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ご近所さんの噂ばなし2
しおりを挟む園田のおばさん、美菜子は二人の視線の先を見た。
「もしかして、お屋敷があるなんて驚いたのかい?」
図星だった陽子と翔吾はおずおずと頷く。
よほど、自分たちが分かりやすかったのだろう。
「すごく綺麗な建物だし、なんだか見惚れてしまって」
「お屋敷なんて本当にあるんですね」
美菜子はどこか嬉しそうに二人の言葉を聞いている。
「ふふ、実はね。ここは若い子達が住んでいるんだよ」
「「若い子たち?」」
陽子と翔吾は信じられないという思いで尋ねる。
「草薙さんとこはそれはまあ賑やかなメンツだねぇ」
賑やかなメンツ、とは。
若夫婦はますますここで住む人に興味が湧いた。
「ご両親はとうに亡くなられているんだけどね、長い間きょうだい全員で楽しくやっているみたいだよ」
「そうだったんですね・・・」
陽子はしみじみとした様子で耳を傾ける。実家に弟妹がいる彼女にとって、他人行儀には出来ない部分があったみたいだ。寂しげに相槌をうつ妻の肩を、翔吾はさりげなく抱きとめた。
「そのうち橘さんたちもお会いすると思うよ」
陽気な美菜子に、二人はぱちぱちと瞬きする。
「なあに、心配しないでいいんだよ。この街に住むわたし達はみんな、草薙さんご家族が大好きだからね」
「そう、なんですか」
翔吾は呆気に取られたまま、聞き返す。
「ああ、いずれ分かるよ。なんせ美男美女ばっかりだからね~。早く会ってほしいもんだよ」
──────流歌ちゃんも、孫みたいに可愛いし。
美菜子は最後にそれだけを言い残して帰って行った。
「流歌ちゃん、だって。この子と年が近いかな」
「だったら、俺たちも早くご挨拶したいよな」
再び帰り道に戻る。空は気持ち良いほど晴れていた。
「・・・・・・そうだっ!今度うちにお茶でも誘おうよ、たくさんクッキー焼いてさ。それで仲良くなりたいなあ」
陽子は赤ん坊の頭を優しく撫でながら言う。
妻の明るい性格に、翔吾は幸せな笑みを深めた。
「いいな、それ。きっと喜んでくれるよ」
またとない新しい日々が、始まろうとしていた。
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