14 / 35
14.前世の古傷
しおりを挟む「あの二人……置いてきて大丈夫かな?」
映画館に南人兄さんとまーくんを置いて来た私たちは、映画館のあるショッピングモールを出て、駅前の繁華街を歩いていた。
「リアはあの二人の心配なんてしなくていいよ。それより、予定通りスイーツブッフェに行くよ」
「う、うん」
イチゴフェアは終わってしまったけど、秋斗はこの間訪れたホテルの庭がすっかり気に入ったらしく、またスイーツブッフェに誘ってくれた。
気に入ると同じ場所ばかりに行くところは、前世の王子様に似ているかもしれない。
二人きりで緊張した私は、ホテルの広い庭に入るなり秋斗から少しだけ離れて歩いた。
すると秋斗が不思議そうにこちらを見る。
「どうしてそんなに遠いの?」
「何が?」
「これは恋人の距離じゃないよ」
「だって最近の秋斗……なんか怖いし」
「怖い?」
秋斗は眉間を寄せて考え込む。
恋人だからとキスを畳みかけてくる秋斗は、正直苦手だった。
できれば少し前の秋斗に戻ってほしいけど、友達に戻りたいと言ったところで今の関係が変わるとも思えなかった。
何がどうしてこんな状況になってしまったのだろう。
私が一人で考え込んでいると、小さく吹き出す声が聞こえた。
「リアは相変わらず奥手だね」
秋斗は懐かしむように目を細めて笑う。
「ねぇ、秋斗……ずっと聞きたかったんだけど。もしかして秋斗にも前世の記憶があったりするのかな……?」
「前世の記憶?」
秋斗はきょとんとした顔で見開く。
あまりにも前世の王子様に似ている秋斗だから、もしかしたら……と思ったけど。
どうやら私の思い違いだったらしくて、秋斗は可笑しそうな顔をする。
「何を言い出すかと思えば、前世の記憶ってなに?」
「秋斗は前世とは関係ないの?」
「いったいなんのことかな?」
「……なんでもないよ。今のは忘れて」
前世の記憶なんて、何も知らない人が聞いたらびっくりするよね。
秋斗が前世の王子様じゃないことに、少しだけほっとした。
前世の王子様だったら、キスどころじゃすまないだろうから……なんて、考えただけで恐ろしかった。
「変なリア。前世と言われてもわからないけど……それよりも僕は、リアともっと気持ちを深めたいよ」
「近いよ、秋斗」
私の額にコツンと額を乗せてくる秋斗。
逃げようとすると、今度は私の指に秋斗の指を絡ませてきた。
「好きって言ってくれたら離れるよ」
「ほんとに?」
「ほんとだよ」
「……好きだよ」
「ああ、可愛いなぁ、リアは。どうしてそんなに可愛いの」
秋斗は私から離れて、ブツブツと独り言を呟くけど──
そんな中、突然私の前を人影が遮る。
「んー」
「だからなんでお前がいるんだよ」
気づくと唇を突き出したまーくんが、秋斗に接近していた。
まーくんはメガネをかけると、大袈裟にのけぞって驚いた顔をする。
「え? リアじゃないの?」
「小金先生はどうしてこいつを連れてきたんですか?」
高い生垣の陰から現れた南人兄さんに、秋斗は冷たい視線を向ける。
兄さんはやれやれといった感じで説明した。
「田橋くんはリアさんの匂いを辿ってここまで来てしまったのです」
甘い雰囲気が消えてなんとなくホッとする私の隣で、秋斗は禍々しい笑みを浮かべる。
「僕たちの聖域に入ってくるな」
「なんだと! このホテルはパパの会社の傘下なんだぞ」
まーくんがドヤ顔で告げると、南人兄さんが胸ポケットからスマホを取り出す。
「なら私が買収しましょう」
「いや、それなら僕がやる」
兄さんを手で制してスマホをいじり始める秋斗に、私は呆れてため息をつく。
「ちょっと、せっかく素敵な場所なんだから、みんなこの景色を楽しもうよ」
「……ここは僕たちの秘密の場所だったのに」
「秋斗……きっとまた、新しい場所が見つかるよ」
「ここはあの場所によく似てるから、初めて見た時は本当に嬉しかったんだ」
「……え?」
あの場所、と言われて思い浮かんだのは、前世の王子様とよく落ち合った東屋だった。
でも、秋斗は前世なんて知らないって言ってたし……違うよね。
「僕がいるのに二人の世界なんか作って! 僕だってリアと良い雰囲気になりたいよ!」
「大塚さんと良い雰囲気になりたければ、まずは私を倒してからにしてください田橋くん──フッ」
「もう吹き矢は効かないよ! ──うっ」
「NASUで新しく開発された宇宙人専用の麻酔です」
「……な……バタッ」
「さあ二人とも、今のうちに逃げてください」
「いや、お前がどこかに行けよ」
白い目を向ける秋斗に、南人兄さんは親指を立てた。
***
思えば前世の王子様は嫉妬が普通じゃありませんでした。
私が森で小鳥と一緒に歌えば、森の木は切り倒され丸裸になり……パン屋さんで働けば、閉店を余儀なくされました。
私にとって王子様は愛しい人であり、煩わしい人でもありました。
前世の王子様のことを考えれば、秋斗は常識人だと思うけど、私への執着がエスカレートしているような気がした。
気のせいだったらいいけど。
もし前世にまーくんみたいな人がいたら、王子様に斬り捨てられたかもしれない。
そういう物騒な時代じゃなくて良かった。
……なんて、あれこれ考えながら登校した私は、教室に入るなり鞄の中身を机に広げた。
するとさっそく、隣の秋斗が椅子を寄せてくる。
「おはよう、リア」
「近いよ、秋斗」
「意外と冷静なリアも好きだよ」
「すっ! 好きとか……こんなところで言わないでください」
「どうして? 誰も聞いてないよ」
「いや、絶対聞いてます! みんな聞いてないふりしてるだけです」
「リアは些細なことにこだわるね。そんな風にシャイなリアも好きだよ」
「ほらまた……わざとなの?」
これは間違いなく遊ばれてる……。
秋斗の恋人? になってから、じわじわと平凡から離れているような気がした。
そもそも私の求める平凡ってなんだっけ?
秋斗と一緒にいるうちに、普通というものがわからなくなっていた。
けど、前世のように嫉妬で刺されるようなことはなさそうだし、もしかして私って普通の幸せを掴んでるのかな? ……なんて思っていたら、
「あれ……机に……何かある?」
机の中を整理していると、教科書以外の何かに手がぶつかった。
おそるおそる取り出すと、可愛くラッピングされた小箱が出てきて、私の名前が入ったメッセージカードも添えられていた。
「リア、それは……誰からのプレゼント?」
私が目を瞬かせていると、秋斗の不機嫌な声が聞こえた。
「なんだろうね。可愛い文字だし、女の子かな?」
「女の子……ね」
秋斗はあからさまに嫉妬していたけど、私はそんな秋斗を見て見ぬふりをして箱を開けた。
すると、そこには──
「あ」
黒い害虫の死骸が入っていた。
「最悪」
「リア……それって……」
さっきまで嫉妬の色に染まっていた秋斗の顔が、今度は驚きに見開かれている。
やっぱり、秋斗と私が一緒にいることをよく思わない人がいるらしい。
添えられていたカードを裏返すと、『調子に乗るな』と書かれていた。
「誰がこんなことを……」
秋斗が怒りに満ちた目で周囲を見回すと、教室の外でバタバタと複数の足音が去っていった。
「こういう日が来ると思ってたんだよね」
「……リア」
私は箱の蓋を閉じて、ゴミ箱に放り込んだ。
普通の女子なら悲鳴をあげて慌てるところだけど、無反応の私を見て犯人はどう思っただろう。
家に一人でいることが多い私は、害虫駆除には慣れているけど……不快には違いなかった。
でもまあ、これくらいの嫌がらせなら可愛いものだよね。
前世で刺殺されたことを久しぶりに思い出してゾッとした。
「リア、大丈夫?」
「……うん」
心配そうにのぞきこんでくる秋斗に、私はぎこちなく頷いた。
今は大丈夫。でもいつか耐えられなくなる日がくるかもしれない。
だからその前に私は、秋斗から離れなきゃ……。
私が「このくらい平気」だと告げると、秋斗は苦々しい表情で唇を噛んだ。
なんだか嫌な空気が流れる中──教室のドアがドンと大きな音を立てて開かれる。
「おはよう、リア!」
いきなり現れたまーくんは、教室に入ってくるなり秋斗の席にやってきたのだった。
「え? あれ? まーくんがどうしてここに?」
「リアのクラスがわからないから、全クラスまわってきたよ」
「お前、何しに来たんだよ」
「転入して間もないし、校内を案内してほしいんだ」
「それなら私がやりましょう」
楽しそうなまーくんの後ろから南人兄さんも現れる。
「試したい麻酔もありますし」
「無駄だよ、リアのお兄さん。リアへの愛がある限り、どんな麻酔も効かないよ」
「麻酔を超えた愛! 感服です。しかしながら、私は王子の右腕として、あなたを大塚さんに近づけるわけにはいきません」
「とりあえず、僕の前からどけよ」
秋斗の机を囲むまーくんと南人兄さんを、秋斗は冷たい顔で見ていた。
けど、まーくんは聞いているのかいないのか、恥ずかしそうに手を合わせて秋斗を見下ろした。
「リア! 今日こそ僕の愛を受け取ってよ」
「……ねぇ、まーくん」
「なあに、リア」
私と間違えて秋斗に愛を囁くまーくんに、私は訊ねる。
「会ってそうそう、愛とか……私たち、小学校4年生以来なのに、どうしてそこまで必死になって追いかけてくるの?」
私が真面目に訊ねると、まーくんは大きな目を細めて嬉しそうに答えた。
「女の子と話すのが苦手な僕が、唯一自然体で話せるのがリアなんだ」
「それだけ?」
「好きになるには、それだけでじゅうぶんじゃない?」
「……そういうものなのかな」
まーくんはちょっと不思議な子だけど、モテると思うんだよね。なのに、なんで私なんだろう。
秋斗もまーくんもどうして私に執着するのか、やっぱり理解できなかった。
私なんか、大して面白い人間でもないのに。
でも、こんな私でも必要としてくれるなら……。
「いいよ、まーくん。私が校内を案内してあげる」
「リア? 僕というものがありながら、こいつと校内デートするの?」
「デートじゃないよ。秋斗も一緒ならいいでしょ?」
「僕は……」
秋斗は少し戸惑うそぶりを見せたけど、何かを諦めたようにため息をついた。
「わかった。今回だけだよ」
なんだかんだ優しい秋斗である。私が真面目にお願いしたら、たいがいのことは聞いてくれるのだった。
そういうところは、前世の王子様とは違うよね。
前世の王子様だったら、有無を言わさず、まーくんを遠ざけただろうし。
ていうか、前世の王子様と秋斗を比べるのは良くないかな。
「秋斗、ありがとう」
私が微笑みかけると、秋斗は苦笑した。
***
「今日はありがとう、リア!」
「どういたしまして」
まーくんに校内を案内した流れで、私と秋斗、まーくんは三人一緒に帰っていた。
すっかり暗くなった住宅街で、私たちは他愛のない話をする。
まーくんがいた高校の給食とか、今まで入っていた部活の話とか──
最初は少し心配だったけど、意外なことに秋斗はまーくんがいても嫌な顔ひとつしなかった。
「じゃあ、僕はちょっと用があるから、ここで帰ることにするよ」
「へ!?」
今までずっと家まで送ってくれた秋斗が、珍しく帰ると言い出して、私は思わず変な声を出してしまった。
このままだと、まーくんと二人きりになるけど……秋斗はなんとも思わないのだろうか。
「お前、リアのことは任せたぞ」
「い、言われなくてもリアは僕が送る」
まーくんに私を託した秋斗は、相変わらず何を考えているのかわからない顔で笑った。
***
「……リア」
秋斗はリアよりも先に帰ると、暗い自室で浮かない顔をしていた。
本当はずっと二人でいたかった。
だが、今日はリアに対する嫌がらせを目の当たりにしたせいで、ずっと怒りがおさまらず──とうとう途中で帰ってしまった。
「犯人は特定したけど、どうやって料理してやろう」
秋斗は不敵に笑う。
「僕のリアを今度こそ守らないと」
リアを守るには、二人でいるより三人でいたほうが都合が良かった。
でなければ、恋敵をリアに近づけるなんてとんでもない。
もし今後も嫌がらせがあるようなら、きっとリアは自分から離れてしまうだろう。
前世で殺されたことが、深い傷となってリアに残っていることを秋斗は知っていた。
それを取り除くことができないなら、現世こそ守り抜きたかった。
「今後も三人でいるべきか……嫌だな」
秋斗は部屋の小窓から月を見上げて、切ない息をこぼした。
60
あなたにおすすめの小説
寵愛の花嫁は毒を愛でる~いじわる義母の陰謀を華麗にスルーして、最愛の公爵様と幸せになります~
紅葉山参
恋愛
アエナは貧しい子爵家から、国の英雄と名高いルーカス公爵の元へと嫁いだ。彼との政略結婚は、彼の底なしの優しさと、情熱的な寵愛によって、アエナにとってかけがえのない幸福となった。しかし、その幸福を妬み、毎日のように粘着質ないじめを繰り返す者が一人、それは夫の継母であるユーカ夫人である。
「たかが子爵の娘が、公爵家の奥様面など」 ユーカ様はそう言って、私に次から次へと理不尽な嫌がらせを仕掛けてくる。大切な食器を隠したり、ルーカス様に嘘の告げ口をしたり、社交界で恥をかかせようとしたり。
だが、私は決して挫けない。愛する公爵様との穏やかな日々を守るため、そして何より、彼が大切な家族と信じているユーカ様を悲しませないためにも、私はこの毒を静かに受け流すことに決めたのだ。
誰も気づかないほど巧妙に、いじめを優雅にスルーするアエナ。公爵であるあなたに心配をかけまいと、彼女は今日も微笑みを絶やさない。しかし、毒は徐々に、確実に、その濃度を増していく。ついに義母は、アエナの命に関わるような、取り返しのつかない大罪に手を染めてしまう。
愛と策略、そして運命の結末。この溺愛系ヒロインが、華麗なるスルー術で、最愛の公爵様との未来を掴み取る、痛快でロマンティックな物語の幕開けです。
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
悪役令嬢、記憶をなくして辺境でカフェを開きます〜お忍びで通ってくる元婚約者の王子様、私はあなたのことなど知りません〜
咲月ねむと
恋愛
王子の婚約者だった公爵令嬢セレスティーナは、断罪イベントの最中、興奮のあまり階段から転げ落ち、頭を打ってしまう。目覚めた彼女は、なんと「悪役令嬢として生きてきた数年間」の記憶をすっぽりと失い、動物を愛する心優しくおっとりした本来の性格に戻っていた。
もはや王宮に居場所はないと、自ら婚約破棄を申し出て辺境の領地へ。そこで動物たちに異常に好かれる体質を活かし、もふもふの聖獣たちが集まるカフェを開店し、穏やかな日々を送り始める。
一方、セレスティーナの豹変ぶりが気になって仕方ない元婚約者の王子・アルフレッドは、身分を隠してお忍びでカフェを訪れる。別人になったかのような彼女に戸惑いながらも、次第に本当の彼女に惹かれていくが、セレスティーナは彼のことを全く覚えておらず…?
※これはかなり人を選ぶ作品です。
感想欄にもある通り、私自身も再度読み返してみて、皆様のおっしゃる通りもう少しプロットをしっかりしてればと。
それでも大丈夫って方は、ぜひ。
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。
楠ノ木雫
恋愛
蒸発した母の借金を擦り付けられた主人公瑠奈は、お見合い代行のアルバイトを受けた。だが、そのお見合い相手、矢野湊に借金の事を見破られ3ヶ月間恋人役を務めるアルバイトを提案された。瑠奈はその報酬に飛びついたが……
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる