草薙さん家の天使はいつもにこにこ晴れている。

しろあん粒あんぱん

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24歳の流歌3

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「ほんとはお腹空いているのよね。
我慢しなくて大丈夫よ、これは流歌の分なんだから」

「う?」


流歌は大きな目をキョロキョロ忙しなく動かす。

それを見た詩織は、あまりの純朴さにクスクス声を出して笑ってしまった。姉が笑った理由が理解できずに、流歌はいっそう布団を引き寄せる。


「ごめんなさいね。流歌があまりにも可愛いから」

 
目の端を軽く拭った詩織は、華奢な指先でパンを一口サイズにちぎった。甘いジャムを付けて、寝たままの流歌の口元へゆっくり運んでいく。


「食べていいのよ、ほら。甘い林檎味」


最初は戸惑っていた流歌だったが、姉の優しい催促に抗えず、おずおずとパンの生地を飲み込んだ。細い首の喉仏がしっかりと上下に動いたのを確認して、詩織はほっと胸を撫で下ろす。


──────良かった。なんとか食べられたわ。


その後も、緩慢な動作で上体を起こした流歌は、ちびちびと遅い朝ご飯を口に運んだ。しかし、栄養を入れる事に慣れていない痩せた細い身体は、配膳の半分以上を残して満足してしまう。

それでも、久々に固形物を食べれた事実に、姉は弟の回復を感じた。午後もある程度の心配は残るものの、朝の時間に、弟の元気な姿に会えたことが嬉しい。


「しいちゃ、こえ、どーじょ」


ほのぼのした面持ちで頬杖をついていれば、ふと眼前に一口だけのパンが差し出された。


「いぱいあるねぇ、おいちぃねぇ」


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