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獣人を率いる者
346話
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力で勝負。
そう言ったクラリスの言葉に、ゴールスは何を言われたのか分からないといったような、完全に意表を突かれた様子を見せる。
いや、それはゴールスだけではない。
ゴールスの護衛として部屋の中にいた獣人たちも同様だし、それどころかアランやレオノーラも同様だった。
当然だろう。クラリスは言霊こそ使えるものの、身体能力だけで考えれば子供だ。
獣人である以上、同年代の人間の子供よりも身体能力は高いかもしれないが、言ってみればそれだけだ。
とてもではないが、ゴールスのようなサイの獣人に力で勝てるとは思えない。
ゴールスが鍛えていないような男であればともかく、アランから見てもゴールスはしっかりと鍛えている。
まともに戦えば、クラリスが力でゴールスに勝つことは不可能だろう。
それはクラリスも分かっているはずなのに、何故ここでそのようなことを言ったのか。
皆がそんな疑問を抱き、部屋の中を沈黙が支配する。
そんな中で、最初に沈黙を破ったのは当然のようにゴールスだった。
「本気か?」
疑問と共に尋ねるその声に対し、クラリスは特に驚く様子もなく頷く。
「ええ。そちらも、抗争によって被害が出るのは嫌でしょう?」
「ぬぅ……」
最初、クラリスの口から出た言葉はハッタリか何かだと思ったゴールスだったが、今の様子を見る限りでは、とてもではないがそのようには思えない。
本気で言っているというのは、明らかだった。
そうである以上、ゴールスとしてはクラリスの提案に対して素直に頷く訳にはいかない。
本来なら、ゴールスとクラリスが正面から言霊のようなスキルを抜きにして戦えば、負けるはずがない。
それは当然クラリスも知っているだろうに、その上で向こうはこのようなことを言ってきたのだ。
そうである以上、当然だが何の勝算もなくこのようなことを言ってきたとは、思えないからだ。
次に沈黙を破ったのは、クラリス。
「もちろん、一対一でとは言いません。そうですね、私とゴールスを入れて、お互い五人ずつ。そこで一対一の戦いを五回行い、先に三回勝った方が勝者となる。……それでどうです?」
そう告げるクラリスの言葉に、ゴールスはようやく納得した様子を見せる。
クラリスだけで戦えば負ける。
だが、一対一を五回行うとなれば、話は別だ。
ようは先に三回勝利すればいいのだから、クラリスは後方して、先に三勝しようと考えているのだろうと、そう判断したのだ。
「ふむ……もしそれを受けたとして、戦いのルールはどうする?」
「基本的に何でもありにしましょう。でないと、お互いに遺恨が残るでしょう?」
その言には、獣人なら納得出来るところがあった。
だが……それでも、ゴールスはすぐに答えず、アランに視線を向ける。
(え? 俺?)
何故ここで自分にそのような視線を向けるのか、アランには理解出来ない。
理解出来ないが、それでもゴールスが自分を見ているというのは、何か意味があってのことだろうというのは、想像出来た。
そして、何故ゴールスが自分を見ていたのかというのは、次の瞬間に判明する。
「五対五の戦い、受けてもいい。だが、クラリスはルールなしの何でもありと言ったが、クラリスの言霊と……そして、心核はなしにして欲しい」
この男、自分のことを知っている。
ゴールスのその言葉は、アランにそう判断させるには十分な内容だった。
今の状況でそのようなことを言うということは、間違いなくアランが心核使いだと……それも、普通の心核使いとは違う規格外の強さを持っている心核使いだと知っているのは明らかだった。
(けど、何でだ? 俺はメルリアナに入ってからは、ゼオンを召喚していない。召喚したとすれば武器だけだが、それだって見ていた者は味方だけのはず。……もしくは、俺が知らないところで誰かが戦いを見ていたのか、もしくは……)
アランが思い浮かべた、最悪の可能性。
それは、ゴールスがガリンダミア帝国と繋がっていることだ。
そもそも、メルリアナはガリンダミア帝国の従属国だ。
そうである以上、何らかの繋がりがあってもおかしくはないのだが、同時に疑問も抱く。
メルリアナは、本格的な戦いになる前にガリンダミア帝国に対して降伏し、従属国となった。
そのおかげで、メルリアナの中にはガリンダミア帝国に対して自分たちなら戦っても勝てるのでは? と思っているような者もいるくらいに、反感がある。
そんな状況でガリンダミア帝国と繋がっているというのは、発覚すれば致命的だ。
「あら、どんな力も使ってこその力ではなくて? 心核使いが使う心核も力。……ですが、そうですね。ゴールスがそこまで怯えているのなら、こちらも妥協してあげないこともないわ」
怯えているという表現に、ゴールスの額に血管が浮かぶ。
力でここまでのし上がってきたゴールスにしてみれば、クラリスのような子供に怯えているなどと言われて、黙っていられる訳がない。
だが、ゴールスは知っている。
アランという人物が、心核使いとしては規格外の存在で、それこそガリンダミア帝国が国を挙げて欲している人物であるということを。
そんな人物と心核使いとしてまともに戦うというのは、三勝しなければならいうちの戦いで、確実に一敗してしまう。
それだけではない。ゴールスが掴んでいる情報――ガリンダミア帝国からのものだが――によれば、クラリスに協力している者たちの中には、他にも心核使いが多数いると言われている。
心核使いというのは、一人いれば戦争で戦局を逆転させることも珍しくないと言われているような存在だ。
もっとも、中には外れの心核使いもいるので、心核使い全員がそれだけの実力を持っている訳ではないのだが。
しかし、そんな外れはそういるものではない。
あるいは外れであっても、それは戦局を逆転させるだけの力を持たないというだけで、一対一の戦いとなれば、話は違う可能性もあった。
そう思うも、クラリスの言うように自分が逃げたと思われるのは非常に不味いという一面もあった。
逃げた結果として、自分が勝利したとなれ一族を自分が率いるときにどうなるか。
間違いなくクラリスを排除した後であっても、問題となってしまうだろう。
そうならないようにする為には、向こうの要望も受け入れ、あくまでも互角の条件で戦う必要があった。
(どうすればいい? ……いや、考えるまでもない。向こうの条件を多少は受け入れる必要がある。となると……心核使いが出られる数は限定にすべきか?)
ゴールスは素早く頭の中で計算する。
ゴールスの部下にも、心核使いは一人だがいる。
とはいえ、それでもその心核使いはガリンダミア帝国に狙われるといったような存在ではなく、あくまでも普通の――という表現が相応しいのかどうかは微妙だが――心核使いだ。
それで一敗するとしても、クラリスと正面から戦えば自分が勝つのは間違いない。
つまり、それで一勝一敗となり、残りの三戦で勝負は決まる。
そう考えれば、まだ自分たちが決して不利という訳ではない。
いや、寧ろ獣牙衆やガリンダミア帝国から派遣されている協力者のことを考えれば、自分たちの方が有利だと言ってもいい。
頭の中で考えを纏めると、ゴールスは口を開く。
「では、こうしよう。お互いに心核使いを出せるのは一人だけ。それならどうだ?」
ゴールスにとって、それは最大限の譲歩でもあった。
同時に、そのような真似をしても最終的に自分が勝てるからといった考えから出た言葉でもある。
そのような状況の中でクラリスは少し考え……あっさりと頷く。
「ええ、それで構いません。それと、もう一つ提案があるのですが?」
「まだあるのか? こちらが何でも受け入れると思っているのではないだろうな?」
「いえ、これにかんしてはゴールスにとっても利益がある話ですよ」
「……言ってみろ」
自分に利益のあるというのが気になったのか、ゴールスはクラリスに先を促す。
もし下らない話だったらどうなるか、分かってるだろうな? と、そのような視線で。
そのような視線を向けられても、クラリスは怯むことなく……それどころか、笑みすら浮かべて口を開く。
「この戦いで明確に勝敗を決する必要があるのは間違いないでしょうが、それが誰も見ていない場所で戦った場合、どちらかが嘘を吐けば問題になります」
そう言いながら、クラリスは意味ありげな視線をゴールスに向ける。
それは、もしこのまま戦いが行われた場合、ゴールスがそのような真似をすると、そう視線で示していた。
当然のように、ゴールスはそんなクラリスの言いたい内容を理解するものの、言ってみればそれだけでしかない。
ここで反論を口にすれば、それこそ向こうの思い通りだろうと判断し、ゴールスもまたクラリスに対してお前がそのようにするのだろうといった視線を向ける。
そうしてお互いがお互いを全く信じていない視線を向ける中、やがてクラリスが口を開く。
「そうなると、証人となる人物が必要となります」
「……つまり?」
「戦いはこのデルリアの外で行い、デルリアの住人にそれをしっかりと見て貰いましょう。何なら、賭けをしても構いませんよ。他にも屋台の類があれば、儲かるかもしれませんね」
「見世物にするつもりか?」
クラリスが何を考えているのかを理解し、ゴールスは不機嫌そうに言う。
ゴールスにしてみれば、この戦いは自分の進退に直結する問題だ。
それを見世物にすると言われ、不満を抱くなという方が無理だった。
「ええ、そうです。見世物にされるのは嫌かもしれませんが、それでもあとでそちらが勝敗を誤魔化そうとしたところで、出来ないでしょう?」
「そっちが誤魔化そうとしても出来ない、の間違いじゃねえのか?」
「あら、勝つのはこちらですもの。心配はいりませんわ」
満面の笑みを浮かべてそう告げる様子に、ゴールスは鼻を鳴らす。
今だけ言ってればいいと、そのような態度で。
「話は分かった。それもいいだろう。だが……そちらの選手は現在ギジュの屋敷にいる連中の中から選んで貰う。デルリアの外や他の宿にいる連中は却下だ。それでもいいのなら、その話を受けてもいいが……どうする?」
「ええ、構いません。ではそういうことで」
ゴールスの言葉に、クラリスは一切の躊躇もなく、頷くのだった。
そう言ったクラリスの言葉に、ゴールスは何を言われたのか分からないといったような、完全に意表を突かれた様子を見せる。
いや、それはゴールスだけではない。
ゴールスの護衛として部屋の中にいた獣人たちも同様だし、それどころかアランやレオノーラも同様だった。
当然だろう。クラリスは言霊こそ使えるものの、身体能力だけで考えれば子供だ。
獣人である以上、同年代の人間の子供よりも身体能力は高いかもしれないが、言ってみればそれだけだ。
とてもではないが、ゴールスのようなサイの獣人に力で勝てるとは思えない。
ゴールスが鍛えていないような男であればともかく、アランから見てもゴールスはしっかりと鍛えている。
まともに戦えば、クラリスが力でゴールスに勝つことは不可能だろう。
それはクラリスも分かっているはずなのに、何故ここでそのようなことを言ったのか。
皆がそんな疑問を抱き、部屋の中を沈黙が支配する。
そんな中で、最初に沈黙を破ったのは当然のようにゴールスだった。
「本気か?」
疑問と共に尋ねるその声に対し、クラリスは特に驚く様子もなく頷く。
「ええ。そちらも、抗争によって被害が出るのは嫌でしょう?」
「ぬぅ……」
最初、クラリスの口から出た言葉はハッタリか何かだと思ったゴールスだったが、今の様子を見る限りでは、とてもではないがそのようには思えない。
本気で言っているというのは、明らかだった。
そうである以上、ゴールスとしてはクラリスの提案に対して素直に頷く訳にはいかない。
本来なら、ゴールスとクラリスが正面から言霊のようなスキルを抜きにして戦えば、負けるはずがない。
それは当然クラリスも知っているだろうに、その上で向こうはこのようなことを言ってきたのだ。
そうである以上、当然だが何の勝算もなくこのようなことを言ってきたとは、思えないからだ。
次に沈黙を破ったのは、クラリス。
「もちろん、一対一でとは言いません。そうですね、私とゴールスを入れて、お互い五人ずつ。そこで一対一の戦いを五回行い、先に三回勝った方が勝者となる。……それでどうです?」
そう告げるクラリスの言葉に、ゴールスはようやく納得した様子を見せる。
クラリスだけで戦えば負ける。
だが、一対一を五回行うとなれば、話は別だ。
ようは先に三回勝利すればいいのだから、クラリスは後方して、先に三勝しようと考えているのだろうと、そう判断したのだ。
「ふむ……もしそれを受けたとして、戦いのルールはどうする?」
「基本的に何でもありにしましょう。でないと、お互いに遺恨が残るでしょう?」
その言には、獣人なら納得出来るところがあった。
だが……それでも、ゴールスはすぐに答えず、アランに視線を向ける。
(え? 俺?)
何故ここで自分にそのような視線を向けるのか、アランには理解出来ない。
理解出来ないが、それでもゴールスが自分を見ているというのは、何か意味があってのことだろうというのは、想像出来た。
そして、何故ゴールスが自分を見ていたのかというのは、次の瞬間に判明する。
「五対五の戦い、受けてもいい。だが、クラリスはルールなしの何でもありと言ったが、クラリスの言霊と……そして、心核はなしにして欲しい」
この男、自分のことを知っている。
ゴールスのその言葉は、アランにそう判断させるには十分な内容だった。
今の状況でそのようなことを言うということは、間違いなくアランが心核使いだと……それも、普通の心核使いとは違う規格外の強さを持っている心核使いだと知っているのは明らかだった。
(けど、何でだ? 俺はメルリアナに入ってからは、ゼオンを召喚していない。召喚したとすれば武器だけだが、それだって見ていた者は味方だけのはず。……もしくは、俺が知らないところで誰かが戦いを見ていたのか、もしくは……)
アランが思い浮かべた、最悪の可能性。
それは、ゴールスがガリンダミア帝国と繋がっていることだ。
そもそも、メルリアナはガリンダミア帝国の従属国だ。
そうである以上、何らかの繋がりがあってもおかしくはないのだが、同時に疑問も抱く。
メルリアナは、本格的な戦いになる前にガリンダミア帝国に対して降伏し、従属国となった。
そのおかげで、メルリアナの中にはガリンダミア帝国に対して自分たちなら戦っても勝てるのでは? と思っているような者もいるくらいに、反感がある。
そんな状況でガリンダミア帝国と繋がっているというのは、発覚すれば致命的だ。
「あら、どんな力も使ってこその力ではなくて? 心核使いが使う心核も力。……ですが、そうですね。ゴールスがそこまで怯えているのなら、こちらも妥協してあげないこともないわ」
怯えているという表現に、ゴールスの額に血管が浮かぶ。
力でここまでのし上がってきたゴールスにしてみれば、クラリスのような子供に怯えているなどと言われて、黙っていられる訳がない。
だが、ゴールスは知っている。
アランという人物が、心核使いとしては規格外の存在で、それこそガリンダミア帝国が国を挙げて欲している人物であるということを。
そんな人物と心核使いとしてまともに戦うというのは、三勝しなければならいうちの戦いで、確実に一敗してしまう。
それだけではない。ゴールスが掴んでいる情報――ガリンダミア帝国からのものだが――によれば、クラリスに協力している者たちの中には、他にも心核使いが多数いると言われている。
心核使いというのは、一人いれば戦争で戦局を逆転させることも珍しくないと言われているような存在だ。
もっとも、中には外れの心核使いもいるので、心核使い全員がそれだけの実力を持っている訳ではないのだが。
しかし、そんな外れはそういるものではない。
あるいは外れであっても、それは戦局を逆転させるだけの力を持たないというだけで、一対一の戦いとなれば、話は違う可能性もあった。
そう思うも、クラリスの言うように自分が逃げたと思われるのは非常に不味いという一面もあった。
逃げた結果として、自分が勝利したとなれ一族を自分が率いるときにどうなるか。
間違いなくクラリスを排除した後であっても、問題となってしまうだろう。
そうならないようにする為には、向こうの要望も受け入れ、あくまでも互角の条件で戦う必要があった。
(どうすればいい? ……いや、考えるまでもない。向こうの条件を多少は受け入れる必要がある。となると……心核使いが出られる数は限定にすべきか?)
ゴールスは素早く頭の中で計算する。
ゴールスの部下にも、心核使いは一人だがいる。
とはいえ、それでもその心核使いはガリンダミア帝国に狙われるといったような存在ではなく、あくまでも普通の――という表現が相応しいのかどうかは微妙だが――心核使いだ。
それで一敗するとしても、クラリスと正面から戦えば自分が勝つのは間違いない。
つまり、それで一勝一敗となり、残りの三戦で勝負は決まる。
そう考えれば、まだ自分たちが決して不利という訳ではない。
いや、寧ろ獣牙衆やガリンダミア帝国から派遣されている協力者のことを考えれば、自分たちの方が有利だと言ってもいい。
頭の中で考えを纏めると、ゴールスは口を開く。
「では、こうしよう。お互いに心核使いを出せるのは一人だけ。それならどうだ?」
ゴールスにとって、それは最大限の譲歩でもあった。
同時に、そのような真似をしても最終的に自分が勝てるからといった考えから出た言葉でもある。
そのような状況の中でクラリスは少し考え……あっさりと頷く。
「ええ、それで構いません。それと、もう一つ提案があるのですが?」
「まだあるのか? こちらが何でも受け入れると思っているのではないだろうな?」
「いえ、これにかんしてはゴールスにとっても利益がある話ですよ」
「……言ってみろ」
自分に利益のあるというのが気になったのか、ゴールスはクラリスに先を促す。
もし下らない話だったらどうなるか、分かってるだろうな? と、そのような視線で。
そのような視線を向けられても、クラリスは怯むことなく……それどころか、笑みすら浮かべて口を開く。
「この戦いで明確に勝敗を決する必要があるのは間違いないでしょうが、それが誰も見ていない場所で戦った場合、どちらかが嘘を吐けば問題になります」
そう言いながら、クラリスは意味ありげな視線をゴールスに向ける。
それは、もしこのまま戦いが行われた場合、ゴールスがそのような真似をすると、そう視線で示していた。
当然のように、ゴールスはそんなクラリスの言いたい内容を理解するものの、言ってみればそれだけでしかない。
ここで反論を口にすれば、それこそ向こうの思い通りだろうと判断し、ゴールスもまたクラリスに対してお前がそのようにするのだろうといった視線を向ける。
そうしてお互いがお互いを全く信じていない視線を向ける中、やがてクラリスが口を開く。
「そうなると、証人となる人物が必要となります」
「……つまり?」
「戦いはこのデルリアの外で行い、デルリアの住人にそれをしっかりと見て貰いましょう。何なら、賭けをしても構いませんよ。他にも屋台の類があれば、儲かるかもしれませんね」
「見世物にするつもりか?」
クラリスが何を考えているのかを理解し、ゴールスは不機嫌そうに言う。
ゴールスにしてみれば、この戦いは自分の進退に直結する問題だ。
それを見世物にすると言われ、不満を抱くなという方が無理だった。
「ええ、そうです。見世物にされるのは嫌かもしれませんが、それでもあとでそちらが勝敗を誤魔化そうとしたところで、出来ないでしょう?」
「そっちが誤魔化そうとしても出来ない、の間違いじゃねえのか?」
「あら、勝つのはこちらですもの。心配はいりませんわ」
満面の笑みを浮かべてそう告げる様子に、ゴールスは鼻を鳴らす。
今だけ言ってればいいと、そのような態度で。
「話は分かった。それもいいだろう。だが……そちらの選手は現在ギジュの屋敷にいる連中の中から選んで貰う。デルリアの外や他の宿にいる連中は却下だ。それでもいいのなら、その話を受けてもいいが……どうする?」
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