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後編
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私は力の限り怒鳴りました。もうそれは大声で。会場の天井にヒビが入るくらいに。
「ひぃっ」
「なんだ今の……」
「た、助けてぇ!」
私の耳にはもはや新入生や教師たちの声は届きません。
見据えているのは殿下ただ一人。この馬鹿者にいい加減わからせてやらないといけないと、ただそれだけを確信しておりました。
「私はですね、王太子殿下と婚約してるんです! なのになんであんたに婚約破棄されなきゃならないわけ!? あんたなんか願い下げに決まってるでしょうが!!!
私と出会った途端に逃げ出すわ、私を魔女呼ばわりするわ、私の膝の上で寝るわ、王子教育はサボるわ、公務を全部私に押し付けるわ! あんたはちっとは弁えたらどうなんですか! 私をどうしたいんです!? 馬鹿なの死ぬの!?」
…………。
………………。
……………………………………それからしばらく、沈黙が落ちた後。
ワナワナと震える殿下は声も出ないで私を見つめています。おそらく、私がキレるとは思っていなかったのでしょうね。
まあ、今はこれくらいで勘弁するとしてやりましょうか。
と、そう思っていると、殿下の隣に立ち尽くしていたミーシャ嬢が顔を上げ、殿下に向き直りました。
「アバカーム様。お話がありますわ」
「……ミーシャ」
殿下は少し潤んだ目でミーシャ嬢に視線をやりました。
可愛らしい女子ならまだしも男である殿下がやっても気持ち悪いだけなのですが、きっとご自身では気づけないのでしょう。
そしてそんな情けない殿下にミーシャ嬢はにっこりと微笑み、こうおっしゃったのです。
「あなたとの婚約、解消させていただきますわね」
「えっ!?」
もしや、この状況で助けてもらえるとでも思っていたのでしょうか?
顎が外れそうなほどに口をだらしなく開く殿下にミーシャ嬢が追い討ちをかけます。
「仕方ないでしょう。わたくしを婚約者とも思ってくださらない、そしてわたくしの友人に悪口を言う方となんて、結婚できません」
「で、でもっ、真実の愛が!」
「それはあなたが婚約者だったからですわ。でもさすがに先ほどの暴挙を目にしてしまっては、愛も冷めてしまいましたの。さようなら、殿下」
「ミーシャ……!」
負け犬の殿下を残し、ミーシャ嬢は周囲の方々に一礼すると、長い金髪を揺らしながら颯爽と会場を出て行ってしまいました。
先ほどまであれほど震えていた彼女ですけれども、意外と決断力のある芯の強い方です。
そうして、会場に残されたのは唖然となる生徒たち、私、そして馬鹿殿下だけ。
私は未だ現状が信じられていないであろうアバカーム殿下に詰め寄り、とどめを刺すことにしました。
「殿下、良かったですね。これであなた様のお望み通り婚約破棄ができたのでしょう? ――ただし、相手をお間違えになってしまったようですが」
今度こそ殿下ががっくりと肩を落とし、その場にへたり込んだのでした。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「愚弟の矯正をありがとう、シャルロット。いつも助かるよ」
「ありがとうございます。騒ぎを未然に防げなかったことは残念ですが、あれでさすがの殿下も懲りるでしょう」
かつてないほどの混乱ぶりであった新入生歓迎会を終えた翌日のこと。
私の本当の婚約者である王太子殿下は、私に柔らかな微笑みを向けてくださいました。
私はこの方と婚約していますが、歳が近いのを理由に幼い頃から第二王子であるアバカーム殿下のお守りを任されていたので、アバカーム殿下は婚約者だなどと勘違いなさったに違いありません。
お忙しい王太子殿下とはあまり長く共にいられませんから、アバカーム殿下の方が圧倒的に近しい人ではありました。
けれど、あのような愚か者が婚約者だなんて想像するだけで恐ろしいことです。
優秀で優しくいらっしゃる王太子殿下が私の婚約者で本当に良かった思いました。
ちなみにアバカーム殿下はあの愚鈍さが公になって、誰も買い手がつかなくなったようです。一生独身でしょうね。ざまぁ見ろです。
ミーシャ嬢はすぐに新たなお相手を見つけることができるでしょうから心配いりません。なんなら私の弟と婚約させてもいいかも知れませんね。
そして私は王太子殿下の妻となり、王妃としてこの国を支えていくのでしょう――。
「ひぃっ」
「なんだ今の……」
「た、助けてぇ!」
私の耳にはもはや新入生や教師たちの声は届きません。
見据えているのは殿下ただ一人。この馬鹿者にいい加減わからせてやらないといけないと、ただそれだけを確信しておりました。
「私はですね、王太子殿下と婚約してるんです! なのになんであんたに婚約破棄されなきゃならないわけ!? あんたなんか願い下げに決まってるでしょうが!!!
私と出会った途端に逃げ出すわ、私を魔女呼ばわりするわ、私の膝の上で寝るわ、王子教育はサボるわ、公務を全部私に押し付けるわ! あんたはちっとは弁えたらどうなんですか! 私をどうしたいんです!? 馬鹿なの死ぬの!?」
…………。
………………。
……………………………………それからしばらく、沈黙が落ちた後。
ワナワナと震える殿下は声も出ないで私を見つめています。おそらく、私がキレるとは思っていなかったのでしょうね。
まあ、今はこれくらいで勘弁するとしてやりましょうか。
と、そう思っていると、殿下の隣に立ち尽くしていたミーシャ嬢が顔を上げ、殿下に向き直りました。
「アバカーム様。お話がありますわ」
「……ミーシャ」
殿下は少し潤んだ目でミーシャ嬢に視線をやりました。
可愛らしい女子ならまだしも男である殿下がやっても気持ち悪いだけなのですが、きっとご自身では気づけないのでしょう。
そしてそんな情けない殿下にミーシャ嬢はにっこりと微笑み、こうおっしゃったのです。
「あなたとの婚約、解消させていただきますわね」
「えっ!?」
もしや、この状況で助けてもらえるとでも思っていたのでしょうか?
顎が外れそうなほどに口をだらしなく開く殿下にミーシャ嬢が追い討ちをかけます。
「仕方ないでしょう。わたくしを婚約者とも思ってくださらない、そしてわたくしの友人に悪口を言う方となんて、結婚できません」
「で、でもっ、真実の愛が!」
「それはあなたが婚約者だったからですわ。でもさすがに先ほどの暴挙を目にしてしまっては、愛も冷めてしまいましたの。さようなら、殿下」
「ミーシャ……!」
負け犬の殿下を残し、ミーシャ嬢は周囲の方々に一礼すると、長い金髪を揺らしながら颯爽と会場を出て行ってしまいました。
先ほどまであれほど震えていた彼女ですけれども、意外と決断力のある芯の強い方です。
そうして、会場に残されたのは唖然となる生徒たち、私、そして馬鹿殿下だけ。
私は未だ現状が信じられていないであろうアバカーム殿下に詰め寄り、とどめを刺すことにしました。
「殿下、良かったですね。これであなた様のお望み通り婚約破棄ができたのでしょう? ――ただし、相手をお間違えになってしまったようですが」
今度こそ殿下ががっくりと肩を落とし、その場にへたり込んだのでした。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「愚弟の矯正をありがとう、シャルロット。いつも助かるよ」
「ありがとうございます。騒ぎを未然に防げなかったことは残念ですが、あれでさすがの殿下も懲りるでしょう」
かつてないほどの混乱ぶりであった新入生歓迎会を終えた翌日のこと。
私の本当の婚約者である王太子殿下は、私に柔らかな微笑みを向けてくださいました。
私はこの方と婚約していますが、歳が近いのを理由に幼い頃から第二王子であるアバカーム殿下のお守りを任されていたので、アバカーム殿下は婚約者だなどと勘違いなさったに違いありません。
お忙しい王太子殿下とはあまり長く共にいられませんから、アバカーム殿下の方が圧倒的に近しい人ではありました。
けれど、あのような愚か者が婚約者だなんて想像するだけで恐ろしいことです。
優秀で優しくいらっしゃる王太子殿下が私の婚約者で本当に良かった思いました。
ちなみにアバカーム殿下はあの愚鈍さが公になって、誰も買い手がつかなくなったようです。一生独身でしょうね。ざまぁ見ろです。
ミーシャ嬢はすぐに新たなお相手を見つけることができるでしょうから心配いりません。なんなら私の弟と婚約させてもいいかも知れませんね。
そして私は王太子殿下の妻となり、王妃としてこの国を支えていくのでしょう――。
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ブチギレた時のお口の悪さが素敵です♡(꒪ㅂ꒪)オイラハスキ♡
…おっと💦王太子殿下がにこやかに殺人的な視線を向けてくる(|||!;꒪ㅂ꒪)ヒィィ…💦
ご感想ありがとうございます!
>ブチギレた時のお口の悪さが素敵です♡(꒪ㅂ꒪)オイラハスキ♡
普段は丁寧口調な令嬢をブチギレさせるのが好きなので、そこに着目いただき嬉しいです♪