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辺境にて
064話
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『レオノーラ様!』
扉を開けて部屋の中に入ってきた者たちが、口を揃えてレオノーラの名前を呼ぶ。
入ってきた者たち……黄金の薔薇の探索者たちにしてみれば、今のような状況でレオノーラの無事が確認出来たというのは、非常に大きかった。
仲間の半分ほどが捕まっており、現在はラリアントでそれぞれに逃げている仲間たちを集めていた。
それでも、やはり黄金の薔薇としては自分たちを率いるレオノーラという存在は絶対に必要な存在なのだ。
そんなレオノーラと無事に合流出来たのだから、それに喜ぶなという方が無理だった。
「皆、無事のようね。……それにしても、ゼオンがラリアントに突入してきたのなら、そこに私が一緒にいるかもしれないとは思わなかったの?」
「当然それは予想しました。ですが、戦力を細かく分散させる訳にもいかず……結果として、雲海の者たちが街中で二人を探し、私たちはここで合流してくるかもしれないレオノーラ様とアランを待つということになったんです」
街中での活動は雲海の方が得意ですしね、とレオノーラと話していた男が告げる。
実際、その言葉は決して間違っている訳ではない。
黄金の薔薇はその大半が元貴族なのだから。
探索者として活動するうちに、ある程度街中での活動にも慣れてきてはいるが、それでも生まれ育った環境から、どこかぎこちなさが残る。
もちろん、普段であればそれはほとんど影響ないのだが。
しかし、今は少しでもその不自然さを隠す必要があった。
だとすれば、元貴族の面々よりも、小さい頃から街中で暮らしていた雲海のメンバーの方が、このようなときは怪しまれないのは確実だろう。
「なるほど」
レオノーラも元王女というだけあって、黄金の薔薇の面々が何を言いたいのかは分かったのか、若干責める視線だったのが、消える。
「その件はそれでいいわ。それで、今のところどのくらい集まってるの? 向こうに捕まったのはどのくらい?」
「そうですね。大体半分くらいと考えてもいいかと。ここに集まってるのは、全体の三割から四割くらいです」
それはつまり、すでに逃げ出した者たちの大部分はここに集まっているということを意味していた。
「雲海の方はどうなってます?」
「雲海の方も、私たちと同じくらいよ。ただ、リアさんとニコラスさん、イルゼンさんは向こうに捕まってるわ」
アランの言葉に、黄金の薔薇の女がそう告げる。
その言葉は、アランにとっても少し意外であり、同時に納得もさせる。
ザラクニアが欲しているのは、アランの持つゼオンだ。
そうである以上、アランの両親たるリアとニコラスの二人は、最優先で捕獲させただろう。
それは納得出来たのだが、イルゼンが捕まっているというのは、アランにとってもかなり予想外だった。
イルゼンの抜け目のなさを思えば、まず逃げているだろうと判断していたからだ。
(そうなると、イルゼンさんは自分の意志で捕まった? けど、何のために? いや、でもイルゼンさんなら、ザラクニアが何かを企んでいると知っていても、おかしくはないのか)
アランにとって、イルゼンという人物は普段は飄々とした性格をしており、昼行灯的な存在ではあったが、実際には非常に有能であるという印象だ。
実際に今までどこからともなく情報を集めたり、交渉において信じられないほどの好条件で契約を結んだりといったことがあったし、何より雲海という実力のあるクランを率いているという時点で、無能という言葉は相応しくない。
「そうですか。イルゼンさんが敵に……」
「大丈夫よ、イルゼンさんもきっと助け出してみせるから」
「え? あ、はい。そうですね」
アランの様子から、イルゼンを心配しているように見えたのか、女がそう告げる。
実際には、アランはイルゼンなら殺しても死なないだろうなという風に思っていたのだが。
「そうなると、街中に出ている雲海の面々にはなるべく早く戻ってきて欲しいところだけど……」
「呼びに行った方がいいんじゃない? アランがいるかもしれないとなると、見つかるまでずっと探してそうだし」
そう言われると、アランとしてもそこは否定出来ない。
雲海の面々にとって、アランは仲間であると同時に、力が足りずに守るべき対象であると、そう判断されているためだ。
実際、雲海の中での実力を考えると、アランがそのように思われることはおかしな話ではない。
本人としては、心核の件もあってその辺は若干不満に思っているのだが。
「ぴ!」
「っと」
不意に、カロの鳴き声が周囲に響く。
幸いにも、アランやレオノーラ、それに黄金の薔薇の面々で話をしていたので、第三者たる宿の男には聞こえなかったようだが。
カロの存在を知っているのは、あくまでも雲海と黄金の薔薇の面々だけだ。
いつもであればカロもそれを理解しているので、仲間以外の者がいるところでは鳴き声を発したりはしないのだが……
今のカロの鳴き声が聞こえたのだろう。レオノーラが、どうしたの? といった視線をアランに向ける。
アランはそれに何でもないと、首を横に振る。
アランにしてみれば、本当に何故ここでカロが鳴いたのかが理解出来なかったためだ。
「と、取りあえず……レオノーラ様とアランが合流出来て良かったな」
カロの鳴き声を誤魔化すかのように、黄金の薔薇の一人がそう呟く。
その言葉が聞こえなくても、カロの鳴き声は聞こえてなかったのか、男は特に気にした様子もなく立ち上がる。
「じゃあ、取りあえずお前たちが会ったんだし、俺は仕事に戻る。この部屋は……雲海の奴が戻ってくれば狭いかもしれないから、何か話し合うのなら自分たちの部屋でやってくれ。言っておくが、宿に迷惑になるような真似はするなよ」
そう言い、部屋を出ていく。
アランとレオノーラが目的としていた仲間との合流をすませたのだから、これ以上は関わらない方がいいと思ったのだろう。
このような商売をしている以上、深入りしすぎない、事情に首を突っ込みすぎないというのは、大事なことだった。
「ええ、ありがとう。貴方とこの宿のおかげで皆と合流出来たわ」
「っ!? ……気にするな、こっちも商売だからな」
笑みを浮かべて感謝の言葉を述べるレオノーラの美貌に一瞬目を奪われた男だったが、それでもすぐ我に返って部屋を出ていく。
……その際に、男の顔が赤く染まっていたのは誰も知るよしがない。
男が消えると、部屋の中の雰囲気は再び真面目なものに変わる。
「それで、これからどうするかだけど……」
「まず、ザラクニアに捕らえられているイルゼンさんたちを助けるのは絶対だな」
レオノーラの言葉に、アランがすぐにそう告げてくる。
何人かの探索者がそんなアランに向かって何か言いたげにしたが、黄金の薔薇の探索者たちも捕らえられている以上、仲間を助けるのは絶対条件なのは間違いなかった。
だからこそ、レオノーラもそんなアランの言葉に頷く。
「そうね。けど、それだけで終わらせる訳にもいかないわ。この落とし前は絶対に付ける必要があるもの」
冷たい……それこそ、見た者の背筋が凍るかのような笑みを浮かべ、レオノーラが呟く。
それは単純に意趣返しだから、そのように言ってる訳ではない。……もちろん、その気持ちがない訳ではないが。
探索者というのは、侮られたままにしておく訳にはいかないのだ。
一度侮られてもそのままに有耶無耶にしたとなれば、何をやっても雲海や黄金の薔薇は尻込みをすると考えた者たちによって狙われる。
実際には有象無象が襲ってきても反撃するのは難しくはないが、それは非常に手間がかかる。
ましてや、襲ってくるのが有象無象とばかりは限らず、中には強力な心核使いが混ざっている可能性もあった。
だからこそ、何かあった場合は相応の報復は必須だった。
もちろん、全ての探索者がそのように思っている訳ではない。
中には襲ってきた相手であっても友好的に接する者もいる。
だが、少なくても雲海と黄金の薔薇にかんしては、手を出されたら相応に報復するというのが当然だった。
特にそれは、雲海よりも黄金の薔薇の方が強い。
この辺りは、レオノーラが元王女であったり、他の面々が元貴族であったりとすることが原因なのだろう。
ともあれ、レオノーラは自分たちを陥れたザラクニアという人物を許すつもりは全くなかった。
必ず捕らえられている仲間を助け、相応の報復をすると決意する。
「まずは……」
そうレオノーラが口にすると、不意に先程男が出ていったばかりの扉がノックされる。
いきなりのことなので、その場にいた者の全員が一瞬緊張した。
そのタイミングから、もしかしてザラクニアの手の者なのではないか、という。
だが……
「悪いな、お前たちに客だ」
扉から顔を出したのは、先程出て行ったばかりの男。
客? と疑問に思わないでもなかったが、男の様子を見る限りでは切羽詰まった様子もない。
であれば、今回の一件は特に何か問題があった訳でもないだろうと判断し、レオノーラは口を開く。
「入って貰って」
「あー……人数が人数だから、ちょっとこの部屋に全員ってのは無理だな」
「……え?」
その言葉は、レオノーラ以外の者にとっても予想外だった。
一体、何人来たのだと。
最初客と聞いたとき、レオノーラが想像したのは、街中に出ていた雲海の者たちが戻って来たのではないかということだった。
だが、それではこの男の言葉には疑問が残る。
雲海の人数が予想していたよりも多かったり、もしくはここに合流していなかった者たちが合流したのではないかという思いがない訳でもなかったのだが。
「誰?」
「きっと驚くと思うぞ。とにかく、出て来てくれ。きっと俺がここで言っても信じられないだろうし」
そこまで秘密にするというのが疑問だったが、そう言うのなら、と。
ここには黄金の薔薇が何人も集まっており、いざとなればアランと自分の心核もある。
また、黄金の薔薇の心核使いたるジャスパーの姿もある。
これなら、何かあっても切り抜けられるだろうと部屋を出たのだが……
「やぁ、皆さん。お揃いで」
アランたちを待っていたのは、いつものように胡散臭い笑みを浮かべているイルゼンに、リア、ニコラス……それ以外にも、本来ならザラクニアに捕まっている者たちだった。
扉を開けて部屋の中に入ってきた者たちが、口を揃えてレオノーラの名前を呼ぶ。
入ってきた者たち……黄金の薔薇の探索者たちにしてみれば、今のような状況でレオノーラの無事が確認出来たというのは、非常に大きかった。
仲間の半分ほどが捕まっており、現在はラリアントでそれぞれに逃げている仲間たちを集めていた。
それでも、やはり黄金の薔薇としては自分たちを率いるレオノーラという存在は絶対に必要な存在なのだ。
そんなレオノーラと無事に合流出来たのだから、それに喜ぶなという方が無理だった。
「皆、無事のようね。……それにしても、ゼオンがラリアントに突入してきたのなら、そこに私が一緒にいるかもしれないとは思わなかったの?」
「当然それは予想しました。ですが、戦力を細かく分散させる訳にもいかず……結果として、雲海の者たちが街中で二人を探し、私たちはここで合流してくるかもしれないレオノーラ様とアランを待つということになったんです」
街中での活動は雲海の方が得意ですしね、とレオノーラと話していた男が告げる。
実際、その言葉は決して間違っている訳ではない。
黄金の薔薇はその大半が元貴族なのだから。
探索者として活動するうちに、ある程度街中での活動にも慣れてきてはいるが、それでも生まれ育った環境から、どこかぎこちなさが残る。
もちろん、普段であればそれはほとんど影響ないのだが。
しかし、今は少しでもその不自然さを隠す必要があった。
だとすれば、元貴族の面々よりも、小さい頃から街中で暮らしていた雲海のメンバーの方が、このようなときは怪しまれないのは確実だろう。
「なるほど」
レオノーラも元王女というだけあって、黄金の薔薇の面々が何を言いたいのかは分かったのか、若干責める視線だったのが、消える。
「その件はそれでいいわ。それで、今のところどのくらい集まってるの? 向こうに捕まったのはどのくらい?」
「そうですね。大体半分くらいと考えてもいいかと。ここに集まってるのは、全体の三割から四割くらいです」
それはつまり、すでに逃げ出した者たちの大部分はここに集まっているということを意味していた。
「雲海の方はどうなってます?」
「雲海の方も、私たちと同じくらいよ。ただ、リアさんとニコラスさん、イルゼンさんは向こうに捕まってるわ」
アランの言葉に、黄金の薔薇の女がそう告げる。
その言葉は、アランにとっても少し意外であり、同時に納得もさせる。
ザラクニアが欲しているのは、アランの持つゼオンだ。
そうである以上、アランの両親たるリアとニコラスの二人は、最優先で捕獲させただろう。
それは納得出来たのだが、イルゼンが捕まっているというのは、アランにとってもかなり予想外だった。
イルゼンの抜け目のなさを思えば、まず逃げているだろうと判断していたからだ。
(そうなると、イルゼンさんは自分の意志で捕まった? けど、何のために? いや、でもイルゼンさんなら、ザラクニアが何かを企んでいると知っていても、おかしくはないのか)
アランにとって、イルゼンという人物は普段は飄々とした性格をしており、昼行灯的な存在ではあったが、実際には非常に有能であるという印象だ。
実際に今までどこからともなく情報を集めたり、交渉において信じられないほどの好条件で契約を結んだりといったことがあったし、何より雲海という実力のあるクランを率いているという時点で、無能という言葉は相応しくない。
「そうですか。イルゼンさんが敵に……」
「大丈夫よ、イルゼンさんもきっと助け出してみせるから」
「え? あ、はい。そうですね」
アランの様子から、イルゼンを心配しているように見えたのか、女がそう告げる。
実際には、アランはイルゼンなら殺しても死なないだろうなという風に思っていたのだが。
「そうなると、街中に出ている雲海の面々にはなるべく早く戻ってきて欲しいところだけど……」
「呼びに行った方がいいんじゃない? アランがいるかもしれないとなると、見つかるまでずっと探してそうだし」
そう言われると、アランとしてもそこは否定出来ない。
雲海の面々にとって、アランは仲間であると同時に、力が足りずに守るべき対象であると、そう判断されているためだ。
実際、雲海の中での実力を考えると、アランがそのように思われることはおかしな話ではない。
本人としては、心核の件もあってその辺は若干不満に思っているのだが。
「ぴ!」
「っと」
不意に、カロの鳴き声が周囲に響く。
幸いにも、アランやレオノーラ、それに黄金の薔薇の面々で話をしていたので、第三者たる宿の男には聞こえなかったようだが。
カロの存在を知っているのは、あくまでも雲海と黄金の薔薇の面々だけだ。
いつもであればカロもそれを理解しているので、仲間以外の者がいるところでは鳴き声を発したりはしないのだが……
今のカロの鳴き声が聞こえたのだろう。レオノーラが、どうしたの? といった視線をアランに向ける。
アランはそれに何でもないと、首を横に振る。
アランにしてみれば、本当に何故ここでカロが鳴いたのかが理解出来なかったためだ。
「と、取りあえず……レオノーラ様とアランが合流出来て良かったな」
カロの鳴き声を誤魔化すかのように、黄金の薔薇の一人がそう呟く。
その言葉が聞こえなくても、カロの鳴き声は聞こえてなかったのか、男は特に気にした様子もなく立ち上がる。
「じゃあ、取りあえずお前たちが会ったんだし、俺は仕事に戻る。この部屋は……雲海の奴が戻ってくれば狭いかもしれないから、何か話し合うのなら自分たちの部屋でやってくれ。言っておくが、宿に迷惑になるような真似はするなよ」
そう言い、部屋を出ていく。
アランとレオノーラが目的としていた仲間との合流をすませたのだから、これ以上は関わらない方がいいと思ったのだろう。
このような商売をしている以上、深入りしすぎない、事情に首を突っ込みすぎないというのは、大事なことだった。
「ええ、ありがとう。貴方とこの宿のおかげで皆と合流出来たわ」
「っ!? ……気にするな、こっちも商売だからな」
笑みを浮かべて感謝の言葉を述べるレオノーラの美貌に一瞬目を奪われた男だったが、それでもすぐ我に返って部屋を出ていく。
……その際に、男の顔が赤く染まっていたのは誰も知るよしがない。
男が消えると、部屋の中の雰囲気は再び真面目なものに変わる。
「それで、これからどうするかだけど……」
「まず、ザラクニアに捕らえられているイルゼンさんたちを助けるのは絶対だな」
レオノーラの言葉に、アランがすぐにそう告げてくる。
何人かの探索者がそんなアランに向かって何か言いたげにしたが、黄金の薔薇の探索者たちも捕らえられている以上、仲間を助けるのは絶対条件なのは間違いなかった。
だからこそ、レオノーラもそんなアランの言葉に頷く。
「そうね。けど、それだけで終わらせる訳にもいかないわ。この落とし前は絶対に付ける必要があるもの」
冷たい……それこそ、見た者の背筋が凍るかのような笑みを浮かべ、レオノーラが呟く。
それは単純に意趣返しだから、そのように言ってる訳ではない。……もちろん、その気持ちがない訳ではないが。
探索者というのは、侮られたままにしておく訳にはいかないのだ。
一度侮られてもそのままに有耶無耶にしたとなれば、何をやっても雲海や黄金の薔薇は尻込みをすると考えた者たちによって狙われる。
実際には有象無象が襲ってきても反撃するのは難しくはないが、それは非常に手間がかかる。
ましてや、襲ってくるのが有象無象とばかりは限らず、中には強力な心核使いが混ざっている可能性もあった。
だからこそ、何かあった場合は相応の報復は必須だった。
もちろん、全ての探索者がそのように思っている訳ではない。
中には襲ってきた相手であっても友好的に接する者もいる。
だが、少なくても雲海と黄金の薔薇にかんしては、手を出されたら相応に報復するというのが当然だった。
特にそれは、雲海よりも黄金の薔薇の方が強い。
この辺りは、レオノーラが元王女であったり、他の面々が元貴族であったりとすることが原因なのだろう。
ともあれ、レオノーラは自分たちを陥れたザラクニアという人物を許すつもりは全くなかった。
必ず捕らえられている仲間を助け、相応の報復をすると決意する。
「まずは……」
そうレオノーラが口にすると、不意に先程男が出ていったばかりの扉がノックされる。
いきなりのことなので、その場にいた者の全員が一瞬緊張した。
そのタイミングから、もしかしてザラクニアの手の者なのではないか、という。
だが……
「悪いな、お前たちに客だ」
扉から顔を出したのは、先程出て行ったばかりの男。
客? と疑問に思わないでもなかったが、男の様子を見る限りでは切羽詰まった様子もない。
であれば、今回の一件は特に何か問題があった訳でもないだろうと判断し、レオノーラは口を開く。
「入って貰って」
「あー……人数が人数だから、ちょっとこの部屋に全員ってのは無理だな」
「……え?」
その言葉は、レオノーラ以外の者にとっても予想外だった。
一体、何人来たのだと。
最初客と聞いたとき、レオノーラが想像したのは、街中に出ていた雲海の者たちが戻って来たのではないかということだった。
だが、それではこの男の言葉には疑問が残る。
雲海の人数が予想していたよりも多かったり、もしくはここに合流していなかった者たちが合流したのではないかという思いがない訳でもなかったのだが。
「誰?」
「きっと驚くと思うぞ。とにかく、出て来てくれ。きっと俺がここで言っても信じられないだろうし」
そこまで秘密にするというのが疑問だったが、そう言うのなら、と。
ここには黄金の薔薇が何人も集まっており、いざとなればアランと自分の心核もある。
また、黄金の薔薇の心核使いたるジャスパーの姿もある。
これなら、何かあっても切り抜けられるだろうと部屋を出たのだが……
「やぁ、皆さん。お揃いで」
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