53 / 64
第27話 目を離すな
しおりを挟む
#第27話 目を離すな
ネオンが滲む、煌都の夜。
その雑居ビルに、三つの影が足を止めた。
奥まった一角、ひときわ目を引くのは、
ギラついたラウンジの扉。
光は派手でも、客の出入りは異様に少ない。
──それが、何よりの証明だった。
「……着いたな。」
並んだ影が、スーツ姿で静かに立ち止まる。
ルカは、ブラックスーツに深紅のシャツ、ネクタイは緩く垂らしたまま。
その隣で、ナオはネイビーのスリーピースに銀のピンを光らせ、髪をオールバック気味に整えていた。
背後に立つ臣は、
濃墨のスリーピースに、黒シャツをラフに着崩している。
ナオは袖口に目を落とし、わずかに眉をひそめる。
普段着慣れないスーツの感触に、どこか落ち着かないような仕草。
ネクタイを指先で直しかけたところで、小さく呟く。
「……似合わねぇな、俺ら。」
「はは、逆だよ。……“似合ってねぇからこそ、似合って見える”んだ、こういう場じゃ。」
そう言って、ルカが笑った。
――臣が会員カードと招待コードを提示し、ラウンジの受付を通過すると、すぐに簡易的なセキュリティゲートが設けられていた。
係員の男たちが無言で立ち塞がる。
扉の前には、金属探知ゲートと簡易のボディスキャナ。
“持ち込み禁止”の警告が、赤く点滅していた。
形式上は簡素だが、抜け道のない構造だ。
「さてと……」
一人ずつ進み、まずはルカ。
即座に金属探知が反応し、短く「ピッ」と音が鳴る。
「……あぁ、これだ。」
ルカは腰のベルトに触れ、指先で軽く弾いた。
「洒落てるでしょ、特注のやつ。……これ、ベルトなんだけど。ダメ?」
軽口と共に、係員に向かって愛想笑いを向ける。
係員は表情を変えずにスキャン結果を確認し、小さく頷いた。
続いてナオ。
ナオは静かにスキャンを通過する。
(丸腰だもんな、当然か。
あいつが一番、危ねぇのに……)
ルカは思わずそんなことを考え、口元が緩む。
三番目は臣。
係員の視線が、彼の左腕――黒い義手に一瞬だけ止まった。
「……お怪我を?」
問いかけに、臣は肩を竦めながら、ジャケットの内ポケットに手を突っ込んで義手の輪郭を隠すような仕草を見せた。
「古い義手でね。医療用の。外して見せた方がよかったか?」
軽く、わざとらしく笑う。
係員はわずかに困ったような顔をしたが――次の客の列に追われて、首を横に振った。
「……ご入場ください。」
無表情な係員が一歩脇に退く。
そのまま三人はラウンジの奥へと進む。
重厚なドアの先には、招待客のみが知る“もう一つの世界”が存在していた。
ラウンジの奥――ただの従業員用エリアのように見える廊下の突き当たりに、
小さなパネルと隠し扉。
そこに指をかざせば、エレベーターが沈むように現れる。
沈黙のまま乗り込んだ三人を乗せて、エレベーターは地下へとゆっくりと降りていく。
密室に、わずかな揺れと沈黙が満ちる中――
臣がポツリと呟いた。
「“センパイ”とか、ここで言うなよ。舐められる。」
ルカが横目で笑いかける。
「じゃあ、“臣くん”でいーじゃん。……かわいいし?」
「“さん”をつけろ。年上だ。」
「案外、気にすんだな。ああ、じゃあ、なおさら……“臣くん”。」
舌の先に笑みを乗せながら、ルカがふざけた調子で言う。
「……お前な、そういうとこだぞ、“ルカ”。」
臣は肩をすくめながら、ため息をつく。
ナオはそんなふたりを横目に、何も言わずネクタイを直す。
“演じる”準備は、もう整っていた。
扉が開いたその先には――
赤と黒の絨毯、クリスタルのシャンデリア、喧騒と笑い声、酒と煙の匂い。
「さて、何が出るかな。」
ルカが一歩、先に出た。
その足音を合図に、三人は煌びやかな“地獄”へと踏み込んでいく。
――札束が燃えるような喧騒。
笑い声の底に沈む、ぎらついた空気。
三人は、一瞬立ち止まり――
「派手だな……」
ナオがぽつりと呟く。
シャンデリアの光、札束の山、潤んだ笑顔。
そのすべてが、欲と虚飾でできていた。
ルカは、正面を向いたまま笑った。
軽薄な仮面の下で、声だけが低く滑る。
「俺がテーブルにつく。派手に、目立って。
ナオは横で“ハニー役”。……周囲の観察な。」
ナオは、ひとつ息を吐き、音もなく歩幅を揃える。
ルカは笑みを崩さず、続けた。
「臣くんは"仕掛け"。悪目立ち、すんなよ。」
義手の指先が、小さく“コッ”と音を立てた。
臣の答えは、それだけだった。
「いい演目にしようぜ。
“主役は遅れて登場”ってな。」
そう言って、ルカが一歩を踏み出す。
煌びやかな地獄が、口を開く。
――喧騒の中へ足を踏み出しながら、
ルカはちら、と視線だけで場を駆ける。
ルーレット、ポーカー、バカラ……
色と欲にまみれたテーブルの中で、
彼の目がすぐに一つの卓に留まった。
ブラックジャック。
札の切り方、客の熱気、ディーラーの手つき。
その卓には、欲と焦りがじわりと滲んでいた。
派手すぎず、沈みすぎず――“仕掛ける”には、ちょうどいい。
「……あそこだ。」
ルカは目を細め、ためらいなく歩き出す。
その背後、片腕を軽くルカの背に添えながら、
ナオもさりげなく寄り添った。
斜め後ろに立ち、ルカの肩越しに視線を流す。
一見ただの“パートナー”を演じながら、
スタッフの動線、客の手元、
空気の淀み、視線の“泳ぎ”――
目に見えない“不自然”を、静かに拾い集める。
「……隣のディーラー、客と視線が合ってねぇな。」
ナオが低く呟く。
作り笑いの裏に潜む警戒と恐れ――
“裏”を知る者の目には、微かな違和が映る。
一方、臣は少し距離を取り、
周囲の壁やスタッフの巡回ルートを流し見ていた。
指がポケットの中でわずかに動く。
何かを測るように、静かに。
……そして、ルカは軽く笑いながら、
チップを一枚、卓に滑らせた。
「……さて、賭けようか。
しっかり見てろよ、ハニー。」
まるで甘い芝居のセリフのように、ナオにだけ、低く視線を流す。
ナオは一拍置き、わざとらしく頬をゆるめてから、静かに頷いた。
その目だけが、冷たく、テーブルの向こうを射抜いていた。
――勝っても、負けても。
ルカの唇には、変わらず柔らかな笑みが浮かんでいた。
「……今回は勝てそうだな。」
チップを滑らせる指先と共に、舌先だけの軽口。
勝敗に浮きも沈みもしないその声に、熱はない。
けれど――その眼差しだけが、鋭かった。
札ではなく、客の仕草。
ディーラーの癖。
空気の淀みと、揺らぐ視線。
場に“染まる”ことすら、演技のうち。
誰よりも意味ありげに見せながら、
ルカの目はひとつも“遊んで”いなかった。
ナオは、ルカの斜め後ろ。
無言で寄り添い、視線を肩越しに滑らせる。
(……スタッフ七人。巡回三、固定四。
客層は上級者……だが、“本物”はごく一部。)
指先の癖、札を置く角度、息づかい。
ナオは、笑う代わりに“見て”いた。
ふと、ルカが声をかける。
「なあ、ハニー。次はどう賭けようか?」
気怠げな甘さをにじませながらも、
その声は、まるで脚本に仕込まれた誘い文句のようだった。
ナオは片頬をゆるめ、わざとらしく囁く。
「ダーリンが勝ったら、帰り道にキスの一つでも考えてやるよ。」
「それ、最高。」
そして、すぐに――
イタリア語で、低く囁く。
「Tienimi d’occhio, amore.」
意味は、分からない。
けれどその響きに、ナオは小さく頷いた。
そして、視線を滑らせ――
奥のフロアで、ふと立ち止まったスタッフ二人が目に入った。
(……あれが、裏口か)
目を細めた瞬間。
ルカの視線が、わずかに横をかすめた。
混み合うテーブルの隙間。
煌びやかな喧騒の奥、壁際に佇むひとつの影。
義手の男が、ゆっくりとポケットから手を抜き――
“コッ、コッ”と、二度、指を鳴らした。
ほんの一瞬、ルカの目が細まる。
次の瞬間、椅子を引く音がテーブルに響いた。
「……さて。」
笑みを貼りつけたまま、
ルカはチップの山を片手に掴み取る。
「ハニー。……派手にいこうぜ。」
チップの縁を指でなぞってから、音もなく滑らせた。
あくまで軽く、遊びの延長のように。
けれどその指先は、迷いなく――
「――オールイン、だ。」
舞台は整った。
さあ――幕を上げよう。
ネオンが滲む、煌都の夜。
その雑居ビルに、三つの影が足を止めた。
奥まった一角、ひときわ目を引くのは、
ギラついたラウンジの扉。
光は派手でも、客の出入りは異様に少ない。
──それが、何よりの証明だった。
「……着いたな。」
並んだ影が、スーツ姿で静かに立ち止まる。
ルカは、ブラックスーツに深紅のシャツ、ネクタイは緩く垂らしたまま。
その隣で、ナオはネイビーのスリーピースに銀のピンを光らせ、髪をオールバック気味に整えていた。
背後に立つ臣は、
濃墨のスリーピースに、黒シャツをラフに着崩している。
ナオは袖口に目を落とし、わずかに眉をひそめる。
普段着慣れないスーツの感触に、どこか落ち着かないような仕草。
ネクタイを指先で直しかけたところで、小さく呟く。
「……似合わねぇな、俺ら。」
「はは、逆だよ。……“似合ってねぇからこそ、似合って見える”んだ、こういう場じゃ。」
そう言って、ルカが笑った。
――臣が会員カードと招待コードを提示し、ラウンジの受付を通過すると、すぐに簡易的なセキュリティゲートが設けられていた。
係員の男たちが無言で立ち塞がる。
扉の前には、金属探知ゲートと簡易のボディスキャナ。
“持ち込み禁止”の警告が、赤く点滅していた。
形式上は簡素だが、抜け道のない構造だ。
「さてと……」
一人ずつ進み、まずはルカ。
即座に金属探知が反応し、短く「ピッ」と音が鳴る。
「……あぁ、これだ。」
ルカは腰のベルトに触れ、指先で軽く弾いた。
「洒落てるでしょ、特注のやつ。……これ、ベルトなんだけど。ダメ?」
軽口と共に、係員に向かって愛想笑いを向ける。
係員は表情を変えずにスキャン結果を確認し、小さく頷いた。
続いてナオ。
ナオは静かにスキャンを通過する。
(丸腰だもんな、当然か。
あいつが一番、危ねぇのに……)
ルカは思わずそんなことを考え、口元が緩む。
三番目は臣。
係員の視線が、彼の左腕――黒い義手に一瞬だけ止まった。
「……お怪我を?」
問いかけに、臣は肩を竦めながら、ジャケットの内ポケットに手を突っ込んで義手の輪郭を隠すような仕草を見せた。
「古い義手でね。医療用の。外して見せた方がよかったか?」
軽く、わざとらしく笑う。
係員はわずかに困ったような顔をしたが――次の客の列に追われて、首を横に振った。
「……ご入場ください。」
無表情な係員が一歩脇に退く。
そのまま三人はラウンジの奥へと進む。
重厚なドアの先には、招待客のみが知る“もう一つの世界”が存在していた。
ラウンジの奥――ただの従業員用エリアのように見える廊下の突き当たりに、
小さなパネルと隠し扉。
そこに指をかざせば、エレベーターが沈むように現れる。
沈黙のまま乗り込んだ三人を乗せて、エレベーターは地下へとゆっくりと降りていく。
密室に、わずかな揺れと沈黙が満ちる中――
臣がポツリと呟いた。
「“センパイ”とか、ここで言うなよ。舐められる。」
ルカが横目で笑いかける。
「じゃあ、“臣くん”でいーじゃん。……かわいいし?」
「“さん”をつけろ。年上だ。」
「案外、気にすんだな。ああ、じゃあ、なおさら……“臣くん”。」
舌の先に笑みを乗せながら、ルカがふざけた調子で言う。
「……お前な、そういうとこだぞ、“ルカ”。」
臣は肩をすくめながら、ため息をつく。
ナオはそんなふたりを横目に、何も言わずネクタイを直す。
“演じる”準備は、もう整っていた。
扉が開いたその先には――
赤と黒の絨毯、クリスタルのシャンデリア、喧騒と笑い声、酒と煙の匂い。
「さて、何が出るかな。」
ルカが一歩、先に出た。
その足音を合図に、三人は煌びやかな“地獄”へと踏み込んでいく。
――札束が燃えるような喧騒。
笑い声の底に沈む、ぎらついた空気。
三人は、一瞬立ち止まり――
「派手だな……」
ナオがぽつりと呟く。
シャンデリアの光、札束の山、潤んだ笑顔。
そのすべてが、欲と虚飾でできていた。
ルカは、正面を向いたまま笑った。
軽薄な仮面の下で、声だけが低く滑る。
「俺がテーブルにつく。派手に、目立って。
ナオは横で“ハニー役”。……周囲の観察な。」
ナオは、ひとつ息を吐き、音もなく歩幅を揃える。
ルカは笑みを崩さず、続けた。
「臣くんは"仕掛け"。悪目立ち、すんなよ。」
義手の指先が、小さく“コッ”と音を立てた。
臣の答えは、それだけだった。
「いい演目にしようぜ。
“主役は遅れて登場”ってな。」
そう言って、ルカが一歩を踏み出す。
煌びやかな地獄が、口を開く。
――喧騒の中へ足を踏み出しながら、
ルカはちら、と視線だけで場を駆ける。
ルーレット、ポーカー、バカラ……
色と欲にまみれたテーブルの中で、
彼の目がすぐに一つの卓に留まった。
ブラックジャック。
札の切り方、客の熱気、ディーラーの手つき。
その卓には、欲と焦りがじわりと滲んでいた。
派手すぎず、沈みすぎず――“仕掛ける”には、ちょうどいい。
「……あそこだ。」
ルカは目を細め、ためらいなく歩き出す。
その背後、片腕を軽くルカの背に添えながら、
ナオもさりげなく寄り添った。
斜め後ろに立ち、ルカの肩越しに視線を流す。
一見ただの“パートナー”を演じながら、
スタッフの動線、客の手元、
空気の淀み、視線の“泳ぎ”――
目に見えない“不自然”を、静かに拾い集める。
「……隣のディーラー、客と視線が合ってねぇな。」
ナオが低く呟く。
作り笑いの裏に潜む警戒と恐れ――
“裏”を知る者の目には、微かな違和が映る。
一方、臣は少し距離を取り、
周囲の壁やスタッフの巡回ルートを流し見ていた。
指がポケットの中でわずかに動く。
何かを測るように、静かに。
……そして、ルカは軽く笑いながら、
チップを一枚、卓に滑らせた。
「……さて、賭けようか。
しっかり見てろよ、ハニー。」
まるで甘い芝居のセリフのように、ナオにだけ、低く視線を流す。
ナオは一拍置き、わざとらしく頬をゆるめてから、静かに頷いた。
その目だけが、冷たく、テーブルの向こうを射抜いていた。
――勝っても、負けても。
ルカの唇には、変わらず柔らかな笑みが浮かんでいた。
「……今回は勝てそうだな。」
チップを滑らせる指先と共に、舌先だけの軽口。
勝敗に浮きも沈みもしないその声に、熱はない。
けれど――その眼差しだけが、鋭かった。
札ではなく、客の仕草。
ディーラーの癖。
空気の淀みと、揺らぐ視線。
場に“染まる”ことすら、演技のうち。
誰よりも意味ありげに見せながら、
ルカの目はひとつも“遊んで”いなかった。
ナオは、ルカの斜め後ろ。
無言で寄り添い、視線を肩越しに滑らせる。
(……スタッフ七人。巡回三、固定四。
客層は上級者……だが、“本物”はごく一部。)
指先の癖、札を置く角度、息づかい。
ナオは、笑う代わりに“見て”いた。
ふと、ルカが声をかける。
「なあ、ハニー。次はどう賭けようか?」
気怠げな甘さをにじませながらも、
その声は、まるで脚本に仕込まれた誘い文句のようだった。
ナオは片頬をゆるめ、わざとらしく囁く。
「ダーリンが勝ったら、帰り道にキスの一つでも考えてやるよ。」
「それ、最高。」
そして、すぐに――
イタリア語で、低く囁く。
「Tienimi d’occhio, amore.」
意味は、分からない。
けれどその響きに、ナオは小さく頷いた。
そして、視線を滑らせ――
奥のフロアで、ふと立ち止まったスタッフ二人が目に入った。
(……あれが、裏口か)
目を細めた瞬間。
ルカの視線が、わずかに横をかすめた。
混み合うテーブルの隙間。
煌びやかな喧騒の奥、壁際に佇むひとつの影。
義手の男が、ゆっくりとポケットから手を抜き――
“コッ、コッ”と、二度、指を鳴らした。
ほんの一瞬、ルカの目が細まる。
次の瞬間、椅子を引く音がテーブルに響いた。
「……さて。」
笑みを貼りつけたまま、
ルカはチップの山を片手に掴み取る。
「ハニー。……派手にいこうぜ。」
チップの縁を指でなぞってから、音もなく滑らせた。
あくまで軽く、遊びの延長のように。
けれどその指先は、迷いなく――
「――オールイン、だ。」
舞台は整った。
さあ――幕を上げよう。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】『左遷女官は風花の離宮で自分らしく咲く』 〜田舎育ちのおっとり女官は、氷の貴公子の心を溶かす〜
天音蝶子(あまねちょうこ)
キャラ文芸
宮中の桜が散るころ、梓乃は“帝に媚びた”という濡れ衣を着せられ、都を追われた。
行き先は、誰も訪れぬ〈風花の離宮〉。
けれど梓乃は、静かな時間の中で花を愛で、香を焚き、己の心を見つめなおしていく。
そんなある日、離宮の監察(監視)を命じられた、冷徹な青年・宗雅が現れる。
氷のように無表情な彼に、梓乃はいつも通りの微笑みを向けた。
「茶をお持ちいたしましょう」
それは、春の陽だまりのように柔らかい誘いだった——。
冷たい孤独を抱く男と、誰よりも穏やかに生きる女。
遠ざけられた地で、ふたりの心は少しずつ寄り添いはじめる。
そして、帝をめぐる陰謀の影がふたたび都から伸びてきたとき、
梓乃は自分の選んだ“幸せの形”を見つけることになる——。
香と花が彩る、しっとりとした雅な恋愛譚。
濡れ衣で左遷された女官の、静かで強い再生の物語。
【完結】結界守護者の憂鬱なあやかし幻境譚 ~平凡な男子高校生、今日から結界を繕います~
御崎菟翔
キャラ文芸
【平凡な高校生 × 妖従者たちが紡ぐ、絆と成長の主従現代和風ファンタジー!】
「選ぶのはお前だ」
――そう言われても、もう引き返せない。
ごく普通の高校生・奏太(そうた)は、夏休みのある日、本家から奇妙な呼び出しを受ける。
そこで待っていたのは、人の言葉を話す蝶・汐(うしお)と、大鷲・亘(わたり)。
彼らに告げられたのは、人界と異界を隔てる結界を修復する「守り手」という、一族に伝わる秘密の役目だった。
「嫌なら断ってもいい」と言われたものの、放置すれば友人が、家族が、町が危険に晒される。
なし崩し的に役目を引き受けた奏太は、夜な夜な大鷲の背に乗り、廃校や心霊スポットへ「出勤」することに!
小生意気な妖たちに絡まれ、毒を吐く蛙と戦い、ついには異世界「妖界」での政変にまで巻き込まれていく奏太。
その過程で彼は、一族が隠し続けてきた「残酷な真実」と、従姉・結(ゆい)の悲しい運命を知ることになる――
これは、後に「秩序の神」と呼ばれる青年が、まだ「ただの人間」だった頃の、始まりの物語。
★新作『蜻蛉商会のヒトガミ様』
この物語から300年後……神様になった奏太の物語も公開中!
https://www.alphapolis.co.jp/novel/174241108/158016858
ユニークアイテムな女子(絶対的替えの効かない、唯一無二の彼女)「ゆにかの」
masuta
キャラ文芸
恋と友情、そして命を懸けた決断。青春は止まらない。
世界を股にかける財閥の御曹司・嘉位は、U-15日本代表として世界一を経験した天才投手。
しかし、ある理由で野球を捨て、超エリート進学校・和井田学園へ進学する。
入学式の日、偶然ぶつかった少女・香織。
彼女は、嘉位にとって“絶対的替えの効かない、唯一無二の存在”だった。
香織は、八重の親友。
そして八重は、時に未来を暗示する不思議な夢を見る少女。
その夢が、やがて物語を大きく動かしていく。
ゴールデンウィーク、八重の見た夢は、未曾有の大災害を告げていた。
偶然か、必然か……命を守るために立ち上がる。
「誰も欠けさせない」という信念を胸に走り続ける。
やがて災害を未然に防ぎ、再びグラウンドへと導く。
その中で、恋もまた静かに進んでいく。
「ずっと、君が好きだった」告白の言葉が、災害と勝負を越えた心を震わせる。
それぞれの想いが交錯し、群像劇は加速する。
一人ひとりが主人公。人生に脇役はいない。
現代ファンタジーとリアルが交錯する青春群像劇。
本作は小説家になろう、オリジナル作品のフルリメイク版です。
後宮なりきり夫婦録
石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」
「はあ……?」
雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。
あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。
空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。
かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。
影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。
サイトより転載になります。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
白苑後宮の薬膳女官
絹乃
キャラ文芸
白苑(はくえん)後宮には、先代の薬膳女官が侍女に毒を盛ったという疑惑が今も残っていた。先代は瑞雪(ルイシュエ)の叔母である。叔母の濡れ衣を晴らすため、瑞雪は偽名を使い新たな薬膳女官として働いていた。
ある日、幼帝は瑞雪に勅命を下した。「病弱な皇后候補の少女を薬膳で救え」と。瑞雪の相棒となるのは、幼帝の護衛である寡黙な武官、星宇(シンユィ)。だが、元気を取り戻しはじめた少女が毒に倒れる。再び薬膳女官への疑いが向けられる中、瑞雪は星宇の揺るぎない信頼を支えに、後宮に渦巻く陰謀へ踏み込んでいく。
薬膳と毒が導く真相、叔母にかけられた冤罪の影。
静かに心を近づける薬膳女官と武官が紡ぐ、後宮ミステリー。
「お前みたいな卑しい闇属性の魔女など側室でもごめんだ」と言われましたが、私も殿下に嫁ぐ気はありません!
野生のイエネコ
恋愛
闇の精霊の加護を受けている私は、闇属性を差別する国で迫害されていた。いつか私を受け入れてくれる人を探そうと夢に見ていたデビュタントの舞踏会で、闇属性を差別する王太子に罵倒されて心が折れてしまう。
私が国を出奔すると、闇精霊の森という場所に住まう、不思議な男性と出会った。なぜかその男性が私の事情を聞くと、国に与えられた闇精霊の加護が消滅して、国は大混乱に。
そんな中、闇精霊の森での生活は穏やかに進んでいく。
皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる
若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ!
数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。
跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。
両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。
――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう!
エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。
彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。
――結婚の約束、しただろう?
昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。
(わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?)
記憶がない。記憶にない。
姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない!
都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。
若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。
後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。
(そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?)
ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。
エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。
だから。
この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し?
弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに?
ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる