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アテネポリスの騒乱
アリエス出陣
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時は少し遡り、アテネポリス市街地。
ミケーネ諜報隊は明日の本決戦に備えて、仲間のやっている酒場に集まっていた。
明日には10万のミケーネ軍がここに攻め寄せてくる。自分達は帝国からの指令でその間に市内を混乱に落とすだけの楽な仕事だ。
前祝にこうして祝杯を挙げ、ワイワイと盛り上がり、楽しげに歌い踊っていた。
「ははは、今回も楽勝だったな」
「当然だ、我が帝国は無敵だぞ」
「そうだな、ついでに俺達イナゴ部隊もな!ははは」
「ミミツも子供が出来てこの仕事が最後だから、がんばらねぇとな」
先輩が俺の背中をバンバン叩きながら嬉しそうに笑ってくれている。
奴隷だけで構成されたイナゴ部隊は手柄を挙げれば市民権がもらえ、俺のように結婚も出来る。
そう、イナゴ部隊長としての退職金をもらってこいつら見たいな奴らの溜まれる酒場も始めたいと思っている。
俺の祝いも含まれた楽しげな雰囲気に包まれた酒場の扉が、いきなりけたたましい音と共に開かれて、顔中に血管が浮かんだブロスが姿を見せた。
白目をむき苦悶の表情を浮かべるブロスに、全員が一様に警戒し武器を抜いて様子を伺う中
「おやおや~?ぜんぜん攻撃してこないのですね?」
美しいメイドが姿を現し、此方を不思議そうに見つめてきた。
「な、なんだお前は?ブロスに何をした!」
「はて?何のことでしょう?」
メイドは不思議そうに首を傾けると、ブロスも苦しそうに不気味なうめき声を上げて口をパクパクさせている。
「ああ!これの事ですか?これは帝国の犬を狩れとマスターがおっしゃったので、頭の中をのぞかせて頂いただけですよ」
そう言ってブロスの首から手を離すと、ズルリと血にまみれた触手のような指が首からズルリと抜けた。ブロスは小さな悲鳴を上げて床に倒れ、痙攣を始めた。
「ば、化け物か!」
仲間達から一斉にナイフがメイドに向かって飛び、更に油をつめた瓶を足元へ投げつける。
「あら?酷いですわ、私こう見えてもレディーなのですがね?」
「そうかよ!素敵なレディーに俺からのプレゼントだ」
俺がそう言って着火魔法をメイドの足元に叩き付けると、メイドに一気に火が燃え移り、そのくっそったれな姿を飲み込んだ。
「あらあら、おいたが過ぎますね。私を燃やしたければフレアノヴァぐらい使ってくださいね」
何を言ってるんだ?フレアノヴァは最上級魔法と言われるほどの伝説クラスの魔法だぞ。
ああ、この女は狂ってるんだ、炎に巻かれて暴れることも無くしゃべるなんて狂ってるに違いない!
「他の方たちの所にも伺わないといけないので、貴方達は特別にお人形になっていただきますね」
メイドのそんな声が聞こえて、俺の意識はそこで闇に落ちた。
”マージェ……生まれてくる子供に会えない俺を許してくれ……”
誰も動かなくなった室内で、まるで埃でも払うかのように身体を燃やしていた炎を払うと、すっかり炎は消え、そこには全く無傷のアリエスが立っていた。
「さて……”クリエイトグール、条件設定……”」
アリエスが魔法を行使すると、倒れた男たちが胸から起き上がり、全員が苦悶の表情を浮かべ
「だぁずぅげで」
「ぐるじい」
口々に助けを求める声を上げるが、身体はアリエスの前に跪き命令を待っていた。
「みなさん、我が主に仕える事が出来る幸せを感じてください。
今からお伝えする命令をこなせれば、解放される可能性がありますよ。
頑張ってくださいね」
「「「うぉぉぉぉ」」」」
グールたちの歓声にアリエスは手を上げることで応え
「みなさんには元お仲間を此処に集めてほしいのです。
もし集まらないようなら、殺してください。ちゃんと死体は持って帰ってくださいね」
慈愛に満ちた声でそう告げると、にこやかに入り口を指さし。
「行って下さい」
グール達は我先にと入り口に押し寄せ、酒場から飛び出していった。
グールたちは赤く染まった目の残光を残しポリスの中を疾走して行く。
グールたちには身体が腐る痛みと再生する痛みが同時に襲っていた。永遠とも思われる苦しみから逃れたいと言う思いだけが頭を占め、必死に自分達が知る元仲間が居る所に向かい、元仲間はグールたちの異様な姿に逃げ回り、殺された。
グールは「オリンポスファンタジー」においては脳内リミッターが切れたゾンビと言う設定であり、モンスターランクはF~SSまである中でD、この世界においては1匹発生すれば街を全て燃やしてでも倒さなければいけない危険なモンスターである。
それが10匹以上で次々に襲い掛かってくるのだ、はっきり言って勝ち目は無い。
悪夢のような光景が街の数箇所で起こり、暫く後、アリエスが待つ酒場には30を超える死体が運び込まれた。
数少ない生き残りは3人。
「良く出来ましたね、では……貴方と貴方……」
アリエスは生きた者を連れてきた3匹を選び浄化をすると、残りのグールがその光景に期待した目を向ける。
「貴方達は期待以下でした……最後のチャンスを与えます。マスターからお預かりしたこのヘルハウンドと共に、貴方達を引き入れた愚か者たちを殺さずに連れていらっしゃい。
最後のチャンスよ、頑張ってね」
浄化された仲間を見て、グールたちは必死に外に出て探しに行った。どこへ向かえばいいのか分からない下っ端のグール達は呆然とその場に留まっていた。
アリエスはアレスから預かったヘルハウンドの魔石からヘルハウンドを召喚し、グールの後を追わせると、残ったグール達に手を向けた。
「じゃあ、貴方達はハイドゥに送りましょうね」
アリエスの手の中から黒い球体が向けられると黒い無数の手が伸び、激しく抵抗するグールたちをいともたやすく掴み、球体の中へと連れて行った。
その後黒い球体に白く大きな歯が生まれ死体を残らず喰らいつくした。
「さて、私も行かないと」
アリエスの姿が揺らぎ、掻き消えた後には何も残っていなかった。
ミケーネ諜報隊は明日の本決戦に備えて、仲間のやっている酒場に集まっていた。
明日には10万のミケーネ軍がここに攻め寄せてくる。自分達は帝国からの指令でその間に市内を混乱に落とすだけの楽な仕事だ。
前祝にこうして祝杯を挙げ、ワイワイと盛り上がり、楽しげに歌い踊っていた。
「ははは、今回も楽勝だったな」
「当然だ、我が帝国は無敵だぞ」
「そうだな、ついでに俺達イナゴ部隊もな!ははは」
「ミミツも子供が出来てこの仕事が最後だから、がんばらねぇとな」
先輩が俺の背中をバンバン叩きながら嬉しそうに笑ってくれている。
奴隷だけで構成されたイナゴ部隊は手柄を挙げれば市民権がもらえ、俺のように結婚も出来る。
そう、イナゴ部隊長としての退職金をもらってこいつら見たいな奴らの溜まれる酒場も始めたいと思っている。
俺の祝いも含まれた楽しげな雰囲気に包まれた酒場の扉が、いきなりけたたましい音と共に開かれて、顔中に血管が浮かんだブロスが姿を見せた。
白目をむき苦悶の表情を浮かべるブロスに、全員が一様に警戒し武器を抜いて様子を伺う中
「おやおや~?ぜんぜん攻撃してこないのですね?」
美しいメイドが姿を現し、此方を不思議そうに見つめてきた。
「な、なんだお前は?ブロスに何をした!」
「はて?何のことでしょう?」
メイドは不思議そうに首を傾けると、ブロスも苦しそうに不気味なうめき声を上げて口をパクパクさせている。
「ああ!これの事ですか?これは帝国の犬を狩れとマスターがおっしゃったので、頭の中をのぞかせて頂いただけですよ」
そう言ってブロスの首から手を離すと、ズルリと血にまみれた触手のような指が首からズルリと抜けた。ブロスは小さな悲鳴を上げて床に倒れ、痙攣を始めた。
「ば、化け物か!」
仲間達から一斉にナイフがメイドに向かって飛び、更に油をつめた瓶を足元へ投げつける。
「あら?酷いですわ、私こう見えてもレディーなのですがね?」
「そうかよ!素敵なレディーに俺からのプレゼントだ」
俺がそう言って着火魔法をメイドの足元に叩き付けると、メイドに一気に火が燃え移り、そのくっそったれな姿を飲み込んだ。
「あらあら、おいたが過ぎますね。私を燃やしたければフレアノヴァぐらい使ってくださいね」
何を言ってるんだ?フレアノヴァは最上級魔法と言われるほどの伝説クラスの魔法だぞ。
ああ、この女は狂ってるんだ、炎に巻かれて暴れることも無くしゃべるなんて狂ってるに違いない!
「他の方たちの所にも伺わないといけないので、貴方達は特別にお人形になっていただきますね」
メイドのそんな声が聞こえて、俺の意識はそこで闇に落ちた。
”マージェ……生まれてくる子供に会えない俺を許してくれ……”
誰も動かなくなった室内で、まるで埃でも払うかのように身体を燃やしていた炎を払うと、すっかり炎は消え、そこには全く無傷のアリエスが立っていた。
「さて……”クリエイトグール、条件設定……”」
アリエスが魔法を行使すると、倒れた男たちが胸から起き上がり、全員が苦悶の表情を浮かべ
「だぁずぅげで」
「ぐるじい」
口々に助けを求める声を上げるが、身体はアリエスの前に跪き命令を待っていた。
「みなさん、我が主に仕える事が出来る幸せを感じてください。
今からお伝えする命令をこなせれば、解放される可能性がありますよ。
頑張ってくださいね」
「「「うぉぉぉぉ」」」」
グールたちの歓声にアリエスは手を上げることで応え
「みなさんには元お仲間を此処に集めてほしいのです。
もし集まらないようなら、殺してください。ちゃんと死体は持って帰ってくださいね」
慈愛に満ちた声でそう告げると、にこやかに入り口を指さし。
「行って下さい」
グール達は我先にと入り口に押し寄せ、酒場から飛び出していった。
グールたちは赤く染まった目の残光を残しポリスの中を疾走して行く。
グールたちには身体が腐る痛みと再生する痛みが同時に襲っていた。永遠とも思われる苦しみから逃れたいと言う思いだけが頭を占め、必死に自分達が知る元仲間が居る所に向かい、元仲間はグールたちの異様な姿に逃げ回り、殺された。
グールは「オリンポスファンタジー」においては脳内リミッターが切れたゾンビと言う設定であり、モンスターランクはF~SSまである中でD、この世界においては1匹発生すれば街を全て燃やしてでも倒さなければいけない危険なモンスターである。
それが10匹以上で次々に襲い掛かってくるのだ、はっきり言って勝ち目は無い。
悪夢のような光景が街の数箇所で起こり、暫く後、アリエスが待つ酒場には30を超える死体が運び込まれた。
数少ない生き残りは3人。
「良く出来ましたね、では……貴方と貴方……」
アリエスは生きた者を連れてきた3匹を選び浄化をすると、残りのグールがその光景に期待した目を向ける。
「貴方達は期待以下でした……最後のチャンスを与えます。マスターからお預かりしたこのヘルハウンドと共に、貴方達を引き入れた愚か者たちを殺さずに連れていらっしゃい。
最後のチャンスよ、頑張ってね」
浄化された仲間を見て、グールたちは必死に外に出て探しに行った。どこへ向かえばいいのか分からない下っ端のグール達は呆然とその場に留まっていた。
アリエスはアレスから預かったヘルハウンドの魔石からヘルハウンドを召喚し、グールの後を追わせると、残ったグール達に手を向けた。
「じゃあ、貴方達はハイドゥに送りましょうね」
アリエスの手の中から黒い球体が向けられると黒い無数の手が伸び、激しく抵抗するグールたちをいともたやすく掴み、球体の中へと連れて行った。
その後黒い球体に白く大きな歯が生まれ死体を残らず喰らいつくした。
「さて、私も行かないと」
アリエスの姿が揺らぎ、掻き消えた後には何も残っていなかった。
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