《完結》エフ --双子の姉と僕だけの二人きりの誕生日--

夜の雨

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夢 《竜之介》

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有栖…僕の全て。

「リュウ…きて」
有栖が甘い声で僕を呼ぶ。僕はその声に誘われるまま、有栖のかわいい唇に口づけをして、唇の間から舌を滑り込ませた。
あたたかい…
有栖は拒否せずにそれを受け入れてくれた。
ちいさな舌が僕の愛撫を躊躇いがちに迎える。
有栖の細い腕が僕の背中に伸び、やさしく抱きしめてくれる。
僕は有栖を怖がらせないように気をつけながら、髪をなで、肩をなで、また髪をなでる。
有栖の唇から口を離すと、頬にキスして、耳朶に口づける。
「ん…っ」
くすぐったいのか、有栖が声を漏らす。
かわいい…。
僕はたまらなくなって、そのまま彼女の首筋にキスをする。
うなじから鎖骨にかけて丁寧にキスを降らせる。
「リュウ…」
「有栖…大好きだよ…」
有栖が潤んだ瞳で僕を見ている。

そこで目が覚めた。
目の前には、夢のなかと同じ有栖の顔が間近に迫っていた。
「……!!」
「リュウ…今、苦しそうに私の名前呼んでた…」
淡いラベンダー色のパジャマの有栖が心配そうにこちらを見ている。どうやら有栖を寝かせてあげようとして、自分が先に眠ってしまったらしい。
「ねごと…?」
有栖が身体を起こそうとする。
僕は顔が熱くなるのを感じて思わず顔をそむけた。

有栖の手が僕の胸に触れている…
離れなきゃ…
さらに有栖は心配そうに僕の頬に手を伸ばそうとしてくる。
「ちょ…だめ、有栖、ちょっと離れて…」
パシッと有栖の手を払ってしまう。
「…!」
有栖がちいさく傷ついた顔をした。
「ご、ごめん…ちょっとトイレ…っ!」
僕は謝って、急いでベッドを離れる。

洗面所でばしゃばしゃと顔を洗う。
鏡に映った自分の顔を見る。
最悪だ…
最近、自分が父親に似ていたような気がして鏡を見るのがつらい。
いつか、いつか、自分が父親と同じことをしてしまったらどうしようと思う。
有栖を襲ってしまいそう…
それは絶対あってはならない。
兄だって、有栖だって僕を信じてくれているんだから。
僕は冷静な気持ちを必死に取り戻そうとごくごくと水で喉を潤した。

もう大丈夫。

ベッドに戻ると、有栖が心配そうに身を起こして僕を待っていた。
「リュウ…」
僕はにこっと笑ってみせた。
「ごめんごめん、おしっこ漏れそうだったんだ…有栖がおなかを押さえたらでちゃいそうだった…」
有栖は少しだけ訝しんでいたけど、そうなの?ごめんねと笑ってくれた。
あっぱれ、僕の演技力。
僕のベッドは毎日が麗しい生殺しの天国。
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