《完結》エフ --双子の姉と僕だけの二人きりの誕生日--

夜の雨

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18歳男子が欲しいもの《有栖》

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もうすぐ竜之介の誕生日。

竜之介は私の大切な同い年の弟。でも血は繋がっていない。
お兄ちゃんもそう。
でもふたりとも、本当の家族みたいに、それ以上に大切にしてくれる。

いつまでも甘えていたらいけないと思いながら、まだまだ未熟で助けてもらってばかり。
誕生日くらいちゃんとお祝いさせてほしいのに、遠慮されてしまった。

なにか考えてプレゼントしよう。
18歳の男の子って何が欲しいんだろう…

こんな時に相談できる人は私にはひとりしかいない。

『あれー?有栖ちゃんから連絡くれるなんて珍しいねー』
電話からは明るくていつも変わらない優しい声が聞こえてくる。
『桃くん』
桃くんは、元クラスメイトの男の子で、竜之介のお友だち。私にもいろいろ良くしてくれる。
そして、私のひみつを知っている唯一の人でもある。
今は国公立の法学部に通っている。

『突然電話してごめんね。あの…今よかったかな?』
私は竜之介が大学に出かけたのを確認してから自室から電話したのだ。

『大丈夫だよ。なんかあった?』
『あの……男の子が欲しいものを教えて欲しくって……』
『あー、竜之介がもうすぐ誕生日か…』
桃くんはすごく察しのいい人でなんでもお見通しなのだ。
いつもは自分でプレゼントは考えて贈っていたけれど、今年は18歳、成人になる竜之介になにか特別なものをあげたい。
私の18の誕生日には竜之介はプラチナのきれいなブレスレットをくれた。
私もそんなふうに気の利いた素敵なプレゼントができたらいいのだけれど……。
『有栖ちゃんが選んだものなら、竜之介なんでも喜ぶよ……』
桃くんは全く役に立たないアドバイスをくれる。

『うーーん…』
私が困っていると、電話の向こうで桃くんがクスッと笑うのが聞こえた。 
『かわいい悩み事でよかったよ。竜之介はああ見えて脆いとこもあるから、竜之介を守ってくれる、あいつが強くなれるような、そんなお守りがわりになるようなものとかいいんじゃない?』

竜之介を守ってくれるようなものーーー
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