いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!

町島航太

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最終章 悪魔の契約

170話 今こそ真の勇者の力を試す時

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「ッッ!イリス王女逃げてください!ここは私が食い止めます!それと、テツロウさんをよろしくお願いします!」

 剣を構え直し、悪魔達に突っ込んでいく。悪魔達全員に個々の自我があり、ジュリエットを混乱させながら巧みに攻撃を仕掛けていく。

「何でこんなに巧みな攻撃ができるの!?」

「ひゃはははぁ!当たり前だろ勇者ぁ!」「悪魔は種族名だ!個体名じゃない!」「ヒュームみたいにうじゃうじゃいるんだよ!魔獣人の体だけじゃ足りないくらいになぁ!」

 契約内容は、というもの。個人間で行われた契約ではない。

「さぁさぁさぁ!どうする勇者ぁ!」「このままだと負けちまうゾォ?」「人間を守るのが勇者の使命じゃないのかぁ?」

 ジュリエットを煽り、攻撃の単純化を試みる。しかし、対するジュリエットはあまり焦ってはいなかった。寧ろ好都合とすら思っていた。

 悪魔は魔獣人の体を乗っ取っているだけで被害者である。そのため、魔獣人を殺すのはあまり望ましい事ではない。そのため、中身の悪魔のみを殺す事がベストである。

 しかし、中身はおろか魔獣人の体さえ傷つける事は不可能な状態だ。勇者であるジュリエットですらかすり傷をつけるのがやっとの状態。神が地獄に封印したという神話がある理由がよく分かる。

 だが、生物である以上必ず弱点がある。ジュリエットは悪魔の弱点を把握していた。それは、聖なる力である。

 悪魔の力に対抗するべく神々より与えられた聖なる力。またの名を浄化という。

 病気や毒、汚染された水をも綺麗にする力。夢のような力であるが悪魔にとっては劇物以外の何物でもない。

 実際、悪魔が作ったであろう魔法生物のオイルスライムは浄化の光で焼け縮んでいたし、哲郎の聖女の光が有効打だった。これで意味がないというのは些か無理があるだろう。

 神が、コンパスに勇者を産み続けてきた理由がここでようやくはっきりと分かる。この時のためだったんだ。いつか訪れるであろう悪魔が魔獣人の体を乗っ取るだろう日を想定して勇者を産み落としたんだろう。

 そして、そのタイミングで生まれた私にスキル『勇者』にこの力を与えてくれたのだろう。

 1週間前の戦いで涙から発された光。あれには浄化の力が宿っていた。だからドートン王を怯ませることができた。私に真に勇者のスキルが覚醒したのならば使えるはずだ。

 どう出すのかは分からない。しかし、やってみる他ない。

「おりゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!『シャイン』!!」

 掛け声と共に光の魔法を放つ。光の魔法を使うのは初めてだったが、想像以上に眩い光を放つ。それは1週間前に見た光と負けず劣らずの強さだった・・・のだが。

「ギャアァァァァァァァァ!!・・・あれ?」

 悪魔達には全く効いていなかった。

 
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