240 / 422
囚われの姫君?
239話
しおりを挟む
「で、母さん。部屋から助けて貰ったのはいいけど、これからどうするんだ?」
部屋を出てすぐの場所に、グヴィスとクロスの二人が気絶しているのを見たアランは、そんな二人に悪いと謝り――気絶しているのだから、謝られた方は分からなかっただろうが――通路を進みながら、リアに尋ねる。
「まずは、カロをどうにかして見つける必要があるわね。一応他の人たちもカロを探すように……」
そんな言葉を口にしたリアをニコラスが手で静かにするように示す。
敵か? そう思って警戒するアランだったが、リアとニコラスの二人はいつでも動けるようにしているものの、特に警戒している様子はない。
……そもそも、アランは武器を持っていないので、現状では戦力に数えることが出来ないのだが。
「これが必要なんだろ?」
そう言いながら姿を現したのは、アランにとっても見慣れた姿……ロッコーモだった。
相変わらずの巨漢ぶりに、アランは嬉しそうにし……そしてロッコーモの手の中にある物を見て、大きく口を開く。
「カロ!」
「ピ!」
アランの言葉に、ロッコーモの手の中にあったカロは嬉しそうに鳴き声を上げる。
そんなカロを、ロッコーモはアランに向かって放り投げる。
「もう、奪われるなよ」
「分かった。ありがとう!」
カロを受け取り、感謝の言葉を口にするアラン。
そうしてカロと久しぶりの……本当に久しぶりの再開を喜びつつも、今はそれどころではないと、カロを撫でながらリアに視線を向ける。
「それで、母さん。これからどうするの? というか、現在がどんな状況になってるのかが、ちょっと分からないんだけど」
アランにしてみれば、先程までは部屋に閉じ込められていたのだ。
実際には訓練場で訓練をしていたところを、強引に連れ戻されたといった形だったが。
その際も、特に理由らしい理由を聞かされたりはしていない。
だからこそ、現在の帝城の状況は一体どうなっているのかが、全く理解出来ないのだ。
「そうね。今は急ぐけど、その辺りの話はしておいた方がいいかしら」
そう告げ、現在の状況を説明するリア。
その途中で、何人かの仲間と合流していく。
合流してくる者の中には、雲海だけではなく黄金の薔薇の者もいて、若干驚いたが。
もっともメライナが帝城に潜入していて、そのメライナと帝城の中で会っているのだから、今回の一件に黄金の薔薇が参加しているというのは明らかだった。
(それに……今、帝城の中庭にレオノーラが変身した黄金のドラゴンが来てるって話なんだし、それで黄金の薔薇が参加していないはずがないか)
レオノーラが参加しているのだから、そのレオノーラを慕っている者たちが参加しているのは当然だろう。
……とはいえ、雲海も黄金の薔薇も、全員が参加している訳ではなく、双方共に十人ずつ程度といったところだが。
そして、十人ずつ……合計二十人というのも、明確な理由があった。
「普通、帝城に潜入して脱出するのに、俺やレオノーラを使うとは思わないよな」
そう、この計画の最終段階としては、レオノーラの変身した黄金のドラゴンと、アランが召喚したゼオンに乗って移動するというもので、だからこそお互いのクランから参加した小数精鋭とする必要があったのだ。
「しょうがないでしょ。こっちもイルゼンさんが色々と考えた結果の作戦なんだから。……そもそも、アランが捕まるようなことがなければ、こんなことをする必要はなかったのよ?」
「ぐっ、それは……」
リアの言葉が正論であるだけに、そう言われるとアランも反論出来ない。
とはいえ、アランもリアたちに感謝していない訳ではないのだが。
「ん? 母さん、あの連中はこっちに合流しないの?」
通りすぎる際に戦っている兵士を黄金の薔薇の探索者が一撃で気絶させるが、その兵士と戦っていた人物は感謝の言葉を口にしたものの、アランたちに合流せず、別方向に向かう。
アランにとっては見覚えのない人物だったが、助けたということは味方なのだろうと容易に予想出来る。
「あの連中はレジスタンスだから、こっちとは別行動をしてるわ。一応協力してはいるけど、それも今となっては……ねぇ」
リアの言葉に、ニコラスは頷く。
レジスタンスたちにとっては、今回の一件で帝城に侵入出来たというのは非常に大きい成果だ。
……もちろん、帝城の中に侵入した以上は、兵士や騎士といた相手と遭遇することになる。
中庭に姿を現した黄金のドラゴンの影響で混乱しているとはいえ、帝城の中には当然のように兵士や騎士は存在する。
唯一の救いは、心核使いがいても、その心核使いは中庭に向かっただろうということか。
もっとも、基本的に心核使いが変身するモンスターというのは大きなモンスターが多く、そのようなモンスターが帝城の中で暴れるといったようなことになれば、無意味に被害も大きくなるだろうが。
「とにかく、今は……」
中庭に出る方が先だ。
そうロッコーモが言おうとしたそのとき、不意に左の通路から一人の女が姿を現す。
敵か!?
一瞬そう思った面々が構えるが、出て来た人物を見ると、まずは黄金の薔薇の面々が……そして続いてその人物の顔を知っている者たちが武器を下ろし、それを見て他の者たちも武器を降ろす。
そんな中で、アランが武器を下ろしたのは黄金の薔薇の面々と同時だった。
何故なら、アランにもその人物が敵ではないと分かっていたからだ。
「ラミアス、無事だったのか!」
黄金の薔薇の男が、嬉しそうに姿を現したメイドに話しかける。
だが、そのメイドは笑みを浮かべて首を横に振る。
「今の私はラミアスじゃなくて、メライナよ」
メライナという偽名で帝城に侵入していた人物の言葉に、声をかけた男は呆れたように言う。
「この状況で、まだメイドをやるつもりなのか?」
「う……そう言えばそうだったわね。ともあれ……」
照れを隠すようにしながら、メライナ……いや、ラミアスはアランに視線を向ける。
アランの顔を確認すると、次に手で持っているカロに。
「どうやら、目的は無事に達成したみたいね。そうなると、あとはここにいる必要はないし、さっさと逃げましょう。こっちよ」
帝城でメイドとして働いていただけに、ラミアスはこの場にいる誰よりも帝城の構造には詳しい。
そういう意味でも、中庭に向かっている現状でラミアスと合流出来たのは幸いだったのだろう。
「そう言えば、鋼の蜘蛛の女と一緒に行動してるんじゃなかったのか?」
ある程度の情報を持っている黄金の薔薇の男がそう尋ねるが、ラミアスは首を横に振る。
「ダーナとはもう別行動よ。向こうは向こうで、鋼の蜘蛛の人たちと合流するらしいわ」
「……そうか」
黄金の薔薇の男は、複雑な表情で頷く。
砦の一件から、鋼の蜘蛛の協力が必要なのは分かっていたが、それでも友好的な感情は抱けないのだろう。
「とにかく、今は中庭に向かいましょう。こうしてアランとカロの奪還をしたということは、もう全て予定通りに進んでいる……ということでいいんですよね?」
ラミアスがリアに尋ねる。
この場で一番偉いのはリアだと、そう思ったのだろう。……同じ女だから話しやすいというのもあったのだろうが。
リアの方は、そんなラミアスの言葉に頷く。
「そうね。まだ何人か合流していない人もいるけど、それ以外は問題ないわ」
「そうですか。では、急ぎましょう。レオノーラ様がいる以上、問題はないと思いますけど、何が起きるか分かりませんし」
ラミアスの言葉に、それを聞いていた皆が頷く。
現在は多くの者が帝城の中で暴れており、帝城の方でもそれに対応してはいるが、やはりそんな中でも一番厄介な存在はレオノーラの変身した黄金のドラゴンだろう。
だからこそ、帝城の方でもそちらに対処する割合が多くなるだろうし、そして黄金のドラゴンなどという存在に対処出来る相手となれば、それは自然と心核使いとなる。
今の状況で多くの心核使いが黄金のドラゴンと戦っている以上、出来ればその負担を少しでも少なくしたいと思うのは当然だった。
他の面々もまた、そんなラミアスの意見に異論を唱えるはずもなく、一行はラミアスに案内されて黄金のドラゴンが暴れている中庭に向かう。
そうしている間にも、帝城に侵入していた雲海や黄金の薔薇の探索者も次々と合流してくる。
多くの者が、一行の中にアランの姿を見つけると嬉しそうに一声かけていた。
アランを助けるために今回の一件が行われた以上、アランも自分のためにこんな危険な真似をした面々に対して感謝の言葉を口にする。
そうして進み続け……途中で兵士や騎士に遭遇することもあったが、これだけの戦力が揃っていれば、対処するのは難しくはない。
雲海や黄金の薔薇の面々も、すでにほとんどが合流しており……やがて、ラミアスが口を開く。
「あそこの扉から、レオノーラ様が待っている中庭に出られるわ!」
その言葉は、アランの救出のための作戦が最終段階に入ったことを意味していた。
「え?」
と、そんな中で不意にアランが口を開く。
視線の先に、見覚えのある顔を見たためだ。
一見すると子供。だが、実際にその精神は大人……そんなアンバランスな存在、ビッシュ。
見間違いではないかと思ったアランだったが、その人物は間違いなくビッシュだ。
それも、偶然どこかに向かおうとしているビッシュを見たのではなく、明確にアランの方を見ており、視線が合ったのだ。
そうである以上、ビッシュは間違いなくアランがここを通ると……そう理解していたからこそ、アランの視線の先で待っていたのだろう。
そしてアランと視線が合うと、笑みを浮かべる。
『またね』
「っ!?」
同時に頭の中に響いた声に、アランの目は大きく見開かれた。
それは、初めての体験に衝撃を受けた……のでではない。
テレパシーのようなやり取りは、アランとレオノーラの間では普通に行えることだ。
だが……それは、あくまでもアランとレオノーラの間だけでの話であって、それ以外の相手と出来た記憶はない。
「アラン! 何をしてるの。行くわよ!」
リアの言葉に我に返ったアランは、再びビッシュのいた方を見たが……すでに、そこにはビッシュの姿はどこにもなかった。
部屋を出てすぐの場所に、グヴィスとクロスの二人が気絶しているのを見たアランは、そんな二人に悪いと謝り――気絶しているのだから、謝られた方は分からなかっただろうが――通路を進みながら、リアに尋ねる。
「まずは、カロをどうにかして見つける必要があるわね。一応他の人たちもカロを探すように……」
そんな言葉を口にしたリアをニコラスが手で静かにするように示す。
敵か? そう思って警戒するアランだったが、リアとニコラスの二人はいつでも動けるようにしているものの、特に警戒している様子はない。
……そもそも、アランは武器を持っていないので、現状では戦力に数えることが出来ないのだが。
「これが必要なんだろ?」
そう言いながら姿を現したのは、アランにとっても見慣れた姿……ロッコーモだった。
相変わらずの巨漢ぶりに、アランは嬉しそうにし……そしてロッコーモの手の中にある物を見て、大きく口を開く。
「カロ!」
「ピ!」
アランの言葉に、ロッコーモの手の中にあったカロは嬉しそうに鳴き声を上げる。
そんなカロを、ロッコーモはアランに向かって放り投げる。
「もう、奪われるなよ」
「分かった。ありがとう!」
カロを受け取り、感謝の言葉を口にするアラン。
そうしてカロと久しぶりの……本当に久しぶりの再開を喜びつつも、今はそれどころではないと、カロを撫でながらリアに視線を向ける。
「それで、母さん。これからどうするの? というか、現在がどんな状況になってるのかが、ちょっと分からないんだけど」
アランにしてみれば、先程までは部屋に閉じ込められていたのだ。
実際には訓練場で訓練をしていたところを、強引に連れ戻されたといった形だったが。
その際も、特に理由らしい理由を聞かされたりはしていない。
だからこそ、現在の帝城の状況は一体どうなっているのかが、全く理解出来ないのだ。
「そうね。今は急ぐけど、その辺りの話はしておいた方がいいかしら」
そう告げ、現在の状況を説明するリア。
その途中で、何人かの仲間と合流していく。
合流してくる者の中には、雲海だけではなく黄金の薔薇の者もいて、若干驚いたが。
もっともメライナが帝城に潜入していて、そのメライナと帝城の中で会っているのだから、今回の一件に黄金の薔薇が参加しているというのは明らかだった。
(それに……今、帝城の中庭にレオノーラが変身した黄金のドラゴンが来てるって話なんだし、それで黄金の薔薇が参加していないはずがないか)
レオノーラが参加しているのだから、そのレオノーラを慕っている者たちが参加しているのは当然だろう。
……とはいえ、雲海も黄金の薔薇も、全員が参加している訳ではなく、双方共に十人ずつ程度といったところだが。
そして、十人ずつ……合計二十人というのも、明確な理由があった。
「普通、帝城に潜入して脱出するのに、俺やレオノーラを使うとは思わないよな」
そう、この計画の最終段階としては、レオノーラの変身した黄金のドラゴンと、アランが召喚したゼオンに乗って移動するというもので、だからこそお互いのクランから参加した小数精鋭とする必要があったのだ。
「しょうがないでしょ。こっちもイルゼンさんが色々と考えた結果の作戦なんだから。……そもそも、アランが捕まるようなことがなければ、こんなことをする必要はなかったのよ?」
「ぐっ、それは……」
リアの言葉が正論であるだけに、そう言われるとアランも反論出来ない。
とはいえ、アランもリアたちに感謝していない訳ではないのだが。
「ん? 母さん、あの連中はこっちに合流しないの?」
通りすぎる際に戦っている兵士を黄金の薔薇の探索者が一撃で気絶させるが、その兵士と戦っていた人物は感謝の言葉を口にしたものの、アランたちに合流せず、別方向に向かう。
アランにとっては見覚えのない人物だったが、助けたということは味方なのだろうと容易に予想出来る。
「あの連中はレジスタンスだから、こっちとは別行動をしてるわ。一応協力してはいるけど、それも今となっては……ねぇ」
リアの言葉に、ニコラスは頷く。
レジスタンスたちにとっては、今回の一件で帝城に侵入出来たというのは非常に大きい成果だ。
……もちろん、帝城の中に侵入した以上は、兵士や騎士といた相手と遭遇することになる。
中庭に姿を現した黄金のドラゴンの影響で混乱しているとはいえ、帝城の中には当然のように兵士や騎士は存在する。
唯一の救いは、心核使いがいても、その心核使いは中庭に向かっただろうということか。
もっとも、基本的に心核使いが変身するモンスターというのは大きなモンスターが多く、そのようなモンスターが帝城の中で暴れるといったようなことになれば、無意味に被害も大きくなるだろうが。
「とにかく、今は……」
中庭に出る方が先だ。
そうロッコーモが言おうとしたそのとき、不意に左の通路から一人の女が姿を現す。
敵か!?
一瞬そう思った面々が構えるが、出て来た人物を見ると、まずは黄金の薔薇の面々が……そして続いてその人物の顔を知っている者たちが武器を下ろし、それを見て他の者たちも武器を降ろす。
そんな中で、アランが武器を下ろしたのは黄金の薔薇の面々と同時だった。
何故なら、アランにもその人物が敵ではないと分かっていたからだ。
「ラミアス、無事だったのか!」
黄金の薔薇の男が、嬉しそうに姿を現したメイドに話しかける。
だが、そのメイドは笑みを浮かべて首を横に振る。
「今の私はラミアスじゃなくて、メライナよ」
メライナという偽名で帝城に侵入していた人物の言葉に、声をかけた男は呆れたように言う。
「この状況で、まだメイドをやるつもりなのか?」
「う……そう言えばそうだったわね。ともあれ……」
照れを隠すようにしながら、メライナ……いや、ラミアスはアランに視線を向ける。
アランの顔を確認すると、次に手で持っているカロに。
「どうやら、目的は無事に達成したみたいね。そうなると、あとはここにいる必要はないし、さっさと逃げましょう。こっちよ」
帝城でメイドとして働いていただけに、ラミアスはこの場にいる誰よりも帝城の構造には詳しい。
そういう意味でも、中庭に向かっている現状でラミアスと合流出来たのは幸いだったのだろう。
「そう言えば、鋼の蜘蛛の女と一緒に行動してるんじゃなかったのか?」
ある程度の情報を持っている黄金の薔薇の男がそう尋ねるが、ラミアスは首を横に振る。
「ダーナとはもう別行動よ。向こうは向こうで、鋼の蜘蛛の人たちと合流するらしいわ」
「……そうか」
黄金の薔薇の男は、複雑な表情で頷く。
砦の一件から、鋼の蜘蛛の協力が必要なのは分かっていたが、それでも友好的な感情は抱けないのだろう。
「とにかく、今は中庭に向かいましょう。こうしてアランとカロの奪還をしたということは、もう全て予定通りに進んでいる……ということでいいんですよね?」
ラミアスがリアに尋ねる。
この場で一番偉いのはリアだと、そう思ったのだろう。……同じ女だから話しやすいというのもあったのだろうが。
リアの方は、そんなラミアスの言葉に頷く。
「そうね。まだ何人か合流していない人もいるけど、それ以外は問題ないわ」
「そうですか。では、急ぎましょう。レオノーラ様がいる以上、問題はないと思いますけど、何が起きるか分かりませんし」
ラミアスの言葉に、それを聞いていた皆が頷く。
現在は多くの者が帝城の中で暴れており、帝城の方でもそれに対応してはいるが、やはりそんな中でも一番厄介な存在はレオノーラの変身した黄金のドラゴンだろう。
だからこそ、帝城の方でもそちらに対処する割合が多くなるだろうし、そして黄金のドラゴンなどという存在に対処出来る相手となれば、それは自然と心核使いとなる。
今の状況で多くの心核使いが黄金のドラゴンと戦っている以上、出来ればその負担を少しでも少なくしたいと思うのは当然だった。
他の面々もまた、そんなラミアスの意見に異論を唱えるはずもなく、一行はラミアスに案内されて黄金のドラゴンが暴れている中庭に向かう。
そうしている間にも、帝城に侵入していた雲海や黄金の薔薇の探索者も次々と合流してくる。
多くの者が、一行の中にアランの姿を見つけると嬉しそうに一声かけていた。
アランを助けるために今回の一件が行われた以上、アランも自分のためにこんな危険な真似をした面々に対して感謝の言葉を口にする。
そうして進み続け……途中で兵士や騎士に遭遇することもあったが、これだけの戦力が揃っていれば、対処するのは難しくはない。
雲海や黄金の薔薇の面々も、すでにほとんどが合流しており……やがて、ラミアスが口を開く。
「あそこの扉から、レオノーラ様が待っている中庭に出られるわ!」
その言葉は、アランの救出のための作戦が最終段階に入ったことを意味していた。
「え?」
と、そんな中で不意にアランが口を開く。
視線の先に、見覚えのある顔を見たためだ。
一見すると子供。だが、実際にその精神は大人……そんなアンバランスな存在、ビッシュ。
見間違いではないかと思ったアランだったが、その人物は間違いなくビッシュだ。
それも、偶然どこかに向かおうとしているビッシュを見たのではなく、明確にアランの方を見ており、視線が合ったのだ。
そうである以上、ビッシュは間違いなくアランがここを通ると……そう理解していたからこそ、アランの視線の先で待っていたのだろう。
そしてアランと視線が合うと、笑みを浮かべる。
『またね』
「っ!?」
同時に頭の中に響いた声に、アランの目は大きく見開かれた。
それは、初めての体験に衝撃を受けた……のでではない。
テレパシーのようなやり取りは、アランとレオノーラの間では普通に行えることだ。
だが……それは、あくまでもアランとレオノーラの間だけでの話であって、それ以外の相手と出来た記憶はない。
「アラン! 何をしてるの。行くわよ!」
リアの言葉に我に返ったアランは、再びビッシュのいた方を見たが……すでに、そこにはビッシュの姿はどこにもなかった。
0
あなたにおすすめの小説
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
残念ながら主人公はゲスでした。~異世界転移したら空気を操る魔法を得て世界最強に。好き放題に無双する俺を誰も止められない!~
日和崎よしな
ファンタジー
―あらすじ―
異世界に転移したゲス・エストは精霊と契約して空気操作の魔法を獲得する。
強力な魔法を得たが、彼の真の強さは的確な洞察力や魔法の応用力といった優れた頭脳にあった。
ゲス・エストは最強の存在を目指し、しがらみのない異世界で容赦なく暴れまくる!
―作品について―
完結しました。
全302話(プロローグ、エピローグ含む),約100万字。
【完結】剣聖と聖女の娘はのんびりと(?)後宮暮らしを楽しむ
O.T.I
ファンタジー
かつて王国騎士団にその人ありと言われた剣聖ジスタルは、とある事件をきっかけに引退して辺境の地に引き籠もってしまった。
それから時が過ぎ……彼の娘エステルは、かつての剣聖ジスタルをも超える剣の腕を持つ美少女だと、辺境の村々で噂になっていた。
ある時、その噂を聞きつけた辺境伯領主に呼び出されたエステル。
彼女の実力を目の当たりにした領主は、彼女に王国の騎士にならないか?と誘いかける。
剣術一筋だった彼女は、まだ見ぬ強者との出会いを夢見てそれを了承するのだった。
そして彼女は王都に向かい、騎士となるための試験を受けるはずだったのだが……
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』
見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装…
俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。
突然の事で戸惑うクラスメート達…
だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。
「またか…」
王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。
そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。
そして俺はというと…?
『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』
「それよりも不知火君は何を得たんだ?」
イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。
俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。
その場にいた者達は、俺の加護を見ると…
「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。
『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』
王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。
まぁ、その方が気楽で良い。
そして正義は、リーダーとして皆に言った。
「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」
正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。
「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」
「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」
「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」
「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」
「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」
「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」
「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」
俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。
「その…鎧と剣は?」
「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」
「今迄って…今回が2回目では無いのか?」
「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」
俺はうんざりしながら答えた。
そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。
いずれの世界も救って来た。
そして今度の世界は…?
6月22日
HOTランキングで6位になりました!
6月23日
HOTランキングで4位になりました!
昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°.
6月24日
HOTランキングで2位になりました!
皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる