いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!

町島航太

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二章 資金不足と過酷な戦争

44話 残虐な魔獣人とニア

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 体力切れを起こさないように走り続ける事、約2キロ。村は炎の海に包まれていた。

 周りには木々が生い茂っているため、まだまだ大きくなるだろう。

 獣の鳴き声が聞こえてくる。しかし、それは腹を満たすべく獲物を追う獣のそれとは大きく異なっていた。

 どちらかと言うと、敵と戦う人間のような声だった。

「やはり、魔獣人ですね。未来の戦力である見習い騎士さん達を殺しに来たんです」

 芽を摘んでいるという事か。俺は平穏な世界、その中でも一際平和な国に生まれた。体を鍛える武術も嗜みでしか無かったし、剣や銃に一種の憧れを持つほど平和ボケした人間だ。

 しかし、そんな人間でも分かる事が一つだけある。戦場にも出ていない騎士見習いの住まう村を襲う行為。それは一般人を蹂躙しているのと何ら変わらないのではないだろうか?

「これはニアじゃなくても怒りが湧いてくるね。はらわたが煮えくり帰りそうだよ・・・」

「テツロー、先程も言いましたが無茶だけはやめて下さい」

「わかってる。まず、俺らが最初にやる事は生き残りを探す事だよね」

 俺は戦闘のプロフェッショナルではない。素人に毛が生えた程度のことしかできない役立たずだ。そんな役立たずがどんな方法で役に立てるか、それが人命救助だ。

 火と血の海をかき分け、まだ息のある人達を助ける。それが俺にできる最大限のことだ。

 まだ森に燃え移っていないことから襲撃があったのはついさっきと考えられる。そもそも時間が経っていたならば、ジョン8世が気づいていないわけがない。

 故にまだ魔獣人はいる。そんな中に生きた人間が入ったら一気に注目の的になるだろう。しかし、既に先行した注目の的が今も暴れ回っているはずだ。

「いました。ニアです」

「しっ!今の彼女には話しかけないようにね、我を失ってて矛先がこっちに向きかねないから」

 彼女は村のど真ん中で暴れ回っていた。得物である長剣は使わず、徒手空拳で戦っていた。

 対峙するは、二足歩行の獣。犬、猫、鳥といった様々な種類の獣が人間のような出立で立っている。

「あれが魔獣人。本当に人みたいだね」

「ええ、でも野蛮で話し合いの前に拳が飛んできますので気をつけてください」

 武器を使う知能は有しているようで、ニアを囲んでいる魔獣人のうち1人がモーニングスターのトゲ鉄球を振り下ろす。

 ニアは自分に着弾する前に自慢の脚力で間合いを詰めると、その頭を片手で鷲掴み。横にいた魔獣人の頭も鷲掴みにすると、魔獣人同士の顔面をぶつけ合わせ、殺害。

 2人の魔獣人の頭はまるでスイカのように砕け散った。

「・・・次」

 普段のニアからは考えられない立ち振る舞いである。
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