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5.☆だから悪魔は嫌いなんだ
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ミルカの背後にあった扉に、蒼真が勢いよく手を突いたからだ。大きく鳴った音にミルカは首をすくめる。
「そ、ソウマ様?」
「イラつく。そうだよね。お姉さん、淫魔だもんね。だから悪魔は嫌いなんだ」
どうしたの? なんて聞く暇もなく、蒼真はキーパネルを手早く操作する。腕を掴まれたミルカは引き込まれるように狭い玄関へと足を踏み入れた。掴まれた箇所が少し痛いくらいだ。
扉が閉まると同時に蒼真は強く、ミルカの腰を引き寄せる。
早急に合わさったくちびるは、あの日と同じ。熱い粘膜の感触にミルカは心地よい目眩を覚えた。
何度も啄まれ、薄く開いた隙間に今度はミルカから舌を差し込む。
ちろちろ舌先でくすぐると、すぐに絡め取られた。素直に応える口内へ送られる唾液はこの上なく甘くて、ミルカは貪欲にキスを求める。
与えられる口づけは強引で激しかった。角度を変えながら舌を吸われ、くちびるを甘く噛んで貪られる。
食事をしているのはミルカなのに、いっそ食べられてしまいたいなんて願ってしまった。心も体も雁字搦めに縛り付けて、二度と離さないでほしい。
キスも、もちろんその先もミルカにとってはあくまで生命維持活動に過ぎない。気持ちよくても楽しくても、それ以上の意味はなかった。なのに蒼真の口づけは心を満たしてくれる。
「ソウマさま……、すき……♡」
キスの合間、再会してから何度も繰り返す告白を口にするミルカに、蒼真は口端を吊り上げた。
「ふーん、なのに他のやつとセックスするんだ? お姉さんの好きってなに?」
いつもの爽やかな声音と少し違う。どうして蒼真の機嫌を損ねたのかミルカにはわからないが、耳元で囁かれる声に体はぞくりと悦びを覚えた。
「あんっ♡ だ、だって、食事なの……っ」
「だよね。なんかすごいイラつく。お姉さん、もしかして俺のことも食べ物に見えてたりするのかな」
外腿を撫でる手のひらだけで容易く乱されてしまう。ぞくぞく震えるミルカは蒼真にしがみつき、ふるふると首を横に振る。
蒼真の精気は今まで味わったことがないほど美味だけど、獲物だとは思えない。むしろ食い尽くされたいこの願望はミルカ自身にもよくわからなかった。
丈の短いAラインのワンピースから入り込んだ手がショーツの上から柔らかなヒップを揉みしだく。
ミルカの首筋に顔を埋めた蒼真の表情はわからない。それでも彼の熱い吐息が更にミルカの感度を高めていく。
熱い舌が肩を舐めて、軽く噛みつかれる。その度にミルカは声をあげ、びくびく体を震わせた。
光に透けると青みが混じる黒髪が肌を滑る。こそばゆい感触が嬉しく愛しい。今までたくさん体を交えてきたのに、幸せだなんて思ったのは、初めてな気がする。
「あ、あっ、すき……。うれしい♡ ソウマさま、ミルカを、あっ、使い魔に、して♡」
「しない。でもお姉さん可愛いから特別に俺の精気をあげる。もう俺につきまとっちゃダメだよ」
反論しようと開いた口を再び塞がれる。もちろん喉から手が出るほど抱いて欲しい。でも明日から、いや今日もこのまま付きまとうつもりだ。
抗議したくても蒼真のキスは一瞬でミルカの思考を奪ってしまう。蕩けるミルカを抱き上げた蒼真を見上げると彼はにっこり笑い、ポイポイ雑に靴を脱がされた。
ちなみに大きな黒のリボンがアクセントの赤いショートブーツはお気に入りブランドのもので、これが蒼真でなかったら絶許案件だ。
足だけを使ってスニーカーを脱いだ蒼真は部屋の奥へ一直線に向かう。ワンルームゆえに距離は短く、壁沿いのシングルベッドに軽い弾みをつけてミルカを下ろした。
「そ、ソウマ様?」
「イラつく。そうだよね。お姉さん、淫魔だもんね。だから悪魔は嫌いなんだ」
どうしたの? なんて聞く暇もなく、蒼真はキーパネルを手早く操作する。腕を掴まれたミルカは引き込まれるように狭い玄関へと足を踏み入れた。掴まれた箇所が少し痛いくらいだ。
扉が閉まると同時に蒼真は強く、ミルカの腰を引き寄せる。
早急に合わさったくちびるは、あの日と同じ。熱い粘膜の感触にミルカは心地よい目眩を覚えた。
何度も啄まれ、薄く開いた隙間に今度はミルカから舌を差し込む。
ちろちろ舌先でくすぐると、すぐに絡め取られた。素直に応える口内へ送られる唾液はこの上なく甘くて、ミルカは貪欲にキスを求める。
与えられる口づけは強引で激しかった。角度を変えながら舌を吸われ、くちびるを甘く噛んで貪られる。
食事をしているのはミルカなのに、いっそ食べられてしまいたいなんて願ってしまった。心も体も雁字搦めに縛り付けて、二度と離さないでほしい。
キスも、もちろんその先もミルカにとってはあくまで生命維持活動に過ぎない。気持ちよくても楽しくても、それ以上の意味はなかった。なのに蒼真の口づけは心を満たしてくれる。
「ソウマさま……、すき……♡」
キスの合間、再会してから何度も繰り返す告白を口にするミルカに、蒼真は口端を吊り上げた。
「ふーん、なのに他のやつとセックスするんだ? お姉さんの好きってなに?」
いつもの爽やかな声音と少し違う。どうして蒼真の機嫌を損ねたのかミルカにはわからないが、耳元で囁かれる声に体はぞくりと悦びを覚えた。
「あんっ♡ だ、だって、食事なの……っ」
「だよね。なんかすごいイラつく。お姉さん、もしかして俺のことも食べ物に見えてたりするのかな」
外腿を撫でる手のひらだけで容易く乱されてしまう。ぞくぞく震えるミルカは蒼真にしがみつき、ふるふると首を横に振る。
蒼真の精気は今まで味わったことがないほど美味だけど、獲物だとは思えない。むしろ食い尽くされたいこの願望はミルカ自身にもよくわからなかった。
丈の短いAラインのワンピースから入り込んだ手がショーツの上から柔らかなヒップを揉みしだく。
ミルカの首筋に顔を埋めた蒼真の表情はわからない。それでも彼の熱い吐息が更にミルカの感度を高めていく。
熱い舌が肩を舐めて、軽く噛みつかれる。その度にミルカは声をあげ、びくびく体を震わせた。
光に透けると青みが混じる黒髪が肌を滑る。こそばゆい感触が嬉しく愛しい。今までたくさん体を交えてきたのに、幸せだなんて思ったのは、初めてな気がする。
「あ、あっ、すき……。うれしい♡ ソウマさま、ミルカを、あっ、使い魔に、して♡」
「しない。でもお姉さん可愛いから特別に俺の精気をあげる。もう俺につきまとっちゃダメだよ」
反論しようと開いた口を再び塞がれる。もちろん喉から手が出るほど抱いて欲しい。でも明日から、いや今日もこのまま付きまとうつもりだ。
抗議したくても蒼真のキスは一瞬でミルカの思考を奪ってしまう。蕩けるミルカを抱き上げた蒼真を見上げると彼はにっこり笑い、ポイポイ雑に靴を脱がされた。
ちなみに大きな黒のリボンがアクセントの赤いショートブーツはお気に入りブランドのもので、これが蒼真でなかったら絶許案件だ。
足だけを使ってスニーカーを脱いだ蒼真は部屋の奥へ一直線に向かう。ワンルームゆえに距離は短く、壁沿いのシングルベッドに軽い弾みをつけてミルカを下ろした。
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