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2章 嫉妬の炎が燃え盛る
21. 迫る危機
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ガラの悪い男、露出の多い女、物乞いの子供、胡散臭い雰囲気の露店の主人。
皆、豪華な馬車から無理やり降ろされたシャーロットを見ていた。
身分の高い人間の不況を買ったのだろう。ここに貴族の愛人が本妻に捨てられていくのは珍しくなかった。
多くの場合は直接娼館に売り飛ばすので、道のど真ん中に放り出されていくことはなかったが。
注目を集めているシャーロットは焦っていた。
(捕まって、売り飛ばされる……!)
ルミナリアのスラムで幼少期を過ごしたシャーロットは、己の美貌が必ずしも良いことばかり招くとは限らないと知っていた。
エスメに腕輪を取り上げられてしまったので、魔法で身を守ることも出来ない。
万が一魔法を使うような事があれば、最悪このスラムを消滅させてしまう。
走って逃げなきゃ、でもどっちに行けば良いんだろう、馬車が来たほう? 行ったほう?
ぐるぐると考え込んでいると、ふとシャーロットは違和感を覚えた。
(あれ、誰も寄ってこない……?)
すぐに何かの目的を持った人間が寄ってきて、逃げなければならないような事態になると思ったのだが。
辺りを見ると、皆シャーロットを遠巻きに見ている。人々の表情からは、ほんのりと恐れが見て取れた。
(あ、そうか、ローブ着てるから……)
シャーロットは魔導塔で譲り受けたローブを身に纏っている。魔導師なのは一目瞭然だろう。
どんなに高値が付きそうでも魔法で反撃されれば溜まったものではない。
ただ着ているだけだが、魔導塔のローブは防御魔法を張ったような効果をもたらしていた。
どちらにせよ魔導塔には戻らねばならない。シャーロットは歩き出した。
その方向は馬車が来たほうでも行ったほうでも無かった。
◆◆◆
(なんだかますます辺りの治安が悪くなっているような……)
シャーロットは不安になりながらも歩いていた。
王城に近づいても魔導塔に近づいても、スラムからは抜ける筈である。
しかし、街並みは益々薄汚れており、到底出口に近づいているとは思えない。
ニヤニヤと笑いながらこちらを眺めてる男も増えてきた。
はやくここから抜け出したくて、自然と歩みが早くなる。
突然、シャーロットを遠巻きに見ていた男たちが近づいてきた。
下卑た笑みを浮かべている。
「なあ、お嬢ちゃんそんな可愛いのに魔導師なの? すごいね、ちょっと魔法見せてよ」
「……」
「ねえ無視ー? 連れないねえ。まだ見習いなんでしょ? 俺たちと遊ぼうよ」
「……」
「俺たちもみんなちょっと魔法使えるんだよね。っていっても全員素行悪すぎて魔導塔追い出された落ちこぼれの集まりだけど」
「おい恥ずかしいから言うのやめろよな」
「……」
昼間だというのに酔っているのか、薄く酒の臭いがする。
魔導師であることは同じ魔導師にとってはなんの障壁にもならない。考えてみれば当たり前だ。
目も合わさずに無視しているが、男達はしつこくシャーロットに絡み続けていた。
「毎日魔法のお勉強してるんでしょ? たまにはもっと楽しいことしようよ」
「そうそう、俺たちが良いこと教えてあげるからさ」
そういって男の一人がシャーロットの肩に手を置いた。
身の危険を感じたシャーロットは咄嗟に腕を払い、走りだした。
薄汚れた町並みを走り抜ける。
「あはは、待ってよぉ」
「必死になって、可愛いねえ」
男達が追いかけてくる。シャーロットが必死に走っているというのに、まるで疲れる様子も見せない。
かと言って捕まえるでもなく一定の距離を保って追いかけてくる。完全に遊ばれていた。
(ちゃんと運動しておけば良かったわ!)
シャーロットは運動ができる方ではない。早くも限界が来はじめていた。
誰か助けてくれないかとも思ったが、通り過ぎる人々はシャーロット達を気にも留めない。
こういったことは日常茶飯事なのだろう。
走っているシャーロットの目の前に壁が現れた。
(嘘、行き止まり……)
袋小路だった。追いついた男達がニヤニヤ笑っている。
「こんな薄暗くて人通りのないところまで案内してくれるなんて、お嬢ちゃん誘ってんの?」
「はは、言えてる」
ジリジリと躙り寄ってくる男達に向かってシャーロットは叫んだ。
「こ、来ないでください! 魔法撃ちますよ! 本当に危ないんですからね!」
まるで意に介さず男達はゆっくりと近寄ってくる。
(どうしよう。街破壊したくないけど……。まあ……最悪仕方ないかな……)
シャーロットは段々辺りを更地にする覚悟を決め始めた。
勿論男達はそんな物騒な覚悟を目の前の女がしているとは思ってはいない。
逆に、何か腹をくくったようなシャーロットの表情を見て、やっと自分たちの薄汚い欲望を受け入れる気になったのだと勘違いしていた。
男達は、今現在身に危険が迫っているのは自分たちだということには気がついていなかった。
皆、豪華な馬車から無理やり降ろされたシャーロットを見ていた。
身分の高い人間の不況を買ったのだろう。ここに貴族の愛人が本妻に捨てられていくのは珍しくなかった。
多くの場合は直接娼館に売り飛ばすので、道のど真ん中に放り出されていくことはなかったが。
注目を集めているシャーロットは焦っていた。
(捕まって、売り飛ばされる……!)
ルミナリアのスラムで幼少期を過ごしたシャーロットは、己の美貌が必ずしも良いことばかり招くとは限らないと知っていた。
エスメに腕輪を取り上げられてしまったので、魔法で身を守ることも出来ない。
万が一魔法を使うような事があれば、最悪このスラムを消滅させてしまう。
走って逃げなきゃ、でもどっちに行けば良いんだろう、馬車が来たほう? 行ったほう?
ぐるぐると考え込んでいると、ふとシャーロットは違和感を覚えた。
(あれ、誰も寄ってこない……?)
すぐに何かの目的を持った人間が寄ってきて、逃げなければならないような事態になると思ったのだが。
辺りを見ると、皆シャーロットを遠巻きに見ている。人々の表情からは、ほんのりと恐れが見て取れた。
(あ、そうか、ローブ着てるから……)
シャーロットは魔導塔で譲り受けたローブを身に纏っている。魔導師なのは一目瞭然だろう。
どんなに高値が付きそうでも魔法で反撃されれば溜まったものではない。
ただ着ているだけだが、魔導塔のローブは防御魔法を張ったような効果をもたらしていた。
どちらにせよ魔導塔には戻らねばならない。シャーロットは歩き出した。
その方向は馬車が来たほうでも行ったほうでも無かった。
◆◆◆
(なんだかますます辺りの治安が悪くなっているような……)
シャーロットは不安になりながらも歩いていた。
王城に近づいても魔導塔に近づいても、スラムからは抜ける筈である。
しかし、街並みは益々薄汚れており、到底出口に近づいているとは思えない。
ニヤニヤと笑いながらこちらを眺めてる男も増えてきた。
はやくここから抜け出したくて、自然と歩みが早くなる。
突然、シャーロットを遠巻きに見ていた男たちが近づいてきた。
下卑た笑みを浮かべている。
「なあ、お嬢ちゃんそんな可愛いのに魔導師なの? すごいね、ちょっと魔法見せてよ」
「……」
「ねえ無視ー? 連れないねえ。まだ見習いなんでしょ? 俺たちと遊ぼうよ」
「……」
「俺たちもみんなちょっと魔法使えるんだよね。っていっても全員素行悪すぎて魔導塔追い出された落ちこぼれの集まりだけど」
「おい恥ずかしいから言うのやめろよな」
「……」
昼間だというのに酔っているのか、薄く酒の臭いがする。
魔導師であることは同じ魔導師にとってはなんの障壁にもならない。考えてみれば当たり前だ。
目も合わさずに無視しているが、男達はしつこくシャーロットに絡み続けていた。
「毎日魔法のお勉強してるんでしょ? たまにはもっと楽しいことしようよ」
「そうそう、俺たちが良いこと教えてあげるからさ」
そういって男の一人がシャーロットの肩に手を置いた。
身の危険を感じたシャーロットは咄嗟に腕を払い、走りだした。
薄汚れた町並みを走り抜ける。
「あはは、待ってよぉ」
「必死になって、可愛いねえ」
男達が追いかけてくる。シャーロットが必死に走っているというのに、まるで疲れる様子も見せない。
かと言って捕まえるでもなく一定の距離を保って追いかけてくる。完全に遊ばれていた。
(ちゃんと運動しておけば良かったわ!)
シャーロットは運動ができる方ではない。早くも限界が来はじめていた。
誰か助けてくれないかとも思ったが、通り過ぎる人々はシャーロット達を気にも留めない。
こういったことは日常茶飯事なのだろう。
走っているシャーロットの目の前に壁が現れた。
(嘘、行き止まり……)
袋小路だった。追いついた男達がニヤニヤ笑っている。
「こんな薄暗くて人通りのないところまで案内してくれるなんて、お嬢ちゃん誘ってんの?」
「はは、言えてる」
ジリジリと躙り寄ってくる男達に向かってシャーロットは叫んだ。
「こ、来ないでください! 魔法撃ちますよ! 本当に危ないんですからね!」
まるで意に介さず男達はゆっくりと近寄ってくる。
(どうしよう。街破壊したくないけど……。まあ……最悪仕方ないかな……)
シャーロットは段々辺りを更地にする覚悟を決め始めた。
勿論男達はそんな物騒な覚悟を目の前の女がしているとは思ってはいない。
逆に、何か腹をくくったようなシャーロットの表情を見て、やっと自分たちの薄汚い欲望を受け入れる気になったのだと勘違いしていた。
男達は、今現在身に危険が迫っているのは自分たちだということには気がついていなかった。
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