238 / 422
囚われの姫君?
237話
しおりを挟む
「うおおおおおおおおおっ!」
レジスタンスの者たちが、雄叫びを上げながら帝城の中を進む。
黄金のドラゴンによって結界が破壊され、帝城の者たちは動揺し……その隙を突くように城に近付いてみれば、そこでは通用門が開かれていた。
レジスタンスの中でも鋼の蜘蛛の者たちは、そこに残された目印から、それを行ったのが帝城に潜入していたダーナとメライナの仕業だと知る。
それがあったからこそ、他のレジスタンスたちにこれが罠ではないと説明し、帝城の中に突入したのだ。
そして帝城の中に入ることが出来れば、あとはこれが自分たちの仕業だと示すために暴れる必要があった。
……実際には、アランとカロの救出こそが最大の目的だったのだが、鋼の蜘蛛のメンバーはともかく、それに協力している者たちは一種の数合わせ的な存在だ。
大事なことは教えられておらず、砦の一件の失態を取り戻すべく帝城の中で暴れ回っていた。
中には価値のある物だろうと、壺や絵を奪っているような者もいたが。
ただし、前もってメイドや使用人のような一般人には手を出さないようにと言ってあったので、そちらの被害はほとんどない。
ほとんどであって、ゼロではないのは……
「ぐわぁっ! てめえ、何をする!」
そう叫んだのは、殴り飛ばされたレジスタンスの一人。
床には、メイド服を破かれて白い肌を晒しているメイドの姿がある。
それを見れば、殴られたレジスタンスが何をしようとしたのかは一目瞭然だろう。
だからこそ、雲海の探索者にして心核使いのロッコーモは、苛立ちの視線を怒っているレジスタンスの男に向けていた。
「一般人には手を出すな。前もってそう言われていたはずだろう? なのに、お前は何をしてるんだ? それがレジスタンスとか名乗ってる連中のやることか?」
「ぐ……」
その言葉に、殴られたレジスタンスの男は何も言えなくなる。
これが、その辺の相手であれば、関係ないだろうと突っぱねるような真似も出来るのだが……相手が腕利きの探索者にしてオーガに変身する心核使いとなれば、話は違う。
それこそ、ここで下手にロッコーモに攻撃しても、あっさり返り討ちにあってしまうのは明らかだ。
「はっ、やってられねえぜ!」
そう叫び、レジスタンスの男はその場を走り去る。
「鋼の蜘蛛はレジスタンスとして規律が取れてるって話だったが……そんな鋼の蜘蛛が声をかけた連中は、必ずしもそうじゃねえってことか」
面倒臭そうに呟き、今でこの状況である以上は、他にも同じようなことをしている者がいそうだなと思いつつ、ロッコーモはメイド服を破られた女に声をかける。
「大丈夫か? 今の城の中は危険だから、どこかの部屋に隠れていた方がいいぞ。次に同じような目に遭ったりしても、止めることが出来るとは限らねえからな」
「は、はい……」
メイドはロッコーモの言葉に急いで頷き、破られたメイド服を手に、どうにか肌を隠してその場から走り去る。
中途半端に白い肌が露出している分、もしかしたら余計に男の情欲を刺激するのではないか? とロッコーモも思わないではなかったが、今のロッコーモにはやるべきことがある。
動揺している帝城の者たちが立ち直るよりも前に、アランの救出とカロの奪還を行う必要があるのだ。
帝城の中には、先程のレジスタンスや鋼の蜘蛛のの面々以外にも、雲海と黄金の薔薇の探索者が入り混んでいる。
ロッコーモも、今は取りあえずカロを目指して研究所がある区画に向かっていた。
……本来なら、アランを救出した方がいいと思うのだが、そちらには怒れる母親や父親、それに黄金の薔薇のレオノーラも向かっている以上、自分はカロを取り返すという行為を優先する必要があった。
問題なのは、カロがある研究区画がどこにあるのか、はっきりと分からないことだろう。
鋼の蜘蛛のダーナか、黄金の薔薇のメライナと会うことが出来れば、その辺りの詳しい情報も貰えるのだろうが……残念ながら、今のところそんな二人とは会っていない。
とはいえ、ロッコーモはメライナの顔は知っているのだが、ダーナとは会ったことがないので、もし目の前にダーナがいても気が付かないのだが。
「ともあれ、帝城の中が混乱している今のうちに、素早く動く必要があるな。……とはいえ、今の状況ではどこにいけばいいのか分からないが」
そんな風に呟きつつ、ロッコーモは走って通路を移動する。
当然の話だが、そんなロッコーモの姿は見る者にはすぐに怪しい存在だと映る。
帝城の中が混乱している今の状況であっても、ロッコーモほどに存在感のある者は、どうしても目立ってしまうのだろう。
「おい、貴様! 城の者ではないな? 侵入者か!」
黄金のドラゴンが出たということで、そちらに移動しようとしていた騎士の一人が、ロッコーモの姿を見咎めて、そう叫ぶ。
……だが、ロッコーモは当然そんな言葉に素直に答えるはずもなく、勢いを付けたままで一気に間合いを詰めて、殴り飛ばす。
アランであれば。騎士を相手にしてこうも簡単に勝つような真似は出来ないが、それはあくまでもアランだからだ。
アランと同じ心核使いであっても、ロッコーモはアランと違って生身の戦いでの実力という点ではアランよりも明らかに上であり……騎士もまた、グヴィスのように特に選抜された腕利きの騎士という訳ではない以上、この結果は当然だったのだろう。
一撃で鎧を着ている騎士を吹き飛ばして気絶させらロッコーモは、そのまま城の通路を進み……やがて、兵士が何人か護衛についている扉の前に到着する。
「ここは?」
扉の前で立ち止まって呟くロッコーモだったが、当然のように兵士たちがその言葉に答えるはずがない。
目の前にいるのは、間違いなく敵。
そうである以上、言葉を交わす必要もなく殺すだけだ。
兵士たちは、手にしている槍を同時に突き出す。
重要な場所の警護を任されている以上、兵士たちの中では腕利きの存在なのだろう。
だが……生憎と、騎士ですら圧倒出来る実力を持つロッコーモを相手に、数人の兵士でどうにか出来るはずもない。
突き出された槍はあっさりと回避されて懐に入られ、意識を奪われる。
ここまで、ロッコーモが扉の前に到着してから、数秒とかかっていない。
「さて、こうして厳重に守ってる以上は何か重要な場所なんだろうが……どんな場所だろうな」
兵士たちが扉の前にいるということは、間違いなく何らかの意味がある場所なのだろう。
そう考え、ロッコーモは一応警戒しながら扉を開けようとして……
「うるさいな! さっきから一体何があったんだよ! こっちは実験で忙しいんだぞ!」
そんな声と共に、ロッコーモが開くよりも前に扉が開き、やがて白衣に身を包んだ男が姿を現す。
年齢は三十代から四十代といったところか。
それがどのような相手なのかは、考えるまでもなくロッコーモにも分かった。
自分の幸運に感謝しながら、ロッコーモは研究者の胸ぐらを掴んで強引に引き寄せる。
「ひぃっ!」
研究者にしてみれば、完全に予想外だったのだろう。
見覚えのない巨漢を前に、研究者という仕事柄、決して逞しくないその男は数秒前の強気な自分の発言も忘れた様子で、悲鳴を上げる。
「実験って言ったな? つまり、ここは研究区画でいいんだな?」
「は、はい。そうです」
研究者が急いで頷くのを見て、ロッコーモは自分の運のよさに笑みを浮かべる。
現在、帝城の中ではアランの軟禁されている部屋とカロが収納されている研究所を探すために、何人もが動き回っている。
そんな中で、ロッコーモがこうして最初にこの場所を見つけたのだからう、ロッコーモにとって運がいいのは間違いなかった。
「よし。なら、中に案内してもらぞ。お前たちが捕まえている心核使いのアランが持っていた心核がここにあるってのは聞いてるんだ。それを貰おう」
「え? そんな……」
研究者はロッコーモの言葉にすぐには頷かない。
ゼオンという人型機動兵器を召喚するという、この世界においては非常に珍しい……いや、唯一無二と言ってもいい心核だけに、研究者としてはそれを寄越せと言われてはいそうですか頷く訳にもいかないのだろう。
だが……ロッコーモはただでさえ巨漢と呼ぶに相応しい体格をしており、その上で粗暴な性格をしている。
研究者が、そんなロッコーモを相手にどうにか出来るはずもない。
いや。研究者によっては、自分が殺されても相手に屈しないといったようなことをしてもおかしくはないのだが、生憎とこの研究者はそこまで強い意志を持っていない。
最初こそは何とかロッコーモに対抗しようとしたのだが、それも数十秒で屈してしまう。
元々ロッコーモが強面だというのもあるが、それ以上にロッコーモにとってガリンダミア帝国の者たちは自分の家族とも言えるアランを強引に連れ去った者たちだ。
そんな相手に手加減をするようなつもりは、一切ない。
……それでいながら、先程のようにメイドを助けたりといったようなことは行うのだが。
「わ、分かりました。……こっちです」
そう言い、学者はロッコーモの研究所内に引き入れる。
本来なら、これは当然のように禁止されている行為だ。それこそ、場合によっては死刑になってもおかしくないほどの。
それだけ、この研究区画で行われている研究というのは、ガリンダミア帝国にとっては重要な代物なのだ。
だが……ロッコーモの前を歩かされている研究者は、もし案内をしないと言えば、死刑になるよりも前にここで殺されてしまいかねないと思ってしまった。
実際、その予想は決して間違っている訳ではない。
ロッコーモが粗暴な性格をしているのは事実だし、弟分とも思っているアランを連れ去られたのだ。
そんな相手に手加減をするなどという真似を、ロッコーモがするはずもない。
研究区画の中には他にも大勢の研究者がいたが、ロッコーモの放つ雰囲気に何か行動出来る者はいない。
元々研究者というのは研究をするのが仕事で、ロッコーモのような暴力の臭いをさせている相手に、何か出来るはずもない。
実際には研究成果を実戦で試すような者もいるのだが、生憎とこの研究区画にそのような研究者はいない。
こうして、ロッコーモは研究者を脅すことにより、無事にカロの奪還に成功し……ついでとばかりに、研究区画にある大事そうな物を手当たり次第に破壊し、研究者たちが泣き喚く声を聞きながら、研究区画から脱出するのだった。
レジスタンスの者たちが、雄叫びを上げながら帝城の中を進む。
黄金のドラゴンによって結界が破壊され、帝城の者たちは動揺し……その隙を突くように城に近付いてみれば、そこでは通用門が開かれていた。
レジスタンスの中でも鋼の蜘蛛の者たちは、そこに残された目印から、それを行ったのが帝城に潜入していたダーナとメライナの仕業だと知る。
それがあったからこそ、他のレジスタンスたちにこれが罠ではないと説明し、帝城の中に突入したのだ。
そして帝城の中に入ることが出来れば、あとはこれが自分たちの仕業だと示すために暴れる必要があった。
……実際には、アランとカロの救出こそが最大の目的だったのだが、鋼の蜘蛛のメンバーはともかく、それに協力している者たちは一種の数合わせ的な存在だ。
大事なことは教えられておらず、砦の一件の失態を取り戻すべく帝城の中で暴れ回っていた。
中には価値のある物だろうと、壺や絵を奪っているような者もいたが。
ただし、前もってメイドや使用人のような一般人には手を出さないようにと言ってあったので、そちらの被害はほとんどない。
ほとんどであって、ゼロではないのは……
「ぐわぁっ! てめえ、何をする!」
そう叫んだのは、殴り飛ばされたレジスタンスの一人。
床には、メイド服を破かれて白い肌を晒しているメイドの姿がある。
それを見れば、殴られたレジスタンスが何をしようとしたのかは一目瞭然だろう。
だからこそ、雲海の探索者にして心核使いのロッコーモは、苛立ちの視線を怒っているレジスタンスの男に向けていた。
「一般人には手を出すな。前もってそう言われていたはずだろう? なのに、お前は何をしてるんだ? それがレジスタンスとか名乗ってる連中のやることか?」
「ぐ……」
その言葉に、殴られたレジスタンスの男は何も言えなくなる。
これが、その辺の相手であれば、関係ないだろうと突っぱねるような真似も出来るのだが……相手が腕利きの探索者にしてオーガに変身する心核使いとなれば、話は違う。
それこそ、ここで下手にロッコーモに攻撃しても、あっさり返り討ちにあってしまうのは明らかだ。
「はっ、やってられねえぜ!」
そう叫び、レジスタンスの男はその場を走り去る。
「鋼の蜘蛛はレジスタンスとして規律が取れてるって話だったが……そんな鋼の蜘蛛が声をかけた連中は、必ずしもそうじゃねえってことか」
面倒臭そうに呟き、今でこの状況である以上は、他にも同じようなことをしている者がいそうだなと思いつつ、ロッコーモはメイド服を破られた女に声をかける。
「大丈夫か? 今の城の中は危険だから、どこかの部屋に隠れていた方がいいぞ。次に同じような目に遭ったりしても、止めることが出来るとは限らねえからな」
「は、はい……」
メイドはロッコーモの言葉に急いで頷き、破られたメイド服を手に、どうにか肌を隠してその場から走り去る。
中途半端に白い肌が露出している分、もしかしたら余計に男の情欲を刺激するのではないか? とロッコーモも思わないではなかったが、今のロッコーモにはやるべきことがある。
動揺している帝城の者たちが立ち直るよりも前に、アランの救出とカロの奪還を行う必要があるのだ。
帝城の中には、先程のレジスタンスや鋼の蜘蛛のの面々以外にも、雲海と黄金の薔薇の探索者が入り混んでいる。
ロッコーモも、今は取りあえずカロを目指して研究所がある区画に向かっていた。
……本来なら、アランを救出した方がいいと思うのだが、そちらには怒れる母親や父親、それに黄金の薔薇のレオノーラも向かっている以上、自分はカロを取り返すという行為を優先する必要があった。
問題なのは、カロがある研究区画がどこにあるのか、はっきりと分からないことだろう。
鋼の蜘蛛のダーナか、黄金の薔薇のメライナと会うことが出来れば、その辺りの詳しい情報も貰えるのだろうが……残念ながら、今のところそんな二人とは会っていない。
とはいえ、ロッコーモはメライナの顔は知っているのだが、ダーナとは会ったことがないので、もし目の前にダーナがいても気が付かないのだが。
「ともあれ、帝城の中が混乱している今のうちに、素早く動く必要があるな。……とはいえ、今の状況ではどこにいけばいいのか分からないが」
そんな風に呟きつつ、ロッコーモは走って通路を移動する。
当然の話だが、そんなロッコーモの姿は見る者にはすぐに怪しい存在だと映る。
帝城の中が混乱している今の状況であっても、ロッコーモほどに存在感のある者は、どうしても目立ってしまうのだろう。
「おい、貴様! 城の者ではないな? 侵入者か!」
黄金のドラゴンが出たということで、そちらに移動しようとしていた騎士の一人が、ロッコーモの姿を見咎めて、そう叫ぶ。
……だが、ロッコーモは当然そんな言葉に素直に答えるはずもなく、勢いを付けたままで一気に間合いを詰めて、殴り飛ばす。
アランであれば。騎士を相手にしてこうも簡単に勝つような真似は出来ないが、それはあくまでもアランだからだ。
アランと同じ心核使いであっても、ロッコーモはアランと違って生身の戦いでの実力という点ではアランよりも明らかに上であり……騎士もまた、グヴィスのように特に選抜された腕利きの騎士という訳ではない以上、この結果は当然だったのだろう。
一撃で鎧を着ている騎士を吹き飛ばして気絶させらロッコーモは、そのまま城の通路を進み……やがて、兵士が何人か護衛についている扉の前に到着する。
「ここは?」
扉の前で立ち止まって呟くロッコーモだったが、当然のように兵士たちがその言葉に答えるはずがない。
目の前にいるのは、間違いなく敵。
そうである以上、言葉を交わす必要もなく殺すだけだ。
兵士たちは、手にしている槍を同時に突き出す。
重要な場所の警護を任されている以上、兵士たちの中では腕利きの存在なのだろう。
だが……生憎と、騎士ですら圧倒出来る実力を持つロッコーモを相手に、数人の兵士でどうにか出来るはずもない。
突き出された槍はあっさりと回避されて懐に入られ、意識を奪われる。
ここまで、ロッコーモが扉の前に到着してから、数秒とかかっていない。
「さて、こうして厳重に守ってる以上は何か重要な場所なんだろうが……どんな場所だろうな」
兵士たちが扉の前にいるということは、間違いなく何らかの意味がある場所なのだろう。
そう考え、ロッコーモは一応警戒しながら扉を開けようとして……
「うるさいな! さっきから一体何があったんだよ! こっちは実験で忙しいんだぞ!」
そんな声と共に、ロッコーモが開くよりも前に扉が開き、やがて白衣に身を包んだ男が姿を現す。
年齢は三十代から四十代といったところか。
それがどのような相手なのかは、考えるまでもなくロッコーモにも分かった。
自分の幸運に感謝しながら、ロッコーモは研究者の胸ぐらを掴んで強引に引き寄せる。
「ひぃっ!」
研究者にしてみれば、完全に予想外だったのだろう。
見覚えのない巨漢を前に、研究者という仕事柄、決して逞しくないその男は数秒前の強気な自分の発言も忘れた様子で、悲鳴を上げる。
「実験って言ったな? つまり、ここは研究区画でいいんだな?」
「は、はい。そうです」
研究者が急いで頷くのを見て、ロッコーモは自分の運のよさに笑みを浮かべる。
現在、帝城の中ではアランの軟禁されている部屋とカロが収納されている研究所を探すために、何人もが動き回っている。
そんな中で、ロッコーモがこうして最初にこの場所を見つけたのだからう、ロッコーモにとって運がいいのは間違いなかった。
「よし。なら、中に案内してもらぞ。お前たちが捕まえている心核使いのアランが持っていた心核がここにあるってのは聞いてるんだ。それを貰おう」
「え? そんな……」
研究者はロッコーモの言葉にすぐには頷かない。
ゼオンという人型機動兵器を召喚するという、この世界においては非常に珍しい……いや、唯一無二と言ってもいい心核だけに、研究者としてはそれを寄越せと言われてはいそうですか頷く訳にもいかないのだろう。
だが……ロッコーモはただでさえ巨漢と呼ぶに相応しい体格をしており、その上で粗暴な性格をしている。
研究者が、そんなロッコーモを相手にどうにか出来るはずもない。
いや。研究者によっては、自分が殺されても相手に屈しないといったようなことをしてもおかしくはないのだが、生憎とこの研究者はそこまで強い意志を持っていない。
最初こそは何とかロッコーモに対抗しようとしたのだが、それも数十秒で屈してしまう。
元々ロッコーモが強面だというのもあるが、それ以上にロッコーモにとってガリンダミア帝国の者たちは自分の家族とも言えるアランを強引に連れ去った者たちだ。
そんな相手に手加減をするようなつもりは、一切ない。
……それでいながら、先程のようにメイドを助けたりといったようなことは行うのだが。
「わ、分かりました。……こっちです」
そう言い、学者はロッコーモの研究所内に引き入れる。
本来なら、これは当然のように禁止されている行為だ。それこそ、場合によっては死刑になってもおかしくないほどの。
それだけ、この研究区画で行われている研究というのは、ガリンダミア帝国にとっては重要な代物なのだ。
だが……ロッコーモの前を歩かされている研究者は、もし案内をしないと言えば、死刑になるよりも前にここで殺されてしまいかねないと思ってしまった。
実際、その予想は決して間違っている訳ではない。
ロッコーモが粗暴な性格をしているのは事実だし、弟分とも思っているアランを連れ去られたのだ。
そんな相手に手加減をするなどという真似を、ロッコーモがするはずもない。
研究区画の中には他にも大勢の研究者がいたが、ロッコーモの放つ雰囲気に何か行動出来る者はいない。
元々研究者というのは研究をするのが仕事で、ロッコーモのような暴力の臭いをさせている相手に、何か出来るはずもない。
実際には研究成果を実戦で試すような者もいるのだが、生憎とこの研究区画にそのような研究者はいない。
こうして、ロッコーモは研究者を脅すことにより、無事にカロの奪還に成功し……ついでとばかりに、研究区画にある大事そうな物を手当たり次第に破壊し、研究者たちが泣き喚く声を聞きながら、研究区画から脱出するのだった。
0
あなたにおすすめの小説
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
残念ながら主人公はゲスでした。~異世界転移したら空気を操る魔法を得て世界最強に。好き放題に無双する俺を誰も止められない!~
日和崎よしな
ファンタジー
―あらすじ―
異世界に転移したゲス・エストは精霊と契約して空気操作の魔法を獲得する。
強力な魔法を得たが、彼の真の強さは的確な洞察力や魔法の応用力といった優れた頭脳にあった。
ゲス・エストは最強の存在を目指し、しがらみのない異世界で容赦なく暴れまくる!
―作品について―
完結しました。
全302話(プロローグ、エピローグ含む),約100万字。
【完結】剣聖と聖女の娘はのんびりと(?)後宮暮らしを楽しむ
O.T.I
ファンタジー
かつて王国騎士団にその人ありと言われた剣聖ジスタルは、とある事件をきっかけに引退して辺境の地に引き籠もってしまった。
それから時が過ぎ……彼の娘エステルは、かつての剣聖ジスタルをも超える剣の腕を持つ美少女だと、辺境の村々で噂になっていた。
ある時、その噂を聞きつけた辺境伯領主に呼び出されたエステル。
彼女の実力を目の当たりにした領主は、彼女に王国の騎士にならないか?と誘いかける。
剣術一筋だった彼女は、まだ見ぬ強者との出会いを夢見てそれを了承するのだった。
そして彼女は王都に向かい、騎士となるための試験を受けるはずだったのだが……
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』
見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装…
俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。
突然の事で戸惑うクラスメート達…
だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。
「またか…」
王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。
そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。
そして俺はというと…?
『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』
「それよりも不知火君は何を得たんだ?」
イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。
俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。
その場にいた者達は、俺の加護を見ると…
「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。
『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』
王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。
まぁ、その方が気楽で良い。
そして正義は、リーダーとして皆に言った。
「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」
正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。
「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」
「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」
「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」
「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」
「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」
「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」
「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」
俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。
「その…鎧と剣は?」
「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」
「今迄って…今回が2回目では無いのか?」
「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」
俺はうんざりしながら答えた。
そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。
いずれの世界も救って来た。
そして今度の世界は…?
6月22日
HOTランキングで6位になりました!
6月23日
HOTランキングで4位になりました!
昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°.
6月24日
HOTランキングで2位になりました!
皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる