美醜逆転の世界でレンタル彼氏をしてみた

普通

文字の大きさ
5 / 6

初めてのデート【後編】

しおりを挟む
色々と邪魔が入ったものの、マナとのデートはそれなりに順調に進んで行った。女たちが現れて、マナのテンションを下げた時は少し心配したが、思っていた以上にマナは切り替えが上手いようだ。





あの後、食事をしたり、公園のベンチでお互いのことを話したり、プレゼントを渡したりと普通のデートをした。自分なりに計画したデートはそれなりに良いものだったと自負できる。


「マナ、今日は楽しめたかな?」


「はい!今まで男の人とこんな風に話したりすることも、優しくされたこともなかったので本当に嬉しかったですし、楽しめました」

そう思ってくれたのなら俺としてもこのデータは成功と断言できる。俺に気を遣って言ってくれているかもしれないが、少なくとも俺の目にマナは楽しめているように映った。




まぁ…成功だとは思うし、断言までしたが、最終的に次のお声が掛かるかで全てが決まる。マナのような人をこれからもターゲットにしていくことになるだろうし、第一号のお客さんぐらいリピーターにさせるぐらいはできないと。



「俺もマナとデートができてとても楽しかったよ」

こっちから次のデートを催促するような真似はできない。マナの意思で俺ともう一度デートをしたいと思ってくれないと意味がない。


「どこに連れてってもマナは新鮮な反応をしてくれるし、俺もデートをしていて、マナの表情を見るのが楽しかったかな」

少しマナをからかってみると、あたふたし始めた。


「そ、そんなぁ…」


「マナのそういう反応がとっても可愛いよ。ずっと見ていても飽きることがないのはマナの魅力だよね」


マナが王国騎士だというのをデートの間は忘れていた。だってどう見ても反応とか仕草が、ただの女の子だ。凛々しい感じでもなければ、頼りがいがある感じもない。元の世界だったらとっても人気があって、小動物系の女と言った感じか。


そんなことを考えているとマナが俺の目を射抜くように見つめてくる。



「どうしたんだ、マナ?」


「ヒロさんは私の事を一人の女性として扱ってくれますよね?」


「マナは魅力的な女性だからね」


「…そういうことを言ってくれるのはヒロさんぐらいです」


「それは周りの男に見る目がないのかもね」

この世界で生きて、一般的な価値観を共有している人間であればマナのことを美人とは思わないだろう。それはこの世界であれば仕方のない事だ。


「……ううん。たぶん、ヒロさんがおかしいんだと思う」


「そうかな?」


「うん。でも、私はそのおかしいところが嬉しかった。お金を得られたとしても私なんかとデートをしようなんて人間はいない。それなのに、ヒロさんは私を女として扱ってデートまでしてくれた」

それはお金を貰っているから。金銭が発生する以上はしっかりと仕事を全うしないわけにはいかない。



「それがとっても嬉しくて……ヒロさんさえよければたまにでいいので…これからも一緒にお出掛けとかしてくれませんか?」


その言葉を聞けて俺は心底安心した。自分のデートはマナを満足させるに至ったのだと。


「いいですよ。俺もマナとのデートは楽しかったですし」


「ほ、ほんとですか?」


「本当です」


「…よ、よかったぁ…」

こっちの方が良かったと胸をなで下ろす。第一号のお客さんの心をしっかりと射止められたんであれば今回の仕事はしっかりとできたと言ってもいい。



「これからもマナが会いたいと思った時に呼んでください。俺はいつでもマナのことを待っているので」

こんな歯の浮くようなセリフを自分が言っていることに対して、寒気がするものの、これも何度か繰り返せばいずれは慣れて来るだろう。


「…わ、わたしなんかでよければ」




そして俺とマナは別れた。



宿への道のりを歩きながら今日の成果とこれからの目標を考える。



リピーターの確保に成功はしたものの、これからもっとお客さんを増やしていけないといけない。マナが今回のことを話して広めてくれればいいが、性格的にマナが広告塔の役割を担うのは難しいだろう。


だから俺も個人的に広めるための活動をこれからもしていかないといけない。もっとお金を儲けるために。







マナとのデートを含めて改めて理解した。

やはりこの世界でマナのような女は差別を受けていること、俺が異質の人間であること。


そしてレンタル彼氏で儲けることは難しいかもしれないが、不可能ではない。今回マナが払ってくれた料金はそれなりのものだ。ぼったくりとまではいかないが、それなりの金額を支払ってもらった。それにも理由がある。あまり安くし過ぎると、俺の価値を下げることになる。


ある程度の付加価値がありつつ、それでも利用できない金額ではない辺りに設定したのだ。




だがその辺りはマナしかあの張り紙から来なかったことを踏まえれば、安くすることも検討しなければならない。

例えば1ヵ月だけの限定といった感じで格安にするなどして、最終的にはそれなりの金額設定を支払ってもらう。



次も利用したいと思わせることが一回目でしっかりできれば、多少高くても利用してくれるだろうしな。


これからはそういう感じでやっていくか。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

美醜逆転世界でお姫様は超絶美形な従者に目を付ける

朝比奈
恋愛
ある世界に『ティーラン』と言う、まだ、歴史の浅い小さな王国がありました。『ティーラン王国』には、王子様とお姫様がいました。 お姫様の名前はアリス・ラメ・ティーラン 絶世の美女を母に持つ、母親にの美しいお姫様でした。彼女は小国の姫でありながら多くの国の王子様や貴族様から求婚を受けていました。けれども、彼女は20歳になった今、婚約者もいない。浮いた話一つ無い、お姫様でした。 「ねぇ、ルイ。 私と駆け落ちしましょう?」 「えっ!? ええぇぇえええ!!!」 この話はそんなお姫様と従者である─ ルイ・ブリースの恋のお話。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

【完結】マッチョ大好きマチョ村(松村)さん、異世界転生したらそこは筋肉パラダイスでした!

櫻野くるみ
恋愛
松村香蓮はマッチョが大好きな女子高校生。 しかし、学校には納得できるマッチョがいないことに不満を抱えていた。 細マッチョくらいでは満足できない香蓮は、友人にマッチョ好きを揶揄われ、『松村』をもじって『マチョ村』と呼ばれているのだが、ある日不注意による事故で死んでしまう。 転生した先は異世界だった。 頭をぶつけた衝撃で前世でマチョ村だった記憶を取り戻したカレンだったが、騎士団の寮で働いている彼女のまわりはマッチョだらけで……? 新人騎士の幼馴染みも加わって、マッチョ好きには堪らない筋肉パラダイスに悶絶するマチョ村さんのお話です。 小説家になろう様にも投稿しています。 『文官貴族令嬢は、マッチョな騎士に首ったけ。』がエンジェライト文庫様より電子書籍で配信されています。 こちらもマッチョに惹かれる女の子のハッピーエンドのお話なので、よろしかったら各配信サイトからお願いいたします。

黒騎士団の娼婦

星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜

具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです 転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!? 肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!? その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。 そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。 前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、 「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。 「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」 己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、 結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──! 「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」 でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……! アホの子が無自覚に世界を救う、 価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!

美醜逆転までいかない何か

りこ
恋愛
 異世界の価値観って、むずかしい……。  異世界に転移してしまった女子・黒須あずみ。  あずみという発音は難しいらしく、アシュリー・クロスという名前で生きていくことに。  冒険者になったはいいものの、戦闘経験もなく、出来ることは雑用や薬草採取ばかり。  お金も経験もなく、日々の生活で手一杯の中で出会ったのは──仮面をつけた物静かで優しい青年・ロロシュ。  どこか周囲から浮いている彼は、左右の目の幅が非対称で不気味だと陰口を叩かれていた。  ……正直、見てもわからない程度。  アシュリーには、ロロシュの優しさも、真面目な仕事ぶりも、何より彼の顔も……ぜんぜん“おかしく”なんて思えなかった。  異世界ならではの「ズレた美醜感覚」に戸惑いながらも、 ふたりは少しずつ距離を縮め、やがて“相棒”として絆を育んでいく。  ──でも、世界の偏見は、そんなに甘くない。  ふたりが向き合うのは、外見の話だけじゃない。 “違い”のある世界で、それでも一緒に生きていくために。  これは、美醜逆転までいかない“どこかズレた世界”で、 ふたりが互いの居場所になるまでの、ささやかな冒険と再出発の物語。

天使は女神を恋願う

紅子
恋愛
美醜が逆転した世界に召喚された私は、この不憫な傾国級の美青年を幸せにしてみせる!この世界でどれだけ醜いと言われていても、私にとっては麗しき天使様。手放してなるものか! 女神様の導きにより、心に深い傷を持つ男女が出会い、イチャイチャしながらお互いに心を暖めていく、という、どう頑張っても砂糖が量産されるお話し。 R15は、念のため。設定ゆるゆる、ご都合主義の自己満足な世界のため、合わない方は、読むのをお止めくださいm(__)m 20話完結済み 毎日00:00に更新予定

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

処理中です...