笑顔の絶えない世界 season2 ~道楽の道化師の遺産~

マーキ・ヘイト

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第八章 冒険編 血の繋がり

真緒パーティー VS ノーフェイス(中編)

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 「スキル“乱激斬”!!」



 「…………」



 真緒の激しい斬激がノーフェイス目掛けて勢い良く放たれるも、それら全てを見事に受け流して見せた。



 「“ライト”!!」



 次の瞬間真緒は、思わず目を瞑ってしまう程の強い閃光を放つ光の玉をノーフェイスの目の前で生成した。



 目が眩んでいる一瞬の隙を突いて、真緒は背後へと回り、そのまま剣で斬り付けようとする。



 「はぁあああああ!!」



 「…………」



 が、まるで最初から真緒の位置を把握していたかの様に、後ろ向きのまま武器を持った右腕で防いで見せた。



 「なっ!!?」



 そして次の瞬間、ノーフェイスの“上半身”だけが百八十度回転し、武器を持っていない左腕で真緒を殴り飛ばした。



 「がっ!!!」



 「マオぢゃん!!」



 後方へと吹き飛ばされる真緒を、ハナコが咄嗟に受け止める。そのお陰で威力が殺され、地面に激突する事は無かった。



 そんな二人の下に、同じく吹き飛ばされていたリーマとフォルスが駆け付ける。



 「マオさん、大丈夫ですか!!?」



 「私なら大丈夫だよ」



 「マオ……今の見たか?」



 「はい……」



 それまで真緒達が感じていた違和感。それはカルド王国の地下で、初めて対峙していた時から感じていた。



 「お前の剣を見ずに掴み取ったり、予備動作無しで動き出した辺りから薄々感じてはいたが……」



 他にもリーマを軽々と持ち上げ、空中にいるフォルス目掛けて投げ飛ばしたりなどする中、先程の上半身が百八十度回転するという衝撃的な光景を目撃し、疑惑は確信へと変わった。



 「あいつは……ノーフェイスは“人間”じゃない!!」



 「そもそも生き物なんでしょうか?」



 体に負荷を掛ける様な動きを繰り返すノーフェイス。もし人間ならば体は既にボロボロ。下手すれば死んでいるかもしれない。



 また、上半身だけを百八十度回転するなど、最早生き物の領域を越えている。その為、真緒は生き物ですら無いのではないかと、疑い始めていた。



 「分からない………それは直接あいつを倒して見る他無い」



 「倒せるんでしょうか?」



 「リーマ、さっきお前が吹き飛ばされた時、ノーフェイスは剣の何処の部分を使っていたか覚えているか?」



 「え、えっと……」



 リーマが必死に思い出そうとするが、それよりも早くフォルスが答えを出した。



 「“峰”だ。峰の部分で吹き飛ばしたんだ」



 「それがいったい……?」



 「可笑しくないか? もし俺達を本気で殺す気なら、刃の部分を使えばすぐ済む筈だろう?」



 「あっ、確かに……」



 「それにだ、ついさっきマオが吹き飛ばされた時も、あいつは武器を持っている右腕じゃ無く、わざわざ持っていない左腕で攻撃して来た。あまりに不自然じゃないか?」



 「それはつまり……私達は嘗められているという事でしょうか?」



 遊び半分。本気を出す程の実力じゃない。強者のみが許される圧倒的余裕な態度を見せつけているのではないかと、真緒は考えた。



 「それも一理ある。だが、仮にもあいつはエイリスに直接命令を受けている。それに俺達は祭壇まで後一歩の所まで来ている。万が一ここを突破されてしまったら、あいつらの作戦は全て水の泡となってしまうんだ。そんな危険な状況で手加減するなんて思うか普通?」



 フォルスの言う通りだった。普通の戦闘ならまだしも、今現在祭壇で儀式を執り行っている最中なのだ。にも関わらず、戦いの手を抜くなどあまりに常識から離れている。



 「じゃあいったい……?」



 「これはあくまで俺の予想だが、もしかしたらあいつは武器の使い方を知らないんじゃないか」



 「「「!!!」」」



 思ってもみない発想。ヘッラアーデの幹部であり、その中でもかなりの実力者であるノーフェイスが、実は武器の使い方を知らないなど、前代未聞である。



 「い、いやそれはあり得ませんよ。フォルスさんだって覚えていますよね? カルド王国の地下から逃げようとした時、ノーフェイスは敵味方関係無く、斬り殺していたじゃないですか」



 「確かにな。だがそれはあいつが“剣”を持っていた時の話だろ。奴が今持っている武器を見てみろ」



 フォルスに言われた通り、真緒達はノーフェイスの持っている武器に視線を向けた。



 「あれって……“刀”?」



 「そうだ、剣は左右どっちでも同じ切れ味だが、刀は片方にしか切れ味が存在しない」



 「そうか、剣の時はデタラメに振り回しても大丈夫だけど、刀の場合は確りと刃の部分で斬り付けないと意味が無い。それが出来ないって事は、武器の扱い方が分かっていないという事なんですね!!」



 フォルスの説明にピンと来たリーマは、あっという間に正解へと辿り着いた。



 「まぁ、そういう事だ。お前らは分かったか?」



 「うーん、何どがぁ……」



 「お前は仕方ない。マオはどうだ……マオ?」



 「…………」



 理解が追い付かず、ハナコが頭を悩ませている中、真緒だけはノーフェイスが持っている刀をじっと見つめていた。仲間の声が聞こえなくなる程。



 「マオ、おいマオ!!」



 「えっ、何ですか?」



 「何ですかじゃない。急に黙ってどうした?」



 「い、いや別に大した事じゃないんですけど……あの刀、何処かで見た気がするんですよ……」



 「「「?」」」



 改めてノーフェイスの刀を見つめる。刀身は真っ黒に染まっており、鍔は4枚の葉の形をし、黒檀の様に黒光りしていた。



 「言われて見れば確かに……」



 「でもいったい何処で見たのか、よく思い出せなくて……」



 奥底に深く眠った記憶。眉間にシワを寄せながら必死に思い出そうとするが、そう都合良くはいかない。



 そんな真緒に対して、フォルスが声を掛ける。



 「気持ちは分かるが、今は目の前の敵に集中するぞ」



 「そうでしたね。とにかく今は倒す方法を探しましょう」



 気になる点は多々あるが、それより今はノーフェイスという強大な敵をどう倒すか、それを考える方が先決だと言える。



 「そう言っても、いったいどうやって倒すつもりなんですか?」



 「物理は効かない。魔法も当てようとすれば異常な身体能力で避けられ、放った矢は凄まじい反射神経で掴み取られてしまう」



 「お手上げだぁ……」



 「せめて鎧さえ剥がす事が出来ればな……」



 「!! それですよ!!」



 フォルスの何気無い一言に、真緒は目を大きく見開いた。この絶望的状況を打開するかもしれない、一筋の光を見出した。



 「上手く行けば、ノーフェイスの鎧を剥がせるかもしれない」



 「いったいどうやって? あんな身体能力と反射神経が高いんですよ?」



 「それが時に仇となる事もあるんだよ」



 「「「?」」」



 「とにかく、私が考えた作戦を伝えるね。この作戦の肝は“連携”だから、皆で力を合わせないと絶対に成功しない」



 そう言うと真緒は三人に、ノーフェイスの鎧を剥がす為の作戦を耳打ちするのであった。







***







 ノーフェイスの前に立つ真緒とフォルスの二人。側にハナコとリーマの姿は無い。



 「こんな無茶な作戦、本当に上手く行くと思っているのか?」



 「勿論。だって今まで無茶だと思って来た作戦を成功させて来たじゃありませんか」



 「そうだったな……今更だったな」



 「準備は?」



 「万端だよ」



 「それじゃあ……作戦開始!!!」



 その合図を切っ掛けに、二人は一斉に走り出すのであった。
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