笑顔の絶えない世界 season2 ~道楽の道化師の遺産~

マーキ・ヘイト

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第六章 冒険編 記憶の森

動き出す脅威

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 「それで、これからどうする?」



 「どうするも何もいつも通りです。一度、街に戻ってこのロストマジックアイテムをリップに渡しましょう」



 「うーん……」



 真緒の言葉に、納得いかない様子のフォルス。



 「何か気になる事でもあるんですか?」



 「覚えているか? 俺達がリップの名前を出した時のエレットの言葉を」



 「エレットさんの言葉……?」







 “それで? あんた達はこれからどうするつもりなんだい?”



 “取り敢えずこの二つのロストマジックアイテムをリップに渡そうと思います”



 “リップ?”



 “はい、カルド王国の女王であるリリヤさんに仕えている近衛兵です”



 “その名前……何処かで……”



 “もしかしてお知り合いですか?”



 “いや……そう言う訳じゃ無いけど……多分気のせいね”







 「そう言えば……そんな事を言っていましたね」



 「? ぞれがどうがじだだがぁ?」



 「いや、自国の人間や城の人間だったら、気にならなかったんだが……魔族であるエレットがリップの名前に反応していたからな……」



 一見、何の繋がりも無い様に見えるリップとエレット。しかしエレットの反応により、フォルスの中でリップに対する疑惑が急上昇していた。



 「……確かに気になる事かもしれませんが、それだけでリップを疑うのは早計じゃないでしょうか?」



 「む……」



 真緒の言葉にも一理あった。エレットの反応だけでリップの人間性を疑うのは、間違っている。



 「もし仮にエレットさんと関係があったとしても、果たしてそれが悪い事だと言えるんでしょうか?」



 「むむむ……た、確かに……」



 真緒の言う通り、リップとエレットの二人に関係があったとしても、それでリップが悪かと問われれば、そうとは言えない。結果、フォルスは言い負かされてしまうのであった。



 「どうしても気になるのなら、直接本人に確かめれば良いじゃないですか」



 「素直に答えてくれるか怪しいが……そうだな……疑っているだけじゃ、埒が明かないな」



 「それじゃあ、街に戻るとしましょう」



 そう言って真緒達は、ロストマジックアイテムを持って、街へと戻るのであった。



 「あれ? そう言えば何か大切な事を忘れている様な……」



 「リーマ、何してるの? 置いてくよ!!」



 「あっ、はーい!! うーん、思い出せないって事は、大した事じゃ無いですね」



 結局何も思い出せず、リーマは真緒達の後を追い掛けた。



 「あぁ……消えろ……消えろ……俺は……エジタスの……息子なんだ……」



 「何度でも言う、お前はエジタスの息子なんかじゃない」



 近くで哀れな道化師が、未だに過去の自分自身に苦しめられているのに気づかず……。







***







 「止めろ……止めろ……それ以上、言うんじゃない……くそっ……くそっ……」



 「いい加減、認めろよ……はぁ……ん?」



 フェスタスが少年フェスタスに苦しめられていると、二人の下に人影が近付いて来た。



 「……全く……連絡が途絶えたと思ったら……こんな事になっていようとは……幹部としての自覚が足りませんね」



 その人物はエイリスだった。側にはロージェもいた。



 「それで? どうするんだ?」



 「勿論助けますよ。でもその前に……ノーフェイス」



 エイリスが名前を呼んだ瞬間、何処から途も無くノーフェイスが目の前に姿を現した。



 「…………」



 「どうやら無事だった様ですね。では、フェスタスを助けましょうか」



 「意外だな、お前の事だからこのまま見捨てると思っていたぞ」



 「私もそこまで鬼ではありません。例え二度も失敗したとしても、三度チャンスを与えます」



 「三度目も失敗したら?」



 「…………ふふふ」



 その言葉にエイリスは、不適な笑みを浮かべた。それはロージェの背筋を凍らせた。



 「そうだな……聞くのは野暮だったな……」



 「おいおい、邪魔するんじゃねぇよ」



 フェスタスを助け出そうとするエイリスの前に、少年フェスタスが立ち塞がった。



 「あなたは……成る程、フェスタスの記憶から作り出された存在ですか」



 「どうしてその事を……いや、今はそんな事はどうでもいい。悪いが、手出しは無用だ」



 「どうして?」



 「何故ならこれは、こいつが成長するのに必要な試練だからだ」



 「試練ですか?」



 「そうさ、こいつは未だに自分がエジタスの息子では無い事を認めようとしない。その呪縛から解放されない限り、いつまで経っても成長は見込めない」



 「そうでしたか、やはりエジタス様の息子ではありませんでしたか。良かった……実は少し不安だったのですが、今の言葉で一安心です」



 「そうか、ならしばらくの間放っておいてくれないか? 恐らくもうすぐ説得出来る筈……っ!!?」



 その瞬間、ノーフェイスが持っていた剣が少年フェスタスの体を勢い良く貫いた。



 「な……んだと……」



 「申し訳ありませんが、フェスタスはそのままでいて貰わないと困るんです」



 「何故だ……成長すれば……より強い戦力が……手に入るんだぞ……」



 「正直、これ以上の強さは必要ありません。今欲しいのは、私の筋書き通りに動いてくれる手駒です」



 「筋書き……?」



 「所詮、消える存在のあなたには関係の無い話です。ノーフェイス」



 「…………」



 その言葉を合図に、ノーフェイスが突き刺していた剣を横に薙ぎ払った。それにより、少年フェスタスの体は真っ二つに引き裂かれた。



 「ぐはぁあああああ!!!」



 悲痛な叫び声を上げながら、少年フェスタスは消えた。



 「終わったのか?」



 「えぇ、これで大丈夫な筈です……フェスタス……フェスタス……そろそろ正気を取り戻しなさい」



 「黙れ……黙れ……俺はエジタスの息子だ……息子なんだ!!」



 だがしかし、言葉が聞こえていないのか、フェスタスは喚き散らしながら、右腕を骨肉魔法で巨大化させ、エイリス目掛けて振り下ろそうとした。



 「あらあら、どうやら記憶の世界と現実の世界との区別が出来ていない様ですね。ノーフェイス」



 「…………」



 「がはっ!!?」



 すると、ノーフェイスが剣の柄でフェスタスの首筋を狙い、一発で気絶させた。そして前のめりに倒れるフェスタスを、ノーフェイスが担ぎ上げた。



 「時期、目を覚ますでしょう」



 「それで? これからどうするつもりなんだ?」



 「そうですね……ロストマジックアイテムはマオ達が五つ、私達が一つ持っています。つまり遂に、ロストマジックアイテムが近くに揃った事を意味します」



 「殆ど、相手に取られてしまったがな」



 「ふふふ……寧ろ好都合です。漸く“あの子”に動いて貰う時が来ました」



 「“あの子”? 前にも言っていたが、“あの子”っていったい誰なんだ?」



 「そうですね、ここまで来たらあなたにも知っておいて貰いましょうか。“あの子”の事を……」



 「勿体振らずに言ってくれ」



 無駄に溜めるエイリスに、ロージェは早く言う様に急かした。



 「私が“あの子”に会ったのは丁度一年前、“あの子”はエジタス様から直接ロストマジックアイテムを託された子だったの」



 「つまり守護者の一人だった訳か」



 「“あの子”が持つロストマジックアイテムは強力だった。それこそ使い方次第では、他のロストマジックアイテムを封殺出来る程に……」



 「そんなにか? よく手に入れる事が出来たな」



 「いえ、正確には手に入れてない」



 「はぁ? どう言う事だ、さっき一つ持っているって言ったじゃないか」



 「言葉が足りなかったわね。正確には、“あの子”がヘッラアーデに加入してくれたのよ」



 「成る程、つまりマオ達が探している最後のロストマジックアイテムを持っている守護者は、ヘッラアーデの一員という事なんだな」



 「そう言う事よ。取り敢えず、フェスタスを帝国に送り届けた後、そのまま“あの子”に会いに行くわ」



 「私にも、会わせて貰えないか?」



 「残念だけど、それは出来ない相談ね。“あの子”は自身の身の上を大人数に知られたくないのよ。だから“あの子”の事を詳しく知っているのは、私だけ……ごめんなさいね」



 「……それなら仕方無い。私も帝国で時が来るのを待つとしよう」



 「良い判断ね……もうすぐ……もうすぐよ……六つ全てのロストマジックアイテムが揃った時、大いなる計画が動き出すのよ」



 「一人で語るのは勝手だが、そろそろ帝国に戻った方が良いんじゃないのか?」



 「そうね、それじゃあ戻りましょうか。ノーフェイス、ロージェ」



 そう言うとノーフェイスとロージェは、エイリスの体に触れた。すると次の瞬間、エイリス達の姿はその場から消えてしまうのであった。
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