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逃避行
255話
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「これは……なるほど。人形の製造施設か。アランの言った通りだったな」
通路の先にあった部屋に存在したのは、人形を生み出す製造施設……いや、製造ラインとでも呼ぶべきものだった。
日本で行われていた製造業のように、ベルトコンベアのような物の上を部品が流れており、それが進むにつれて人形へと姿を変えていく。
「こうやってあの人形は作られてたんだな。けど、この施設で作られている人形って、全部さっきの空間にいた小さい人形だよな? 通路の広さから考えて、あの亀の人形もここで作られてるんじゃないかと思ってたんだが」
残念そうに呟くのは、ロッコーモ。
ロッコーモにしてみれば、亀の甲羅は壊れたら捨てられる使い捨ての盾として、それなりに大きな意味を持つのだろう。
「うーん……あ。ちょっ、ほら。ロッコーモさん! あっちあっち!」
ロッコーモの言葉に少し悩んでいたアランだったが、ふと視線の先……人型の人形を量産している製造ラインの向こう側に見覚えのある姿を見て、そう告げる。
当然ながら、アランが見たということは他の探索者が見るといったことも出来る訳で、ロッコーモが何か言うよりも前に、その探索者の一人が口を開く。
「ああ、なるほど。人形を製造するのは一つだけじゃなかったのか」
そう、アランたちの前にある人形を作る製造ラインの奥には、他にもいくつか同じような設備があった。
そして巨大な亀の人形がその設備の上を移動している。
「おい、あれ……さっさと倒した方がいいじゃないか? このままだと、また亀の人形と戦わないといけなくなるぞ?」
「それは俺も同意見だが……この設備、壊してもいいのか? これって古代魔法文明の遺産だろ? まだこうして動いてるってことは、間違いなくかなりの価値があるはずだ」
探索者の一人がそう言えば、他の者も反論出来ない。
実際、この設備がどれだけの価値を持っているのかと考えれば、それは想像することすら出来ない。
この設備を調べれば、間違いなく古代魔法文明の技術がいくつか判明するだろう。
(まさか、ここまで完璧に残ってるとは、思ってもみなかった)
それが、アランの正直な気持ちだった。
人形が補充されている以上、何らかの手段で修理なり生産なりをしているとは思ってたのだが、もっと小規模な設備を想像していたのだ。
「もっと小さい設備だと思ってたんですけどね。遺跡そのものが小さかったみたいだし。……ん?」
そこまで呟いたアランは、ふと気が付く。
現在アランたちがいるこの場所は、かなり大きな生産設備だ。
この生産設備と繋がっていた場所……小さな人形が待機していた場所も、かなりの数の人形がいた。
そうである以上、明らかにこの生産設備で生み出される人形の数は過剰だ。
実際、その数が過剰だからこそ、ここに来る前の場所ではあれだけの数の人形が待機していたと思っていたのだが……
「どうした?」
「いえ。もしかしたら……本当にもしかしたらですが、この施設と繋がっている遺跡って、俺たちが入ってきた遺跡以外の、別の遺跡とも繋がってるってことはないですか?」
「それは……」
アランの口から出たのは、尋ねてきた男にとっても意外な内容だったのか、驚きの表情を浮かべる。
だが、言われてみればこの生産設備の規模と、自分たちが入ってきた遺跡は規模が違いすぎる。
自分たちが攻略してきた遺跡に、これだけの生産設備は必要ないというアランの言葉には、他の者たちも納得出来た。
「じゃあ、俺たちが潜っている遺跡以外にも、この辺りには別の遺跡があるってのか?」
ロッコーモの疑問に、アランは頷く。
「考えられる可能性としては、それが一番大きいかと」
アランが思いついたのは、前世の日本で行われていた給食センターのシステムだった。
給食センターにおいて一括で料理を作り、その料理を小学校や中学校に運ぶというもの。
それによって小学校や中学校では全て同じ料理を食べることが出来るのだ。
……もっとも、小学校と中学校でメニュー内容は変わっていたらしいのだが。
(今更だけど、パンはともかくご飯に牛乳って、正直どうよ? と思うんだよな。栄養的にそうするしかなかったのかもしれないけど)
そんなことを考えていたのは、アランが半ば現実逃避していたからか。
ともあれ、実際には給食センターよりもコンビニの方がらしいのか? と思い直し……それでも今のこの状況で何の意味があると考え、周囲を見回す。
アランの様子に話していたロッコーモも何かを感じたのか、鋭い視線で警戒していた。
ここで人形を製造しており、恐らくは修理をしている場所でもある以上、ここは非常に重要な拠点であると言ってもいい。
それだけ重要な場所でる以上、ここを守る存在がいてもおかしくはなかった。
何しろ、ここでは大量に人形を生み出しては他の遺跡に運んでいると考えられるのだから。
ある意味で、遺跡の心臓部に近いと言っても、言いすぎではないだろう。
そのような重要な場所に、護衛が配置されない訳がない。
ましてや、これだけの人形を生み出している以上、護衛をする者はそれこそいくらでも用意出来るはずだった。
「……護衛の類が何もいないな。あの亀の人形と同等か、もしくはもっと強い人形がいるかと思ったんだが」
「あの人形は強いことは強かったが、耐久力や防御力が高いといった感じだっただろ。自分や自分の身体で隠せるような場所を守るならともかく、こういう広い場所を守るには向いてないと思うがな」
探索者の一人が呟く言葉に、ロッコーモだけではなく他の者たちもなるほどと納得する。
この広い人形の製造設備を守る場合、必要なのは亀の人形のような防御力ではなく、設備を破壊されないように素早く相手を倒すことが出来る攻撃力。
それも設備を守る以上は広域に攻撃をするようなものではなく、ピンポイントで相手を殺せるだけの攻撃力だった。
「こんな風にな!」
ロッコーモが長剣を一振りすると同時に、甲高い金属音が周囲に響く。
心核を使ってオーガに変身したときは棍棒を使うロッコーモだが、変身前の状態では長剣を使う。
正確には他にも槍や短剣といったような一般的な武器の類ならその大半を使うことが出来るというのが正しいのだが。
そんな中でも、やはり長剣が一番ありふれている武器だけに、ロッコーモもそちらを使い慣れていた。
……そういう意味では、最初に特殊な武器を使いたがったが、一般的な長剣を使うようになったアランと、ある意味で似ているのかもしれない。
ある意味であって、その本質としては大きく違うのだが。
「敵!? 全員警戒を!」
アランの鋭い叫び。
ここで何が? と疑問を抱くのはではなく、即座に敵の襲撃と判断してそれに備える辺り、曲がりなりにも探索者たちを指揮してここまで来ただけのことはあるのだろう。
……とはいえ、探索者としてここまでやって来た者の大半は、アランが指示を出す前に既に動いていたのだが。
「どんな敵だった? 誰か、今の敵の攻撃を見た者はいるか!?」
「何かの飛び道具のように見えた!」
素早く情報交換が行われ……だが、その途中で敵が姿を現す。
「うげぇ」
思わずといった様子でそんな声を出したのは誰だったのか。
だが、アランもそんな声を発した者を責める気にはならない。
何故なら、拳大の蜂……の人形が、複数空を飛んでいたのだから。
その数は一匹や二匹といった数ではなく、十匹や二十匹でもない。アランがざっと見回しただけでも五十匹以上は存在するだろう。
そして蜂の人形は、尻から伸びている針をアランたちに向けていた。
大きめの釘くらいの長さはあるだろう、鋭い針を。
……先程、ロッコーモが長剣で弾いたのがなんなのかは、考えるまでもなく明だ。
普通の蜂なら、針というのはあくまでも直接相手に刺すのが一般的だ。
だが……アランの視線の先に存在するのは、生物としての蜂ではなく人形の蜂だ。
蜂を模しているとはいえ、人形である以上は針を飛ばすことくらいは全く問題ないだろう。
この製造施設を自由に移動出来るだけの機動力を持ち、相手にダメージを与えるには十分な針の一撃を放つ。
そう考えてみれば、この蜂の人形は製造施設を守るという目的ではこれ以上ない程の存在なのは間違いなかった。
「厄介な真似をしてくれる」
苦々しげに誰かが呟くのがアランの耳に聞こえてくる。
実際、蜂の人形は非常に厄介な相手なのは間違いない。
勿論、戦って負けるとは思っていない。
それどころか、戦えば普通に勝てるとアランも含めて全員が思っていただろう。
だが、戦えば勝てるが、戦って厄介な相手なのは間違いのない事実なのだ。
だからこそ、厄介な相手と口にしたのだろうが。
「人形の製造設備に被害を出さないようにして、攻撃をする必要がある。向いていない奴は攻撃するんじゃなく防御に専念しろ」
アラン……ではなく探索者の一人が、鋭くそう告げる。
その指示を聞き、アランは蜂の存在を見た驚きから我に返り、自分のミスを自覚する。
本来なら、この状況では自分がすぐに指示を出す必要があったのだ。
だが、蜂の人形を前にして驚き、指示を出すのが遅れてしまう。
もちろん、アランも先程の指示が出されなければ、すぐに我に返って指示を出していただろう。
しかし、戦いの場では数秒の指示の遅れが死に直結してしまう。
そういう意味では、このような場所で素早く指示を出すのはアランにはまだ早かったということだろう。
「うおりゃぁっ!」
豪快な声と共に鎚を振るう男。
本来なら、蜂のように空を飛んでいる相手……それも高い機動力を持つ相手に、鎚のような重量のある武器のお銃撃を命中させるのは難しい。
だが、ここにいるのはいずれも手練れの探索者だ。……アラン以外。
鎚を振るう際も、蜂の人形が回避する動きの先を読んで、その予想した場所に向かって鎚を振るう。
それでも蜂の機動力が予想以上だった場合は、身体の動きや手首の動きを調整することで鎚の軌道を変え、蜂の人形を叩き壊す。
その一撃を合図に、アランたちと蜂の人形は全面的な戦いになるのだった。
通路の先にあった部屋に存在したのは、人形を生み出す製造施設……いや、製造ラインとでも呼ぶべきものだった。
日本で行われていた製造業のように、ベルトコンベアのような物の上を部品が流れており、それが進むにつれて人形へと姿を変えていく。
「こうやってあの人形は作られてたんだな。けど、この施設で作られている人形って、全部さっきの空間にいた小さい人形だよな? 通路の広さから考えて、あの亀の人形もここで作られてるんじゃないかと思ってたんだが」
残念そうに呟くのは、ロッコーモ。
ロッコーモにしてみれば、亀の甲羅は壊れたら捨てられる使い捨ての盾として、それなりに大きな意味を持つのだろう。
「うーん……あ。ちょっ、ほら。ロッコーモさん! あっちあっち!」
ロッコーモの言葉に少し悩んでいたアランだったが、ふと視線の先……人型の人形を量産している製造ラインの向こう側に見覚えのある姿を見て、そう告げる。
当然ながら、アランが見たということは他の探索者が見るといったことも出来る訳で、ロッコーモが何か言うよりも前に、その探索者の一人が口を開く。
「ああ、なるほど。人形を製造するのは一つだけじゃなかったのか」
そう、アランたちの前にある人形を作る製造ラインの奥には、他にもいくつか同じような設備があった。
そして巨大な亀の人形がその設備の上を移動している。
「おい、あれ……さっさと倒した方がいいじゃないか? このままだと、また亀の人形と戦わないといけなくなるぞ?」
「それは俺も同意見だが……この設備、壊してもいいのか? これって古代魔法文明の遺産だろ? まだこうして動いてるってことは、間違いなくかなりの価値があるはずだ」
探索者の一人がそう言えば、他の者も反論出来ない。
実際、この設備がどれだけの価値を持っているのかと考えれば、それは想像することすら出来ない。
この設備を調べれば、間違いなく古代魔法文明の技術がいくつか判明するだろう。
(まさか、ここまで完璧に残ってるとは、思ってもみなかった)
それが、アランの正直な気持ちだった。
人形が補充されている以上、何らかの手段で修理なり生産なりをしているとは思ってたのだが、もっと小規模な設備を想像していたのだ。
「もっと小さい設備だと思ってたんですけどね。遺跡そのものが小さかったみたいだし。……ん?」
そこまで呟いたアランは、ふと気が付く。
現在アランたちがいるこの場所は、かなり大きな生産設備だ。
この生産設備と繋がっていた場所……小さな人形が待機していた場所も、かなりの数の人形がいた。
そうである以上、明らかにこの生産設備で生み出される人形の数は過剰だ。
実際、その数が過剰だからこそ、ここに来る前の場所ではあれだけの数の人形が待機していたと思っていたのだが……
「どうした?」
「いえ。もしかしたら……本当にもしかしたらですが、この施設と繋がっている遺跡って、俺たちが入ってきた遺跡以外の、別の遺跡とも繋がってるってことはないですか?」
「それは……」
アランの口から出たのは、尋ねてきた男にとっても意外な内容だったのか、驚きの表情を浮かべる。
だが、言われてみればこの生産設備の規模と、自分たちが入ってきた遺跡は規模が違いすぎる。
自分たちが攻略してきた遺跡に、これだけの生産設備は必要ないというアランの言葉には、他の者たちも納得出来た。
「じゃあ、俺たちが潜っている遺跡以外にも、この辺りには別の遺跡があるってのか?」
ロッコーモの疑問に、アランは頷く。
「考えられる可能性としては、それが一番大きいかと」
アランが思いついたのは、前世の日本で行われていた給食センターのシステムだった。
給食センターにおいて一括で料理を作り、その料理を小学校や中学校に運ぶというもの。
それによって小学校や中学校では全て同じ料理を食べることが出来るのだ。
……もっとも、小学校と中学校でメニュー内容は変わっていたらしいのだが。
(今更だけど、パンはともかくご飯に牛乳って、正直どうよ? と思うんだよな。栄養的にそうするしかなかったのかもしれないけど)
そんなことを考えていたのは、アランが半ば現実逃避していたからか。
ともあれ、実際には給食センターよりもコンビニの方がらしいのか? と思い直し……それでも今のこの状況で何の意味があると考え、周囲を見回す。
アランの様子に話していたロッコーモも何かを感じたのか、鋭い視線で警戒していた。
ここで人形を製造しており、恐らくは修理をしている場所でもある以上、ここは非常に重要な拠点であると言ってもいい。
それだけ重要な場所でる以上、ここを守る存在がいてもおかしくはなかった。
何しろ、ここでは大量に人形を生み出しては他の遺跡に運んでいると考えられるのだから。
ある意味で、遺跡の心臓部に近いと言っても、言いすぎではないだろう。
そのような重要な場所に、護衛が配置されない訳がない。
ましてや、これだけの人形を生み出している以上、護衛をする者はそれこそいくらでも用意出来るはずだった。
「……護衛の類が何もいないな。あの亀の人形と同等か、もしくはもっと強い人形がいるかと思ったんだが」
「あの人形は強いことは強かったが、耐久力や防御力が高いといった感じだっただろ。自分や自分の身体で隠せるような場所を守るならともかく、こういう広い場所を守るには向いてないと思うがな」
探索者の一人が呟く言葉に、ロッコーモだけではなく他の者たちもなるほどと納得する。
この広い人形の製造設備を守る場合、必要なのは亀の人形のような防御力ではなく、設備を破壊されないように素早く相手を倒すことが出来る攻撃力。
それも設備を守る以上は広域に攻撃をするようなものではなく、ピンポイントで相手を殺せるだけの攻撃力だった。
「こんな風にな!」
ロッコーモが長剣を一振りすると同時に、甲高い金属音が周囲に響く。
心核を使ってオーガに変身したときは棍棒を使うロッコーモだが、変身前の状態では長剣を使う。
正確には他にも槍や短剣といったような一般的な武器の類ならその大半を使うことが出来るというのが正しいのだが。
そんな中でも、やはり長剣が一番ありふれている武器だけに、ロッコーモもそちらを使い慣れていた。
……そういう意味では、最初に特殊な武器を使いたがったが、一般的な長剣を使うようになったアランと、ある意味で似ているのかもしれない。
ある意味であって、その本質としては大きく違うのだが。
「敵!? 全員警戒を!」
アランの鋭い叫び。
ここで何が? と疑問を抱くのはではなく、即座に敵の襲撃と判断してそれに備える辺り、曲がりなりにも探索者たちを指揮してここまで来ただけのことはあるのだろう。
……とはいえ、探索者としてここまでやって来た者の大半は、アランが指示を出す前に既に動いていたのだが。
「どんな敵だった? 誰か、今の敵の攻撃を見た者はいるか!?」
「何かの飛び道具のように見えた!」
素早く情報交換が行われ……だが、その途中で敵が姿を現す。
「うげぇ」
思わずといった様子でそんな声を出したのは誰だったのか。
だが、アランもそんな声を発した者を責める気にはならない。
何故なら、拳大の蜂……の人形が、複数空を飛んでいたのだから。
その数は一匹や二匹といった数ではなく、十匹や二十匹でもない。アランがざっと見回しただけでも五十匹以上は存在するだろう。
そして蜂の人形は、尻から伸びている針をアランたちに向けていた。
大きめの釘くらいの長さはあるだろう、鋭い針を。
……先程、ロッコーモが長剣で弾いたのがなんなのかは、考えるまでもなく明だ。
普通の蜂なら、針というのはあくまでも直接相手に刺すのが一般的だ。
だが……アランの視線の先に存在するのは、生物としての蜂ではなく人形の蜂だ。
蜂を模しているとはいえ、人形である以上は針を飛ばすことくらいは全く問題ないだろう。
この製造施設を自由に移動出来るだけの機動力を持ち、相手にダメージを与えるには十分な針の一撃を放つ。
そう考えてみれば、この蜂の人形は製造施設を守るという目的ではこれ以上ない程の存在なのは間違いなかった。
「厄介な真似をしてくれる」
苦々しげに誰かが呟くのがアランの耳に聞こえてくる。
実際、蜂の人形は非常に厄介な相手なのは間違いない。
勿論、戦って負けるとは思っていない。
それどころか、戦えば普通に勝てるとアランも含めて全員が思っていただろう。
だが、戦えば勝てるが、戦って厄介な相手なのは間違いのない事実なのだ。
だからこそ、厄介な相手と口にしたのだろうが。
「人形の製造設備に被害を出さないようにして、攻撃をする必要がある。向いていない奴は攻撃するんじゃなく防御に専念しろ」
アラン……ではなく探索者の一人が、鋭くそう告げる。
その指示を聞き、アランは蜂の存在を見た驚きから我に返り、自分のミスを自覚する。
本来なら、この状況では自分がすぐに指示を出す必要があったのだ。
だが、蜂の人形を前にして驚き、指示を出すのが遅れてしまう。
もちろん、アランも先程の指示が出されなければ、すぐに我に返って指示を出していただろう。
しかし、戦いの場では数秒の指示の遅れが死に直結してしまう。
そういう意味では、このような場所で素早く指示を出すのはアランにはまだ早かったということだろう。
「うおりゃぁっ!」
豪快な声と共に鎚を振るう男。
本来なら、蜂のように空を飛んでいる相手……それも高い機動力を持つ相手に、鎚のような重量のある武器のお銃撃を命中させるのは難しい。
だが、ここにいるのはいずれも手練れの探索者だ。……アラン以外。
鎚を振るう際も、蜂の人形が回避する動きの先を読んで、その予想した場所に向かって鎚を振るう。
それでも蜂の機動力が予想以上だった場合は、身体の動きや手首の動きを調整することで鎚の軌道を変え、蜂の人形を叩き壊す。
その一撃を合図に、アランたちと蜂の人形は全面的な戦いになるのだった。
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