200 / 422
ザッカラン防衛戦
199話
しおりを挟む
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
ザッカランから……いや、空に存在する黄金のドラゴンから少しでも遠ざかるべく、ソランタたちは必死に走っていた。
腕利きが揃っていたのだが、今までのやり取りでその人数も随分と減ってしまった。
そして当然の話だが、人数が減れば一人辺りの仕事も増える。
現在、その最大の仕事はアランを運ぶことだった。
現在、アランは兵士たちによって気絶させられており、言葉を発するようなこともない。
だが……気を失った人というのは、普通に運ぶよりも重く感じてしまうものだ。
それの重さが、現在兵士たちを苦しめている。
しかし、だからといってこの状況でアランが目覚めて暴れるような真似をされるのも非常に困る。
今の状況を考えれば、アランを気絶させるというのが最善の選択なのだから。
そんな気絶したアランを抱えつつ、男たちは何とか少しでもこの場から離れるべく行動を行う。
「おい、このままガリンダミア帝国軍に向かうのか!?」
兵士の一人が、近くにいる者たちだけに聞こえるような声で尋ねる。
元々の計画では、ザッカランを脱出したらガリンダミア帝国軍に合流する予定だった。
だが、それはあくあまでも元々の計画であればの話だ。
今の状況でそのような真似をした場合、それこそ上空にいる黄金のドラゴンがガリンダミア帝国軍に攻撃してくるのではないかと、そう思ってしまう。
もちろん、ガリンダミア帝国軍の何も心核使いはいる。
それもただの心核使いではない。
ドットリオン王国軍に……正確には協力者としての立場を取っているアランとレオノーラという、強力な心核使いがいると知っている以上、それに対処するための心核使いを連れてくると、ソランタを含めた者たちは、そう聞かされていた。
だが……ならば、何故現状でその心核使いが出て来て、黄金のドラゴンに対処しないのか。
もしここで黄金のドラゴンを倒すことが出来れば、それはガリンダミア帝国軍として大きな意味を持つことのはずだろう。
そんな状況で、黄金のドラゴンに狙われている自分たちがガリンダミア帝国軍の陣地に逃げ込むような真似をした場合、それはガリンダミア帝国軍に対する黄金のドラゴンの攻撃を誘発し、敗北に直結するのではないか。
それを恐れたのだ。
だが……ここでガリンダミア帝国軍に向かわないというのは、味方を見捨てるということにもなりかねない。
何より、ザッカラン攻略に参加しているガリンダミア帝国軍の中には、ソランタや兵士たちが忠誠を誓っているバストーレがいるのだ。
そのバストーレを見捨てるような真似をしたりといったようなことは、当然の話だが出来るはずもない。
だとすれば、現在のソランタたちがやるべきことはやはりガリンダミア帝国軍の陣地に逃げ込むことなのだが……むしろ、自分たちが陣地に逃げ込むことで、黄金のドラゴンの攻撃の矛先がそちらに向くというのは、出来れば遠慮したかった。
「なら、ソランタとアランを運んでる奴以外の一人が陣地に向かって、アランを確保した件を説明してくるってのはどうだ? そうすれば、任務の成功を知らせることが出来るし、バストーレ様ならこの状況でもどうとでも上手く出来るだろう」
兵士の一人の言葉は、納得出来る方法ではあった。
現実的ですらある。
だが……それでも現在のこの状況で、また一人兵士が減るのは避けたいと、そう思うのも皆同様に思うことだった。
「迷っている暇はねえだろ。俺たちが命じられたのは、アランの確保だ。……正確には、アランとその心核のな。それを考えれば、今やるべきことをしっかりとやる必要がある。……違うか?」
提案した兵士がそう言えば、他の者も異論は口に出来ない。
今はまず、自分がやるべきことをやる必要があるというのは理解しているのだから。
「……分かった、頼む。ただし、本陣に近付くまでは俺たちも一緒に行くぞ。ここでお前が姿を現せば、あのドラゴンに見つかる可能性はあるしな」
兵士の一人が仲間の提案に頷き、そう告げる。
その言葉には強い説得力がある。
元々、ドラゴンは人間とは比べものにならないくらい鋭い五感を持っている以上、ザッカランからそう離れていない場所でいきなり兵士が姿を現せば、それを敵だと……アランを連れ去った相手だと認識するのは難しい話ではない。
そうして、ソランタたちはガリンダミア帝国軍の本陣に向かって近付いていく。
とはいえ、ソランタたちが出た扉はガリンダミア帝国軍が攻めている正門ではない。
ザッカランの兵士が少ない門である以上、当然ながら目的地までは結構な距離があった。
その結構な距離を、上空にいる黄金のドラゴンに気をつけながら移動するのだ。
感じるプレッシャーは、並大抵のものではない。
それでも、今はその行動をやらなければならないために、精神的な消耗を覚えながらも進んでいく。
黄金のドラゴンにしてみれば、ザッカラン周辺のどこにアランがいるのか分からない以上、どこに攻撃をするような真似も出来ず、ただじっと地上を睨み付けているだけだ。
……いっそガリンダミア帝国軍の方を片付けてしまおうかとも思ったが、もしかしたら何らかの手段ですでにアランがそちらに合流しているという可能性を考えると、そちらをレーザーブレスで一掃するような真似も出来ない。
ガリンダミア帝国軍の方も、突然黄金のドラゴンが姿を現したということで、先程までと違って動くに動けなくなっているが。
ここで先程までのようにザッカランにいる兵士たちを挑発したり、精神的に疲労させるために動いた場合、黄金のドラゴンの注意を惹く可能性がある。
黄金のドラゴンの登場で、ガリンダミア帝国軍もザッカラン側も双方が動けなくなってしまう。
「バストーレ様、どうします? こちらからも心核使いを出せば膠着状態を打破出来ると思いますが」
「いや、今のままでいい」
「……いいんですか?」
上司の考えは理解していた副官だったが、それでも念のためといった風に尋ねる。
それに対し、バストーレは当然といったように頷く。
「こっちに入ってる情報からでも、あの黄金のドラゴンに変身しているレオノーラが厄介な相手なのは間違いない。なら、こっちの切り札をそう簡単に見せる訳にもいかないだろ。……ただし、向こうがこっちを攻撃してくるようなことがればすぐに対処しろ」
いくら切り札であっても、味方の命と引き換えにしてまで隠すような代物ではない。
そうである以上、現在の状況が少しでも悪化しそうになれば、容赦なく切り札を使うつもりではあった。
「はい。そのように手配を。……それにしても、情報として知ってはいても、こうして実際に見ると凄いですね」
副官のしみじみとした言葉に、バストーレもまた頷く。
その言葉に異論は全く抱かなかったためだ。
空に存在する黄金のドラゴン。
その姿は、まるでこの世界の王が君臨している中のようにすら思える。
(いや、黄金のドラゴンの正体はレオノーラとかいう女なんだから、この場合は王じゃなくて女王という表現の方が的確か?)
自分でも半ば冗談であるかのように考えるバストーレだったが、それはそのように思わなければ、黄金のドラゴンの持つ迫力に圧倒されてしまいかねないからだろう。
今の状況であのような存在を前に、自分が怯むなどというところを周囲に見せる訳はいかない。
自分は将軍……この軍を率いる者なのだから。
「恐れるな! 敵はドラゴンであろうとも、結局は一人の心核使いでしかない。ここで恐れれば、向こうの思惑通りになるぞ!」
心の中には自分にも恐れはある。
それは恐れではなく、畏れと言ってもいいのかもしれない。
それだけ、ドラゴンという存在は圧倒的なのだ。
だが、そんなドラゴンの姿に圧倒されていて兵士たちも、バストーレの言葉を聞くと我に返っていく。
……実際には、バストーレも自分の中にある恐怖に押し殺されないように必死なのだが。
将軍であるバストーレは、そんな自分の様子を表に出すようなことはない。
そのおかげもあって、兵士たちは……少なくても、バストーレからそう離れていない場所にいる兵士たちは、黄金のドラゴンの存在を目にしても、恐怖や緊張から暴走するようなことはなかった。
そして周囲が落ち着いたおかげで、その他の者たちも次第に落ち着いていく。
後方からその様子を見て、バストーレは安堵する。
ここで兵士たちに暴走され、黄金のドラゴン怖さに逃げ出したり……ザッカランに向かって突撃したり、場合によっては黄金のドラゴンに向かって攻撃をしたりといったような真似をする者が出来れば、最悪としか言いようがない。
今はとにかく、落ち着くことが大事だった。
そうして落ち着いたところで……
「バストーレ様」
そんな声と共に、兵士が一人近付いてくる。
その姿を見て、今更……本当に今更ではあるが、何故ここで黄金のドラゴンが出て来たのかを理解した。
「そうか。アランを確保することに成功したのか」
「はい。ですが……」
「いや、言わなくてもいい。見れば分かる」
空中から地面を睥睨している黄金のドラゴンに視線を向け、バストーレはそう兵士の言葉を遮る。
つまり、アランの確保の成功したからこそ、それに怒りを覚えたレオノーラが黄金のドラゴンとなって姿を現したのだろう、と。
そう理解すると、バストーレの口には笑みが浮かぶ。
つい先程までは、黄金のドラゴンという存在に圧倒的なまでの恐怖を覚えていたのだが、今は何故このようなことになっているのかを理解しているために、そんな思いも消えた。
「それで、アランは?」
「すでに戦場から離れています。ソランタのスキルを使ってるので、見つかることもないでしょう」
「そうか。よくやった」
苦労して捕らえた獲物を自分の目で見ることが出来ないのは残念だったが、その機会はすぐにやってくるはずであった。
であれば、今の状況で自分たちがやるべきなのは……
「撤退だな」
あっさりと、そう断言する。
ザッカランを落とせなかったのは残念だったが、それよりも優先するアランの確保は成功したのだ。
であれば、ここは無理をする必要がないというのがバストーレの判断だった。
ザッカランから……いや、空に存在する黄金のドラゴンから少しでも遠ざかるべく、ソランタたちは必死に走っていた。
腕利きが揃っていたのだが、今までのやり取りでその人数も随分と減ってしまった。
そして当然の話だが、人数が減れば一人辺りの仕事も増える。
現在、その最大の仕事はアランを運ぶことだった。
現在、アランは兵士たちによって気絶させられており、言葉を発するようなこともない。
だが……気を失った人というのは、普通に運ぶよりも重く感じてしまうものだ。
それの重さが、現在兵士たちを苦しめている。
しかし、だからといってこの状況でアランが目覚めて暴れるような真似をされるのも非常に困る。
今の状況を考えれば、アランを気絶させるというのが最善の選択なのだから。
そんな気絶したアランを抱えつつ、男たちは何とか少しでもこの場から離れるべく行動を行う。
「おい、このままガリンダミア帝国軍に向かうのか!?」
兵士の一人が、近くにいる者たちだけに聞こえるような声で尋ねる。
元々の計画では、ザッカランを脱出したらガリンダミア帝国軍に合流する予定だった。
だが、それはあくあまでも元々の計画であればの話だ。
今の状況でそのような真似をした場合、それこそ上空にいる黄金のドラゴンがガリンダミア帝国軍に攻撃してくるのではないかと、そう思ってしまう。
もちろん、ガリンダミア帝国軍の何も心核使いはいる。
それもただの心核使いではない。
ドットリオン王国軍に……正確には協力者としての立場を取っているアランとレオノーラという、強力な心核使いがいると知っている以上、それに対処するための心核使いを連れてくると、ソランタを含めた者たちは、そう聞かされていた。
だが……ならば、何故現状でその心核使いが出て来て、黄金のドラゴンに対処しないのか。
もしここで黄金のドラゴンを倒すことが出来れば、それはガリンダミア帝国軍として大きな意味を持つことのはずだろう。
そんな状況で、黄金のドラゴンに狙われている自分たちがガリンダミア帝国軍の陣地に逃げ込むような真似をした場合、それはガリンダミア帝国軍に対する黄金のドラゴンの攻撃を誘発し、敗北に直結するのではないか。
それを恐れたのだ。
だが……ここでガリンダミア帝国軍に向かわないというのは、味方を見捨てるということにもなりかねない。
何より、ザッカラン攻略に参加しているガリンダミア帝国軍の中には、ソランタや兵士たちが忠誠を誓っているバストーレがいるのだ。
そのバストーレを見捨てるような真似をしたりといったようなことは、当然の話だが出来るはずもない。
だとすれば、現在のソランタたちがやるべきことはやはりガリンダミア帝国軍の陣地に逃げ込むことなのだが……むしろ、自分たちが陣地に逃げ込むことで、黄金のドラゴンの攻撃の矛先がそちらに向くというのは、出来れば遠慮したかった。
「なら、ソランタとアランを運んでる奴以外の一人が陣地に向かって、アランを確保した件を説明してくるってのはどうだ? そうすれば、任務の成功を知らせることが出来るし、バストーレ様ならこの状況でもどうとでも上手く出来るだろう」
兵士の一人の言葉は、納得出来る方法ではあった。
現実的ですらある。
だが……それでも現在のこの状況で、また一人兵士が減るのは避けたいと、そう思うのも皆同様に思うことだった。
「迷っている暇はねえだろ。俺たちが命じられたのは、アランの確保だ。……正確には、アランとその心核のな。それを考えれば、今やるべきことをしっかりとやる必要がある。……違うか?」
提案した兵士がそう言えば、他の者も異論は口に出来ない。
今はまず、自分がやるべきことをやる必要があるというのは理解しているのだから。
「……分かった、頼む。ただし、本陣に近付くまでは俺たちも一緒に行くぞ。ここでお前が姿を現せば、あのドラゴンに見つかる可能性はあるしな」
兵士の一人が仲間の提案に頷き、そう告げる。
その言葉には強い説得力がある。
元々、ドラゴンは人間とは比べものにならないくらい鋭い五感を持っている以上、ザッカランからそう離れていない場所でいきなり兵士が姿を現せば、それを敵だと……アランを連れ去った相手だと認識するのは難しい話ではない。
そうして、ソランタたちはガリンダミア帝国軍の本陣に向かって近付いていく。
とはいえ、ソランタたちが出た扉はガリンダミア帝国軍が攻めている正門ではない。
ザッカランの兵士が少ない門である以上、当然ながら目的地までは結構な距離があった。
その結構な距離を、上空にいる黄金のドラゴンに気をつけながら移動するのだ。
感じるプレッシャーは、並大抵のものではない。
それでも、今はその行動をやらなければならないために、精神的な消耗を覚えながらも進んでいく。
黄金のドラゴンにしてみれば、ザッカラン周辺のどこにアランがいるのか分からない以上、どこに攻撃をするような真似も出来ず、ただじっと地上を睨み付けているだけだ。
……いっそガリンダミア帝国軍の方を片付けてしまおうかとも思ったが、もしかしたら何らかの手段ですでにアランがそちらに合流しているという可能性を考えると、そちらをレーザーブレスで一掃するような真似も出来ない。
ガリンダミア帝国軍の方も、突然黄金のドラゴンが姿を現したということで、先程までと違って動くに動けなくなっているが。
ここで先程までのようにザッカランにいる兵士たちを挑発したり、精神的に疲労させるために動いた場合、黄金のドラゴンの注意を惹く可能性がある。
黄金のドラゴンの登場で、ガリンダミア帝国軍もザッカラン側も双方が動けなくなってしまう。
「バストーレ様、どうします? こちらからも心核使いを出せば膠着状態を打破出来ると思いますが」
「いや、今のままでいい」
「……いいんですか?」
上司の考えは理解していた副官だったが、それでも念のためといった風に尋ねる。
それに対し、バストーレは当然といったように頷く。
「こっちに入ってる情報からでも、あの黄金のドラゴンに変身しているレオノーラが厄介な相手なのは間違いない。なら、こっちの切り札をそう簡単に見せる訳にもいかないだろ。……ただし、向こうがこっちを攻撃してくるようなことがればすぐに対処しろ」
いくら切り札であっても、味方の命と引き換えにしてまで隠すような代物ではない。
そうである以上、現在の状況が少しでも悪化しそうになれば、容赦なく切り札を使うつもりではあった。
「はい。そのように手配を。……それにしても、情報として知ってはいても、こうして実際に見ると凄いですね」
副官のしみじみとした言葉に、バストーレもまた頷く。
その言葉に異論は全く抱かなかったためだ。
空に存在する黄金のドラゴン。
その姿は、まるでこの世界の王が君臨している中のようにすら思える。
(いや、黄金のドラゴンの正体はレオノーラとかいう女なんだから、この場合は王じゃなくて女王という表現の方が的確か?)
自分でも半ば冗談であるかのように考えるバストーレだったが、それはそのように思わなければ、黄金のドラゴンの持つ迫力に圧倒されてしまいかねないからだろう。
今の状況であのような存在を前に、自分が怯むなどというところを周囲に見せる訳はいかない。
自分は将軍……この軍を率いる者なのだから。
「恐れるな! 敵はドラゴンであろうとも、結局は一人の心核使いでしかない。ここで恐れれば、向こうの思惑通りになるぞ!」
心の中には自分にも恐れはある。
それは恐れではなく、畏れと言ってもいいのかもしれない。
それだけ、ドラゴンという存在は圧倒的なのだ。
だが、そんなドラゴンの姿に圧倒されていて兵士たちも、バストーレの言葉を聞くと我に返っていく。
……実際には、バストーレも自分の中にある恐怖に押し殺されないように必死なのだが。
将軍であるバストーレは、そんな自分の様子を表に出すようなことはない。
そのおかげもあって、兵士たちは……少なくても、バストーレからそう離れていない場所にいる兵士たちは、黄金のドラゴンの存在を目にしても、恐怖や緊張から暴走するようなことはなかった。
そして周囲が落ち着いたおかげで、その他の者たちも次第に落ち着いていく。
後方からその様子を見て、バストーレは安堵する。
ここで兵士たちに暴走され、黄金のドラゴン怖さに逃げ出したり……ザッカランに向かって突撃したり、場合によっては黄金のドラゴンに向かって攻撃をしたりといったような真似をする者が出来れば、最悪としか言いようがない。
今はとにかく、落ち着くことが大事だった。
そうして落ち着いたところで……
「バストーレ様」
そんな声と共に、兵士が一人近付いてくる。
その姿を見て、今更……本当に今更ではあるが、何故ここで黄金のドラゴンが出て来たのかを理解した。
「そうか。アランを確保することに成功したのか」
「はい。ですが……」
「いや、言わなくてもいい。見れば分かる」
空中から地面を睥睨している黄金のドラゴンに視線を向け、バストーレはそう兵士の言葉を遮る。
つまり、アランの確保の成功したからこそ、それに怒りを覚えたレオノーラが黄金のドラゴンとなって姿を現したのだろう、と。
そう理解すると、バストーレの口には笑みが浮かぶ。
つい先程までは、黄金のドラゴンという存在に圧倒的なまでの恐怖を覚えていたのだが、今は何故このようなことになっているのかを理解しているために、そんな思いも消えた。
「それで、アランは?」
「すでに戦場から離れています。ソランタのスキルを使ってるので、見つかることもないでしょう」
「そうか。よくやった」
苦労して捕らえた獲物を自分の目で見ることが出来ないのは残念だったが、その機会はすぐにやってくるはずであった。
であれば、今の状況で自分たちがやるべきなのは……
「撤退だな」
あっさりと、そう断言する。
ザッカランを落とせなかったのは残念だったが、それよりも優先するアランの確保は成功したのだ。
であれば、ここは無理をする必要がないというのがバストーレの判断だった。
0
あなたにおすすめの小説
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
残念ながら主人公はゲスでした。~異世界転移したら空気を操る魔法を得て世界最強に。好き放題に無双する俺を誰も止められない!~
日和崎よしな
ファンタジー
―あらすじ―
異世界に転移したゲス・エストは精霊と契約して空気操作の魔法を獲得する。
強力な魔法を得たが、彼の真の強さは的確な洞察力や魔法の応用力といった優れた頭脳にあった。
ゲス・エストは最強の存在を目指し、しがらみのない異世界で容赦なく暴れまくる!
―作品について―
完結しました。
全302話(プロローグ、エピローグ含む),約100万字。
【完結】剣聖と聖女の娘はのんびりと(?)後宮暮らしを楽しむ
O.T.I
ファンタジー
かつて王国騎士団にその人ありと言われた剣聖ジスタルは、とある事件をきっかけに引退して辺境の地に引き籠もってしまった。
それから時が過ぎ……彼の娘エステルは、かつての剣聖ジスタルをも超える剣の腕を持つ美少女だと、辺境の村々で噂になっていた。
ある時、その噂を聞きつけた辺境伯領主に呼び出されたエステル。
彼女の実力を目の当たりにした領主は、彼女に王国の騎士にならないか?と誘いかける。
剣術一筋だった彼女は、まだ見ぬ強者との出会いを夢見てそれを了承するのだった。
そして彼女は王都に向かい、騎士となるための試験を受けるはずだったのだが……
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』
見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装…
俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。
突然の事で戸惑うクラスメート達…
だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。
「またか…」
王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。
そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。
そして俺はというと…?
『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』
「それよりも不知火君は何を得たんだ?」
イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。
俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。
その場にいた者達は、俺の加護を見ると…
「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。
『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』
王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。
まぁ、その方が気楽で良い。
そして正義は、リーダーとして皆に言った。
「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」
正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。
「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」
「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」
「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」
「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」
「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」
「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」
「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」
俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。
「その…鎧と剣は?」
「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」
「今迄って…今回が2回目では無いのか?」
「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」
俺はうんざりしながら答えた。
そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。
いずれの世界も救って来た。
そして今度の世界は…?
6月22日
HOTランキングで6位になりました!
6月23日
HOTランキングで4位になりました!
昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°.
6月24日
HOTランキングで2位になりました!
皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる