言っていられるのも、今の内だよ!!さぁ、降り注げ!!」
シーラが掲げた手を振り下ろすと、天井中を埋め尽くした無数の槍が、一気に降り注いだ。
「…………“ブレス”」
ラクウンは、再び鼻から大きく息を吸い込み溜め込んだ。そして、降り注ぐ槍目掛けて口から息を吐いた。すると驚くべき事にラクウンの口から、炎が吐き出された。
「「な、何!!?」」
二人が驚きの表情を浮かべる中、ラクウンの口から吐き出されている炎が、自分の所に降り注ぐ槍を消し炭にした。
「まぁ……こんな所ですかね」
「し、信じられない……あれは私達ドラゴンだけが扱える、火属性魔法の“ブレス”……どうしてラクウンが扱える?」
「あ、あいつもシーラと同じ、ドラゴンなんじゃないのか?」
先程からラクウンが見せている技は、どれもドラゴン専用の技、そんなドラゴンの技を扱えるラクウンをフォルスは、シーラと同じ龍人じゃないかと考えた。
「まさか……あり得ないだろう……もし私と同じ種族の龍人なら、人間体になる際は私の様に、蜥蜴の様な見た目になる筈だ。だがラクウンの姿を見てみろ、何処からどう見たって人間だ……」
しかしそんなフォルスの考えを、シーラが否定した。
「なら、どうして奴はドラゴン専用の技が扱えるんだ!?」
「そんなの、私が知る訳がないだろ!!」
困惑する二人、ラクウンへの謎が二人の不安を増長させていく。
「おやおや、喧嘩ですか?その調子では私に勝つのは、二千年は掛かりそうですね?」
「くそっ!!考えるのは後だ!!とにかく今は、ラクウンを倒す事だけに集中しろ!!」
「っ!!…………あぁ、分かった!!」
舌打ちをしながらも、二人は戦いに集中するのであった。
「こうなったら仕方ない。本当はエジタスの奴に使いたかったけど、今ここで私が出せる最高のスキルで、ラクウンを倒すしかない!!」
「何!?そんなのがあったのか!?それなら何故、最初から出さなかった!?」
今のシーラが出せる最高のスキル。それを聞いて、フォルスは何故最初から出さなかったのか聞き返した。
「仕方ないだろ!!そのスキルは、今の私じゃ、完全に扱えきれないんだ!!使えるのも数日に一回だけ……だからエジタスとの戦いに備えて、温存させていたけど……このままじゃ、エジタスにたどり着く前に殺られてしまう。それなら、ここで使った方が良い!!」
そう言うとシーラは、翼を羽ばたかせながらラクウン目掛けて飛んで行く。
「ん、何をするつもりですか?」
「ラクウン……お前には、今の私が出せる最高のスキルをぶつけてやる!!」
「最高のスキルですか……それはそれは、ありがたいですね」
余裕の笑みを浮かべるラクウンに対して、何とシーラは持っていた槍を捨てた。
「な、何やっているんだシーラ!!?」
「唯一の武器を捨てるとは……血迷いましたか?」
「いや……これで良いんだよ。私が出せる最高のスキルは、槍を必要としないんだ」
「「!!?」」
するとシーラは、ラクウン目掛けて飛んで行きながら、両手首をくっ付けて胸の元まで持って来た。
「このスキルは、一歩力加減を間違えれば、私の両腕の骨が折れてしまう扱いが非常に難しいスキルなんだ。だけど、今の私が出せる最高のスキルには間違いないのさ!!」
「成る程、それなら避けた方が良さそうです……!?」
ラクウンが身の危険を感じて、その場から避けようとしたその時、いつの間にかズボンの裾を矢が貫通し、床に突き刺さっていた。
「こ、これは!!?」
「おいおい、これからシーラの最高のスキルが見られるって言うのに、逃げようだなんて言うなよ……な?」
「し、しまっ…………!!」
「助かったぜフォルス!!さぁ、食らいなラクウン!!これが私が出せる最高のスキル……」
フォルスの放った矢がズボンの裾を貫通し、床に突き刺さった事でその場から身動きが取れなくなってしまったラクウン。そんなラクウンにシーラが最高のスキルを叩き込む。
「(このスキルを初めて使った時、私は重症を負った。でも、魔王様が言ってくれた……まるで“お花”みたいだったって…………)」
懐かしき思い出に浸りながら、シーラは胸の所まで持って来た両手を、ラクウン目掛けて勢いのまま突き出した。
「スキル“龍の華”」
その瞬間フォルスは見た。幻覚なのかどうか分からないが、シーラの両手がラクウンに叩き込まれ、その衝撃からラクウンの背中から綺麗な華が咲いた。
「あぁ、勿論だ!!」
フォルスとシーラは、取られたシーラの槍を取り返す為、ラクウンへと攻撃を仕掛ける。
「スキル“龍の雄叫び”!!」
シーラは鼻から大きく息を吸い込み、一度溜め込むとラクウン目掛けて、雄叫びを上げた。シーラの口から発せられた強い衝撃波が、ラクウンへと襲い掛かる。
「…………」
するとラクウンは、それを予想していたかの様にシーラの槍を摘まみながら、横へと避け衝撃波を回避した。
「避けるか……さすがだな……だが、私達が只避けさせるだけだと、思っているのか?」
「!!!」
ラクウンが横へと回避したその時、雄叫びを上げたシーラの背後から、フォルスがラクウンに向けて弓を構えていた。
「頼んだぞ、フォルス!!」
「任せろ!!“ウインド”」
フォルスの矢に風がまとわりつく……。強い力に、カタカタと震える弓矢をしっかりと指で押さえる。
「貫け!!“ブースト”!!」
フォルスの弓から放たれた矢は、真っ直ぐとラクウン目掛けて飛んで行った。
「いくらお前でも、避けた先での攻撃は対処出来ないだろう!!さぁ、私の槍を返して貰おうか!!」
「…………そうですね、こちらの槍はあなた方にお返しします」
「「!!?」」
そう言うとラクウンは、手首のスナップを効かせ、摘まんでいた槍を肉眼では捉えきれない程の速さで、飛んで来る矢に目掛けて投げ返して来た。そのあまりの速さから、フォルスの放った矢を打ち破り、フォルスとシーラの元まで飛んで来た。
「ぐっ…………!!」
「シーラ!!」
するとシーラは咄嗟に前へと飛び出し、返された槍の先端部分を掴んだ。しかし、ラクウンの様に上手く掴む事が出来ずに、右手を負傷してしまった。
「あ……はは……と、取り返したぞ……」
「シーラ……手は、大丈夫か?」
「大丈夫に決まってるだろう。この程度の傷は無いも同然だよ」
怪我の心配をするフォルスに対して、何とも無い様に振る舞うシーラだが、傷付いた右手からは血が滲み出ていた。そんな負傷した右手で、戻って来た槍を握り締めていた。痩せ我慢をしているのは明らかであった。
「さて、槍も取り返せた事だし……反撃開始と行きますか!!」
「あ、あぁ…………」
あくまでシーラは、自身の怪我を正当化させずに、ラクウンとの戦いだけに意識を向けた。
「私が先行する。フォルスには援護をお願いするよ」
「分かった」
「頼んだよ。私は、あんたの事を信頼しているんだからな」
シーラは自身の槍を握り締め、ラクウンに攻撃を仕掛けた。
「はぁあああ!!!」
相手に予測されない様に、不規則な攻撃を繰り出すシーラ。突くだけでは無く、縦や横などの薙ぎ払いも繰り出す。
「成る程、只デタラメに振り回しているのではない。相手の避けられにくい箇所に攻撃を繰り出している。我が王の仰られていた通りどうやらあなたは、戦闘においてのスペシャリストの様ですね」
しかし、そんなシーラの思考もラクウンに読み取られ、悉く避けられてしまう。
「この!!この!!この!!」
攻撃が全く当たらない。次第にシーラの攻撃はヤケクソになり始めた。
「ふーん、戦闘のスペシャリストではある様ですが、心が狭くとても短気なのですね。それでは、実力の半分も出せませんよ?」
「黙れ!!私の事は、私が一番よく知っている!!」
ラクウンに煽られ、シーラの攻撃は更に雑さが目立ち始めた。
「シーラ!!しゃがめ!!」
「!!!」
その時、後方からフォルスの声が聞こえて来る。それに従い、シーラはその場でしゃがんだ。
「食らえ!!“三連弓”!!」
フォルスの弓から、三連続で矢が放たれ、一直線にラクウン目掛けて飛んで行った。
「面倒ですね……」
するとラクウンは、鼻から大きく息を吸い込み溜め込んだ。
「ま、まさか……!?」
「うぉおおおお!!!」
「「!!!」」
そしてラクウンは、飛んで来る三連続の矢に向けて大声を発した。するとラクウンの口から凄まじい衝撃波が生まれ、三連続の矢を吹き飛ばした。
「嘘だろ……今のは間違いなく、“龍の雄叫び”……こいつ何者だ……?」
「シーラ!!余所見するんじゃない!!」
「!!!」
ラクウンの突然の雄叫びに、気を取られてしまったシーラ。フォルスの警告と同時にラクウンの蹴りが、しゃがんでいたシーラに襲い掛かる。
「くそっ!!」
シーラは、持ち前の反射神経を生かして、ラクウンの蹴りを両腕で防いだ。
「良い反射神経をお持ちですね」
「いい気になってんじゃねぇぞ!!」
持っていた槍を、ラクウン目掛けて薙ぎ払うシーラ。しかし、その薙ぎ払いもラクウンに避けられてしまった。
「怒りで心が満たされていますね。頭に血が上れば、正常な判断が出来なくなってしまいますよ?」
「上から物事を言うな!!」
再びラクウンに煽られ、シーラは怒鳴り声を上げながら、ラクウンへの攻撃を再開する。
「くそ!!くそ!!くそ!!」
そしてまた、シーラの背後からフォルスが援護射撃をする。
「当たれ!!」
シーラの槍の攻撃と、フォルスの援護射撃がラクウン目掛けて襲い掛かる。
「…………」
しかしラクウンは、そんな二人の攻撃を意図も簡単に避けてしまう。
「何で……何で当たらねぇんだ!?」
「何か、秘密があるのかもしれない!!」
「残念ですが、秘密などありません。あなた方の攻撃が当たらないのは、単純な実力の差なのです」
全く攻撃が当たらない事を、不自然に思い始める二人だったが、それは自分達の実力不足に目を背ける為の、見苦しい言い訳にしか過ぎなかった。
「……ち、地上が駄目なら空からだ!!飛ぶぞフォルス!!」
「分かった!!」
するとフォルスとシーラはお互いに翼を広げ、天井に向かって空へと舞い上がった。
「やはり飛べますか…………」
「ここから、私達の本領発揮だ!!スキル“スコールスピア”!!」
フォルスと供に、空へと舞い上がったシーラは手を掲げた。すると二人の足元に無数の槍が出現した。その無数の槍は部屋の天井中を埋め尽くした。
「これは何とも、高度なスキルですな」
「そんな強がりを言っていられるのも、今の内だよ!!さぁ、降り注げ!!」
シーラが掲げた手を振り下ろすと、天井中を埋め尽くした無数の槍が、一気に降り注いだ。
「…………“ブレス”」
ラクウンは、再び鼻から大きく息を吸い込み溜め込んだ。そして、降り注ぐ槍目掛けて口から息を吐いた。すると驚くべき事にラクウンの口から、炎が吐き出された。
「「な、何!!?」」
二人が驚きの表情を浮かべる中、ラクウンの口から吐き出されている炎が、自分の所に降り注ぐ槍を消し炭にした。
「まぁ……こんな所ですかね」
「し、信じられない……あれは私達ドラゴンだけが扱える、火属性魔法の“ブレス”……どうしてラクウンが扱える?」
「あ、あいつもシーラと同じ、ドラゴンなんじゃないのか?」
先程からラクウンが見せている技は、どれもドラゴン専用の技、そんなドラゴンの技を扱えるラクウンをフォルスは、シーラと同じ龍人じゃないかと考えた。
「まさか……あり得ないだろう……もし私と同じ種族の龍人なら、人間体になる際は私の様に、蜥蜴の様な見た目になる筈だ。だがラクウンの姿を見てみろ、何処からどう見たって人間だ……」
しかしそんなフォルスの考えを、シーラが否定した。
「なら、どうして奴はドラゴン専用の技が扱えるんだ!?」
「そんなの、私が知る訳がないだろ!!」
困惑する二人、ラクウンへの謎が二人の不安を増長させていく。
「おやおや、喧嘩ですか?その調子では私に勝つのは、二千年は掛かりそうですね?」
「くそっ!!考えるのは後だ!!とにかく今は、ラクウンを倒す事だけに集中しろ!!」
「っ!!…………あぁ、分かった!!」
舌打ちをしながらも、二人は戦いに集中するのであった。
「こうなったら仕方ない。本当はエジタスの奴に使いたかったけど、今ここで私が出せる最高のスキルで、ラクウンを倒すしかない!!」
「何!?そんなのがあったのか!?それなら何故、最初から出さなかった!?」
今のシーラが出せる最高のスキル。それを聞いて、フォルスは何故最初から出さなかったのか聞き返した。
「仕方ないだろ!!そのスキルは、今の私じゃ、完全に扱えきれないんだ!!使えるのも数日に一回だけ……だからエジタスとの戦いに備えて、温存させていたけど……このままじゃ、エジタスにたどり着く前に殺られてしまう。それなら、ここで使った方が良い!!」
そう言うとシーラは、翼を羽ばたかせながらラクウン目掛けて飛んで行く。
「ん、何をするつもりですか?」
「ラクウン……お前には、今の私が出せる最高のスキルをぶつけてやる!!」
「最高のスキルですか……それはそれは、ありがたいですね」
余裕の笑みを浮かべるラクウンに対して、何とシーラは持っていた槍を捨てた。
「な、何やっているんだシーラ!!?」
「唯一の武器を捨てるとは……血迷いましたか?」
「いや……これで良いんだよ。私が出せる最高のスキルは、槍を必要としないんだ」
「「!!?」」
するとシーラは、ラクウン目掛けて飛んで行きながら、両手首をくっ付けて胸の元まで持って来た。
「このスキルは、一歩力加減を間違えれば、私の両腕の骨が折れてしまう扱いが非常に難しいスキルなんだ。だけど、今の私が出せる最高のスキルには間違いないのさ!!」
「成る程、それなら避けた方が良さそうです……!?」
ラクウンが身の危険を感じて、その場から避けようとしたその時、いつの間にかズボンの裾を矢が貫通し、床に突き刺さっていた。
「こ、これは!!?」
「おいおい、これからシーラの最高のスキルが見られるって言うのに、逃げようだなんて言うなよ……な?」
「し、しまっ…………!!」
「助かったぜフォルス!!さぁ、食らいなラクウン!!これが私が出せる最高のスキル……」
フォルスの放った矢がズボンの裾を貫通し、床に突き刺さった事でその場から身動きが取れなくなってしまったラクウン。そんなラクウンにシーラが最高のスキルを叩き込む。
「(このスキルを初めて使った時、私は重症を負った。でも、魔王様が言ってくれた……まるで“お花”みたいだったって…………)」
懐かしき思い出に浸りながら、シーラは胸の所まで持って来た両手を、ラクウン目掛けて勢いのまま突き出した。
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