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24歳の流歌
しおりを挟む──────ちゅんちゅんちゅん。
小鳥の可愛らしい囀りが聴こえてきて、それまでベッドで眠っていた流歌は、ぱちりと目を覚ます。
肩で切り揃えられた色素の薄い髪の毛の先に、ぴょこんとした寝癖がついていた。
流歌がベッドでモゾモゾ動いているうちに、扉の外から控えめなノックがたたかれる。
「流歌、起きてるかしら?」
優しげな二重瞼で小さな瞬きを繰り返していると、物音立てずにドアが開いた。慣れた自然な佇まいで、姉の詩織がお盆を両手に部屋に入ってくる。
「ふふっ、可愛い寝癖ね。よく眠れた?」
ぼんやりしながらも流歌は身体を横にしたまま、幼い子供のようにコクコクと首を振る。
痩せた色白の指先が、きゅっとシーツを握っていた。
「・・・・・・あさ、ぽかぽかねぇ。あたかいねぇ」
優斗やあおいと近しい成人男性の身体を猫みたく丸めながら、ヘーゼルの瞳を嬉しそうに細める。
二つ年下の弟が昨夜の余韻を引きずることなく柔らかな空気を纏っていることに、詩織は笑顔を返した。
「流歌の言う通りね、朝はぽかぽかしているわ。
それにそれに、今日はとっても天気が良いのよ~」
ベッド脇にあるスツールに腰を据え、詩織は流歌の綻んだ横顔を母のような眼差しで見やる。
すべすべした綺麗な肌には、年齢に不釣り合いな幼さが残るが、はだけたパジャマから覗く鎖骨には長年の鬱血によるケロイドの痕が縄目のように残っていた。
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