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44 悪役令嬢は、アホ王子にざまぁする。
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いつまでも馬鹿王子と爆乳女のリア充アピールが続くかと思われたが、それは意外に早く打ち切られた。
なぜなら、明希が帰って来たからである。
「あれ、誠哉にダニエラさん、どしたの? ……って、見かけない人もいるじゃん! もしかしなくてもあなたたち、異世界人じゃない!?」
「お前は誰だ」
突然現れた明希の勢いに気圧されつつ、問いかけるグレゴリー王子。
明希は目を輝かせながら言った。
「私は日比野明希。H高校二年C組。そしてダニエラさんの友達でもあるし、何より誠哉の可愛い幼馴染です!」
「……私はメロンディック王国王太子グレゴリー・ルアホータ・メロンディックだ」
「そして、わたしがラダティ男爵令嬢のコニーですぅ」
「そっか。ダニエラさんを追放したアホ王子と泥棒猫令嬢さんね。
来るんじゃないかなーとは薄々思ってたけど、まさか本当に来ちゃうなんて。これで悪役令嬢、悪役令嬢のヤンデレお兄さん、アホ王子に泥棒猫令嬢が揃ったわけだね! ここで悪役令嬢を溺愛しちゃう系のスパダリイケメン、第二王子あるいは隣国の皇太子なんかがいると最高だったんだけど、そこまでは高望みか。
ってかこれってもしかしてざまぁ展開あるんじゃ!? リアルざまぁ見られるかものチャンスじゃん!」
明希が興奮気味に捲し立てている内容の半分くらいはわからない俺だったが、本人たちに直接『アホ王子』とか『泥棒猫』とか言える神経は羨ましく思う。
それにしても、さすがに明希のテンションが高過ぎて皆ドン引きしているので、ここは俺が収めるしかなさそうだ。
「明希、そこら辺にしとけ。俺もそうだが王子たちなんて何が何だかさっぱりで話についていけないだろ」
「……ああ、そうだね。ごめんごめん、ついヒートアップしちゃった。
ざまぁっていうのはざまぁ見ろの略なんだけどその方法は様々で、令嬢の妃教育の知識を活かして国を攻め落としたりだとか勝手に破滅しました~っていうのもあるし、スパダリイケメンがサクッとやってくれる場合も多いんだけどね」
「うん、わからん」
「誠哉はもう聞き流してくれていいよ」
明希は俺への説明を諦めたらしい。仕方がないので俺は言われた通り、聞き流すだけにしておこう。
「ダニエラさん、今こそざまぁのチャンスだよ。ダニエラさんなりに、アホ王子を懲らしめちゃうの。冤罪で婚約破棄からの異世界への追放だよ? これは相当なざまぁが必要だと思うんだよ!」
「――なるほど。つまりワタクシは、グレゴリー殿下をぶちのめせばよろしいんですのね?」
「うん」
ダニエラが、馬鹿王子に復讐。
まあわからなくはない。わからなくはないが、どうか警察沙汰だけには――。
「では、遠慮なくいかせていただきますわ、殿下ッ!」
「うおぉぉぉおぉぉ――!?!?」
「グレゴリー様ぁ!?」
それは一瞬の出来事だった。
ダニエラがワンピースの袖をたくしあげたかと思えば、グレゴリー王子に駆け寄り、全力で殴りつけたのである。
グレゴリー王子は軽く吹っ飛び、宙を舞った後に地面へ激突。その一部始終を見ていたコニーが甲高い悲鳴を上げた。
「次は、二回目」
そう言うとダニエラはくたばったグレゴリー王子に近づき、ハイヒールの踵で彼の手をぐりぐりと踏んづける。
ハイヒールの踵という鋭い凶器で刺された馬鹿王子は「ぎにゃあ!?」と絶叫していた。
「三回目。最後ですわ」
グレゴリー王子は割合小柄な方で、ダニエラより背が低い。
そんな彼の体がダニエラの両手に抱えられ、肩に担がれる。そのまま天高くまで放り投げられ、空の彼方へ消えていった。
……かと思えばすぐに落ちてきて、墜落寸前にダニエラの腕に受け止められ、そのまま降ろされていたが。
かかった時間は一分にも満たなかっただろう。
だがその間に繰り広げられた暴力の嵐は凄まじいもので、グレゴリー王子は泡を吹いて気絶してしまっていた。
「ざまぁ、ですわ!」
ビシッと決め台詞風に言い放ち、西洋式のお辞儀をするダニエラ。
しかしそれに対する明希の反応は意外と冷めたもので。
「うーん、なんか思ってたのと違う……。まさかの鉄拳制裁かぁ」
どうせ復讐するのなら、知略を巡らせてじわじわと追い詰めていく方が見応えがあっただろうなぁと俺も思った。
なぜなら、明希が帰って来たからである。
「あれ、誠哉にダニエラさん、どしたの? ……って、見かけない人もいるじゃん! もしかしなくてもあなたたち、異世界人じゃない!?」
「お前は誰だ」
突然現れた明希の勢いに気圧されつつ、問いかけるグレゴリー王子。
明希は目を輝かせながら言った。
「私は日比野明希。H高校二年C組。そしてダニエラさんの友達でもあるし、何より誠哉の可愛い幼馴染です!」
「……私はメロンディック王国王太子グレゴリー・ルアホータ・メロンディックだ」
「そして、わたしがラダティ男爵令嬢のコニーですぅ」
「そっか。ダニエラさんを追放したアホ王子と泥棒猫令嬢さんね。
来るんじゃないかなーとは薄々思ってたけど、まさか本当に来ちゃうなんて。これで悪役令嬢、悪役令嬢のヤンデレお兄さん、アホ王子に泥棒猫令嬢が揃ったわけだね! ここで悪役令嬢を溺愛しちゃう系のスパダリイケメン、第二王子あるいは隣国の皇太子なんかがいると最高だったんだけど、そこまでは高望みか。
ってかこれってもしかしてざまぁ展開あるんじゃ!? リアルざまぁ見られるかものチャンスじゃん!」
明希が興奮気味に捲し立てている内容の半分くらいはわからない俺だったが、本人たちに直接『アホ王子』とか『泥棒猫』とか言える神経は羨ましく思う。
それにしても、さすがに明希のテンションが高過ぎて皆ドン引きしているので、ここは俺が収めるしかなさそうだ。
「明希、そこら辺にしとけ。俺もそうだが王子たちなんて何が何だかさっぱりで話についていけないだろ」
「……ああ、そうだね。ごめんごめん、ついヒートアップしちゃった。
ざまぁっていうのはざまぁ見ろの略なんだけどその方法は様々で、令嬢の妃教育の知識を活かして国を攻め落としたりだとか勝手に破滅しました~っていうのもあるし、スパダリイケメンがサクッとやってくれる場合も多いんだけどね」
「うん、わからん」
「誠哉はもう聞き流してくれていいよ」
明希は俺への説明を諦めたらしい。仕方がないので俺は言われた通り、聞き流すだけにしておこう。
「ダニエラさん、今こそざまぁのチャンスだよ。ダニエラさんなりに、アホ王子を懲らしめちゃうの。冤罪で婚約破棄からの異世界への追放だよ? これは相当なざまぁが必要だと思うんだよ!」
「――なるほど。つまりワタクシは、グレゴリー殿下をぶちのめせばよろしいんですのね?」
「うん」
ダニエラが、馬鹿王子に復讐。
まあわからなくはない。わからなくはないが、どうか警察沙汰だけには――。
「では、遠慮なくいかせていただきますわ、殿下ッ!」
「うおぉぉぉおぉぉ――!?!?」
「グレゴリー様ぁ!?」
それは一瞬の出来事だった。
ダニエラがワンピースの袖をたくしあげたかと思えば、グレゴリー王子に駆け寄り、全力で殴りつけたのである。
グレゴリー王子は軽く吹っ飛び、宙を舞った後に地面へ激突。その一部始終を見ていたコニーが甲高い悲鳴を上げた。
「次は、二回目」
そう言うとダニエラはくたばったグレゴリー王子に近づき、ハイヒールの踵で彼の手をぐりぐりと踏んづける。
ハイヒールの踵という鋭い凶器で刺された馬鹿王子は「ぎにゃあ!?」と絶叫していた。
「三回目。最後ですわ」
グレゴリー王子は割合小柄な方で、ダニエラより背が低い。
そんな彼の体がダニエラの両手に抱えられ、肩に担がれる。そのまま天高くまで放り投げられ、空の彼方へ消えていった。
……かと思えばすぐに落ちてきて、墜落寸前にダニエラの腕に受け止められ、そのまま降ろされていたが。
かかった時間は一分にも満たなかっただろう。
だがその間に繰り広げられた暴力の嵐は凄まじいもので、グレゴリー王子は泡を吹いて気絶してしまっていた。
「ざまぁ、ですわ!」
ビシッと決め台詞風に言い放ち、西洋式のお辞儀をするダニエラ。
しかしそれに対する明希の反応は意外と冷めたもので。
「うーん、なんか思ってたのと違う……。まさかの鉄拳制裁かぁ」
どうせ復讐するのなら、知略を巡らせてじわじわと追い詰めていく方が見応えがあっただろうなぁと俺も思った。
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