239 / 422
囚われの姫君?
238話
しおりを挟む
ロッコーモがカロの奪還に成功した頃……リアとニコラスは二人の騎士と向かい合っていた。
連れ去られた息子を探し、帝城の中を移動していた二人は、親の直感……そしてリアの女の直感によるものか、多少迷いながらも目的の場所に到着したのだ。
当然の話だが、その目的の場所というのは、アランが閉じ込められている貴族用の客室だ。
「そこを通してくれないかしら?」
リアが長剣を手にそう尋ねるが、当然のようにグヴィスとクロスの二人が素直にその言葉に従うはずもない。
そもそも、最近ではアランの友人兼訓練相手といったような感じになっていたが、実際にはアランが逃げ出さないための見張りであり、同時にアランを奪いに来た相手を阻止するのが仕事なのだから。
「そう言われて、こっちがはいそうですかと言うとでも思ってるのか?」
グヴィスは、目の前にいるのがアランの母親だとは思っていない。
……当然だろう。何の事前知識もなければ、リアというのまだ二十代の女にしか見えない。
ハーフエルフの特徴たる、人間より長くエルフよりも短い耳も髪によって隠れている以上、とてもではないがアランのような子供がいる年齢であるとは思えないのだ。
「君も彼と同じ答えかな?」
ニコラスの問いに、クロスは言葉を発するのではなく小さく頷くことで答える。
「そうか。……けど、悪いがこちらも訳ありだ。手加減については、期待しないでくれよ」
そう言い、杖を手にしたニコラスは、鋭い視線をクロスに向ける。
クロスもまた、長剣を手に、その切っ先をニコラスに向けた。
普通に考えれば、ここまで接近している状況では魔法使いのニコラスよりも、騎士のクロスの方が有利だ。
だが、それはあくまでも普通ならではの話で、探索者として活動しているニコラスを普通の魔法使いと同じ扱いにして、いいはずがなかった。
そんな二人の横では、グヴィスとリアの二人がそれぞれ長剣を手に睨み合い……最初に動いたのは、リアだった。
普段ならリアももう少し相手の動きを見るといったようなことをしただろう。
だが、今のリアはアランを助け出すことだけを考えており、相手との駆け引きに乗るといったような真似をするつもりがなかった。
……あるいは、グヴィスがリアよりも強い相手なら、そのような方法を取っていた可能性もあるが。
だが、グヴィスは強い相手ではあるが、今のリアにしてみれば楽に……とは言わないまでも、戦えば勝てる相手だ。
アランが模擬戦ではどうやってもグヴィスに勝てなかったのを考えれば、息子と母親の間にある絶対的な差は非常に分かりやすいだろう。
「じゃあ、行くわよ」
その言葉と共に、リアは真っ直ぐ前に進む。
相手を全く警戒する様子もなく前にでるその姿からは、リアは自分がグヴィスよりも圧倒的に上だと、そう態度で示しているのが明らかだ。
当然の話だが、グヴィスもまたそのような対応を取られれば面白い筈もない。
相手が女であっても……いや、妙齢の美人に見えるからこそ、ここまで侮られるのは面白いとは思わず、迂闊に近付いてきたリアに向かって長剣を振るう。
その一撃は鋭く、アランであれば……いや、それこそその辺の戦士であれば何とか受けることが出来るといった程のものだろう。
だが、グヴィスの相手をしているのはリアだ。
奪われた息子を取り戻すべくやってきたそんなリアにとって、グヴィスは自分の目的を果たすための障害でしかない。
普通なら回避出来ないくらいに鋭い一撃を、リアはあっさりと回避し、グヴィスの胴体に向かって長剣を振るう。
……そんなカウンターを回避出来たのは、グヴィスもまた腕利きの騎士だからだろう。
ただし、完全に回避するといった訳にはいかず、グヴィスの胴体は皮一枚切断される。
そう、鎧をあっさりを斬り裂かれ、その下にある服も斬り裂かれ、結果として胴体の怪我は皮一枚ですんだのだ。
「嘘だろ。化け物め」
まさか、ここまであっさりと鎧を斬られるとは思っていなかったのか、グヴィスの口からは驚愕の声が上がる。
「化け物ね。これくらい出来る者は結構な数いるわよ。……さて、それじゃあ負けたんだし、そこをどいてちょうだい。それとも……死ぬまでやってみる? 私の息子を守るためにそこまでやるのなら、それはそれで……いや、やっぱり複雑な心境なのは間違いないわね」
「……は?」
リアの口から出た言葉に、グヴィスの口から間の抜けた声が出る。
当然だろう。グヴィスの前にいるリアは、とてもではないがアランのような息子がいる年齢には思えなかったのだから。
とはいえ、エルフのような寿命の長い存在が普通にいるこの世界において、外見と実際の年齢が一致しないのは、そんなに珍しい話でもない。
それでもグヴィスが驚いたのは、アランの外見が普通の人間にしか見えなかったからだろう。
これでアランの耳が長かったり、もしくは寿命の長い獣人族の特徴といったものがあったりすれば、まだ納得出来たのだろうが。
ともあれ、いくら予想外のことだったからとはいえ、今のリアを前にして集中を乱すというのは、致命傷以外のなにものでもない。
一瞬にして近付かれ、首の後ろを手刀で叩かれて意識を失うグヴィス。
「グヴィス!?」
まさかの展開に驚きの声を上げるクロスだったが、こちらもまたその隙を突かれてニコラスの放った風の魔法によって吹き飛ばされ、壁に身体を叩きつけられて意識を失う。
「行きましょう」
「ああ」
夫婦は短く言葉を交わし、そして扉の前に移動すると……そこに鍵がかけらているのを見たリアが長剣を振るい、鍵ではなく扉を切断する。
「うおっ!」
瞬間、部屋の中から聞こえてきた声に、リアは長剣を構え……そして聞き覚えのある声だと理解して長剣を下ろしかけ、だがその状況から再度長剣を振るう。
「うおわっ! ちょっ、何をするんだよ、母さん!」
アランのその言葉に、しかしリアは心配していたといった様子を全く表情に出さずに長剣を振り続ける。
ただし、グヴィスに振るったような鋭い一撃ではなく、アラン……以前のアランなら何とか回避出来るといったような、そんな攻撃だったが。
そんなリアの攻撃を回避しながら、アランはリアから少し離れた場所で黙って様子を見ているニコラスに声をかける。
「ちょっ、父さん! 母さんを何とかしてくれよ!」
必死に叫ぶアランだったが、ニコラスがそんな息子の言葉を聞く様子はない。
アランが暮らしていた部屋を、じっと観察するように見ているだけだ。
そのまま一分ほどが経過し、母親の攻撃を回避し続けていたアランだったが、やがてその攻撃が不意に止まったことで安堵する。
そろそろ攻撃の回避を続けるのが、難しくなってきていたからだ。
「はぁ、はぁ、はぁ……俺を助けに来たのか、殺しにきたのか、はっきりとしてくれよな」
「馬鹿なことを言ってないで、さっさと行くわよ。早く脱出しないと、混乱が収まる」
今まで一方的にアランを攻撃していたとは思えないほどに、平然とした様子でリアが息子に向かって言う。
そんなリアに、アランとしては言いたいことはいくらでもあった。
だが、今の状況で何を言っても、それを聞いて貰えるとは思えない。
それに……この騒動が自分を助けるために起こされたものだというのは、アランにも当然のように理解出来る。
だからこそ、今この状況で部屋を脱出しないという選択肢は、アランにはない。
「アラン様」
そうして部屋から出ようとしたアランに、部屋の中からメローネが声をかける。
そんなメローネの言葉に、アランは申し訳なさそうな表情を浮かべた。
今までアランの世話をしてくれた相手だと、そう理解しているためだ。
だが、アランはそんなメローネに対して申し訳なく思いつつも、帝城からの脱出という行為を止めるつもりはない。
ガリンダミア帝国に従うのであればともかく、今のアランにそんなつもりは一切ないのだから。
「すいません。俺、行きますね。色々とありがとうございました」
アランも、メローネが自分を懐柔するためにつけられた人材だと理解している。
それこそ、ハニートラップの一種でもあり、もしアランが望めば抱かれたのだろうことも。
当然の話だが、それはアランに対して好意を抱いているからではなく、あくまでもガリンダミア帝国の上層部にそのように命じられていたためだ。
アランもそれが分かっているので、実際に手を出すような真似はしなかった
「……分かりました。では、またお会いしましょう」
メローネは深々と一礼し、それ以上アランに対して何かをするような真似はしなかった。
リアとニコラスは、そんなメローネの様子を一瞥すると、複雑な表情を浮かべながらも軽く頭を下げてから、部屋を出る。
リアとニコラスも、メローネがアランを懐柔するためにつけられたメイドだというのは理解した。
それでも結局アランはすぐ脱出することを承知したのだから、それはつまり懐柔が上手くいかなかった……もしくは、意図的に懐柔しなかったかのどちらかなのだろう。
それでも、アランに向かって深々と頭を下げる様子を見せられれば、このメイドがアランの世話を真摯にしていたのは分かる。
「私の息子が迷惑をかけたわね。ありがとう」
「いえ。アラン様はお仕え甲斐のある方でした。出来れば、本当にそうしたかったくらいに」
リアの言葉に、メローネは頭を上げてそう告げる。
そんなメローネの様子に、リアは笑みを浮かべて口を開く。
「なら、私たちと一緒に来る? それなら、うちの馬鹿息子と一緒にいられるけど」
「いえ。残念ですが、私の家は代々ガリンダミア帝国に仕えてきた一族ですので、そのような真似は出来ません」
申し訳なさそうに告げるメローネだったが、リアは残念そうにしつつも、それ以上は言わない。
元々、今の誘いは駄目で元々のつもりで言ったのだから、当然だろう。
「そう。じゃあ……今度は戦場で会わないことを祈ってるよ」
リアの強さがあれば、メローネが相応の強さを持っているというのには気が付いたのか、そう言い……分かっていない様子のアランを引き連れて、部屋を出るのだった。
連れ去られた息子を探し、帝城の中を移動していた二人は、親の直感……そしてリアの女の直感によるものか、多少迷いながらも目的の場所に到着したのだ。
当然の話だが、その目的の場所というのは、アランが閉じ込められている貴族用の客室だ。
「そこを通してくれないかしら?」
リアが長剣を手にそう尋ねるが、当然のようにグヴィスとクロスの二人が素直にその言葉に従うはずもない。
そもそも、最近ではアランの友人兼訓練相手といったような感じになっていたが、実際にはアランが逃げ出さないための見張りであり、同時にアランを奪いに来た相手を阻止するのが仕事なのだから。
「そう言われて、こっちがはいそうですかと言うとでも思ってるのか?」
グヴィスは、目の前にいるのがアランの母親だとは思っていない。
……当然だろう。何の事前知識もなければ、リアというのまだ二十代の女にしか見えない。
ハーフエルフの特徴たる、人間より長くエルフよりも短い耳も髪によって隠れている以上、とてもではないがアランのような子供がいる年齢であるとは思えないのだ。
「君も彼と同じ答えかな?」
ニコラスの問いに、クロスは言葉を発するのではなく小さく頷くことで答える。
「そうか。……けど、悪いがこちらも訳ありだ。手加減については、期待しないでくれよ」
そう言い、杖を手にしたニコラスは、鋭い視線をクロスに向ける。
クロスもまた、長剣を手に、その切っ先をニコラスに向けた。
普通に考えれば、ここまで接近している状況では魔法使いのニコラスよりも、騎士のクロスの方が有利だ。
だが、それはあくまでも普通ならではの話で、探索者として活動しているニコラスを普通の魔法使いと同じ扱いにして、いいはずがなかった。
そんな二人の横では、グヴィスとリアの二人がそれぞれ長剣を手に睨み合い……最初に動いたのは、リアだった。
普段ならリアももう少し相手の動きを見るといったようなことをしただろう。
だが、今のリアはアランを助け出すことだけを考えており、相手との駆け引きに乗るといったような真似をするつもりがなかった。
……あるいは、グヴィスがリアよりも強い相手なら、そのような方法を取っていた可能性もあるが。
だが、グヴィスは強い相手ではあるが、今のリアにしてみれば楽に……とは言わないまでも、戦えば勝てる相手だ。
アランが模擬戦ではどうやってもグヴィスに勝てなかったのを考えれば、息子と母親の間にある絶対的な差は非常に分かりやすいだろう。
「じゃあ、行くわよ」
その言葉と共に、リアは真っ直ぐ前に進む。
相手を全く警戒する様子もなく前にでるその姿からは、リアは自分がグヴィスよりも圧倒的に上だと、そう態度で示しているのが明らかだ。
当然の話だが、グヴィスもまたそのような対応を取られれば面白い筈もない。
相手が女であっても……いや、妙齢の美人に見えるからこそ、ここまで侮られるのは面白いとは思わず、迂闊に近付いてきたリアに向かって長剣を振るう。
その一撃は鋭く、アランであれば……いや、それこそその辺の戦士であれば何とか受けることが出来るといった程のものだろう。
だが、グヴィスの相手をしているのはリアだ。
奪われた息子を取り戻すべくやってきたそんなリアにとって、グヴィスは自分の目的を果たすための障害でしかない。
普通なら回避出来ないくらいに鋭い一撃を、リアはあっさりと回避し、グヴィスの胴体に向かって長剣を振るう。
……そんなカウンターを回避出来たのは、グヴィスもまた腕利きの騎士だからだろう。
ただし、完全に回避するといった訳にはいかず、グヴィスの胴体は皮一枚切断される。
そう、鎧をあっさりを斬り裂かれ、その下にある服も斬り裂かれ、結果として胴体の怪我は皮一枚ですんだのだ。
「嘘だろ。化け物め」
まさか、ここまであっさりと鎧を斬られるとは思っていなかったのか、グヴィスの口からは驚愕の声が上がる。
「化け物ね。これくらい出来る者は結構な数いるわよ。……さて、それじゃあ負けたんだし、そこをどいてちょうだい。それとも……死ぬまでやってみる? 私の息子を守るためにそこまでやるのなら、それはそれで……いや、やっぱり複雑な心境なのは間違いないわね」
「……は?」
リアの口から出た言葉に、グヴィスの口から間の抜けた声が出る。
当然だろう。グヴィスの前にいるリアは、とてもではないがアランのような息子がいる年齢には思えなかったのだから。
とはいえ、エルフのような寿命の長い存在が普通にいるこの世界において、外見と実際の年齢が一致しないのは、そんなに珍しい話でもない。
それでもグヴィスが驚いたのは、アランの外見が普通の人間にしか見えなかったからだろう。
これでアランの耳が長かったり、もしくは寿命の長い獣人族の特徴といったものがあったりすれば、まだ納得出来たのだろうが。
ともあれ、いくら予想外のことだったからとはいえ、今のリアを前にして集中を乱すというのは、致命傷以外のなにものでもない。
一瞬にして近付かれ、首の後ろを手刀で叩かれて意識を失うグヴィス。
「グヴィス!?」
まさかの展開に驚きの声を上げるクロスだったが、こちらもまたその隙を突かれてニコラスの放った風の魔法によって吹き飛ばされ、壁に身体を叩きつけられて意識を失う。
「行きましょう」
「ああ」
夫婦は短く言葉を交わし、そして扉の前に移動すると……そこに鍵がかけらているのを見たリアが長剣を振るい、鍵ではなく扉を切断する。
「うおっ!」
瞬間、部屋の中から聞こえてきた声に、リアは長剣を構え……そして聞き覚えのある声だと理解して長剣を下ろしかけ、だがその状況から再度長剣を振るう。
「うおわっ! ちょっ、何をするんだよ、母さん!」
アランのその言葉に、しかしリアは心配していたといった様子を全く表情に出さずに長剣を振り続ける。
ただし、グヴィスに振るったような鋭い一撃ではなく、アラン……以前のアランなら何とか回避出来るといったような、そんな攻撃だったが。
そんなリアの攻撃を回避しながら、アランはリアから少し離れた場所で黙って様子を見ているニコラスに声をかける。
「ちょっ、父さん! 母さんを何とかしてくれよ!」
必死に叫ぶアランだったが、ニコラスがそんな息子の言葉を聞く様子はない。
アランが暮らしていた部屋を、じっと観察するように見ているだけだ。
そのまま一分ほどが経過し、母親の攻撃を回避し続けていたアランだったが、やがてその攻撃が不意に止まったことで安堵する。
そろそろ攻撃の回避を続けるのが、難しくなってきていたからだ。
「はぁ、はぁ、はぁ……俺を助けに来たのか、殺しにきたのか、はっきりとしてくれよな」
「馬鹿なことを言ってないで、さっさと行くわよ。早く脱出しないと、混乱が収まる」
今まで一方的にアランを攻撃していたとは思えないほどに、平然とした様子でリアが息子に向かって言う。
そんなリアに、アランとしては言いたいことはいくらでもあった。
だが、今の状況で何を言っても、それを聞いて貰えるとは思えない。
それに……この騒動が自分を助けるために起こされたものだというのは、アランにも当然のように理解出来る。
だからこそ、今この状況で部屋を脱出しないという選択肢は、アランにはない。
「アラン様」
そうして部屋から出ようとしたアランに、部屋の中からメローネが声をかける。
そんなメローネの言葉に、アランは申し訳なさそうな表情を浮かべた。
今までアランの世話をしてくれた相手だと、そう理解しているためだ。
だが、アランはそんなメローネに対して申し訳なく思いつつも、帝城からの脱出という行為を止めるつもりはない。
ガリンダミア帝国に従うのであればともかく、今のアランにそんなつもりは一切ないのだから。
「すいません。俺、行きますね。色々とありがとうございました」
アランも、メローネが自分を懐柔するためにつけられた人材だと理解している。
それこそ、ハニートラップの一種でもあり、もしアランが望めば抱かれたのだろうことも。
当然の話だが、それはアランに対して好意を抱いているからではなく、あくまでもガリンダミア帝国の上層部にそのように命じられていたためだ。
アランもそれが分かっているので、実際に手を出すような真似はしなかった
「……分かりました。では、またお会いしましょう」
メローネは深々と一礼し、それ以上アランに対して何かをするような真似はしなかった。
リアとニコラスは、そんなメローネの様子を一瞥すると、複雑な表情を浮かべながらも軽く頭を下げてから、部屋を出る。
リアとニコラスも、メローネがアランを懐柔するためにつけられたメイドだというのは理解した。
それでも結局アランはすぐ脱出することを承知したのだから、それはつまり懐柔が上手くいかなかった……もしくは、意図的に懐柔しなかったかのどちらかなのだろう。
それでも、アランに向かって深々と頭を下げる様子を見せられれば、このメイドがアランの世話を真摯にしていたのは分かる。
「私の息子が迷惑をかけたわね。ありがとう」
「いえ。アラン様はお仕え甲斐のある方でした。出来れば、本当にそうしたかったくらいに」
リアの言葉に、メローネは頭を上げてそう告げる。
そんなメローネの様子に、リアは笑みを浮かべて口を開く。
「なら、私たちと一緒に来る? それなら、うちの馬鹿息子と一緒にいられるけど」
「いえ。残念ですが、私の家は代々ガリンダミア帝国に仕えてきた一族ですので、そのような真似は出来ません」
申し訳なさそうに告げるメローネだったが、リアは残念そうにしつつも、それ以上は言わない。
元々、今の誘いは駄目で元々のつもりで言ったのだから、当然だろう。
「そう。じゃあ……今度は戦場で会わないことを祈ってるよ」
リアの強さがあれば、メローネが相応の強さを持っているというのには気が付いたのか、そう言い……分かっていない様子のアランを引き連れて、部屋を出るのだった。
0
あなたにおすすめの小説
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
残念ながら主人公はゲスでした。~異世界転移したら空気を操る魔法を得て世界最強に。好き放題に無双する俺を誰も止められない!~
日和崎よしな
ファンタジー
―あらすじ―
異世界に転移したゲス・エストは精霊と契約して空気操作の魔法を獲得する。
強力な魔法を得たが、彼の真の強さは的確な洞察力や魔法の応用力といった優れた頭脳にあった。
ゲス・エストは最強の存在を目指し、しがらみのない異世界で容赦なく暴れまくる!
―作品について―
完結しました。
全302話(プロローグ、エピローグ含む),約100万字。
【完結】剣聖と聖女の娘はのんびりと(?)後宮暮らしを楽しむ
O.T.I
ファンタジー
かつて王国騎士団にその人ありと言われた剣聖ジスタルは、とある事件をきっかけに引退して辺境の地に引き籠もってしまった。
それから時が過ぎ……彼の娘エステルは、かつての剣聖ジスタルをも超える剣の腕を持つ美少女だと、辺境の村々で噂になっていた。
ある時、その噂を聞きつけた辺境伯領主に呼び出されたエステル。
彼女の実力を目の当たりにした領主は、彼女に王国の騎士にならないか?と誘いかける。
剣術一筋だった彼女は、まだ見ぬ強者との出会いを夢見てそれを了承するのだった。
そして彼女は王都に向かい、騎士となるための試験を受けるはずだったのだが……
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』
見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装…
俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。
突然の事で戸惑うクラスメート達…
だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。
「またか…」
王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。
そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。
そして俺はというと…?
『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』
「それよりも不知火君は何を得たんだ?」
イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。
俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。
その場にいた者達は、俺の加護を見ると…
「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。
『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』
王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。
まぁ、その方が気楽で良い。
そして正義は、リーダーとして皆に言った。
「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」
正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。
「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」
「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」
「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」
「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」
「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」
「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」
「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」
俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。
「その…鎧と剣は?」
「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」
「今迄って…今回が2回目では無いのか?」
「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」
俺はうんざりしながら答えた。
そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。
いずれの世界も救って来た。
そして今度の世界は…?
6月22日
HOTランキングで6位になりました!
6月23日
HOTランキングで4位になりました!
昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°.
6月24日
HOTランキングで2位になりました!
皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる