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第一章
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付き人は『月人』と例えられることがある。太陽である主人の陽(愛)を受けて、身体を白く光らせる、という隠語にあたる。
『月人』が満月のように美しく輝いているのは、主従関係を越えて主人に愛されている証だという。
事実、有能な補佐官が王族の妾妃になる場合もあるが、皆が皆恋愛関係がある訳ではない。
王族が一夫多妻制なので、補佐官を籍に入れて取り込むのは同性愛ではなく、内々の秘密を知り過ぎてる者を解放して、敵方の派閥にでも寝返られたらたまったものではないという説が多い。
ジミルは性格が良くて気が利くし、話していても楽しい。見た目も美しく、僕は一目で好きになってしまった。社交界には国が主催の行事でなければ参加してなかったのが悔やまれる。参加していれば、もっと早くに出逢えたかもしれない。
ジミルは、月のように綺麗だ。
国内の数多の美しい令嬢を見慣れている僕がそう感じるのだから、本国でのジミルは相当人気があったのではないかと思う。
それなのに恋愛をした事がないと、背中に醜い傷があるから誰にも身体を許してないと怯えながら話していた。
その話を聞いて、ひどく安堵した。僕もあなたもまっさらで。誰の温もりも知らないなら、お互いだけを許していけばいいんだって……。
たとえ恋愛経験が無い事が偽りで、過去にジミルが誰とどんな事を経験していたとしても、僕にはジミルだけが刻まれる。それだけで、十分だ。
過去の出来事を知って身を焦がすような嫉妬に駆られたとしても、それは恋愛にはつき物で、原動力にもなるのだから仕方ない。
大事なのは、ジミルが僕の『月人』であれば僕はジミルを離さないし、僕の陽を受けてジミルがこれからもっと美しくなればいいなと思う。
こんなに素敵な人が僕の隣にいてくれる幸運に、神様に感謝して祈らずにはいられない。
ジミルがしてくれた『おはようのキス』は、母親が子どもにするような親愛のキスで。それはそれで愛が溢れて嬉しいものだけれど、僕はもっと深く情欲をさらけ出して、セックスの前戯に繋がるような大人のキスをしたいんだ。
僕の愛があなたを輝かせるなら、どうか僕を受け入れて……!
「ジョ、ンさまっ!……っ、ゴホッ!」
強い力で突き放され、ジミルは身体をくの字にして咳き込んでしまった。苦しそうな背中を擦ってあげたけれど、ジミルは頬を赤く上気させてまるで走った後のように荒い呼吸を整えている。
まだキスに慣れないせいで、僕もジミルに縋りついてはぁはぁと余裕がない。口許を手の甲で拭って、チラッと自分の下半身に目をやる。
そこは痛い位に切羽詰まっていて、衝動が治まらない。それはまた、僕の胸に当たっているジミルの下半身も、同じだった。
「ねえ、ジミル?ジミルが背中の傷を気にするなら、服を着たままでもいいんだよ。着たままでも、セックス出来るから。だからさ、今から抱いてもいい?セックスしよう?ダメ?」
「セックスって……。今から……って。本気、ですか?」
「ジミルが好きなんだ。抱きたいんだ。ジミルだってほら、ここ硬くなってるでしょ?僕とのキス気持ち良かったでしょう?」
僕はもう、カチャカチャとジミルのベルトを外しファスナーを下ろして、下着の上から口付ける。湿度をともなったジミル自身の甘い匂いが強く立ち上ぼり、理性は粉々になった。
「待って、待って下さい!せめて、スーツを脱いでからっ!シワになっちゃう!」
忙しなく脱がしたジャケットもパンツも、ベッドの外へ放り出し、Yシャツと下着だけになったジミルに覆い被さる。
「っ何で、朝からっ、こんなっ」
「ジミルがっ、焦らすからっ、でしょ!」
「っだって!嫌われたく、な……、ぁあっ……、や!どこ触って!」
抱き締めて下着を脱がしながら、シャツの上から乳首を吸って噛る。
僕の唾液で濡れ始めたシャツが透けて、ジミルのピンクに色付いた乳首が、生地をピンッと押し上げている。指先で優しく擦ると、さらに硬く尖って押し返してきた。
生地越しに先端をくるくると回すと、ジミルは切な気に眉を寄せ、腰を揺らして快感を中心へと集めていく。
「ふ……ぁ、ぅ…」
「服の上からでも、感じるね。どこが気持ちいい?」
「んっ、ち、くび……」
「舌と指。どっちがイイ?」
「ぁぅっ!……し、た…ぁ…」
他にも何をされると気持ちいいのか口に出させると、恥ずかしいのか涙目で睨んできて可愛くて堪らない。その視線が、僕を煽り再びこうして苛めてしまうのだとわかってるのか?
『月人』が満月のように美しく輝いているのは、主従関係を越えて主人に愛されている証だという。
事実、有能な補佐官が王族の妾妃になる場合もあるが、皆が皆恋愛関係がある訳ではない。
王族が一夫多妻制なので、補佐官を籍に入れて取り込むのは同性愛ではなく、内々の秘密を知り過ぎてる者を解放して、敵方の派閥にでも寝返られたらたまったものではないという説が多い。
ジミルは性格が良くて気が利くし、話していても楽しい。見た目も美しく、僕は一目で好きになってしまった。社交界には国が主催の行事でなければ参加してなかったのが悔やまれる。参加していれば、もっと早くに出逢えたかもしれない。
ジミルは、月のように綺麗だ。
国内の数多の美しい令嬢を見慣れている僕がそう感じるのだから、本国でのジミルは相当人気があったのではないかと思う。
それなのに恋愛をした事がないと、背中に醜い傷があるから誰にも身体を許してないと怯えながら話していた。
その話を聞いて、ひどく安堵した。僕もあなたもまっさらで。誰の温もりも知らないなら、お互いだけを許していけばいいんだって……。
たとえ恋愛経験が無い事が偽りで、過去にジミルが誰とどんな事を経験していたとしても、僕にはジミルだけが刻まれる。それだけで、十分だ。
過去の出来事を知って身を焦がすような嫉妬に駆られたとしても、それは恋愛にはつき物で、原動力にもなるのだから仕方ない。
大事なのは、ジミルが僕の『月人』であれば僕はジミルを離さないし、僕の陽を受けてジミルがこれからもっと美しくなればいいなと思う。
こんなに素敵な人が僕の隣にいてくれる幸運に、神様に感謝して祈らずにはいられない。
ジミルがしてくれた『おはようのキス』は、母親が子どもにするような親愛のキスで。それはそれで愛が溢れて嬉しいものだけれど、僕はもっと深く情欲をさらけ出して、セックスの前戯に繋がるような大人のキスをしたいんだ。
僕の愛があなたを輝かせるなら、どうか僕を受け入れて……!
「ジョ、ンさまっ!……っ、ゴホッ!」
強い力で突き放され、ジミルは身体をくの字にして咳き込んでしまった。苦しそうな背中を擦ってあげたけれど、ジミルは頬を赤く上気させてまるで走った後のように荒い呼吸を整えている。
まだキスに慣れないせいで、僕もジミルに縋りついてはぁはぁと余裕がない。口許を手の甲で拭って、チラッと自分の下半身に目をやる。
そこは痛い位に切羽詰まっていて、衝動が治まらない。それはまた、僕の胸に当たっているジミルの下半身も、同じだった。
「ねえ、ジミル?ジミルが背中の傷を気にするなら、服を着たままでもいいんだよ。着たままでも、セックス出来るから。だからさ、今から抱いてもいい?セックスしよう?ダメ?」
「セックスって……。今から……って。本気、ですか?」
「ジミルが好きなんだ。抱きたいんだ。ジミルだってほら、ここ硬くなってるでしょ?僕とのキス気持ち良かったでしょう?」
僕はもう、カチャカチャとジミルのベルトを外しファスナーを下ろして、下着の上から口付ける。湿度をともなったジミル自身の甘い匂いが強く立ち上ぼり、理性は粉々になった。
「待って、待って下さい!せめて、スーツを脱いでからっ!シワになっちゃう!」
忙しなく脱がしたジャケットもパンツも、ベッドの外へ放り出し、Yシャツと下着だけになったジミルに覆い被さる。
「っ何で、朝からっ、こんなっ」
「ジミルがっ、焦らすからっ、でしょ!」
「っだって!嫌われたく、な……、ぁあっ……、や!どこ触って!」
抱き締めて下着を脱がしながら、シャツの上から乳首を吸って噛る。
僕の唾液で濡れ始めたシャツが透けて、ジミルのピンクに色付いた乳首が、生地をピンッと押し上げている。指先で優しく擦ると、さらに硬く尖って押し返してきた。
生地越しに先端をくるくると回すと、ジミルは切な気に眉を寄せ、腰を揺らして快感を中心へと集めていく。
「ふ……ぁ、ぅ…」
「服の上からでも、感じるね。どこが気持ちいい?」
「んっ、ち、くび……」
「舌と指。どっちがイイ?」
「ぁぅっ!……し、た…ぁ…」
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